輝くひととき 119-122 PDFファイル119-126

 

王が生まれた

 

  およそ2000年前、イエス・キリストがイスラエルに生まれました。その時、イエスが非常に特別な方であるということを裏付けるようなしるしが、数々ありました。まず、マリヤのもとに御(み)使い(=天使)が現れ、処女のまま、彼女が赤ん坊を身ごもると告げました。そして御使いは、その子はメシアとなる、つまり民が長らく待ち望んでいた支配者かつ救世主となると説明したのでした。

  また、もう一人の御使いが、ベツレヘムのはずれにいた羊飼いたちの所に現れて、救い主が生まれたことを告げました。さらに、シメオンという人がいて、救い主をその目で見るまでは決して死なないと、神から告げられていました。シメオンが赤ん坊のイエスを見た時、神はシメオンに、この子こそ、今まで彼が待ち望んでいた幼子であると告げたのです。また、東の国々では、壮麗で不思議な星の出現によって、博士たちがイエスの誕生を知りました。

  イエスは地上に生まれてから30年間、素朴でつつましい人生を送りましたが、その誕生は、驚くべき方法で告げ知らされたのでした。それらの出来事を聖書の中から幾つかご紹介します。

 

 イスラエルで、御使いがおとめマリヤのもとに現れる

 

  その翌月、神は御使いガブリエルを、ガリラヤのナザレ[イスラエル北部に位置する]に住む、マリヤという処女のところにおつかわしになりました。この娘は、ダビデ王[イスラエルで最も偉大な王と考えられている]の子孫にあたるヨセフという人の婚約者でした。ガブリエルはマリヤに声をかけました。「おめでとう、恵まれた女よ。主が共におられます。」

  これを聞いたマリヤは、すっかりとまどい、このあいさつはどういう意味だろうと考えました。

  すると御使いが言いました。「こわがらなくてもいいのです、マリヤ。神さまがあなたに、素晴らしいことをしてくださるのです。あなたはすぐに身ごもり、男の子を産みます。その子を『イエス』と名付けなさい。彼は非常に偉大な人になり神の子と呼ばれます。神である主は、その子に先祖ダビデの王座をお与えになります。彼は永遠にイスラエルを治め、その国 [主の御国]はいつまでも続くのです。」

  「どうして子供ができましょう。まだ結婚もしておりませんのに。」「聖霊があなたに下り、神さまの力があなたをおおうのです。ですから、生まれてくる子供は聖なる者、神の子と呼ばれます。神さまの約束は必ずその通りになるのです。」

  「私は主の召使いにすぎません。何もかも主のお言いつけどおりにいたします。どうぞ、いま言われたとおりになりますように。」マリヤがこう言うと、御使いは見えなくなりました。(ルカ1章26節−38節 リビングバイブル)

 

 御使いの言葉通り、羊飼いがイエスを見つける

 

  そのころ、皇帝アウグストが全ローマ帝国の住民登録をせよと命じました。これは、クレニオがシリヤの総督だった時に行われた、最初の住民登録でした。登録のため、国中の人がそれぞれ先祖の故郷へ帰りました。ヨセフは王家の血筋だったので、ガリラヤ地方のナザレから、ダビデ王の出身地ユダヤのベツレヘムまで行かなければなりません。

  婚約者のマリヤも連れて行きましたが、この時にはもう、マリヤのお腹は目立つほどになっていました。ベツレヘムにいる間に、マリヤは初めての子を産みました。男の子でした。彼女はその子を布でくるみ、飼い葉おけに寝かせました。宿屋が満員で、泊めてもらえなかったからです。その夜、町はずれの野原では、羊飼いが数人、羊の番をしていました。そこへ突然、御使いが現れ、主の栄光がさっとあたり一面を照らしたのです。これを見た羊飼いたちは恐ろしさのあまり震え上がりました。御使いが言いました。「こわがることはありません。これまで聞いたこともない、すばらしい出来事を知らせてあげましょう。すべての人への、うれしい知らせです。今夜ダビデの町(ベツレヘム)で救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。布にくるまれ、飼い葉おけに寝かされている赤ん坊、それが、目じるしです。」

  するとたちまち、天の軍勢が現れ、御使いといっしょに神をほめたたえました。「天では、神さまに栄光があるように。地上では、平和が、神さまに喜ばれる人々にあるように。」 

  御使いの大軍が天に帰ると、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こうぜ。主が知らせてくださった、素晴らしい出来事を見てこようじゃないか!」と言い合いました。

  羊飼いたちは、息せき切って町まで駆けて行き、ようやくヨセフとマリヤとを捜しあてました。飼い葉おけには、赤ん坊が寝ています。

  何もかも御使いの言ったとおりです。羊飼いたちはこのことを大勢の人に話して聞かせました。それを聞いた人々はみな、ひどく驚きましたが、マリヤはこれらのことを胸に納め、時々思い返していました。

  羊飼いたちは、お告げどおり赤ん坊にお会いできたので、神を賛美しながら、帰って行きました。(ルカによる福音書2章1−20節 リビングバイブル)

 

 預言者が赤ん坊のイエスを見て、長らく待ち望んだ救い主であることを知る

 

  八日たち…その子は、母の体内に宿る前から御使いに示されたとおり、「イエス」と名付けられました。

モーセの法律によるきよめの時が来ると、両親はイエスを主にささげるため、エルサレムに連れて来ました。

  その日、神殿には、エルサレムに住むシメオンという人がいました。正しい、信仰のあつい人で、聖霊に満たされ、メシヤ(救い主)のおいでをひたすら待ち望んでいました。主がつかわされるその方を見るまでは絶対に死なない、という聖霊のお告げを受けていたのです。

  その日は、聖霊に導かれて神殿に来ました。そして、マリヤとヨセフが、決まりどおり、イエスを主にささげるためにやって来るのに出会ったのです。シメオンはイエスを抱き上げ、神を賛美しました。「主よ、今こそ私は安心して死ねます。お約束どおり、この目でメシヤを見、あなたがつかわされた救い主にお会いしたのですから。この方はすべての国を照らす光、あなたの民イスラエルの光栄です。」

  ヨセフとマリヤはそこに立ったまま、驚いてシメオンの言うことを聞いていました。

  シメオンは両親を祝福してから、マリヤに言いました。「剣があなたの胸を刺し通すでしょう。イスラエルの多くの人がこの子を信じようとしないで、滅びるからです。しかし、この子によって大きな喜びを受ける人も大勢います。こうして、多くの人の隠れた思いが現されるのです。」(ルカによる福音書2章21−22節、25−34節)

 

 東の国から来た賢者たちが、星をたよりに、幼な子イエスを探し当てた

 

  イエスは[ユダヤの]ヘロデ王の時代に、ユダヤのベツレヘムの町でお生まれになりました。そのころ、天文学者たちが、東の国からはるばるエルサレムにやって来て、こう尋ねました。「このたびお生まれになったユダヤ人の王様は、どこにおられますか。私たちは、その方の星をはるか東の国で見たので、その方を拝むために参ったのです。」

  それを聞いたヘロデ大王は、ひどくうろたえ、エルサレム中がその噂でもちきりになりました。大王はさっそくユダヤ人の宗教的指導者たちを召集し、「預言者どもは、メシヤ(救い主)がどこで生まれると告げているのか」と尋ねました。

  彼らは答えました。「ユダヤのベツレヘムです。預言者ミカがこう書いております。『小さな町ベツレヘムよ。おまえはユダヤの中でも決してただのつまらない町ではない。おまえから偉大な支配者が出て、わたしの国民イスラエルを治めるようになるからだ。』」

  そこでヘロデは、ひそかに天文学者たちを呼びにやり、例の星が初めて現れた正確な時刻を聞き出しました。そして彼らに、「さあ、ベツレヘムへ行って、その子を捜すがいい。見つかったら、必ず知らせてくれ。わしも、ぜひその方を拝みに行きたいから」と命じました。

  彼らがさっそく出発すると、なんと、あの星がまた現れて、彼らをベツレヘムに案内し、とある家の上にとどまったではありませんか。それを見た彼らは、躍(おど)り上がって喜びました。

  その家に入ると、幼子と母マリヤがおられました。彼らはひれ伏して、その幼子を拝みました。そして、宝の箱をあけ、金と乳香と没(もつ)薬を贈り物としてささげました。それから、ヘロデ大王に報告するためにエルサレムへは戻らず、そのまま、自分たちの国へ帰って行きました。神が夢の中で、ほかの道を通って帰るように警告されたからです。(マタイによる福音書2章1−12節 *リビングバイブル)