キリスト教の危機
--「むしろ、冷たいか熱いかであってほしい。」(黙示録3:15)
(このセクションでは、教会や宗派、およびクリスチャン一人一人が陥る可能性のある背教や自己満足の危険性について、詳細に渡って取り上げています。このセクションを学習するにあたって、他のクリスチャンの失敗ばかり考えるのではなく、成熟したクリスチャンとして、自らのイエス・キリストへの献身度を測り、自分が「冷たいか熱いか」を知る霊的な物差しとして使って下さるよう祈ります。)
1.終わりの時の、大いなる背教についての予告
マタイ 24:12 不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えるであろう
2テサ 2:1-3 (イエスの来臨の前に)まず背教のことが起り
1テモ 4:1 御霊は明らかに告げて言う。後の時に…信仰から離れ去る
2テモ 4:3,4 人々が健全な教に耐えられなくなり…真理からは耳をそむけて…いく時が来る
2.神の御言葉に無知なこと
A.御言葉を勉強し、そこに書かれている事を知る者が少ない:
ホセア 4:6 わたしの民は知識がないために滅ぼされる
マタイ 12:3-5 あなたがたは…ダビデが何をしたか読んだことがないのか…律法で読んだことがないのか(マタイ19:4も参照)
マタイ 22:29 聖書も神の力も知らないから、思い違いをしている
使徒 13:27* 人々は…安息日ごとに読む預言者の言葉を理解せず(2コリ3:1 4,15も参照)
1テモ 1:7b 自分の言っている事も主張している事も、わからないでいる
(エレ5:4、使徒13:27も参照)
B.御言葉を学んでいないことの危険:
2ペテ 3:16 (パウロの)手紙の中には…わかりにくい箇所もあって、無学な者達は…無理な解釈をほどこし
C.無学な者は偽の教師によって、簡単に道を外してしまう:
ガラ 1:6,7 こんなにも早く、あなたがたを…お招きになった方から離れて、違った福音に落ちていく
2テサ 2:2,3,5 (誰にも)だまされてはならない…これらの事をくり返して言ったのを思い出さないのか
D.御言葉を知っていても、多くの者は従わない:
エレ 5:5 偉い人達…は主の道を知り…くびきを折り[従っていない]
エレ 8:8,9 どうしてあなたがたは、我々には知恵がある、主の掟があると言う事ができようか…書記の偽りの筆がこれを偽りにした
マタイ 23:3 彼らのする事には、ならうな。彼らは言うだけで、実行しない
ローマ 2:17-24 御旨を知り…真理を持ち…律法を誇としながら、自らは律法に違反して、神を侮っているのか
E.御言葉を知っていても、救われていない者がいる:
エレ 2:8a 律法を扱う者達はわたしを知らず
ヨハネ 3:1-10 イスラエルの教師でありながら、これぐらいの事[生まれ変る事について]がわからないのか
3.人間の教義や伝統 対 神の御言葉
A.御言葉以上に人間の教義をほめそやすことの危険性:
イザヤ 29:13b 彼らのわたしをかしこみ恐れるのは…人の戒めによる
マタイ 15:3 あなたがたも自分達の言伝えによって、神の戒めを破っている
マタイ 15:9 人間の戒めを教として教え
マルコ 7:9 あなたがたは、自分達の言伝えを守るために、よくも神の戒めを捨てたものだ
マルコ 7:13 自分達が受けついだ言伝えによって、神の言を無にしている
2テモ 4:3,4 耳ざわりのよい話しをしてもらおうとして、自分勝手な好みにまかせて教師達を寄せ集め
B.「分派主義」と不必要な教義上の分裂:
ローマ 14:1-6 [些細な個人的教義に関する論争を避ける]
1コリ 1:10-13 「私はパウロにつく」「私はアポロに」「私はケパに」…キリストは、幾つにも分けられたのか(1コリ3:21-23も参照)
1テモ 6:3,4 高慢…論議と言葉の争いとに病みついている
(ヨハネ4:20,21、使徒15:5,24も参照)
C.名声を求める指導者は、自分の党派を作る:
使徒 20:30 あなたがた自身の中からも色々曲った事を言って、弟子達を自分の方にひっぱり込もうとする者らが起る
2テモ 1:15 アジヤにいる者達は、皆私(パウロ)から離れて行った。その中には[指導者であった]フゲロとヘルモゲネもいる
3ヨハ 9,10 みんなの頭になりたがっているデオテレペス[使徒ヨハネの権威に服従するのを拒んだ]
D.御言葉には従っていないのに、教義上のささいな点をとやかく論じる:
マタイ 23:24 あなたがたは、ぶよはこしているが、らくだはのみこんでいる
ルカ 11:42 十分の一を納めておりながら、義と神に対する愛とをなおざりにし
E.自分の教義に合わせるため、御言葉を曲解する:
1テモ 1:5,6 愛を目標としている…ある人々はこれらのものからそれて空論に走り
2ペテ 1:20 聖書の預言はすべて、自分勝手に解釈すべきでない
2ペテ 3:16 無学で心の定まらない者達は…無理な解釈を施し、自分の滅亡を招いている
F.聖書の教義の基本から離れない:
1テモ 4:6,7 信仰の言葉と…良い教えの言葉とに養われて
1テモ 6:3,4 主イエス・キリストの健全な言葉…に同意しないような者があれば、彼は高慢であって、何も知らず
テトス 1:14 真理からそれていった人々の定めなどに、気をとられることがないようにさせなさい
(コロ2:8,9、2テモ1:13、2:14-16,23、テトス1:9、2:1,8、3: 9も参照)
G.神を信じない現代主義に用心する:
エレ 8:9 知恵ある者は…主の言葉を捨てた、彼らに何の知恵があろうか
使徒 23:8 サドカイ人は復活とか天使とか霊とかは一切存在しないと言い
1コリ 15:12-17 あなたがたの中のある者が、死人の復活などはないと言っているのはどうしたことか
ガラ 1:9 ある人が…福音に反する事を宣べ伝えているなら…呪わるべき
2テモ 3:5 信心深い様子をしながらその実を捨てる者
2ペテ 2:1 滅びに至らせる異端…主を否定して
4.神の住まわれる場所
A.あなたの体は、真の聖霊の宮である:
ヨハネ 4:20-24 この山でも、またエルサレムでもない所で礼拝する…まことの礼拝をする者達が、霊をもって父を礼拝する
1コリ 3:16 あなたがたは神の宮であって神の御霊が自分の内に宿っている
1コリ 6:19 自分の体は…自分の内に宿っている聖霊の宮であって
2コリ 6:16 私達は生ける神の宮…わたしは彼らの間に住み
B.真の教会とは、信者達が集まって一つの体になったもの:
使徒 2:41-47 [聖句からの「教会」の定義]
ローマ 12:4,5 私達も数は多いが、キリストにあって一つの体
1コリ 12:13-28 あなたがたはキリストの体であり、一人一人はその肢体
コロ 1:18,24 そして自ら(イエス)は、その体なる教会の頭
1ペテ 2:5a あなたがたも、それぞれ生ける石となって、霊の家(教会)に築き上げられ
(1コリ10:17、エペソ4:4,12,15,16も参照)
C.初代教会の集まる場所は、普通の家だけだった:
(ローマ16:3,5、1コリ16:19、コロ4:15、ピレ2章を参照)
D.教会の建物の中に神はおられるのか?:
列王上 8:27 いと高き天もあなたをいれることはできません。まして私(ソロモン)の建てたこの宮はなおさらです
イザヤ 66:1 地はわが足台…あなた方はわたしの為にどんな家を建てるのか
ホセア 8:14 イスラエルは自分の造り主を忘れて、諸々の宮殿を建てた
使徒 7:48 いと高き者は、手で造った家の内にはお住みにならない
ヘブル 9:24 キリストは…手で造った聖所に入らないで
5.自己満足の危険性
A.熱意のなさと物質的な物における満足感:
黙示録 3:15,16 わたしはあなたのわざを知っている。あなたは…なまぬるい
エレ 5:31 預言者は偽って預言し、祭司は自分の手によって治め、わが民はこのようにすることを愛している
1テモ 6:5* 利得[豊かな生活]が敬神的と考える
黙示録 3:17 自分は富んでいる。豊かになった、何の不自由もないと言っているが、実はあなた自身がみじめな者…に気がついていない
B.真理に心を閉ざすのは、魂が盲なのと同じ:
マタイ 15:14 彼らは盲人を手引きする盲人
イザヤ 30:9 彼らは背ける民…主の教を聞こうとしない
ゼカ 7:11,12 彼らは聞くことを拒み…耳を鈍くして聞きいれず…預言者によって伝えられた言葉に聞き従わなかった
マタイ 13:14,15 その目は閉じている…彼らが目で見…ないためである
(マタイ23:16,17,24,26、ローマ10:3、2コリ4:4、エペソ4:18 も参照)
C.「見える」と誇る者の多くが、盲である:
ヨハネ 9:40,41 私達も盲人なのでしょうか…イエスは言われた「今見えると言い張るところにあなたがたの罪がある
黙示録 3:17 あなた自身が…目の見えない者…に気がついていない
D.人を恐れるがゆえに妥協する:
ヨハネ 12:42,43 イエスを信じた者が多かったが…告白はしなかった。会堂から追い出されるのを恐れていたから
マルコ 8:38 わたし…を恥じる者に対しては、人の子も又…その者を恥じる
6.最大の任務への不従順
A.クリスチャンとして、すべき事:
マルコ 16:15 全世界に出て行って、全ての造られたものに福音を宣べ伝えよ
B.失われた者を勝ち取ることに無関心にならないよう用心する:
イザヤ 56:10,11 見張人らはみな目しい…おしの犬で吠えることができない…牧者…皆おのが道にむかいゆき…己れの利を求める
エレ 50:6 迷える羊…牧者がこれをいざなって…踏み迷わせた
エゼ 34:4-6 うせた者を引き尋ねず
エゼ 34:8 わが牧者はわが羊を尋ねない。牧者は自身を養うが、わが羊を養わない
ヨハネ 10:12,13 雇人は…逃げ去る…羊のことを心にかけていない
(エゼ33:6も参照)
C.信者達の偽善が、人を救いから遠ざける:
ローマ 2:17-24 神の御名は、あなたがたのゆえに異邦人の間で汚されている(マタイ23:13、ルカ11:52も参照)
7.群れを養うことを怠る
A.人々を牧する人達へのイエスから命令:
箴言 27:23 あなたの羊の状態をよく知り
ヨハネ 21:16* わたしを愛するか…わたしの羊を養いなさい
使徒 20:28* 神が御子の血であがない取られた神の教会を牧しなさい
1ペテ 5:2 あなたがたに委ねられている神の羊の群れを牧しなさい
B.多くの者が自分の群れの魂を養うことを怠っている:
エゼ 34:2,3 牧者は群れを養うべき者ではないか…群れを養わない
エゼ 34:18,19 わが羊は…あなた方の足で濁したものを飲まなければならない
C.彼らは群れに仕えず、世話をしない:
エレ 6:14* 彼らは、我が民の傷を軽く扱い
エゼ 34:4 あなたがたは弱った者を強くせず…癒さず…包まず…引き返らせず
D.養われていないメンバーは、散らされた群れのようである:
エレ 23:2 わが民を養う牧者…はわたしの群れを散らし…顧みなかった
エレ 13:17,20b 主の群れがかすめられたために…涙を流す…あなたの麗しい群れはどこにいるのか
エゼ 34:5-8 彼らは牧者がないために散り
マタイ 9:36* 群衆が飼う者のない羊のように散らされているのをご覧になって、(イエスは)深く憐れまれた
8.金銭に貪欲になることへの警告:
A.魂を勝ち取ったり、群れを養うのではなく、金銭のために福音を伝える
1ペテ 5:2 神の羊の群れを牧しなさい…恥ずべき利得のためではなく
エレ 6:13 不正な利を貪り、また預言者から祭司に至るまで、みな偽りを行って
ミカ 3:11 祭司達は価を取って教え、その預言者達は金を取って占う
マタイ 6:24 誰も…神と富とに兼ね仕えることはできない
テトス 1:10,11 空論に走る者…彼らは恥ずべき利のために教えて
2ペテ 2:1a,3a 偽教師…貪欲のために、甘言をもってあなたがたを欺き、利を貪る
(ゼカ11:4,5も参照)
B.貧しい者から不正に奪い取る:
イザヤ 56:11b 皆おのが道にむかいゆき、各々みな、己れの利を求める
エゼ 33:31b 彼等は口先では多くの愛を現すがその心は利におもむいている
エゼ 34:2,3 災いなるかな、自分自身を養うイスラエルの牧者…あなたがたは脂肪を食べ、毛織物をまとい
マタイ 23:14 あなた方はやもめ達の家を食い倒し、見栄の為に長い祈をする
C.貧しい者を助けない利己的さは、愛の欠如の表われである:
マタイ 25:42,43 あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせず
1ヨハ 3:17 世の富を持っていながら、兄弟が困っているのを見て[助けない]者には、どうして神の愛が彼の内にあろうか
(ヤコブ2:15,16も参照)
9.偽善に対する警告
A.クリスチャンの振りをしているが、実はそうでない者に対して:
エレ 7:4 『これは主の神殿だ』という偽りの言葉
マタイ 7:21 わたしに向って『主よ、主よ』と言う者が、皆天国に入るのではなく…父の御旨を行う者だけ
マタイ 15:9b 無意味にわたしを拝んでいる
マタイ 23:2,3 彼らのする事にはならうな。彼らは言うだけで実行しないから
マタイ 23:14b 見栄のために長い祈をする
ルカ 6:46 主よ、主よ、と呼びながら、なぜわたしの言う事を行わないのか
テトス 1:16 彼らは神を知っていると口では言うが、行いでは否定している
(マタイ7:22,23も参照)
B.外見は善良そうに見えるが、心の中は邪悪な者もいる:
マタイ 7:15 羊の衣を着て…その内側は強欲な狼
マタイ 23:5 そのする事は、全て人に見せるため
マタイ 23:27,28 白く塗った墓に似ている。外側は美しく見えるが…内側は偽善と不法とで一杯
ルカ 18:11,12 神よ…この取税人のような人間でもないことを感謝します…断食し(エレ7:9,10も参照)
C.見せかけの清さと宗教的な基準:
マタイ 23:4 重い荷物をくくって人々の肩に乗せる
使徒 15:10 何故…くびきをあの弟子達の首にかけ…るのか
(マタイ6:2,5,16も参照)
D.神を愛していると、偽りを言う:
イザヤ 29:13 この民は口をもってわたしに近づき、唇をもってわたしを敬うけれども、その心はわたしから遠く離れ
エレ 2:32 わたしの民の、わたしを忘れた日は数えがたい
エレ 5:1,2 彼らは「主は生きておられる」と言うけれども、実は偽って誓う
エゼ 33:31a,32* 彼らは…わたしの民のように来て、あなたの言葉を聞く。しかし彼らはそれを行わない
マタイ 15:8* 口先でわたしに近づき、唇でわたしを敬うが、その心はわたしから遠く離れている(マルコ7:6も参照)
1ヨハ 4:20 「神を愛している」と言いながら兄弟を憎む者は、偽り者である(マラキ1:6b、イザヤ58:1,2も参照)
10.宗教上の迫害
A.誤った宗教的熱心さは、しばしば迫害にまで発展する:
創世記 4:3-8 [神はアベルの供え物を受け入れ、カインの供え物を拒んだ−その妬みから出た怒りによって、カインはアベルを殺害した] (1ヨハネ3:12,13を参照)
イザヤ 66:5 あなたがたの兄弟達は…あなたがたを我が名のために追い出し
マタイ 23:31-35 あなたがたは預言者を殺した者の子孫…アベルの血から…ザカリヤの血に至るまで
ヨハネ 16:2 あなたがたを殺す者が皆…自分達は神に仕えているのだと思う
ガラ 4:29 肉によって生れた者が霊によって生れた者を迫害したように、今でも同様
(哀歌4:13,14、マタイ27:40-43、ヨハネ19:6,7も参照)
B.宗教上の妬みが、迫害を起こす:
マルコ 15:10 祭司長達がイエスを引き渡したのは、妬みのため
(ヨハネ11:47-50,53も参照)
使徒 13:44,45 ユダヤ人達は、その群衆を見て妬ましく思い
●鍵となる章: エゼ13章と34章、エレ23章、マタイ23章、黙示録2章と3章