輝くひととき 91 PDFファイル91-94

 

この内でいちばん偉いのは…

 

ニクス・マルチネス(フィリピン在住の「ファミリー」の10代の宣教師)

  9年生の時、とても印象的な先生がいた。僕らはその先生を「アンクル・ジョー」と呼んでいた。とても面白い先生で、年こそ取っていたが、心は少年のままだった。アンクル・ジョーの手にかかると、退屈で仕方がない歴史の教科書もとびっきり面白い本になり、人生のすべてがきらめきを帯びた。

  マイキーという生徒がいて、僕らは彼を「特別な子」と読んでいた。アンクル・ジョーは彼の面倒をよくみていた。マイキーはまさに「特別」だった。自閉症で、自分の世話もままならなかったから。というわけで、マイキーに食べさせ、着替えさせ、一緒に歩き、本を読んであげるのは、先生であるアンクル・ジョーの仕事だった。

  僕は、マイキーに愛情を注ぐアンクル・ジョーに感心していた。しかし、数週間後、先生を誇りに思うようにさえなった。実は先生は、自分の死が近いのを知っていて、この世で過ごす最後の日々を、他の人のために費やしたのだった。間もなく、アンクルジョーは昏睡状態になり、そのまま亡くなった。後になって、僕は先生が末期ガンと闘っていたことを知った。

  アンクルジョーは、学校で多くの科目を教えてくれたけれど、どんな授業よりも、先生自身が払っていた犠牲こそが、僕に最大の教訓を教えてくれた。死を目前にした人間が、自分のことは構わず、自閉症の少年の身の回りの世話をしてあげていたのだから。

  こうして、一人の偉大な人物が歴史に残った。その思い出は僕の心に刻み込まれ、これからの歳月、ずっと記憶に残ることだろう。思えば、僕は若い内に、人の命の尊さと、はかなさとを知ったのだ。昨日まで教壇で教えていたアンクルジョーは、翌日には、帰らぬ人となった。先生は、今という時を最大限に活かさなければならないと知っていた。だから、どんなにささいな仕事でも、その日一日、ベストを尽くして生きたのだ。

  今、まぶたを閉じて、あの頃を振り返ると、アンクルジョーが目をキラキラ輝かせながら微笑む顔が見える。まるでこう語りかけているようだ。「自分のためだけに生きるには、人生は短すぎる…」

  どれだけ「短い」かは問題ではない。人の心や記憶に生き続けるものは決して死なないのだから。永遠に心に残るのは、僕らの行動、言葉、愛であり、真の謙遜という偉大さなんだ。

 

あなたがたのうちでいちばん偉い者は、

仕える人でなければならない。(マタイ23章11節)

 

昔、神の贈り物は棚の上にあると思っていた。

ずっとずっと上の高い棚の上に。

そして、背が高くなればなるほど

届きやすくなると思っていた。

 

けれども、気がついた。神の贈り物は

ずっと ずっと下の棚にあると。

そして、低くかがめばかがむほど

もっとたくさんもらえることが。

 

愛こそ、すべてに対する鍵です。愛を抱き、愛に生き、愛を望み、愛を与え、愛情深い人間になること…。自分の力ではできませんが、神はあなたを通してそうすることができます。そして、そのような愛、本物の愛、神の愛を持つには、謙虚にならなくてはなりません。−−マリヤ・デービッド