輝くひととき 27

 

嵐から守られて

 

  嵐の夜、ある人が浜辺を歩いていた。重くのしかかるような濃い黒雲が空一面をおおっていた。暴風が吹き荒れ、滝のような雨がごうごうと降っている。稲妻が光り、雷が響き渡った。

  その人は外套を堅く握りしめ、前かがみになって家路を急いだ。すると突然、何かがふところに飛び込んできた。迷子の小鳥だ。その人は小鳥をそっと両手で包んで家に持ち帰り、鳥かごに入れて暖かい部屋においた。翌朝、嵐は去り、雲一つない空が広がっていた。その人は小鳥を外に連れて行った。小鳥は手の上で少しきょとんとしていたが、翼を羽ばたいて自分の巣へと戻って行った。この人チャールズ・ウェズレー(1707-1788)は部屋に戻って、詩を書いた。その詩は賛美歌となって世界中で愛され、人々の心の中に今も生きている。

 

 

イエスよ、わが魂の恋人

あなたのみもとへ飛ばせて

波は逆巻き

風が吹き荒れる時に

 

救い主よ、守りたまえ

人生の嵐が通り過ぎるまで

無事、天国まで

わが魂を導きたまえ

 

他には逃れ場はなく

頼るはあなたのみ

離れることなかれ、主よ

われを助け慰めたまえ

 

[注:原詞通りに訳したもので、日本語の賛美歌集の歌詞とは異なります。]

 

     ◇ ◇ ◇

 

  あわただしい生活に疲れ果てたら、祈りと信仰の翼によって天国に飛び、神だけが与えられる安堵感にひたることができる。

 

     ◇ ◇ ◇

 

闇の中で震え

力と支えと励ましが必要な時

天の父の優しい声がする

「恐れるな。わたしはここにいる!」

 

     ◇ ◇ ◇

 

神の無限の力の前には、私たちの大きな問題も小さなこと。

けれども私たちにとってささいな事も、愛にあふれる父なる神には大切なこと。

 

   ―――――――

 

  ある市の公園課は、拡張工事をする道路の街路樹を別の場所に植え替える作業を担当することになった。ところが、現場主任とその部下たちが仕事に取りかかろうとすると、一本の木にこまどりの巣があり、母鳥が座っているのに気づいた。現場主任は、しばらくその木をそのままにしておくようにと、部下たちに命じた。

  後日その場に戻ってみると、その巣には口を大きく開いたこまどりのヒナたちがいた。そこで、再び彼らはその木をそのままにしておいた。また後日そこに戻ってみると、巣はからっぽだった。ヒナは成長し、飛び立ったのだ。しかし、作業員が巣の底に何かあるのに気づいた。一枚の汚れた小さな白いカードだった。泥や小枝を払いのけると、それは日曜学校のカードで、こう書かれていた。「私たちは我らの神、主を信頼します。」

 

   ―――――――

 

  空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取り入れることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養って下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれたものではないか。(聖書、マタイ6章26節)

 

 

いつも守られ

 

私はどこにでもいる

ただのスズメ

誰も大切な存在と思わないかもしれない

でも、神様は世話をして下さる

 

スズメは

世界中に無数いる

けれど一羽でも地に落ちるなら

天の父はそれをご存じ

 

小さくとも、忘れられたりはしない

弱くとも、決して恐れない

神様は、お造りになったものを

必ず守ってくれるから

 

夜に翼をとじる時

どこにいようとも

安心して眠れる

天の父が見守っていてくれるから

 

私はただのスズメ

どこにでもいる鳥

神様は私を愛して下さる

あなたは、その愛を知っていますか?

−作者不明

 

     ◇ ◇ ◇

 

あなたが神を忘れても、神は決してあなたを忘れない。

 

     ◇ ◇ ◇

 

  昼には、主はそのいつくしみを施し、夜にはその歌、すなわちわが命の神に捧げる祈りが私と共にある。(聖書、詩篇42篇8節)

 

安らぎは信仰から

デービッド・ブラント・バーグ

 

  あわてふためき、心配し、イライラし、いきり立っているなら、信仰に欠けていて、信頼していない。信頼とは、完全に心が休まり、安らいでいて、思いも心も霊も静かなことだ。体は動いていても、心も魂も落ちついている。「あなた[神]は全き平安をもって、その思いをあなたに留めている者を守られる。彼はあなたに信頼しているからである。」(聖書、イザヤ26章3節)

 

  だから、嵐のさなかでも心の安らぎを持てる。「安らぎ」を題材としたコンテストで優勝した絵を思い出す。ほとんどの作品には、静かで落ちついた牧歌的な風景が描かれていた。完全なる静けさだ。それも平和には違いない。しかし、優勝したのは、平和とはかけ離れた光景を描いた絵だった! 猛烈な勢いで流れる激流だ。川の真上には小枝がのび、そこには小さな鳥の巣があった。しかも、ひどい嵐だというのに鳥は隠やかにさえずっていたのだ。そんな嵐の時こそ、信仰は試される。

 

  神への信仰と信頼があれば、身も心も安らぎ、満足感や幸福感が味わえる。神から愛されていると知っているなら、何もかもうまくいくとわかる。神がすべてをうまく取り計らって下さるから! だから心が安らぎ、主にあって休むことができる。

  主よ、心配しないように助けて下さい。私達はあなたに信頼するからです。心をあなたに留めていられますように。そうすれば、あなたは全き平安を与えて下さいます。あなたがすべてを支配し、すべてを取り計らわれ、何が最善か知っておられると知っています。

 

「イエスの腕の中で守られ

イエスの胸にもたれる

そこには恐れはなく

ただ安らぎがあるだけ」