輝くひととき 18

 

人生が倍増する

 

スリランカとインド全域で働いていた献身的な宣教師、H・メリウェザー師は、様々な宣教活動について紹介するために渡米した。本部から、ほかの宣教師を全面的に援助している婦人を訪ねるよう頼まれた。婦人の住む市に着き、さっそく教えられた住所に行ってみたが、平凡な家なのでいささか驚いた。高級住宅街にある豪邸を頭に描いていたからだ。宣教師の経費を全額援助しているのだから、裕福な婦人に違いないと思っていたのに・・・。この住所は間違いではないだろうか?

  もう一度住所を確認しようと、通りの名前と番地を見た。間違いない、この家だ。扉をノックすると、温和そうな老婦人が出て来て、微笑みながらこう言った。「ようこそ、メリウェザー先生。先生がこの地域にいらっしゃると聞いていたので、お電話をお待ちしていたのですよ。さあ、中に入って。」

  師は彼女の住所をどうやって知ったかを説明していたが、その間にも、家の中の調度品をちらちらと見ていた。家具はピカピカに磨かれていたが、お世辞にも高価とは言えない。どう見ても、生活に苦労しながら働いている人の家だ。しかし宣教本部は、この婦人が宣教師を全面的に援助していると言う。

  師の好奇心は高まるばかりだった。そしてついに、とても裕福とは言えない婦人が、どうやって宣教のためにそんなに多額の援助ができるのかと尋ねてみた。言葉に出さないながらも、メリウェザー師の質問には、調度品は月並みだし、彼女は生活能力をはるかに越えた事をしているのではないかという疑問がこもっていた。

  だが、この老婦人はとても楽しげに答えた。「でも、メリウェザー先生。私は4人の宣教師を援助しているんですよ。インドとアフリカと中国と南アメリカに一人ずつです。私の代わりに世界中で福音を宣べ伝えてくれている人が4人もいるんですよ。」

  師はますます驚いた。まるで自分の聞いた事が信じられないかのように、婦人の言葉をただ繰り返した。「あなたのために福音を宣べ伝えている人達が4人もいるですって。その全員を援助しているのですか! でも、どうしてそのような事ができるのですか?」

  婦人は真剣な顔つきになった。しかし、神の忠実さについて話している間、その目は微笑みを絶やさなかった。収入の十分の一を神に与えるべきだといつも信じてきたので、神に納めるべき分には手をつけず、毎月貯めていた。すると、神は祝福して下さり、誰かがこの婦人に不動産を遺産として残した。その家賃で収入は大いに増え、その結果、「主のお金」も増えた。やがて婦人は、自分が宣教師を援助できることに気づいた。

  「それに、私自身の収入も増えていくにつれ、さらに不動産を購入していくことができました、先生、窓の方へいらして下さい。他の家もお見せしましょう。」

  老婦人は、大邸宅が連なる一画を指さし、こう言った。「私のような年寄りに、あんな大きな家など必要ありません。必要な物はこの小さな家に全部揃っていますし、あの家々を貸すことで、宣教師の方の援助ができます。私には外国で福音を宣べ伝えるなんてできませんから、代わりに誰か他の人にしてもらおうと決心したんですよ。」

  メリウェザー師は最後にこのように語っている。「いつかキリストの裁きの御座で、宣教師のメリウェザーは、アメリカのこの優しい援助者の横に立つだろう。彼女の報酬は私の報酬よりも遥かに輝いているに違いない。彼女は与えること、しかも喜んで与えることを知っていた。そして、喜んで与える者を愛される主が、彼女を祝福されたのである。」

 

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  奉仕することは、愛すること…愛することは、与えること! 愛するなら、与え、与えるなら、奉仕することになる。そして、奉仕する時…幸せになる!

 

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  愛には理由などなく、ただ惜しむことなく与える。まるで思慮のない放蕩者のように、すべてを与えてしまい、その後で、自分があまり大した事をしなかったのではと気に病む。

――ハンナ・ムーア(英国の作家、1745-1843年)

 

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計画するには遅くない  

 

良い事はひそかにどんどん実行しよう!

 

老いも若きも、みんなびっくりさせ

 

その目の輝きを楽しもう

 

与えれば与えるほど

 

生きる喜びがふくらんでいく