Raise'em Right!

 

幸せな子供を育てるために!

 

 ハグとキスそれからおしりにポン パート3

 

 問題を未然に防ぐ

 

 親は困難を予知できるなら、とても多くの失敗を避けて通ることができます。子供はあまり多くのプレッシャーには耐えられず、すぐに爆発しています。物事がうまくいっていないのに気づいたら、子供に前もって警告することです。「どうやらおまえは誰かをたたく身構えができているようだが、やめたほうがいいんじゃないかな!」 このような大切な時に割って入ってあげれば、子供が自分を抑えることを学ぶ助けとなることでしょう。

 私達がもっとよく見ていて、間違った振る舞いが起こる前に子供のエネルギーを別の方向に向けてやるなら、親が正さなければと感じる子供の行為の多くは未然に防げることでしょう。問題を予知した時に使える効果的なテクニックを幾つかあげてみましょう。

 

 1.スキンシップによるコントロール: しつけ上の問題が起こるのは、多くの場合、緊張感が増してきたり、衝突が起こりそうな時に、親が状況を見ておらず、それに気づいていないからです。爆発しそうな時には、時々、優しく子供に手を置いてやったり、抱きしめてやったり、あるいは、子供の肩に手をやるだけでも助けになります。そうすると子供は、自分が助けが必要な時にはあなたがいつもそばにいて助けてくれるんだという安心感を抱きます。

 2.元気づける愛情表現: 困難な状況にあって、親しみをこめた愛情表現をすると、素早く子供を元気づけることができます。これは、「愛してるわよ」と言うなど、口頭でもできるし、スマイルやウィンクや自然なハグによってもできます。

 3.方向転換:子供がイライラし、助けようとしてもうまく解決できない時は、方向転換をして違った事をすると助けになます。これは、理由を説明しても、子供が幼くてまだしっかり理解できない場合に特に大切です。

 4.現実を指摘する: 親はしばしば、非常に幼い子供でもきちんと理由を説明して納得させることが可能だということに驚くものです。2歳児ですら、その気があれば、簡単な理由の説明を理解できるのです。多くの子供は、何かしたいけれども、時間やスペースが足りなかったり、適した道具がないことから欲求不満になります。彼らはこういった限界を理解できないので、腹を立て、イライラしてきます。親は、必要なだけ時間を取って現実を説明し、その限界の中で何ならできるかを説明すべきです。例えば、「アイスクリームを作りたくても、材料がそろってないの。でもプリンのもとだったらあるから、それだったら作れるわ」という具合に。

 5.ほうびを使ってやる気を出させる。ほうびや約束は、子供を買収するために使う(例えば、「今日良い子にしていたら、後でびっくりするようなプレゼントがあるわよ」)べきではありませんが、時には、親の望むような行動をするよう奨励するのに効果があります。

 子供の必要に敏感でいましょう。悪い振る舞いは割に合わないことを教えるために、どんな懲らしめをすべきか考えるよりも、問題を未然に防ぐほうがはるかに良いのです。

 

 子供を愛のクッションで守る

 

 甘やかされた子供は、愛されすぎた結果であるという迷信は、まさに迷信にすぎません。たっぷり愛するのと、甘やかすのとは違います。しつけ(教える事)を怠ると、甘やかすことになるのです! 子供を思いやり、尊重し、受け入れ、ゆるし、信頼する愛をふんだんに注いでもらうと、子供はどんどん成長するものです。そういう愛はいくら与えても甘やかすことにはならず、実際、このような愛は与えれば与えるほど子供の成長を助けます。愛はクッションのような役目を果たします。愛のクッションが薄いと、親のミスが子供の感情に直接ぶつかって傷がついてしまいます。けれども、愛のクッションがふかふかだと、親が時々間違っても、子供はすぐに元気を取り戻すことでしょう。親の愛を心から確信しているので、そんなに衝撃を受けたりしないのです。

 けれども、めまぐるしい現代社会においては、これが問題になっています。結局のところ、子供は、自分に対して適切な関心を積極的に払ってもらわない限り、愛されているとは感じません。けれども、何かを一緒にしたり、共に時間を過ごすこともしないなら、子供に関心を払うのは不可能です。だから、あまりに忙しい現代の親の場合、子供は愛されているように感じておらず、そのため、子供に対して多くの間違いをおかすというぜい沢は許されません。

 今日、その愛のクッションを作り始めてはどうでしょうか。そうすればあなたが、誰もがするように子供に対して間違いをしても、子供が打ちひしがれることはありません。子供は、その愛のクッションの上ではね返り、確信をもって、「それでも両親は私のことを愛してくれている」と言えるのです。

 

 

 愛と権威のバランスを取る

 

 効果的なしつけは、愛と権威の間でバランスをとる能力にかかっています。ばかばかしいことに笑いころげたり、気違いじみたゲームをしたりして、子供と楽しくやるのは素晴らしいことですが、子供は時々、度を超してしまいます。そんな時には、「もうこれでおしまい」と確固として言わなくてはなりません。また、何かの事で厳しく戒めなければならなかった場合は、その後で、すべてが忘れられたことを示すために抱きしめてあげるべきです。

 一度、夫のジャンが、学校に行っている年齢の娘たちに静かにして寝るようにと2回も言ったのに、娘たちは話したり、冗談を言ったり、笑ったりし続けていました。夫はため息をついて、私に「ケイ、君の番だよ。」と言ったのでした。

 私は戦闘態勢で娘たちの部屋に行き、命令しました。「もう十分。今すぐ静かにして寝なさい!」 その途端、部屋は静まりかえりました。また行進しながら帰ろうとした私は立ち止まって、こう聞いたのでした。

「お祈りをした?」 

「ううん。」 

「じゃあ、すぐ祈りなさい!」と断固とした口調で言いました。

 素直に娘たちはひざまずき、カリが熱心に祈りました。「愛するイエス様、どうかママがあまり厳しくならないように助けて下さい。」

 この皮肉は最高で、私達は3人とも吹き出してしまいました! 祈った後で私達は抱き合って、キスし、仲よくおやすみを言いました。

 良きしつけを行う人とは、厳しさと優しさ、愛と権威の間でうまくバランスとりながら歩んでいる人です。時には一方に偏ることもあるでしょうが、少し逆方向に行くことでバランスをとるのです。必要な時には権威を振るうことを恐れませんが、同時に、愛や優しさを示すこともためらいません。

 子供に対しては、権威と愛との間で良いバランスをとることが必要です。片方の親がおもに権威を振るう役割を果たしているなら、もう片方の親がうまくバランスを取るのは良いことです。しかし、双方が権威と愛の両方を示すことができるのが理想でしょう。

 親はシーソーに乗っているようなものです。もし両方が支点の近くにいるなら、つまり、強さと愛の両方を持ち合わせているなら、互いに親密で助け合う関係でいることができます。しかし、片方が端に寄りすぎて、威圧的になったり、あるいは甘すぎたりすると、もう片方の親はシーソーのバランスを取るために反対側の端に寄らなくてはいけなくなります。

 

子供はまねをするもの

 

 子供は皆、他の人、特に親の行動や言葉をまねるものです。小さな赤ちゃんさえ、まねをすることにおいて飛び抜けた能力を備えています。赤ちゃんに向かって舌を突き出してごらんなさい。この動作を繰り返すと、赤ちゃんも舌を突き出すようになるでしょう。驚きですね。

 子供はスポンジのようなもの。身の回りで見る事は何でも吸収してしまいます。だから、親は子供の前で常にステージに立っているようなものです。子供は、親が知らない内に、親のしている事をじっと観察し、それをまねるのです。

 

子供は、大人の言うことを聞くのは得意じゃないが、大人のすることを、必ずまねるものだ。

−−ジェームズ・ポールドウィン

 

 自分が一番嫌っている行為を子供が覚えてやっているのを見るとがっかりしがちです。けれども元気を出して下さい。子供は、親のする良い事も覚えるのですから。私は、子供が私の悪い癖を身につけたことを嘆いていましたが、ある日、娘たちが良い事も学んだのを知って励まされました。その時、娘は6歳と8歳で、部屋をきれいにしておくことを学んでいました。

「出かける前に、ベッドを整え、服をしまいなさい。」と、私はある早朝にあせって叫んでいました。あと15分で出かけないといけないのに、30分はかかる雑用が残っていたのです。だから、娘たちが言われた通り部屋を片づけるよう監督するヒマなどありませんでした。

 出発の5分前になって、最後の指示をしました。「車に乗りなさい。もう行くわよ。」 娘たちはすぐに従い、私は寝室からコートとバッグを取ってきて玄関に向かいました。

 娘たちの部屋の前を通った時に、きちんと片づいているか確認しようと、中をちらっと見た私は、「しまった」とため息をつきました。部屋は散らかったままです。途端に頭に血がのぼりましたが、思いとどまりました。ちゃんと監督していなかった私にも責任があるのですから。それに娘たちはすでに車の中です。みんなの気を逆立てるよりは、ちょっと頭を働かせることにしました。

 持っていたバッグとコートをおろして、娘たちの服を片づけ、さっとベッドを直しました。それから大きな紙を取って、こう書いたのです。「キムとカリ、あなた達を愛しているから、ベッドを整えてあげたわ。愛をこめて、ママ」 そのメモを2段ベッドの上にピンで留めました。そこなら絶対に目につくでしょう。それから、このことは何も言わないで車に乗りました。

 帰宅すると、キムとカリは部屋に行きました。私はその反応に耳をすましていました。二人とも、部屋が片づいているのには気づかなかったようですが、すぐにメモを見つけました。

「何て書いてあるの?」とカリが聞きます。キムがメモの所に行き、ピンを外してカリに読んでやりました。

 ベッドを見たカリが驚いた声で、「ママが片づけてくれたんだ!」と言っています。

「ほんとだ。ママは本当に私たちを愛しているんだわ。」と言ったのはキムです。

 私は娘たちが走ってきて、ありがとうの一言を言うのを待っていましたが、イエスにいやされたのに戻ってこなかった九人のらい病人のように、娘たちは何も言いませんでした。そこで私は、「期待したような効果はなかったわ」と考え、そのことは忘れてしまいました。

 三週間くらいして、また娘たちの部屋をチェックしに行きました。今回はすべてが片づいています。それから、カリのベッドカバーにメモがとめてあるのに気づきました。身をかがめて読んでみると、こう書いてあったのです。「カリ、あなたを愛しているからベッド直しておいたわ、愛をこめて、キム」 

 今度は私が驚く番でした。うまくいくのです! 子供は悪い手本だけでなく、良い手本にも従うのです。だから親の皆さん、元気を出して。キリストが望んでおられると自分で知っている通りの手本であり続けて下さい。その手本が子供の内に立派に反映されても驚いてはいけません。

 

 メディアの狂気

 

 子供がマネるのは親だけではありません。TVに出てくる人々も子供がならう手本です。

 一度私は、保育園にいる3歳の子供の食事マナーを観察するよう頼まれました。その先生は、その子の食べ方は変わってると言いましたが、散らかし放題と言った方がいいかもしれません。

 私が着くと、ちょうどおやつの時間で、先生がクッキーを出していましたが、その子はクッキーを二つともつかむと、両手で口に詰め込みました。クッキーのかけらが四方八方に飛び散りました。それを一目見て、「セサミストリート」のクッキー・モンスターにそっくりだと気づきました。後でこの子と話してみると、自分はクッキー・モンスターだと認めたのです。

 TVは子供に影響を与えます。子供にどんな影響を与えることを望むかは、親が決定しなくてはいけません。親が自分の見る番組をしっかり選ぶことができないなら、子供にそれを期待することはできません。自分をチェックしてみて下さい。何かの番組を見ていたら、子供が突然入ってきて、気まずい思いをしたという経験はありませんか? 自分の見ているものについて嘘をついた事はありませんか? 「他のことしていたから、TVのほうは全然見てなかった」などと? 親の言葉よりも手本のほうが、子供の選択により影響を与えることでしょう!

 映画やロックミュージックやビデオに出てくる、暴力や口汚ない言葉、喫煙、麻薬、アルコール、冷淡な動作、非道徳的な行動は、子供に影響を及ぼします。子供は悪に対して全く鈍感になってしまうのです。親が好むと好まざるとにかかわらず、子供の価値観は、見たり聴いたりするものに影響され、子供は自然とそれをマネます。

 私達の思考は非常に強力なコンピューターなので、何も素通りすることはありません。見たもの、におったもの、聞いたものすべてが再生されて、記憶に保存され、ぴったりの瞬間、ぴったりの刺激があると、その記憶がよみがえってきます。頭脳の機能についての研究でそのことは立証されています。頭脳のある部分に触れるという単純な実験で、一連のメロディーや花の香り、虐待シーン、幸福感が記憶によみがえります。全部保存されているのです。記憶が記憶の上に積み重なっており、思考が思考の上に積み重なっており、感情が感情の上に積み重なっています。私達がどんな人間になるかは、このすべてに影響されるのです。だから、不純な事柄が頭脳に入るのを許すのは、繊細な表面にバンドエイドを貼るようなものです。バンドエイドを乱用し過ぎると、純粋なものに対して鈍感になってしまうのです。

 第一に、自分自身の基準と行動を再評価してみて下さい。自分と、子供とに対して、別々の基準や価値観を持っているのではいけません。子供は、首尾一貫していないことは素早く発見します。親は偽善を指摘され、子供の信用を失ってしまうことでしょう。

 第二に、確固とした態度を取りましょう。それも早い時期から。親が確固たる土台を持っていると、子供は往々にして親の価値観を受け入れるものです。

 第三に、子供に、頭脳の記憶能力について説明しましょう。神はこの驚異的な「コンピューター」を設計され、質の高いインプットをするようにという良きアドバイスを下さいました。「人の人格は心で考えている事によって決まる」(箴言23:7)

 第四に、あなたや子供の思考をポジティブなことで満たしましょう。

 

 行動を修正するためのテクニック集

 

 子供の訓練に関して、具体的・実用的アイデアを思いつく限り紹介したいと思います。行動修正は、実用的方法の一つです。行動修正と聞くと、難解に聞こえるかもしれませんが、別にそうではありません。ただあなたの気に入る行動を強化し、罰することなしに嫌いな行動をやめさせるということです。基本的には、良いことをほめ(何かの行動が報いられると、もっとそれをするようになります)、悪いことは無視することです。(悪いことをして、親からの関心というほうびをもらうのは望ましくないですから。)

 このしつけの方法は生まれた時から始めるべきです。というのも、言葉や子供の理解は関係ないからです。赤ちゃんは、構ってもらうと反応するものです。何かの行動をしたことで構ってもらうなら、その行動を度々繰り返すようになります。だから、「子供を行くべき道に訓練せよ」という訓戒について考える時、即座に行動修正のことが頭に浮かびます。

 行動修正は、子供が永続的に振る舞いを改めるよう励ますのにも最も効果的な方法の一つです。けれども、即座に効果が現れるわけではありません。

 子供が良くない振る舞いをしたなら、短い間(5分以内)特定の部屋か場所に行かせて下さい。この「一時退場」は、その間、親からの関心というほうびがもらえないので、うまくいきます。

 適切な行動を教えるためのこの方法は、罰として考えられるべきではありません。良くない行動の結果にすぎないのです。怒ったり、力づく引っ張って行ったりせず、感情を交えないで冷静に退場するよう言うなら、子供は恨みを抱いたりせずに従うでしょう。以下のガイドラインに従うなら、一時退場のテクニックをうまく使うことができます。

 1.修正したい振る舞いを一つだけ選ぶ。

 2.一定の期間(1時間、午後の時間、あるいは一日)に子供がこの振る舞いをする回数を調べる。3回これを調べて、平均を出すのが最善です。

 3.子供が良くない振る舞いをするなら、冷静にこう言いましょう。「これこれの理由で一時退場よ。」 それから自分の選んだ部屋に連れて行きます。必ず、そこに何分いるべきか告げるか、または「もうこれこれはしないって決めたら、出てきてもいいわ。」と言って、子供に決断させましょう。幼い子供に適用するとよい一般的なルールは、1歳につき1分という具合に年の数だけいさせることです。

 4.子供が出てきて、適切な行動するなら、その時こそ、一緒に時間を過ごして関心を注いであげるのが非常に大切です。

 行動修正で成功する秘訣は、粘り強く頑張ることです。これは行動を変えるための長くゆっくりとした方法ですが、良くない行為をするたびに、それに対してちゃんと何かの行動をとると、効果があります。

 子供が良くやっているなら、即座にほうびを与えるのが最も効果的です。子供がブロックを片づけて2秒後に「ブロックを片づけてくれてありがとう」と言うのは、5分たってから言うよりも、好ましい行動を強化する上でより大きな効果があります。子供に適切な振る舞いを教えたいなら、子供が何かをやり終えるまでほめるのを待ったりしないことも大切です。例えば、遊んだ後でブロックを片づけることを教えたいなら、最初のブロックを片づけたところでほめ始めてあげるべきです。

 この方法を適用する時には、一度に一つの行動だけを扱うことが大切です。一度に沢山の行動を変えようとすると、子供は何度も一時退場の部屋に行かなければならないことに反感を覚え、これが罰になってしまうでしょう。

 一人の子供の特定の行動について、この方法を使ってしつけると決めたなら、そのことを必ず家族全員に知らせなければなりません。そうすれば、一貫してほめたり、無視したりすることができます。

 

 意外なことをする

 

 何百年も前に、フランスの哲学者ジャン・ルソーはこう言いました。「普段やることと反対のことをしなさい。そうすれば十中八九あなたは正しいから。」これに基づいたしつけの方法を私は「ショック療法」と呼んでいます。意外なことをするのです。しかし、このしつけのテクニックが効果をあげるのは、たまにしかやらない場合だけです。

 これらのテクニックは、通常の親の反応の仕方とは違っているから効果があるのです。ただ問題は、頻繁にやればやるほど効果が薄れることです。

 子供を驚かしなさい。子供が怒られると思っている時に、ほほえんで、ゆるしてあげたり、たたかれると思っている時に、ひざの上で抱いてやったり、部屋に行くよう命じられると思っている時に、「散らかした物を片づけるのを手伝ってあげようか」と言うのです。そのような反応をしたことの効果を見て、あなたは驚くとともに、喜ぶことでしょう。

 

 ジェフとその父親はコミュニケーションがうまくいきませんでした。突然ではないものの、ティーンエージャーになって、両親に対するジェフの態度は徐々にけんか腰になっていきました。15歳になったジェフは両親に悩みを打ち明けるどころか、どんなささいなことでも議論し、絶えず非難することで、人生を悲惨なものにしていきました。家族は特権を取り上げることでジェフの態度を改めさせようとしましたが、状況は悪化するばかりでした。

 

 

子供が良い子でいる時に

私達は子供を愛しく思う

しかし、悪い子で面倒を起こした時には

どうしてかわからないけれども

子供を2倍も愛しく感じる

 

子供が私達の愛情を求め、期待する時

子供を愛しく思う

しかし子供が私達の愛をあざけり

否定する時、もっと愛しく思ってしまう

 

子供が私達を泣かせる時

そして、普通なら、愛するものかと思う時に

なぜだか、子供を愛しく思う

これはきっと親にしかわからない気持ちだ。

−−リチャード・アーマー

 

 

 ある日、ジェフの父親は高価な競技用自転車がバーゲンになっているのを見ました。ジェフがほしがっていた通りのものです。それを買いたい気持ちにかられましたが、心の中でこう反発したのでした。(だめだ。ジェフは私に対してひどい態度をとるから、自転車を買ってやるに値しない。)しかし、考えれば考えるほど、その自転車のプレゼントがジェフに及ぼす効果について好奇心をそそられました。これは賭ける価値があります。だから自転車を買って帰りました。

 家に着くとこう言いました。

「ジェフ、ステーションワゴンから荷物をおろすのを手伝ってくれ。」

 ジェフは皮肉っぽく、「いつもそればっかりなんだから。ジェフ、これをしろ、ジェフ、あれをしろって、父さんは僕を奴隷か何かだと思っているんだろう。」 ぶつぶつ文句を言いながら、ジェフはステーションワゴンの所まで行きました。父親は、ジェフが苦労しながら自転車の箱を出すのを見ていました。突然、その箱に書いてある文字がジェフの注意をひきました。

「父さん、何が入っているの? まさか競技用自転車じゃないでしょ?」

「そうだ、その通りだ。」と父親は答えます。

「すごいや。でもどうして競技用自転車を買ったの?」

「おまえのためだよ。ものすごくほしがってたからな。おまえの喜ぶ顔が見たかったんだ。」

「でも、父さん。僕はこれをもらうに値しないよ。ひどい態度を取ってたもの!」

「わかってる。おまえはこれに値しない。しかし、おまえの態度がどうあろうと、私はおまえのことを愛しているからね。」

 それで十分でした。ジェフのけんか腰の態度は消えました。父親に抱きつくと、今までひどい態度だったことを謝りました。自転車という意外な作戦は功を奏したのです。

 注:励ましに満ちたショック療法がうまくいくのは、たまにしか使わない場合だけです。子供が好ましい行動をするようになるには、一貫したしつけや、行動に合った罰則、その他の種類のしつけや訓練が必要です。しかしたまには、励ましに満ちた意外な行為がびっくりするほどの効果をあげるのです!

 

 遊びで問題を解決する

 

 子供に言う事を聞かせるのが大変な場合もあります。しかし、そうである必要はありません。ちょっと知恵を働かせれば、沢山の問題を遊びで解決するのが可能です。子供はゲームをするのが大好きです。

「ママは赤いブロックを拾うから、あなたは青いのね。どっちがたくさん拾えるか競争よ。」というような単純なゲームでもうまくいきます。突然、掃除がゲームとなり、不機嫌な顔がほほえみに変わり、楽しそうに従います!

 お芝居をするのも、子供の協力を促します。特に幼い子供は何々ごっこが大好きです。例えば、子供のもつれた髪をとかさなくてはいけず、かなりの抵抗が予想される時には、美容院ごっこをしてはどうでしょう。からんだ髪の毛にブラシをかけられるのが大嫌いな女の子よりも、「美容院の客」のほうが、はるかに協力的なものです。

 子供に着替えさせるのに苦労したことがありますか? 「いらっしゃいませ。紳士服の店にようこそ。新しいシャツとズボンはいかがでしょう? お客様にぴったりのがございますよ。こちらの着替え室に入って、今日のバーゲン品をご試着下さい。」

 真っ向から頑固な抵抗にあったら、役を交替するという手もあります。道路を横切る時に小さな女の子があなたの手を握ろうとしないなら、こう言ってはどうでしょう。「あなたがママで、ママが小さな女の子ってことにしましょう。私の手をついないで、道路の向こう側に気をつけて連れて行ってね。」

 食べ物の好き嫌いの多い子供でも、一口クラブなら喜んで入るかもしれません。自分に出された物はどれでも一口は試してみようとする人なら、誰でも入れるクラブです。ベネット家ではそのクラブがこのように始まりました。ルースの子供達は食べ物の好き嫌いがひどく、毎日、食卓はさながら戦場のようでした。ある日、おじいちゃんが訪問してきました。おじいちゃんは、食事の時間が半分過ぎたところで、もう我慢できなくなりました。そして、「この家には一口クラブが必要だ。」と言ったのです。

 子供達が、「一口クラブってなーに?」と聞きます。

「それはな、メンバー全員が、出された物はどれでも、少なくとも一口は食べるクラブだ。それから、クラブのメンバーは週に1度、パーティーをし、ミニゴルフをしに行くんだよ。」

「いつ行けるの?」と子供達は叫びました。

「おまえたちがテーブルの上にある食べ物を全部、一口ずつ食べない限りは行けないな。」

 子供達は、「なーーんだ」と鼻先であしらいます。

「待て待て。そんなに悪いもんじゃないぞ。スプーン一杯食べるだけでいいんだ。スプーンにたくさん乗せなくてもいいんだよ。」

「これだけでいい?」と子供がスプーンにブロッコリを半分のせて言いました。

「いやいや、それは多すぎる。」

 今度は子供が驚く番でした。不思議そうに、今度はスプーンに4分の1、ブロッコリをのせて、これでクラブに入れるかと聞きました。

 けれどもおじいちゃんはまた、「多すぎる」と言ったのでした。

 とうとう、スプーンにほんのちょっとだけで許可が出ると、子供はそれをさっと口に入れ、「味なんか全然わかんなかった。」と言いました。

「では、もう少し食べてはどうかな」とおじいちゃんは言いました。すると、無理強いされなくとも、子供はスプーンにブロッコリをもっとのせて、ぱくっと食べたのでした。その夜、家族はお祝いをしました。

 家族のために一口クラブの会員証を作ってみるのもよいでしょう。様々な研究によっても、一口クラブは良いアイデアだとされています。親が、食べたことのないものをせめて一口食べるよう子供を励ました場合のほうが、何もかも食べるよう強いたり、あるいは子供が何を食べるか全く気にかけない場合よりも、子供の食べ物の好みが非常に広範囲になります。

 けれども、子供にお皿にのっている物を全部食べてほしい場合はどうでしょうか? あと何口残っているかのクイズゲームをするのも手です。家族が一人一人、何口だと思うかを言い、誰の勝ちかを見るためには、子供が全部食べなくてはいけません。このゲームの楽しいところは、子供が一口食べる時にその量を自分で決められ、勝敗を決定できることです!

 良くない習慣を楽しくやめさせることもできます。チャーリー・ブラウンに出てくるライナスのように、口におしゃぶりをくわえて、ぼろぼろで得体の知れないぼろきれをひきずって家の中を歩き回る子供がいますか? たいていの子供にとって、このような安心感を与えてくれるものを手放すのは大変です。子供はもうそうしたものから卒業すべきだとパパやママが決意すると、たいていの場合、衝突が起こります。

 ショーニーは2歳半ですが、お気に入りのつやつやの毛布にすっかり依存していました。おまけに寝る時にはおしゃぶりがないとだめなのです。母親は、毛布は問題ないものの、そのおしゃぶりが気になってきて、もう必要ないのでは、と考えました。

 しかしそれを決行するなら、ショーニーがすごいショックを受けるとわかっているので、心が重く、延ばし延ばしにしていました。そんな時、ショーニーと同じぐらいの年の女の子がいる友人に会ったのです。新しい小犬が一緒でした! その小犬のことをほめると、小さなベスは、「私、哺乳ビンを小犬と交換したの」と言いました。

「どういうこと」と、興味津々の母親が友人に尋ねました。

「ベスは哺乳ビンにすっかり頼りきってて、取り上げようとする度に、泣いたり、返してとせがむの。でもベスは小犬がほしくてたまらなかったから、哺乳ビンと交換で小犬を飼うことにしたのよ。そしたら、うまくいったわ! ベスはほしくてたまらなかったものが手に入ったし、自分で決意したことだから、私は意地悪な厳しい母親役をしなくてすんだの。もうベスが哺乳ビンを返してほしいと嘆願することもないわ。」

「何て素晴らしいアイデアなの。ショーニーのおしゃぶりでも、やってみよう。」

 ショーニーはお人形の乳母車をほしがっていたので、ショーニーに、哺乳ビンと交換するよう提案しました。ショーニーは二日間そのことについて考えた末、交換の価値があると判断しました。とうとう、その時がきました。人形の乳母車の代金を払った後、厳粛な面持ちのこの2歳半の女の子は店員に貴重なおしゃぶりを手渡し、その後で、得意げに目を輝かせながら自分の人形を乳母車の中に入れて、それを押しながら店から出たのです。

 おふろの時間もゲームにできます。おふろのお湯に色をつけてみましょう。そうしたら、子供は入りたがることでしょう。ただ食品用の色素をお湯に何滴かたらせばよいのです。食べて無害なものなら、体の外側にも無害なはずです。それに、浴槽や子供の皮膚に色が染み込むこともありません。このアイデアを教えてくれた父親は、食紅を入れて、子供にエジプトでのモーセの話をしたそうです。海が血のように赤くなった時のことです。子供はすっかり夢中になりました! (編集者:または、青に変えて、ガリラヤの海で魚釣りに行くことにしてもよいでしょう。)

 ある父親は、お風呂の時間をお話の時間にしています。子供達は父親が子供の頃の話を聞くのが大好きです。聖書物語でも、父親が話すと違って聞こえるものです。

 けれどもお風呂の時間ではなく、寝る時間が大変だという家庭もあります。寝る時間が騒々しい混乱の時間となっているのなら、ゲームを試して下さい。

 幼い子供に寝るように言っても応じないなら、動物(あなたの背中)に乗ってベッドに行くことを提案すれば、素直に従うかもしれません。私達の子供がまだ学校に行く前の頃には、猿やキリンやダチョウ、さらにはサメにまで乗ってベッドに行ったもので、子供達はそれが大好きでした。

 自己鍛練ができるようになること、それが建設的なしつけの主要ゴールの一つです。ゲームは大きな効果をあげることを私は知りました。例えばケビンが幼かった時には、いつも汚れた顔のまま学校に行きました。そこでガミガミ言うのをやめ、ゲームを始めたらそれが直ったのです。

「誰でも、汚れた顔で外を歩いていた人がゴミ箱のゴミを捨てる」というゲームです。(言うまでもなく、これは罰則を強いるゲームですが、私達は、しつけというよりはゲームをやっているようにしました。) すぐに、ゴミ箱のゴミを捨ててくれる人がいなくて困るようになりましたが、顔はきれいになりました。9342回注意してもケビンには馬耳東風だったのに、この単純なゲームは効果絶大でした。

 子供に仕事を丹念にやることを教えたいなら、次の2つのゲームをいろいろ変形させてやってみてはいかがでしょう。

 子供が拭き掃除をする場所に置いてある物の下に、硬貨(または1枚につき1個のレーズンと交換できる紙など)を隠しておくのはどうでしょう。子供に持ち上げてほしくない物なら、硬貨の一部が見えるように置いておくのです。子供に幾つ隠したかを告げ、全部見つけられるか見ましょう。

 ある母親は、子供がポーチの落ち葉を掃く度に25セント払い、終わった時にまだ残っている葉っぱ1枚につき1セント返すように言いました。すると1セントも戻ってきませんでした。

 このようなゲームはなぜ自己鍛錬を助長するのでしょうか? ゲームがあなたの代わりにすべきことをしてくれて、頑固に抵抗していた子供が突然、ゲームのチャレンジに夢中になってしまうからです。子供は知らない内に楽しく従います。

 どこかで読んだ事がありますが、親が子供と一緒になって遊ぶと、いつも深刻な顔をしていて、年相応の振る舞いばかりしている場合よりも、子供は親をもっと愛し、尊敬するそうです。子供は一緒に遊べる面白い人が大好きなので、これは確かです。自分と一緒にいる時間を楽しんでいると感じられる人に、子供はとても近く感じるのです。そして家族やその他、自分の監督をする人達とこのような関係を持っているなら、子供は、叱らた時も反感を抱いたりしません。

 

契約の交渉

 

 私は彼を敬い従うことを誓うかと尋ねられ、「はい、誓います」と言ってジャンと結婚しましたが、ジャンが私に「クリーニング屋からスーツを取ってきてくれ、この小包を送れ、この人達を土曜に招待しろ」と言って、色々押しつけてくるなら、やはり反感を抱くことでしょう。ジャンが、「今日はひどく忙しい。君がクリーニング屋からスーツを取ってきて、この小包を出して、土曜の夜のために、この人達に招待の電話を入れておいてくれるなら、夕食までに戻れると思うんだけど、できるかなあ?」と言ってくれたほうがはるかに好きです。命令されるより、尋ねられるほうがいいのです。

 子供も同じです。子供に関係のある決断には子供も参加させるなら、子供はもっと親の要請に応じようという気持ちになることでしょう。だから、親は交渉上手になる必要があります。

 効果的に交渉をするには、子供が、(1)様々な提案について話し合えるぐらいしゃべれる、(2)交渉している内容が理解できる、(3)結んだ契約の条件を守れるぐらい成長していることが条件です。では、どのように行うのでしょうか? 以下のステップに従って下さい。

 

 ステップ1:子供と問題を明らかにすること。例えば、ジョンが歯磨きを怠ることがあり、注意される度に反抗的になるとします。そこで、その振る舞いについて話さなくてはいけません。「ジョン、ママは歯医者さんの治療代を払わなくてはいけないの。あなたが歯を磨かないと、治療代があがるわ。どうしたら、この大切な日課をちゃんとするようになるかしら?」

  ステップ2:問題解決になると思われるアイデアを出し合う。一緒に話し合うと、以下のようなリストができることでしょう。テーブルに歯磨きを思い起こさせるメモを貼る。ジョンがちゃんと歯を磨くようになるまでスナックは出さない。新しい歯ブラシを買う。もっといい味の歯磨きにする。注意する時に特別な暗号を使う。ジョンが歯を磨く度に5セント与え、忘れたら5セント返してもらう。

  ステップ3:一緒にどの提案が最も受け入れやすいかを決定する。ジョンは、新しい歯ブラシを買ったら忘れないと考える。忘れたら、暗号で「ビリーゴート」と言われても怒らないことを約束する。その暗号を聞いたら、即座に歯を磨く。この時点で罰則条項も入れる。もし注意されても従わないなら、次のおやつは食べることができない。

 ステップ4:契約がいつから有効になるかを決定する。

 ステップ5:あなた達両方が同意した事柄を書き記す。それに署名し、握手するか、キスで契約を締結する。

 ステップ6:定期的に契約が効果をあげているかどうか検討する。うまく行っていないなら、再び交渉し、新しい契約を結ぶ。

 

  契約の交渉では、子供が決断の過程に参加します。それは、自己鍛練に必要な自制心を養うのに最適です。

  何かの行動のもたらす適切な結果を決定するのにも、同じやり方を使えます。交渉によって、悪い振る舞いに対する罰則を前もって決定するのです。例えば、犬が餌をもらうまでは夕食ぬきとか、宿題がすむまではTVなし、または、食事の準備を手伝わないなら皿洗いという具合です。子供がこれらの罰則に賛成したなら、違反した時には、「このための罰則は何に決めたからしら?」と言うだけでよいのです。子供はすでに自分で賛成したのだから、この種の罰が正当かどうか議論する事はできません。(また、すべきではありません)

  注:子供が、あなたに怒られ、拒否されるのを恐れて契約に同意するのではなく、その罰則が公平だと感じるからという理由で、契約に同意するようにしてあげて下さい。

 

放蕩子供の子育て

 

 反抗的な子供が親をうまくさばくのに使う手は、親を責めることです。自分の間違いを親の責任にするのです。そして親が一生懸命になって子供の弁明をするよう仕向けるのです。子供が、自分の間違いを親のせいにするようでしたら、その時は、そのゲームに終止符を打つ時です。

 母親のバーニスは罪悪感にさいなまれていました。ティーンの息子には悩みが多く、それがすべて「母親のせい」だったのです。少なくとも息子はいつもそう言いました。バーニスが助けようとしても、「ママ、口出ししないでくれよ。ママはいつだってめちゃくちゃにしちゃうんだから。」という答えが返ってきます。そこで自分で問題を解決させようと放っておくと、「ママは僕のことなんか、どうでもいいんだ。少しでも僕を思う気持ちがあるなら、僕の悩みを解決してくれよ!」という態度に出るのです。バーニスは、何をしても責められました。そして次第に、息子の目から見て何一つまともな事がしてあげられないことで、罪悪感を感じるようになったのです。

 児童虐待の話を聞いた事がありますか? でもこのように子供が自分の間違いを常に親のせいにするのは、親虐待であると私は信じます。親も親の権利の為に立ち上がらなければなりません。

 それこそ、バーニスがしたことです。

 「もうたくさんだわ。もうお母さんをこんな風に扱わないで。小さい時にどう育てられたかや、お母さんが今する事に関係なく、これからは自分で自分の選択をし、自分の行動には自分で責任を持つようにしてちょうだい。あなた自身が自分の運命を決めるのよ。もちろん、あなたを育てるのに間違いもしたわ。でも最善を尽くしたつもりよ。すべての答えを知っていたわけでもないし、挫折感や無知のせいで、あなたを正しく扱うことができなかったこともあったわ。

 だからお母さんの犯した間違いについては、ゆるしてくれるようにお願いするわ。過去に戻ってやり直すことはできないし、『ごめんなさい。』と言うのが、お母さんにできる精一杯の事だわ。さあ、今度はあなたの番。お母さんをゆるすか、それとも、お母さんを非難し続けて、その恨みのせいで暗い人生を送るかは、あなた自身の選択次第よ。

 あなたが自分の問題をお母さんのせいにしても、お母さんはもうこれ以上、責任を人になすりつけるゲームの相手はしないし、罪悪感も感じないことにしたわ。あなたがこのゲームを続けるなら、その場から立ち去るか、電話を切るか、あなたの言ってくる事を無視するつもりだということを覚悟しておいてちょうだい。お母さんはあなたを心から愛しているし、あなたに最善のことを願ってるわ。そして、人に対する恨みや反感のために、人生をだいなしにしてほしくはないわ。でもあなたが、小さい時の悪い思い出のことばかり考えたり、今、不公平に扱われていると思い込んで、そのことばかり考えているなら、お母さんに助けられる事は何もないの。」

  息子は、母親のこのスピーチに唖然としてしまい、沈黙の内に、要点を飲み込みました。母親が話し終えると、息子は母親の目をまっすぐに見てこういいました。

 「すごいスピーチだったよ!」 その言い方から、彼が母親に全く同意したわけではないにしても、母親に対する尊敬が1段階も2段階も上がったことがわかりました。

  子供が自分の間違いを不正にも親のせいにしていると時々感じるなら、バーニスのスピーチを思い出してみたらどうでしょう。堂々と立ち上がって深呼吸をし、子供にはっきり言ってやるのです。人のせいにするゲームの相手になるのはやめましょう。それがあなたが勝つ唯一の方法です。そしてそれが、子供が恨みつらみから解放され、責任感ある人間に成長できるようにするための、唯一の公平な方法でもあるのです。

 

 

 

あなたには、全ての問題を克服する事ができなくとも、神にはできる

 

  この本の中で紹介されているしつけに関する秘訣をすべて試してみても、子供はまだ問題を持ち、気にさわる事を繰り返すかもしれません。でもがっかりしないで下さい。神にチャンスを与えて、子供の人生に働きかけてもらいましょう。

  サラは6歳の頃、家が火事で丸焼けになってしまうという、ばかげた恐れを持つようになりました。夜になるとサラは、「お母さん眠れないの。火事が怖いわ。一人にしないで。お母さん怖い」と泣きながら母親に必死にすがりつくのでした。母親は思いつく限りのことをして、サラをなだめようとしました。恐れについて話し、いろいろ言い聞かせ、火事の時には火災報知器が鳴るとも言いましたが、何も助けにはなりませんでした。

  とうとうある夜、母親は、サラのベッドのかたわらで、恐れについて話していた時に、こう言いました。「サラ、私達はまだこの問題を解決できないでいるわ。だから、イエス様に恐れを取り去って下さいってお願いしましょう。」 そう言って母親はサラに手をおき、祈り始めました。そして、恐れをサラから取り去り、サラに心の安らぎを与え、イエスに信頼できるよう助けてほしいとイエスに求めたのでした。サラはその夜、安らかに眠る事ができ、あのような強い恐れに襲われることは二度とありませんでした。

  神は必ず祈りに答えられます。私達が当然答えられるべきだと思う速さでは答えられないかもしれません。神の時刻表は私達のと同じではないからです。また、神の答えは、私達の期待通りではないかもしれません。けれども、主に信頼するなら、主の道こそ最善であると確信して安らぐことができます。

  子供は神から私達への贈り物です。子供の一生の所有権と最終的な責任は、神が持ち続けておられます。そして私達は、子供をどう扱うかについて、神に対する責任を負っています。絶対に、子供を虐待したり、自分の好き勝手に扱うべきではありません。神ご自身が子供を扱われるように扱わなくてはいけないのです。そして、私達の家で育つ神の子供たちを、神ならどのように扱われるかを知る唯一の方法は、私達が、子供たちの偉大なる父とコミュニケーションを怠らないでいることです。

 

 

夜も昼もあなたに注がれる小さな目

あなたの言うことを

素早く吸収する小さな耳

あなたのすることは

何でもまねしようとする小さな手

あなたのようになる日を夢見ている幼い少年

 

あなたはその小さな友のアイドル

賢者の中の賢者

その小さな心には

あなたに対していっぺんの疑いもない

あなたのことをひたすら信じ

あなたの言うことなすこと

すべてが正しいと思っている

あなたのような大人になった時

その子はあなたのように話し

あなたのように振る舞うことだろう

 

大きな目をした小さな男の子

あなたがいつも正しいと信じている

昼も夜も見守り

いつも耳をすましていて

毎日、あなたのすることを

手本としている

あなたのようになる日を夢見ている

  小さな男の子

          −−レスリー・ヘイル