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ホーム・スクーリング

−−試され、証明される!

 

序 文

  現在、大勢の親が自分の住む地域の義務教育法について、また、「子供は学校に送るもの」という社会的圧力について懸念していることから、私達は特に、アメリカやその他の英語圏の国々にいる人達に対して、ホームスクーリングは、多くの国々やアメリカのほとんどの州で実践され、また許可されていることを伝えることの重要性を痛感しています。けれども、皆さんのほうでも、各自その地域の法律について十分な知識を持ち、トラブルが生じないようにするための方法などを知っておく必要があります。

  私達は、公立学校に代わる教育方法が幾つもある事を見いだしてきました。何の要求事項もなしに家庭で教える事から、自宅で学校を開く事、認可された通信教育を受けること、旅行中の教育プログラムを行い、自分が「教師のアシスタント」となることまで、実に多種多様です。アメリカや世界のあらゆるところで、すでに何万もの人々がそのような方法の先駆者となって実践してきたのです。

  様々な出版物を元に編集された以下の読み物には、公立学校についてのショッキングな事実や、ホームスクーリングについての質疑応答、ホームスクーリング関係の法律についての内部情報が沢山取りあげられていますので、これがあなたが我が子を守り、「ホームスクーリング」をする事の権利や決断を固守する為の有力な資料となり、また励みとなるよう願っています。このような闘いを経験しているのはあなただけではなく、アメリカでは今年、50万人近くの人があらゆる反対にも負けず、公立学校制度に代わる方法を選んでいると聞くと皆さんも心強い事でしょう。

 

学校に通わず、家庭で学ぶ子供達が今年は50万人を突破!

次の記事は、最近出版されたニュージャージー・

ホーム・スクーラーズのネットワーク・ニュース

レターと、ニューヨーク・タイムズ(ウイリアム・

J・ワーレンの記事)、アメリカンプレス(ローレン・

ブルーの記事)から編集したものです。

 

  アメリカでは、新学期を迎えても、教室に姿を見せない子供達が、今年は全国で50万人います。その子供達は、テーブルを机に早変わりさせた家庭内で、読み書き算数を学ぶのです。そして、教師は父親や母親です。

  正確な統計はありませんが、1985年のアメリカの教育省の見積もりによると、通学せずに家庭内で学んでいる子供は26万人以上に達しています。合衆国教育省専属の分析家パトリシア・ライン女史の話では、学校に行かないで、家庭内で教えられている子供は、約50万人いるそうです。(ジョン・ネイスベットは、1982年のベストセーラー『メガトレンズ』の中で、そのような子供達は100万人くらいいると推測しています!)このホーム・スクーリング運動は、アメリカ南部と西部に集中しており、宗教的理由から教会を通して組織化されています。

  ホーム・スクーリングを行なっている家庭にはそれぞれ自分達なりの理由や考えを持ってやっています。しかし、共通点が一つあります。それは、子供がどのような教育を受けるかは、親が決めるべきだという信念なのです。

  宗教上の理由で、自分の子供を学校に行かせないことを決心した両親達は、教育専門家であるレイモンド・ムーア教授の教育方法を指摘しています。ムーア氏は元大学教授であり、合衆国教育委員会の役員でもありました。又、ワシントン州、ワッシャーガルのヘンウイット・リサーチ財団の設立者でもあります。この財団は、5千人以上の生徒に授業教材を供給しています。その生徒達は、標準学力検査の上で、公立学校の生徒の平均点より、高い点を取っているそうです。ライン女史の話によれば、家庭で教えられている子供のレベルを連邦統計で比べてみても、ムーア氏の証言は裏付けられているそうです。

  「ホーム・スクールをしている子供達は、素晴らしい利点が与えられています。彼らは同胞の学生に影響されたり、ナルシストにならないで、積極的に人々とつき合っていきます。」とムーア氏は言っています。(ナルシスト=自己陶酔、自己愛、「自己」を先におく事)ムーア氏は又クリスチャンのテレビ番組にもよく出演しています。

  ホーム・スクールをしている子供達は、個人的な指導を受け、家族のきずなをもっと深く持つことによって、良い影響を数々受けています。又、一日数時間の授業をするだけで、基礎的なことはすべて学べると言っています。その他に、通常の学校の教師の指導能力が疑わしいため、同級生からの悪影響を防ぐため、健康上の理由、犯罪、麻薬、エイズなどで侵されている学校環境から守るためなどの理由もあります。

  カリフォルニア州、ダウニーに住む、セブンスディー・アドバンティスト教会員のシャロン・ウェイアーさんは、上の娘2人を小学校の低学年の時から家庭で教えています。下に4歳の子供がいますが、その子が就学年令になれば、その子も自分で教える予定だそうです。

  「自分の子供は、悪い影響を受けないような所で育てたいと思いました。ホーム・スクーリングをするなら、母親と子供の1対1の授業です。ですから、子供が教材の内容を吸収しているかどうか確かめることができます。」と言っています。

  「これは、子供を大集団の中で過度に画一化しようとすることに対する大勢の人達の意見を代弁していると思います。」とパトリシア・ライン女史は語っています。

  2100のホーム・スクールが登録されているカリフォルニア州では、家庭で教えるようにと要求されている内容はあいまいであると、州教育委員会の私立学校相談顧問であるフレッド・フェルナンダッツ氏は語っています。家庭で教えるためのガイドラインを定めた法律はありません。教師となる人が「教えることのできる者」ということだけが、法的なガイドラインのようです。南カリフォルニアのオレンジカウンティーで、ホーム・スクーリングのプログラムのヘッドを務めるレッド・バルフォアー氏は、この膨張するホーム・スクーリング運動に興味のある両親達から、一日少なくとも5本くらいの問い合わせの電話を受けていると言っています。

 

法律とホーム・スクーリング

  統計によると、テキサス州では1万2千の家族が、子供を通学させないで家庭内で教えているようです。ここのホーム・スクーリング運動者たちは、1987年、テキサス州と1100の地元の学校を相手に法廷で争って、見事に勝訴し、輝かしい勝利を収めました。その訴訟は、ホーム・スクール弁護委員会によって起こされ、これらの親は無断欠席法違反であるとする州当局の告訴を取り下げさせることができました。州側は上訴しています。

  バージニア州のグレート・フォールズに本部を置くホーム・スクール弁護委員会は、9千人を越すメンバーに対して、弁護士やアドバイスなどを提供しています。このグループの副会長であるJ・マイケル・スミス弁護士の話によれば、同委員会は1987年から1988年の教育年度に、2件の訴訟で弁護を仲介し、2件とも法廷で当局側の訴えは却下されました。1982年以来、27州で、家庭学習の最少限度の要請規則を設けました。現在では、30州で「家庭指導」又は「ホーム・スクーリング」が義務教育法で許可されています。これは特定の必須事項を満たすという条件つきです。その他の州には、ホーム・スクールに関する法律はありませんが、それぞれ漠然とした条件があります。ホーム・スクールに対して、地域の学校長の認可を要求している州もありますが、この条件がはっきりとしていないことが問題の原因になっているようです。ホーム・スクーリングの問題について取り上げていない州は、2、3だけです。

  ホーム・スクールをしているすべての家庭が、学校とトラブルを抱えているわけではありません。法律に精通していて、確信を堅く持っている両親達は、学校との問題を持つことはずっと少ないのです。教育委員会の役員のほとんどが、ホーム・スクーリングは法律的に認められているということを知りません。ですから、両親達はそういったことを彼らに「教育」する必要があります。両親達はまず、自分の州の義務教育法を調べることから始めるようにとアドバイスされています。しかしながら、ホーム・スクーリングに関する特定の法律のない州があります。だから家で子供を教える親にどんな資格が要るかについては、議論の的になっているようです。

  小規模の学校を作って、自分の子供を教えたいという両親もいます。それをする為の条件は、州によって極端に厳しい所とそうでない所とがあります。又州によっては、自分のホーム・スクールの名前を地域の役所に登録するとうまくいきます。学校側は公認になっているなら、ホーム・スクールについてはあまり干渉しないようです。

 

ホーム・スクーリング支援グループ

  様々な支援グループがアメリカ全土で芽を出してきており、両親が集まってアイデアを出し合ったり、子供達の交友の場となる役割を果たしています。ホーム・スクーリングについてのアイデアを出して活動している人達は数多くいます。

  カリフォルニア州、ヨーバリンダに住むギャリー・マックリンタイアー君は、レインボーキッズに入っている数十人の子供の内の一人です。レインボーキッズというのは、通学しないで家庭で教えられている子供のグループで、両親達は一週間に一度集まり、共に工作などのプロジェクトをしたり、一緒に遠足に行ったりします。ギャリー君の母親であるスー・マックリンタイアーさんは、自分の息子を家庭で教えたいのは、子供が大きな影響を受ける、学校での交友環境が好きではないからだと言っています。家庭で教えるならもっと個人指導ができるし、ギャリー君も、もっとよく学べると確信しているそうです。「ギャリーのペースに合わせて、学習を進めていく事が出来ますし、難しいところにくると、じっくり時間をかけることができます。」と言っています。

  ホーム・スクーリング実践者ガイド書の著者ルアン・シャクルフォードさんは、自分の子供7人を、ホーム・スクーリングで教えました。その実体験が、150家庭で構成される支援グループへと成長したのです。彼女はこう語っています。「このグループの目的は、互いに助け合い、励まし合うことです。ホーム・スクーリングをしている母親達は、共に集まり、重荷を分け合う必要があります。それぞれが抱えている問題や悩みを打ち明けるなら、そのような問題を持っているのが、自分だけではないのだということに気づいたり、他の人達も同じような悩みに直面しているのだとわかります。また同じ問題に対する解決法を見つけた人達がいることも知るのです。」

 

ホーム・スクーリングに関するジョン・ホルト氏の見解

  元教師のジョン・ホルト氏は、有名な教育者であり、著述家でもあります。ホルト氏は、アメリカの義務教育制度の批判者の内でも重要な存在になりました。ホルト氏の書いた4冊の著書は、教育改革についての議論を呼び起こし、同時に、何万という人々に、自分で子供を教えることを奨励することになったのです。ホルト氏は、多くの人々からアメリカのホーム・スクーリング運動の創始者とされています。(ホルト氏は1985年死去)著書の「自分で子供を教えなさい」の中で、ホルト氏はこう質問しています。「なぜ人々は自分の子供を学校に行かせないのか? それには大まかに言ってこの3つの理由に分かれます。第1に、自分の子供達の教育は、政府の責任ではなく、自分の責任であると考えるからです。第2に、子供と一緒にいることは楽しいことで、子供が学んだりするのを見守りながら育てたいと思っており、その仕事を他の人に任せたくないからです。第3には、子供が精神的、身体的、霊的に傷つくことから保護してあげたいからです。

  「1.そのような人々は、何人いるのでしょうか? 2.どのような人達がやっているのでしょうか? これに対する簡潔な答えは:1.誰も明確な答えは知りません。2.あらゆる種類の人達です。」

  「このようにホーム・スクーリングをしている家庭が一体何家族あるのか、その数字が定かでない理由は、多くの人達が地域の学校に知られたら問題になってしまうと恐れていて、隠れてホーム・スクーリングをしているからです。地域の学校に知られないように、子供を隠しているケースもよくあります。真実を公表している所もありますが、個人の学校に登録していると言っている所もあります。自分の家を学校として登録している所もあります。多くの州では、こういったことをするのが容易です。幾つかの家庭と共同して、教会関係の学校として登録している所もあります。こういった人達の数を正確に知る方法はありません。つまりどの州でも、個人の学校として登録しているものの、その幾つが実際に建物を所有し、教師を雇用しているいわゆる学校なのか、またはただ両親が教えている家庭なのかは、見つける方法がないのです。登録している個人の学校の内、どれだけが実際の特定の建物を持ち、教師を雇用しているものか、またどれだけが、両親が教えている家かを、各州に幾つあるかという統計を出すことは、不可能です。」

 

ホーム・スクーリングが成功した話

  カリフォルニア州の田舎ブーンビルに住むコルフォックス夫妻は、ホーム・スクーリング運動のことで、アメリカ中の有名人物になりました。彼らの子供達は小学校から高校まで、普通の学校に通ったことが全くないのです。「公立の学校は、特に高校の場合は、ただ彼らを学校においておくだけが目的のようなものです。」とコルフォックス夫人は語ります。「膨大な時間が無駄にされていると思います。」 元教師だったコルフォックス夫妻は、1973年にサンフランシスコから160キロ北の農場に引っ越し、自分達の子供を教え始めました。「その地域の教育制度にあまり感心していなかったからです」と夫人。23才の長男のグラント君は、1987年にハーバード大学をトップから2番目の成績で卒業しました。グラント君の弟のドリユー君20才とリード君18才も現在、同大学に通っています。四男のガース君13才は、農場の仕事の手伝いなどをしていますが、学校に通ったことはありません。

  英国のハリー・ローレンス氏は、元コンピューター・コンサルタントでしたが、天才児の娘を指導し、教える為に、仕事をやめました。13才になる娘が、なんとオックスフォード大学で他の学生達を退けてトップの成績を飾った時、今まで頑張ったかいがあったと思ったと、ローレンス氏は語っています。ローレンス氏が受けた非難の嵐は、この社会で既成の制度から一歩でもはみ出そうものならどのようになるかという事を物語っています。その非難とは、娘を不自然な、バランスの崩れたライフスタイルに追いやり、普通のティーンエイジャーとして成長する為の環境を作ってやらなかったというものでした。しかし私達もよく知っているように、特に女の子のティーンにとって『普通』だとか、『楽しくやる』というのは、あまり意味のない事ばかりです。つまり、ボーイフレンドにうつつを抜かしたり、髪の色を紫に染めてみたり、ポップミュージックなどで頭の中を汚染させるといったような事が、普通とされているからです。それに比べて、優れた成績を証明し、輝かしい将来を約束されているルースは、別に不幸せそうでもないし、恵まれない環境にいるようにも見えません。彼女は、落ち着いており、しっかりしていて、同じ年令の女の子が誰でも羨ましがるような自信を持っています。

 

ホーム・スクーリングの利点!

  どうして、50万人ものアメリカ人が、自分の子供達を家庭で教えることを選ぶのでしょうか?おそらくは理由もそれと同じ数ほどあげられるでしょう。そして、その中で最善の答えとは、ホーム・スクーリングは、学校が成し得たよりもはるかによく、一人一人の個人的な必要性と状況に応じて教えることができるということです。

  もちろん、どちらにしろ家庭で子供達を教えなければならない人達も沢山います。辺ぴな田舎に住んでいて、学校に行くことができないとか、何らかの病気があるか、身体障害で家庭にとどまらなければならない、両親の仕事の都合で旅行と引っ越しを頻繁にしなければならない、または子供が情緒的または精神的に学校でうまくやっていけず、その子を学校に通わせなくてもいいという医師の許可があるといった理由もあります。または、子供の発育期、また影響を受けやすい時期に学校で否定的または混乱をきたすような経験をするなら、その家庭の宗教上の信条や信教の自由が多大な危険にさらされるかもしれなかったり、両親と学校の間に、道徳的、また文化の上での極端な違いと衝突がある。子供が家庭で教えられている宗教的または個人的な道徳信条のことで、他の子供達にからかわれたり、虐待されやすい。両親が、他の生徒達が凶器を携帯し、麻薬を売っている所に子供を通わせて子供の命を危険にさらすことを恐れている。倒錯したセックスやアルコール、喫煙、暴力、オカルト、ロック・ミュージックなど、学校で受ける堕落した影響を心配している。または、子供のことを気にかけ、愛しているがゆえに、より高い基準と優れた価値観を子供に植え付けるためには、子供ともっと多くの時間を一緒に過ごす必要があることに気づいた、などの理由があるかもしれません。

  腐敗した暴力的な社会においては、子供達を学校に通わせることの利点はごくわずかなので−−その利点も疑わしいものですが−−、多くの利点があるホーム・スクーリングの方がはるかにまさっています。現在のように公の学校に子供を通わせることが義務になっていなかったなら、ホーム・スクーリングは例外というよりは、一般的なものになっていたでしょう。ホーム・スクーリングの利点を幾つかあげますので、それらを考慮してみて下さい。

  ● 子供とその家族は、時間や機会が制限されることなく、家庭での信仰を保ち深めていくことができる。

  ● 子供は親や兄弟姉妹とより親しくなり、永続的なきずなを持つようになる。ホーム・スクーリングは普通、公の学校よりもはるかに能率的である。というのは、子供や家庭の個人的な必要性と活動に応じてスケジュールの変更がきき、状況に適応させやすいからである。

  ● 学校に通わせると、あらゆる種類の「表に出ない」余分の経費がかかるが、ホーム・スクーリングは、それよりも教育費がはるかに安い。

  ● 親は、子供のカリキュラムや教科書を完全に自分達で決定するか、またはそうでない場合でも、学校に通わせる場合よりもはるかによく監督することができる。もし「世俗的な人間至上主義(人は神であるという考え方)」や、「進化論的」で無神論的な教えを子供の訓練から締め出したいなら、このことは大切である。

  ● 毎日の交通費、給食費、授業料などが節約でき、その分、子供のより良い人生を築くために投資できる。

  ● はるかに多くの自由や解放感がある。恐れや落第から解放され、自分のペースで進んで行く自由を持てる。

  ● ホーム・スクーリングは子供に自信を持たせるので、一般科目の成績もあがる。そういった子供達は、公の学校に行っている同じ年令の子供達よりも、学力が向上する傾向がある。

  ● 学ぶことの喜びを取り戻す。

  ● 1日にたったの2時間で足りる。能率的!

  ● 親が子供の必要に応じて、カリキュラムを調整できる。

  ● ホーム・スクーリングは何時にでも始められ、何時でも終わらせることができる。家庭のスケジュールや必要に応じて調整できる。

  ● 思い立った時に、旅行やレクリェーションや教育に役立つような機会を利用しやすい。

  事実ホーム・スクーリングは、イギリスの精神科医ジーン・コールマン氏があげた、人生における勝者を育てるのに必要な条件をすべて備えています。研究結果として、コールマン医師は、両親からの親身な励ましを伴った、幸せで安定した幼年期こそ、高い学力への条件であると述べています。

  レイモンド・ムーア氏は、学校教育を受けた子供達よりも、家庭で学んだ子供達の方が、より賢く、もっと自信を持っており、社会的にも責任感がある、と述べています。家庭で教えられた子供は、家庭での仕事などを任されており、自分が家庭で頼りにされているということを知っているので、自信を持ち、また安定した価値観を抱く傾向が大いにあるそうです。また、同氏は、「5才で学校に通い始める子供達は、3、4年生が終わるか終わらないかの内に心身ともに消耗しきってしまう」と語り、子供達の視覚と聴覚が、正規の学校教育プログラムで要求されている長い授業時間や制限によって、ひどく害を受けることもあると警告しています。

  モントリオールのティトリー夫妻は、2、3年前、ムーア氏の話をテレビで聞いて、我が子を家庭で教育しようと決心しました。最近のテストでは、9才の息子ネイスンが中学2年生のレベルで読むことができ、7才の妹も6年生のレベルで読めるという結果が出ました。つまり、公の学校の同じ年令の子供達に対し、4、5年分進んでいるということになります。どちらの子供も、正規の学校教育で読み方を教わってはいません。

  教育家ジョン・ホルトは述べている、「子供は、自分で発見することによって、最も良く学びます。子供達はもともと、まわりの世界に対して旺盛な好奇心を持っており、探求心に富んでいて、物事を素早く身につけ、機知に富んでいるのです。学校はただ、うわべだけの報酬と罰とテストと厳格な訓練によって、それを妨げているだけです。学校でなされている教え方は、好奇心と自信と、質問したいという意欲の大部分を抑えてしまいます。子供達はただ答えを収集し、教師は、子供達が答えをオウム返しに繰り返すことを望むだけです。その結果、多数の子供達は、成績の良い子供も含めて、自分自身で論理的に考えたり、問題の解決策を考え出したりする能力を全く身につけないで終わってしまうのです。」

  ホーム・スクーリングをしている人達は、公の教育はあまりに組織化され、画一化されていると感じており、自分の子供の教育に関して深い責任感を抱いており、それに深く関与したいと願っています。親達は道徳的、又宗教的な訓練を子供に時間をかけて行いたいと願っているのです。

  ミシガン州スコットビルのアーリーン・ヘイトさんは言っています。「子供達が学校に通っていた時は1日中出ていて、夜になると、ものすごい量の宿題を持って帰ってきました。ですから、就寝時間前の短い時間に宿題を終わらせようと大あわてでした。でも今は家庭で勉強を教えているので、もうそんなことはなくなりました。家族みんなが一致団結して学業に励んでいます。時々価値観についての話をしますが、その内容は実に驚くべきものです。以前は、そのような時間は全然なかったように思います。」

 

どうしてホーム・スクーリングをするのか?

  ミシガン州のアンアーボーにある「家庭教育プログラム」の創始者パット・モントゴメリーは、ホーム・スクーリングに対する彼女の考え方を、次のように要約しています。

  1.子供の教育に対して、親が最大の責任者である。

  2.学校市場における消費者は親なので、親には、教育の課程を調整したり、変更する権利がある。

  3.教育課程に最も関係があるのは親と生徒と教師なので、彼らこそ、カリキュラムを決める資格を最も有している。

  4.生徒達には、自分の時間の使い方や、何を学びたいかに対して、少なくとも教師と同じくらい発言権がある。個人指導では、本人の興味や能力に応じて進めていくのが最善である。

  5.成績をつけたり、テストをしたり、他の生徒達と比べて競争させるような習慣は、個人的な成長にほとんど貢献するところがない。

  6.生徒は、自分で行なうことによって、最も良く学ぶ。つまり、自分を愛してくれている大人のそばで、その良い模範をまねることによって、また自分のまわりの世界のいろんな局面に直面することによってである。

  7.生活の場こそ、勉強の場である。

  家庭教育の提唱者レイモンド・ムーア氏は、親が子供の教育の決定優先権を持つべき理由と、法的、社会的圧力によって全国的に広く行なわれているように、早くから子供達を学校に通わせ始めるべきでない理由を幾つかあげています。

  「子供を自分で教育するよりも学校の方が良い仕事ができると信じる事を拒む親たちがいます。だからその人達は、小学校の高学年くらいまでは、子供達を家庭にとどめる事の方を望むわけです。小学校の全期間だけではなく、さらには中学校や高校が終わる年令まで家庭にとどめておくことを望むケースもあります。私達の見たほとんどのケースでは、子供達は、この親としての関心や世話に対して熱心に反応しており、学校に通う平均的な子供よりもずっと進んでいます。そして、隔離されるどころか、どちらかというと、こういった子供達の家庭は、近所づきあいの中心となっているのです。近所の子供達は、どこの親が子供のことを真に気にかけているかがわかるからです。

  多くの親が、学校では自分の子供達を個人的な違いに応じて扱うのは全く不可能であると感じています。このような親達にとっては、工場の大量生産が子供達にとって望ましい教育の形式とはならないことが、一目瞭然なのです。多くの研究の結果、いつの世でも天才は、成長期に家庭において一対一で親やその他の人に教えられてきたことがわかっています。

  学校教育のほうが家庭教育よりも優れているということを証明できる証拠は、何もありません。総合中等学校(マンモス学校)の創始者であるジェームス・ブライアン・コナントは死ぬ前、学校を合同化したことを悔いていました。事実、それによって一部屋からなる田舎の学校はなくなったのですから。ちなみに、一部屋の学校よりは、しばしば家庭の方が、さらに優れた結果を上げてきたのです。

  筋の通った一貫した子育てを行ない、子供の言動にすぐに反応を返してやる親のいる暖かい家庭こそ、安定し、前向きで大いに社会に役立つ人間を育てる最善の場所であることを多くの研究結果が示しています。

  児童心理学者達は、子供達は、基本的には一対一または2〜4人の小さなグループでのほうがとても良くやることを指摘しています。クラス全体や、大きなグループでやるような活動になると、子供達はしばしば緊張するのです。

  子供は小学校に入ると、自分は価値ある人間なのだという肯定的な価値観を持つことが難しくなるということが研究でわかっています。」

  「学校体制から子供を守る」(原題:School-proof)の著者であるメアリー・プライドは、ホーム・スクーリングと「学校体制から子供を守ること」についてこう語っています。「学校体制から子供を守るとは、世間で盛んに採用されている政治的また教育的理論が何であろうとも、自分の子供には必ず優れた教育を受けさせるということです。つまり、この文盲の時代に子供が読めるようになること、また、反抗の時代に子供が正当な権威に従うようになること、この画一化時代に子供が不正に対して堂々と立ち向かうようになることです。つまり、子供がより賢くなり、より優しくなり、それほど物質的なほうびや罰に頼ることがなくなるのです。だから、親はもっと確信を持ち、自分の子供について心配する事もへり、もっと子供達といるのを楽しみ、子供達の将来についてより高い希望を抱くことができるようになります。つまり、あなたが子供の教育を管理するのです。」

 

誰でも教師になれる!

  「Teach Your Own(自分で子供を教えなさい)」の中でジョン・ホルトは、誰がホーム・スクーリングをする親になれるかを書いています。「自分の子供を教えるのにふさわしいのはどんな人か、簡単に要約してみましょう。まず子供好きで、子供達と一緒にいて、子供達のエネルギー、愚かさ、感情などを楽しめる人でなければいけません。子供達の話や質問も楽しんで聞き、また同様に、楽しんでそれらの質問に答えるのです。自分の子供達を友人、それも無二の親友のように思い、子供達がそばにいる時はより幸せに、またいない時は寂しく感じるようでなければなりません。子供達を人間として信頼し、自信をなくしやすいことに気を配り、親切に扱い、真剣に受け止めるのです。子供達が感じている、まわりの世界に対する感嘆の念、好奇心、興奮などを、自らも感じる必要があります。専門家に対して懐疑的になるくらい自分の信念に確信があり、子供の教育についての責任を負うためなら、あえて一般の人々と異なる者になるのもいとわぬ覚悟でなくてはいけません。」

 

一般教科における利点

  家庭学習プログラムを提供している、クリスチャン・リバティ・アカデミーの創始者であるポール・リンドストロム師は、こう述べました、「公の学校では、教育的、道徳的な衰退が起こっています。親達は満足しておらず、私達はそれに代わるものを提供しているのです。」 同師は、自分の家庭学習プログラムは、普通の学校に通う同年令の子供達よりも優れた道徳観を備え、より賢い若者を生み出している、と語っています。家庭で学ぶ生徒達が標準アイオワ・テストを受けたところによると、全国平均に比べて、1年から1年半進んだ成績を収めています。

  アラスカ州で過去5年間に渡り、通信教育でホーム・スクーリングをしている生徒達約1,300人をテストしたところ、ホーム・スクーリングをしている生徒達は常に、公の学校の生徒達に比べて、より高い成績を収めていることがわかりました−−16パーセント高い成績です。学校に通っていた生徒達も、ホーム・スクーリングの生徒達も、同じカリキュラムを使っていました。アリゾナ、アーカンソー、ノース・キャロライナ、ワシントンの教育委員会でもそれぞれ、ホーム・スクーリングをしている生徒達の方が、全国的に認められている標準学力テストでの成績が平均を上回っているとの結論を下しています。

 

誰が、学ぶのに学校を必要としているのか?

  ポール・A・キーネル博士は、「子供の可能性を信じ続けなさい」(原題:Never Lose Faith in Your Child)という記事の中で、以下の点をあげています。

  「イエスが12弟子を選ばれた時、成績がクラスでトップ10%に入るかどうかを基準にして選ばれたりはしませんでした。主は、福音を未来の世代に永久に伝えるために、最も柔和な者たちを選ばれ、そのほとんどが無学でした。

  主の使徒とまでいかなくとも、偉大なリーダーとなった人々の中には、子供の頃、学校ではいつも「絶対に成功する見込みのない」子供のグループに属していた人達もいます。

  アルバートは話すのを覚えるのが遅く、親は彼にどこか異常があると思ったほどです。学校の先生は彼を落ちこぼれと呼び、クラスメートも彼を避けました。彼は、大学入試も一度目は不合格でしたが、驚くことに、後に世界でも最も偉大な科学者の一人になったのです。その名は、アルバート・アインシュタインです。

  ウィンストン・チャーチルは、お世辞にも賢い子供とは言えませんでした。それどころか、初めの内は何年も、クラスで一番成績の悪い生徒だったのです。おまけにひどいどもりだったので、親も先生も彼の言っていることがほとんど聞き取れませんでした。後に彼はイギリスの首相となり、歴史において最も雄弁な政治家の一人として知られるようになったのです。また、1953年にはノーベル文学賞を受賞したのでした。」

  サムエル・ブルメンフェルドは、「Trojan House in American Education (アメリカ教育におけるトロイの木馬)」の中でこう述べています。「歴史的に証明されているところによれば、公の教育が導入され、義務教育法が成立する前は、アメリカはおそらく世界で最も文盲率の低い国であった。ジョン・アダムズは、1765年にこう記している。『アメリカ生まれ、特にニュー・イングランド生まれで読み書きのできない者は、彗星の到来と同じくらい稀である。』 1800年に行われた研究では、アメリカの初期の時代には誰もが読み書きできたことが確認されている。」 (現在、2300万人の大人のアメリカ人が事実上文盲です。つまり、自分の読んでいるものを理解できず、生活に活用できないのです。)

 

ホームスクーリングについての質問と答え!

  「自分の子供を家庭で教えることは、近所の人に見つからないことを願いながら、裏庭で箱舟を築いているようなものです!」−−ホーム・スクーリングをしている母親。

  たいていの場合、ホーム・スクーリングをしている家庭を学校や教育委員会が調査し始めるのは、もともとそれらの機関が調査を自ら決定したからではなく、せんさく好きな近所の人達が通告したためなのです。

  自分の7人の子供達をホーム・スクーリングしていたルアン・シャクルフォードさんは、カリフォルニアにある大きなホーム・スクール支援会の創立者であり、「ホーム・スクーリング実践者ガイド」の著者でもあります。以下は、近所の人や親戚の人達への対応法について、ルアンさんの本に書いてあるアドバイスです。

  ホーム・スクールをすることを決断する時、様々な反応に直面する事でしょう。私の経験から言えば、ごく一部の学校教師、親族などを除けば、一般大衆はホーム・スクールについてかなり肯定的な意見を持っているという事がわかりました。

  誰かが違ったことをしていると、たいていの場合、人は、それを自分に対する脅威として受け取ることがあります。中には、ホーム・スクールをしていないので、自分はホーム・スクールをしている人達よりも霊的ではなく、子供のことを気にかけていない親だと思われているのではないかと感じる人達もいるようです。人というのは、自分に脅威だと思うと、相手のしていることがどのようなことでも、それが間違っているという理由づけをしようとします。ですから、次のようなことは言わないように心がけるべきです。

 −うちの子を他の子供達と一緒にしたくない。

 −中学、高校もホーム・スクールをするつもりです。

 −大学に行くことは重要なことではありません。良き母、良き妻に育てたいのです。

  以下は、ルアンさんのあげた、すべきではない事のリストです。

 ● ホーム・スクールについてキャンペーンをしてはいけない。そうすることは、脅威とみなされます。

 ● 後ろめたく感じたり、こそこそとする必要はありません。麻薬を売っているわけではないのだから!

 ● たいていの場合、ホーム・スクールについて長々と説明をしないこと。手短な返答で十分でしょう。質問をしてくる人達一人一人に「弁明する」必要はありません。ただの世間話のつもりで聞いているだけかもしれませんから。

 ● 自分のいる地域で論争の的になっていることには、どちら側の肩も持たないこと。仲裁人でいなさい。

  両親や親族は世間の目を気にするので、一番問題を引き起こす傾向があります。あなたの両親は、孫が大学に行き、社会的に成功するのを願っているからです。又は、自分達のしてきたやり方にあなたが反感を抱いているから、そんな事をするのだと感じているかもしれません。両親は、あなたが優れた家庭学習プログラムに沿って教えており、教育に関してよく知っている人が「あなたを指導している」と知るなら、安心するようです。

  次にあげるのは、近所の人達を好意的に保っておくための秘訣です

 ● あなたのしていることを説明する時、普通の人が納得するような説明の仕方をする。

 ● 良き隣人になる! 子供を普通の学校に通わせていないのではと不審に思われた時に、隣近所で日ごろから良い評判があると非常に助けになります。隣近所と知り合いになりましょう。

 ● 庭をきれいにし、ペットが近所迷惑にならないように心がけなさい。

 ● 子供達に、他人や自分の所有物を大切にすることを教える。

 ● 子供をしっかり自分の監督下においておく。特に学校の授業時間帯には。

 ● 近所の人があなたに何でも気がねなく話せるようにする。そうしないと、何かあると彼らは役所などに言いつけに行くでしょう。

  役所から児童福祉課の人達が訪問してきたら、どうすべきでしょうか? 「こんにちは、私は児童福祉課のチャウという者ですが、こちらで無認可の育児センターをしているとの通報があったので調査に伺ったのですが。」そのような人達は、たいていの場合、訪問先の相手が怒り出すことが多いので、あなたが親切で忍耐のある応対をするなら、とても喜ぶようです。お金を取って他の家の子供達を預かっているのではないことを説明し、ただ、自分の家は大家族で、幾つかの理由から家庭で教えることにしたのだということを簡単に説明します。状況が許す限り、できるだけ自分の感じていることを説明すればいいでしょう。

  学校時間帯については? 8時から3時までの学校時間帯に子供をかくまっておくだけで、すべてが解決するわけではありませんが、通常のスケジュールを守るべきです。地域の学校の時間帯と通学児童が学校に行っていない時間を知ることは助けになるでしょう。子供と外出中に、どうして学校に行っていないかと聞かれたら、「半日授業なんです!」と説明すればいいでしょう。毎日、半日授業しているのは事実なのですから、嘘をついているわけではないのです。ただ、人は外見で物事を判断するということを覚えておきましょう。ですから、きちんとしていれば問題も少ないのです。信仰のゆえに迫害されるのは大変ですが、自分の手落ちから迫害されるなら最悪でしょう。イエス・キリストの愛に迫られて行動しなさい。

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  教育者ジョン・ホルト氏は、「自分で子供を教えなさい」の中でホーム・スクーリングをしている親がよく尋ねられる色々な質問への回答を書いています。下記の「質問と回答」では、ホルト氏に敬意を表して、ホルト氏の本からの抜粋には「JH」という印をつけています。もし、誰かとホーム・スクーリングについての話になり、「有名な人の名を、よく知っている人かのように引き合いに出す」のが役に立ちそうなら、氏の回答を幾つか利用するのもよいでしょう。

  (編集者メモ:以下の回答は、ホーム・スクーリングについての最近の資料から編集したもので、必ずしもあなたの状況にあてはまるとは限りません。ですから、あなたが質問された時の答え方については、知恵を求めて祈って下さい。)

 

  質問:もし、夫と私がホーム・スクーリングをする決断をしたら、トラブルが沢山起こるのではありませんか?

  答:できるだけ、どんなトラブルも避けるように。役人と対決せずにすむうまい方法があればそうしなさい。−JH

  質問:学校に通っている子供達は、様々な環境で育った子供達と知り合うことができます。子供達を家に置いておくというのは、この経験を逃させていることにはなりませんか?

  答:まずこの質問の最初の部分についてですが、子供達が、異なる人種や宗教や経済状態の子供達と出会って友情を築くことは、一般の学校では、実際に非常にまれです。たとい子供たちが自由に交友することが許されていても、実際にはしないのです。小さい学校には例外もありますが、小さな学校はあまりないのです。一般の学校では、子供達は環境や生い立ちなどが異なる子供達と接する機会は非常に少なく、学年が上がるにつれ、ますます減っていっています。

  大きな学校の殆どは、その中で子供達がいろいろなコースに分かれています。たとえば、大学コース、就職コース、専門職コースです。そして大きなコースもそれぞれが、さらに少数のコースに分かれていて、大きな学校では、5つかそれ以上のコースがあることもしばしばです。コースによって学生が受ける授業も違っています。一つのコースの学生は決ったクラスのグループに入り、別のコースの学生は別のグループに入るという具合で、コースの違う学生達が同じクラスで学ぶことは非常にまれです。しかし、重要なポイントを言いますが、いろいろな調査研究によって、これらのコースの区別というのは、家族の収入や社会的地位に関連していることがわかっています。かなりの金持ちか、社会的地位が非常に高い家庭の生徒がトップの部類に属し、2番目に金持ちの生徒、そして、底辺には貧しい生徒が属しています。

  同じ人種が集まった学校でも、それが白人だけにせよ、白人以外の学校にせよ、階級ごとの隔たり、階級による差別や衝突があります。階級を越えた友情というのはあまり見られません。そして増加している中学や高校での校内暴力は、ほとんどと言ってよいほど、そのようなグループ間での争いからです。それに、社会的また人種的分離は、学校に入ってくる次の世代に引き継がれていき、通学児童の健康と安全は大きな危険にさらされています。

  ですから、学校が広範囲に渡る様々な環境から来る子供達をみんな一緒にして、幸せなグループを作るという考え方は、ほとんど現実に即していません。「大半の子供達は、過度の規制と操作によってできあがった、同じ部類に属する子供達と一日を共に過ごします。つまり、社会的、及び経済的に同じ階級の家庭の子供と過ごすのです。」ジョン・ホルトや、社会学者および家庭教育者であるデービッド・コルファックスは以上のような結論を出しています。

 

  質問:しかし、この国(米国)は、非常に広大なので、国家的団結のためにも、「社会的きずな」のようなものとして、公けの学校が必要なのではありませんか?

  答:アメリカの公立学校は、社会的きずなとしての役割を果たし、調和と団結と、何かを達成するために共に協力して働くという精神を生み出しているべきなのです。しかしながら、子供達の犯罪の増加や反社会的な行動からわかるように、学校は団結を育んではいません。公立学校に関する時代遅れの概念は、自分の目的達成のために競争したり、他人を利用するのは良いことだというものです。しかしそれは、同じ仲間同士での敵意や、他の人種、宗教、社会的地位にある人々に対する敵意を生むだけです。実際に一般の学校は、このような考え方こそ、アメリカの美徳、「アメリカ式」であると主張しています。学校で養われたこの不和や敵意や私利私欲追及の人生観から、国は社会的また経済的な崩壊の瀬戸際に追いやられつつあるのです。

  家族こそ、今でも社会が持つ最善の「きずな」であると私達は堅く確信しています。ですから自分達の子供に人生の明確な目標と目的、又他の人達への積極的な思いやりを教える為に時間をさいている人々はおそらく、国に唯一の「社会的きずな」を提供しているというのが私達の主張です!

  レイモンド・ムーア博士はこう言っています。「私達の社会は、家庭を基盤として成立っています。けれども、私達はその考えから遠く離れてしまい、それを廃止し、政府に親代わりをさせるしてしまう方向に向かっているのです。今、一流の社会学者たちが、私達の民主社会の死が一世代以内に起こることを予告しています。」

 

  質問:私達は親が頑迷偏狭な考えを、子供達にも教え込まないようにするにはどうしたらよいでしょうか?

  答:まず最初に、私達にはそれをさせない権利があるだろうかということを自問してみる必要があります。自由な国と警察国家との大きな違いの一つは、自由な国においては、法律に従っている限り、自分の好きなことを信じることができることだと私は常々思ってきました。人が何を信じていようと、それは政府には何の関係もありません。ましてや、ある種の考え方が良くて、他のは悪いなどと言ったり、学校は良いことを広め、悪いことは追放すべきだと政府が口を出すのは全くおかど違いというものです。仮に私達が、良い考え方を広め、悪い考え方をなくすために、義務教育というものを通して政府に権力を与えたことにしましょう。すると、何が良くて何が悪いかの決定権を私達は誰に与えるべきでしょうか? 国会議員にでしょうか? 州の教育委員会でしょうか? 地元の教育委員会でしょうか?

  誰でも、以上の質問を真剣に考えている人達は、きっと、政府の誰一人としてそのような権力を持つべきではないことに同意するはずです。人々は、自分達の信じたいことを信じる権利を有しているだけでなく、それを子供達にも教える権利があるのです。私達は、子供達に何が正しい考えかたで、何がそうでないのかを教える権利を学校に持たせるわけにはいきません。学校は、何をしようと何を言おうと、何かの考え方を吹き込むことになるので、政府が建てた学校で教えられたり、広められたりしていることを承認する人達なら、喜んで自分の子供達をそのような学校に送ることでしょう。しかし、そのような考え方に同意しない人達は、他にも選択ができるようにすべきです。これこそ、1925年ピアス対ソサエティー・オブ・シスターズ裁判で、米国最高裁所が決定したことです。

  子供を公立学校に行かせることに強く反対する人が年々増加している理由の一つは、実のところ、公立学校は、まるで誰かが彼らに何かの考え方を広めて、他の考え方をつぶしてしまう権利を明確に、また合法的に与えたかのように振る舞っているからです。州政府や連邦政府の教育関係の一握りの役人達が、学校の言動を幅広くコントロールしていて、彼らが子供達や国に良いと考えたことは何でも広めようと、学校をますます利用しています。しかし、私達はいかなる政治的手続を通しても、学校にそのような権力を与えることを正式に決定したことは一度もありませんし、学校にどんな種類の考えを広めさせたいかについて同意したことなど皆無です。それどころか、かなり大勢の人が、現在、大半の学校が教えていることの多く、またはほとんどをひどく嫌っているというのはもっともなことです。−−JH

  「ホーム・スクーリング・ワークショップ」の著者であるグレッグ・ハリスが適切な発言をしています。「公立学校は事実上、人間至上主義を教える宗教学校となってしまっている。このことは、20世紀に、すべての州の教育学部が人間至上主義を教える場所に徐々に変わっていったために起こった。公立学校の教室は、神を信じず、かなり独断的な、『ニューエイジ』のような宗教の日曜学校や説教壇である。アメリカの教育は本来の信仰に対して宗教戦争をしているのだ。」

 

  質問:しかし、あなた達のしていることは違法ではありませんか? 裁判に訴えられたり、子供達を取り上げられたりはしないのですか?

  答:「ホーム・スクーリングは明確に、または暗黙の内に許可されている。50の全ての州の義務教育法において、通常の教室で受ける学校教育に相当するものとされている。多くの州では、義務教育法に家庭での教育についてはっきりとした項目がある。又その他の州の法定の中には、家庭教育を『私立学校』の中に含めているところもあるし、『学校教育と同等の教育』、または学校教育に類するものとみなしているところもある。」(アイオワ州特別調査委員会報告書、1985年)

  「恥ずべきことですが、学校は、子供達を学校に行かせない親から子供達を取り上げようとした例が数々あります。これに対抗し、裁判所にそのような処置をさせないための、法的手段があると私は思います。そして、もし最悪な事態が起こり、裁判所が『学校に子供達を戻せ。そうしないと、我々は子供達を取り上げる』と言うなら、次の手段を考えている間、子供たちを学校に戻し、それから、ただ他の州か他の学校か他の司法管轄区域に引っ越すこともできます。」−−JH

 

  質問:しかし、子供の教育を支配し、指揮する権利は実際には誰が有しているのでしょうか。親でしょうか、それとも政府でしょうか?

  答:子供の養育と教育方法を決定する責任と権利は、誰よりも親にあることは確定しています。

  1923年に、アメリカの最高裁判所で以下のような判決が出されました。「監督権については、子供達の生活に即した教育を与えるのは、本来親の義務である‥‥」 1925年には、最高裁判所は次のような見解を示しました。「‥‥公立学校の教師の指導だけを受けるように強制させて、子供達を統一された基準に合わせようとするような国家権力は、我が国のすべての州政府が原則としている、自由についての根本的な原理には一切そぐわない。子供は、国家に属するものではなく、子供を養育して将来に向けて導く者が、将来負うようになる責任のために子供を準備する権利とその重大な義務を負っている。」(ピアス対ソサエティー・オブ・シスターズ裁判、1925年)

  1944年、最高裁は、「基本的に、子供の養育と世話は、第一に両親に帰する‥‥」という見解を示しました。そして1965年には、最高裁は再度、以下のように述べました。「親の意向通りに子供達を教育する権利は、憲法修正第1条と14条(これらは、信教の自由や、自由とプライバシーの権利を保証しています)により、全州に適用される。」 1972年に、歴史的裁判と言われたウイスコンシン州 対 ヨーダー裁判の最高裁の判決文にはこう記されています。「‥‥西洋の歴史や文化は、子供の養育に対する親の強い配慮の伝統を表している。親こそ、子供達を育てる第一人者であるという事実は、現在、永続的なアメリカ伝統として確立されており、それには議論の余地はない。」

  1972年の最高裁判所の判決文にはこう書かれています。「‥‥万人に統一された教育を施そうとする連邦政府の関心は高く評価するものの、根本的な権利や益が侵害される場合は、何の調整もなしにそれを自由に行使することはできない‥‥」 この判決文には以下のことも書かれています。「‥‥いかに政府が万人に統一された教育を施したいと考えていようとも、他の意向や益を排除したり、それに取って代わらせることは、断じてすべきではない。」

  レイモンド・ムーア博士はこう言っています。「現代において最も深刻に必要とされているものの一つは、憲法修正第一条がよくわかっていない学校関係者にその条項について知らせることである。米国最高裁判所による憲法修正第1条の度々の解釈によって、子供の教育を決定する権利は親にあることが保証されている。」

  子供達の教育を決定する権利は、信教の自由や言論の自由や家庭のプライバシー、また親の自由を含む、米国憲法の数多くの条項の中で保護されており、裁判所によって何度も何度も承認されてきました。教育面についての親の権利の概念も、「ハッチ修正条項」と一般に呼ばれている、学生権利法の連邦政府保護の条項において承認されています。

  レーガン前大統領は、こう言いました。「親は、公にであろうと、私的にであろうと、自分達が適切と考える通りに子供達を教育するという、当然で不可侵の権利を有している。この権利は、承認され、また奨励されるべきである。」 前教育長官のウイリアム・ベネットは次のように付け加えています。「親は自分達の望む通りの教育を、子供のために選ぶべきである。」

 

  質問:もし子供達を学校に送らないなら、正常で社会に適合できる子供にどうやってなれるのでしょうか?

  答:私達の子供達をどのように「社会に適合」させたいのですか? 歴史的に有名になった人、状況が正しくない時に、あえて状況を変えようとした人というのは、彼らを追随させようとする社会的圧力にも屈服しなかった人々です。そのような人達は、善悪に対して強い確信を抱いていて、その努力によって、変革や改革がなされました。子供達を公共の教育の型に入れてしまおうと強制したところで、正しいことを行うために必要とされている強い個性を持った生徒を生み出すことはできません。現状にあえて挑むこともしないロボットを作り出すだけです。また、間違ったことに対して発言するのは不利だと学校で学び、他の生徒からの圧力にすっかり影響されて、主流に反するような決断は決してしない人間を作ってしまうのです。

  学校は、世間の様相を、おぼろで、もっと弱々しく、また気取った形で現している場に過ぎません。何も変えることはないのです。子供達を優しく導いて、貪欲や妬みや暴力から遠ざけることなど到底できません。生徒を他の生徒から守ることさえできないのです。生徒の興味の大半は、お金やセックスや麻薬に向けられているようです。そして、そのような誤った価値観とどんなに学校が戦おうと努めても、ほとんど完全に失敗に終わるのです。」−−JH

  ですからもし子供達に、現在の大衆社会のようになってほしいなら、公共の学校は、子供達を送るにふさわしい場所です!

  質問:けれども、やはり、子供達から学校での貴重な体験や社会生活を奪っていることにはなりませんか?

  答:他に何の理由もないとしても、学校での「体験」や「社会生活」自体が、子供達を学校に行かせたくない十分な理由となることでしょう。ごく少数の学校を除いて、私が教えたか、訪問したか、知っている学校すべてにおいて、子供達の社会生活というのは、意地悪で、競争心に満ち、排他的で、人よりも上にのし上がろうとし、気取っていて、誰が誰の誕生パーティーに行ったとか、誰がどんなクリスマスプレゼントをもらったとか、誰が何枚バレンタインデー・カードをもらったとか、誰が誰々と話をし、誰はしないかなどといった話ばかりしています。1年生のクラスでさえすぐに、リーダーのグループと、リーダーに従うグループと、これらのグループには全く入れてもらえないのけ者のグループに分かれます。

  学校で見られる子供っぽさは、大半の人々が子供だから当然という具合に受け入れてしまっています。ふざけたり、好き勝手なことをしたり、相手かまわず反抗的になったり、秘密を持ったり、他の子供に対して残酷なことをしたり、自分のグループ以外の子供を仲間はずれにしたり、極度におもちゃ遊びにふけったり、独占欲が強かったり、がらくたを集めたり、お金を使ったり、お金を払う娯楽にふけったり、大人をまんまと操って関心を引いたり、どこかに連れて行かせたり、面白いことをさせたり、何か一緒にさせたりするのです。こうした事はすべて、私が思うに、全く不必要であって、「普通」のことではありません。子供達は、十把一からげに学校に入れられて、学校の過酷な状況の中でうまくやっていく為に、こうした事を身につけていくのです。子供の家庭が裕福であればあるほど、こうした傾向がひどいようです。

  ある教師はこう書いています。「今朝私は小学校3年生の生徒達に、『ここの学校では、生徒達は優しく、互いに親切だと思うかい?』と質問しました。すると22人の生徒の内、優しいと思ったのは2人だけで、あとの生徒達は、ほとんどが意地悪で、悪口を言い、人を傷つけたりすると言いました。正直なところ、私は驚いてしまいました。私はずっと、うちの学校は他の学校と違ってみんな仲がいいと思っていたからです。」

  このことについて私が話し合った何百人もの内、学校での社会生活が優しさや寛容さに満ち、互いに助け合い、民主的で、仲が良く、愛に満ちているとか、子供達にとって良いものだと言った人は一人もいませんでした。

  けれども、子供達がさらされている、この悪質な社会生活を両親や他の人々はどうして受け入れ続け、さらにはそれを支持さえするのでしょうか? 私が学校における社会生活を非難すると、例外なく人々は、「けれども、それこそ、子供たちが実社会で経験するようになることじゃないか。」と言います。−−JH

  ホーム・スクーリングをしている人達にあてた、ジョン・ホルト氏が編集するニュースレター、「学校なしに育つ」の中に、私達は次のような記事を見つけました。「学校に行かなくなってからの、私の12歳の娘の言葉:『お母さんは、(学校をやめたら)友達がいなくなってしまうと心配していたけれども、そんなこと全然心配いらなかったわ。だって、誰も学校では友達なんていないんだから。話をしたり、助け合うこともないし、何か一緒にすることも全然なかったわ。頭が良くて、いい成績をもらうと、他の子供達からいじめられるし、勉強ができなくてもいじめられる。だから、みんなでいじめ合っているの。」

  多くの人々は、子供が人づきあいの良い人間になるには、従来の学校に見られるように、同年令の子供達のグループと交わることが必要だと誤解しています。調査の結果、これが真実でないことが証明されています。社会生活に正しく順応していくのに、大勢の子供達に常にさらされている必要はありません。事実、そういうことをすると、かえって逆効果になります。コーネル大学で、ユリ・ブロンフェンブレナー博士が766人の6年生を対象に研究をしました。その子供達は、自由時間に、両親や他の家族の大人達とよりも、同年令の子供達とより多くの時間を過ごしました。この研究の結果、そういう子供達は、両親や、自分の仲間や、自分自身に対して歪んだ見方をすると、彼は報告しています。この研究の対象となった子供達は、年少期の大半を大人と過ごした子供達に比べて、より問題を起こしやすく、自分のことをより低く評価し、同年令の仲間や両親についても否定的な見方をし、将来に関しても悲観的なのです。生れつき確固たる社会的価値を抱いている子供たちはほとんどいないことは、一般的に認められています。ブロンフェンブレナー博士は、同年令の仲間に頼ることは、現代社会のガンであると言っています。

  ナショナル・デイケア・デモンストレーション・センター(HEW)の所長を務めていたマーティン・エンゲル氏によれば、「社会的な利点」のために、親が自分の子供達を公立学校やデイケア・センター(保育所)に行かせることを選択すると、さらに他のことがかかわってくると語っています。彼はこう言っています。「一日の一部の時間にしろ、親が子供達の世話から解放されようという動機を持っていることは子供達に鮮明に伝わるものです。同年令の子供達と交わったり、優れた学習体験をし、学校に行ったり社会に出ていくための良き基盤を築きあげるなどといったことが、どれだけその子供のためになるかなどと、私達が幾ら理屈をこねても同じことです。思いやりに満ち、子供一人一人にに関心を払うような、どんなに優れた育児環境でも、子供達が無意識の内に感じる、親から拒絶されたという思いの埋め合わせをすることはできないのです。」

 

  質問:教育は民主主義や良き市民になることと関係があるのだから、子供は他の子供たちのいる公立学校で学ぶ必要があると思いませんか?

  答:公立学校のシステムは、発言し、改善や変化を目指すよりも、同調することを奨励します。考えなしに同調するのは民主主義ではありません。そして不正に対してそれはいけないことだと発言するのを恐れる人は、社会の真の価値観に対してほとんど何の貢献もしません。全国的に見て、大学などの学生は、率先性や創造力や冒険心に欠け、どちらかというと事なかれ主義で、教授が喜ぶようなことを言い、学位を得て、卒業するということがわかってきています。そうした、個人的な信念や自己表現の欠如というのは、民主主義を進め、より有能な市民を育てていくのに役立つのでしょうか? いいえ! 実際に公立学校で起こっていることは、「民主主義や良き市民になること」とはかけ離れているのです。

 

  質問:どうすれば、子供達が「不適任」な教師によって教えられることがないようにできますか? 親達には、教師になる資格はありません。

  答:レイモンド・ムーア氏は、「家で育てられた子供達」の中でこう言っています。「確かに、自分の子供達を教えるのに適任とは言えない親もいます。けれども私達は、しばしば政府が資格とみなすもの、つまり、教員免許や大学の卒業証書といったもののことを言っているのではありません。むしろ、不適任な親、あるいは教師というのは、子供達の真の必要に無関心な人、また、子供の必要よりも、自分の自由を優先する人のことです。愛の内に、何にもまして子供達の必要に一番関心を払い、一貫性を持って子供達の必要に応じる暖かい親こそ、子供を教えるための世界で一番素晴らしい才能を有していると、私達は堅く信じています。両親が日々、一対一で教えるというのは、最高レベルの卓越した教授法に匹敵します。‥‥親の能力が別段秀でていなくても、愛情深い親が家庭という単純な環境において自分の子供達を教えるというのに匹敵する教育プログラムは一つもありません。」−−レイモンド・ムーア

  実際、自分の子供達を教えている親達が「不適任」であると心配している教育者達は常に、「適任」という言葉を、教育学部で教育を受け、教員免許を持っていることと定義しています。彼らは、子供達を教えるには、教育学部でしか学べない神秘的な技能を要し、この「訓練」を受けた人しか教えることができないと信じこみ、またそういう神話を永遠のものとしたがっています。けれども、正直な教師なら誰もが言うように、どのように教えるかは大学で学んでいないのです。彼らは、子供達を教え始める前ではなく、教え始めてから、教え方を学び始めたのです。

  教えるためのコツや技術は、現代の教育者だけが持っているものではありません。そして非常に多くの場合、教育者は教えるコツや技術を失ってしまったか、そんなものは初めから持ち合わせていないのです。学位があるからといって教師になれるわけではありません。優れた教師になるには何が必要かをしっかり見てみるなら、それはむしろ、教えるのに適した性格や、子供への愛、ユニークな考え方、熱意だということがわかります。

  つい最近まで、そのように教師になるための訓練を受けた人は一人もいませんでした。自分の知っていることを教えたり、自分の知らないことを誰かが学ぶよう助けるには、何年にも渡って教え方を学ばなければならないという、あきれた考えを人々が持ち始めたのは、つい最近のことなのです。

  教えるための技術は、謎めいたものではありません。他の人達との接し方に関しての常識があれば十分です。それは間違って教えられるのでない限り、日常生活から十分学べるのです。大学では、教えるという事自体にはほとんど関心が払われていません。彼らは、学生を学校という奇妙な世界で働くよう準備することに大半の時間を費やしているのです。教育学部の学生達は、自分達の学んだ事は極めて重要で、それを知っているのは自分達だけだと考えるように教えられています。

  教師の資格のある人の方が、資格のない人よりも教えるのがうまいとか、資格のない人は全く教えることができないという考えについては、それを裏付けするような証拠は何一つなく、それが真実ではないことを証明する証拠なら山ほどあります。大きな成功を収めている通信教育の学校や、家庭教育プログラムや、さらには最もえり抜きで基準が高く、成功を収めている私立学校の多くでは、その教師の内、教育学部に行き、教育の学位を取得した人は、いたとしても、ごく少数しかいません。

 

  質問:けれども、文盲の両親はどうですか?彼らは本当に、子供達を教えられるといえますか?

  答:私達は絶対に文盲ではないし、実際のところ、文盲の親達はあまり、子供達に学校をやめさせてまで家庭で教えようとはしません。けれども誰か文盲の親がそういうことをしたとしても、私はこう言うでしょう。「読み書きを学んでいない人でも、子供が世の中について学ぶのを学校以上に助けることはできないということはないと思います。」と。子供達が社会に出て行く道を見いだすのを助けるのに、博士号や何かの免許は必要ありません。

 

  質問:子供に一日6時間教える時間をどうやって見つけるのですか?

  答:現在、誰が子供に一日6時間教えているというのですか? 私が公立学校に通っていた時には、15分間授業を受けるのも珍しいことでした。生徒のことを気にかけている、思慮深い大人が、何かについて、興味深く、懸命に考えさせるようなこと、あるいは大切なことについて話してくれたのは希だったということです。私の受けた教育を通して、平均はおそらく、週に15分に近かったと思います。大半の学校の生徒の大半は、それよりずっと少ないことでしょう。教師が話すのは、子供に命令するか、注意するか、警告するか、脅すか、責める時だけなのです。

  とにかく子供達は、一日6時間の教育など必要としていないし、それを望んでもいないし、そんなのには我慢できません。彼らには話や、優しさや、同情や慰めが必要なのです。又自分の質問に答えてもらう事、少なくとも質問を聞いてもらう事を必要としています。自分と同年令の友達も何人かは必要ですが、何十人も必要としてはいません。2、3人、多くて6人というのが、子供達が一度に持てる真の友人の数の限度でしょう。学校はこのどれもめったに満たしてはいません。--JH

 

  質問:どうやって、子供達が知る必要のあることをすべて教えるのですか?

  答:何でも子供達が学びたいと思っていることを学ぶのを助ける能力があなたにあること、また、子供達はあなたの助けなしに多くのことを学ぶ能力があるということを、あなたが疑わないよう私は願っています。

  学校は、知識を生み出し、それを広めていると言いたがります。けれども学校は知識を集め、それをためこみ、できるなら、可能な限り高い価格で売る事ができるように知識を独占していると言った方が事実に近いでしょう。だからこそ彼らは、誰もが、学校で学んだ事だけが価値があると考えるよう望んでいるのです。しかしそれは真実ではありません! 私達の学ぶ事の内、価値のある事のほとんどは、学校以外の場所で学ぶのです。

  第一に、子供達は全員、それだけの時間を学校で過ごさなければならない、第二に、学校でしかそういった様々な事柄は学べない、と言うのは、不条理としか言いようがありません。子供達が学校に行っていなかったら、彼らがどれだけより多くを成し、より多くのことを学んでいたかが、どうやってわかるのでしょうか? 私達は人々に学校以外の場所で学ぶチャンスを与えてきたでしょうか? 幸いなことに、数少ない勇敢な人々が学校を逃れましたが、調査によれば、学校に行かない子供達は必ずといっていいほど、学校にいる子供達よりまさっています。

  いわゆる高等教育を施している教育機関の非常に重要な役目は、それほど人々に様々な事柄を教えることではなく、むしろ、特定の学習を受けたり、特定の仕事に就いたりしかできないよう制限することです。法学部の役目は、弁護士を養成するというよりは、むしろ弁護士になる人の数を制限することなのです。

  現在は、学位、それも非常に程度の高い学位を持っていないとできないことも、そのほとんどは、少し前には、そのような学位を持たない人によってなされていました。そういった人達は、どこでどうやって知識を得たのでしょうか? 彼らは、本を読んだり、自分自身で試してみたり、質問をしたり、より多くの知識を持っている人と共に、あるいはそういう人の下で働いたり、実際にやってみることによって学んだのです。

  覚えていると思いますが、高校には設備がしっかり整った化学実験室があったでしょう。そして、ごく少数の生徒がその実験室、あるいはその実験室にある設備のごく一部を使った時間の合計数は、簡単に数えられるほどだと思います。どの年令においても、「教育施設」における教育など全く必要ないと思います。−−JH

 

  質問:けれどもこれは過保護で、困難に背を向けて逃げていることになるのではないですか?

  答:どうしてそうしてはいけないのですか?子供達を保護し、少なくともできる限り逆境から守るのは親としての権利であり、正しい事です。世界の子供達の多くは飢えや栄養失調に苦しんでいますが、その苦しみがどんなものか味わわせるために子供達を飢えさせたりはしません。また、どの車もものすごいスピードで飛ばしている通りの真ん中で子供を遊ばせたりはしません。親として大切な事は、できるだけ子供達が自分の人間としての可能性を見いだすのを助け、そのために、良いものをできるだけ彼らの人生に注ぎ込み、悪いものはできるだけ彼らから遠ざけることです。あなたのように、学校はひどい所だと考えているのなら、何をすべきかは明らかです。−−JH

 

  質問:子供が大学に進学したり、専門職に就くための訓練を受けるチャンスをなくしてしまっているのではないですか?

  答:そんなことは絶対にありません! 高校に行かなくても、高校の通信教育を受けるか、あるいは高校卒業資格検定試験に合格すれば、高校の修了証書をもらうことはできます。−−JH

  大学に入学するのに、認可された学校での教育は必須ではありません。ほとんどどの大学でも、生徒が受けて、入学資格を得ることのできる入学試験を実施しています。ホーム・スクーリングで教えられた高校生はごく簡単に、高校の修了証書を取ることができます。ただ、高校卒業資格検定試験(GED)を受ければよいのです。これはアメリカ教育委員会によって実施されています。こうした試験は、旅行や家庭教育など様々な理由で、普通のやり方で高校の修了証書を手に入れることのできなかった生徒や大人のために特別に作られ、実施されています。GEDの高校の修了証書があれば、入学できる大学は沢山あります。

  ホーム・スクーリングを受けている生徒が学科において優秀な成績を収め、彼らは標準学力テスト(SAT)においても高成績を収めているため、ホーム・スクーリングを受けている生徒が、ハーバードやエールやオックスフォードやプリンストンなども含めた大学に入学する事を許可されるのには、殆ど何の問題もありません。(SATは、大学進学のための適性を見る為にアメリカの高校生が受ける事になっている統一テストです。)

  アイダホ州のリンダ・ジョーンズさんはこう言っています。「上の娘達は今大学に行っていますが、彼女達は何年も正式な教育を受けることはせず、他の子供達と一緒に小人数のグループで教育を受け、少し通信教育をしました。娘の一人は、地元の高校の校長先生に、どうしてナショナル・メリット試験でそんなに優秀な成績をおさめたと思うかと尋ねられて、こう答えました。『多分、学校に行って多くの時間を無駄にすることがなかったからだと思います。』」

  ナンシー・プレントさんは、ホーム・スクーリング仲間でよく知られていますが、彼女は、彼女の4年生のクラスにいたある男の子について書いています。その男の子は、教師が時間つぶしで課したとしか思えない宿題をやろうとはせず、いつも漫画ばかり提出していました。16歳まで我慢して学校を続けましたが、母親の賛成を得て高校を中退し、その後、アーティストとして成功し、最近ではタイム雑誌の表紙を描きました。彼女はこう付け加えています。「彼の弟はサンフランシスコ州立大学で2期目に入っていますが、彼は全く高校に行ったことはありません。小学校1年生をやり、それから、母親が始めた学校で2年間勉強し、それから6年生をやって、それだけです。高校卒業資格検定試験のために6カ月ぐらい勉強し、大学に入学しました。」

 

  質問:学校にはなぜ入学を義務づける法律があり、どうしてホーム・スクーリングをしている子供達にも入学を強要しようとするのですか?

  答:学校は、その学校に通っている生徒の数に応じて補助金を受け取ります。それに学校が絶対不可欠のものではなく、教育市場で完全に独占できないというのは、彼らの権威に対する脅威であり、彼らにとって恥なのです。けれどもホーム・スクーリングによって、教育水準が下がる事を恐れる必要は全くありません。学校は自ら、アメリカの子供達を文盲にしてしまった程なのです!ですから、ホーム・スクーリングをしている人達がする事は殆ど何でも、改善となるわけです!

  事実、学校は不満を抱くかもしれませんが、納税者達はホーム・スクーリングを喜ぶべきです。1900年には、一人の子供が公立学校で教育を受けるのにかかる費用は一年で17ドルでしたが、1975年には、1286ドルに上がり、1985年には3429ドルに達しました。インフレを考慮に入れても、生徒一人あたりの費用の平均額は、1975年から1985年の間に31%上昇しました。1982年には、「メガトレンド」の著者、ジョン・ネイスビットは、アメリカにはホーム・スクーリングを受けている子供達が百万人いると見積もりました。この数字をもとにすると、家庭教育をする事によって、アメリカの納税者は、年間34億ドル節約することになるのです!

 

  質問:学校がホーム・スクーリングを受けている子供達をいじめているかのような口ぶりですが、それはただ、子供達にずる休みさせているだけのように思えます。

  答:実際のところ、公立学校では、普通の日には児童生徒の70%しか授業に出席していません。それだけの数の児童生徒がずる休みをして街をうろついているのに、どうして、少数の子供達が家で楽しく勉強していることにそんなに腹を立て、心配するのでしょうか。ホーム・スクーリングは、学校の痛い所を突いたのです。学校は、謙虚になって何らかの答えを見出そうとする、つまり、地域においてホーム・スクーリングのプログラムを助けるとか、税金からの補助金を分け合うとか、ホームスクーリングの方法から学ぼうとするよりは、むしろ、危機に対して目をつぶろうとします。

  学校の状況はひどく深刻になってきており、大勢の児童や教師が傷つき、落胆してしまっています。私達は、自分達の子供にとって最善だと信ずることをしているだけであり、学校側も、すでに学校が世話すべく抱えている子供たちに対して同様の気づかいを示してくれるよう願っています。教師陣はすでに多すぎる人数の子供達を抱えています。それに私の子供達まで加えても、どうやって状況を改善する助けになるのでしょうか?

 

  質問:あなた達は教育に反対しているように聞こえますが!

  答:教育に反対してはいません。少なくとも、私たちの種類の教育には! 私達の親としての仕事は、子供達が教育を受けるように、それも、聖書に書いてあるように、神と神の愛についての知識を必ず教えられるようにする事です! ホーム・スクーリングをする事によって、一日中昼も夜も教育に費やす事ができ、主にあって、自分たちを、さらには他の人達をも教える事ができます! けれども世俗の、物質的で、虚偽に満ちた、神を信じず、反キリストで、聖書にも祈りにも反対している公立学校での教育には反対しています!そういう教育が作り出すのは、利己的で麻薬に飢え、金に狂った怪物のような子供達です。そういう種類の教育は、私達には必要ありません!

 

  ワシントン(AP)−−全国的に学業成績を分析したところ、米国の教育はほぼあらゆる面において低下の一途をたどっている事が明らかになった。第6年度米国教育成績状況のチャートによれば、国内の高校卒業率は低下しており、米国の半分の州において、大半の生徒が大学入試で合格点に達していない。教育長官ラウロ・カバゾスは、卒業率低下について、「悲惨な状況であって、絶対に改革しなくてはならない」と述べている。

"HOME SCHOOLING--TRIED & PROVEN!"--JAPANESE.