RR765

 

子供と話すための成功の秘訣

(大人に話す時にも役に立つアドバイスです! 子供に対して行うことは、大人にも同様に行うべきです! 「この幼な子のように自分を低くする者が、天国で一番偉いのである!」 マタイ18:4。)

 

  子供と話をするというのは、2人の人間の間で、言葉や、考えていることや、感じていることを交換することです。私達が交わす会話とそのやり方がコミュニケーションを成立させるのです。私達は、言葉(優しい言葉や冷たい言葉)だけでなく、表情(微笑みやしかめっ面)や、動作(抱き締めたり、たたいたりすること)や、沈黙(暖かい沈黙や冷たい沈黙)によってもコミュニケーションをします。

 

  大人が子供に何かを説明するだけの場合、例えば、はさみの使い方、車の危険性などを教える場合には、子供とのコミュニケーションはたいていスムーズにいくものです。けれども、双方の感情がからんでくるとコミュニケーションが難しくなってきます。

 

コミュニケーションがうまくいくと     

 温かい関係が生まれる      

 協調が生まれる          

 自分は大切な存在なんだと感じる     

 

コミュニケーションがうまくいっていないと

  子供が大人に「うんざりする」

  争いや口げんかが起こる

  自分はどうでもいい存在なんだと感じる

 

成功の秘訣

 

  子供と話す時に成果をあげる方法を幾つかあげてみました。ぜひ試していただきたいのですが、一人の子供にそれがうまくいったからと言って、必ずしも他の子供にもうまくいくわけではないということを覚えていて下さい。もし以下の方法を試してみても思うような成果があがらないなら、あなた自身の経験や、自分の子供に対する理解に応じた別のコミュニケーションの方法を試してはいかがでしょうか。

 

子供をありのままに受け入れる

 

  ありのままの自分を親が受け入れてくれていると知ると、子供は成長し、変わっていき、自信を持つようになります。子供が自信を持つなら、たいていは他の人達とも仲良くやっていくものです。

  子供をありのままに受け入れてあげれば、親子のコミュニケーションもスムーズにいきます。自分が親に受け入れられていると感じている子供のほうが、心の中で思っていることや悩みを大人によく打ち明けることでしょう。

 

子供は脅されると、「僕は大切な存在じゃない」と感じます。

 

命令されると、「私は悪い子だ」と思います。

 

説教されると、「パパやママは私のことが嫌いなんだわ」と思います。

 

叱られると、「僕は何をやってもうまくできない」と思います。

例えば:子供が「ママ、ぼく一人で寝るの、怖い。」と言った場合、どちらの返事をすると、さらにコミュニケーションを促すことになるでしょうか?

 

  A.「だめな子ね! まるで大きな赤ちゃんみたい! いったい何が怖いの?」

 

−それとも−

 

  B.「いいわ、じゃあ、小さな電灯をつけて、ドアも開けておいてあげるわね。そうすれば怖くないでしょう?」

 

(注意:夜には子供を部屋に一人にしない方がいいでしょう。)

 

  ただし、子供をありのままに受け入れるというのは、必ずしもその行動のすべてを容認するということではありません。「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があります。つまり、私達は子供を愛していて、ありのままの姿を受け入れてやりたいと思っていますが、子供が赤ん坊をいじめたり、猫のしっぽを引っ張ったりするのを見たら、それを黙って見過ごしてはいけないのです。

 

言葉の鍵を使う

 

  ちょっとした言葉づかい一つで、相手に、心を開いて、もっと話をしたいという気を起こさせることができます。この「言葉の鍵」を用いることで、あなたが子供の話を聞きたがっていること、子供の意見を尊重していること、子供を一人の人間として受け入れていることを示すことができるのです

 

  例をあげてみましょう。

 

  「よくわかったわ。」  「それからどうしたの。」

 

  「まあ、すごい!」   「よくわかるように、もう一度言ってちょうだい。」

 

  「なるほど」      「本当?」

 

  「それは驚いた」    「おもしろそうね。」

 

  これらの簡単な表現を場合に応じて使ってみましょう。あなたが子供の考えを聞きたがっており、それを大切に思い、真剣に受けとめているということが子供に伝わるでしょう。

 

子供の感情を察して、言葉で表してあげる

 

  子供の感じていることを察して、言葉にしてあげると、子供は自分から悩みや不安などを言い表そうとするようになります。

  例えば、次のように言ってあげるのです。

  「かわいがっていた犬が死んだから悲しいんだね。」

        「試合に負けちゃって悔しいんだろう。」

        「恵ちゃんが人形を貸してくれないから怒ってるのね。」

 

  悩み、思いわずらいを残らず誰かに打ち明けるなら、それらは魔法のようにすーっと消えてしまうものです。反対に誰にも打ち明けず、心の奥に押し込めてしまうと、それらは決して消え去る事はなく、積もり積もって、頭痛、胃潰ようなどの病気になったり、自己嫌悪に陥ったり、また暴力に走ったりすることもあります。

  人間の行動や振る舞いは、良い悪いに分けることができますが、感情はそうはいかないということを頭に入れておいて下さい。感情自体に、良い悪いはありません。子供はただ実際にそう感じるのですから、まず、そのことを認めてあげることが大切です。

 

「〜してはだめ」よりも「〜しなさい」という形で話す

 

  子供に何かをさせたい時、できるだけ、何々をするなと言うよりも、何々をしなさいという言い方をするようにしましょう。これは結構難しく、根気のいる事です。とりわけすでに、「あれをしてはいけない。これをしてはいけない。」と言う習慣のついている人は、よほど心して努力しなければ、ちょっと やそっとではこの悪い習慣を取り除く事は出来ないでしょう。ですが、あきらめずに、試みて下さい。必ず、子供とのコミュニケーションに良い変化が見られることと思います。

 

  子供に同じ内容のメッセージを伝えるにしても、次のように否定的にも肯定的にも表現できます。

 

    × 上着を地面にひきずらないで。

    ○ ひきずらないように上着をしっかり持ちなさい。

 

    × 子猫をそんなにきつく抱くのはよしなさい。

      ○ 子猫はやさしく抱いてあげなさい。

 

      × 扉は乱暴に閉めないでちょうだい。

      ○ 扉は静かに閉めてね。

 

      × テーブルに落書きしないのよ。

      ○ このぬり絵に色をぬってごらん。

 

  相手が子供であっても、あなたの友人と話すつもりで話をしてください。大人に接する時と同じ心づかいをもって子供に接するなら、良いコミュニケーションが持て、本当に良い関係を築くことができるでしょう。

 

熱心に聞いてあげる

 

  子供が、何か言おうとしている時には、中途半端な聞き方をするのではなく、しっかり耳を傾けて下さい。時には手を休めて、子供の言うことに耳を傾けなければならないこともあります。掃除機をかけながら、夕食のしたくをしながら、新聞を読みながら、子供の話を一生懸命聞くことはできません。

  注意:聞いていないのに聞いているふりをしないようにしてください。電話の応対や接客で手が離せないなら、子供にそう言いましょう。「今、お母さんはとても忙しいの。でも、もう少し後だったら聞いてあげられるわ。」 そしてその言葉どおり、必ず後で話をする時間をつくるのを忘れないようにしてください。

 

一方的に話すのではなく、子供と共に話す

 

  「レインコートを着なさい。」「ミルクをこぼすなよ。」「そろそろ散髪しないといけないな。」これらは一方的に子供に話しかけているだけであって、コミュニケーションとは言えません。こう言うとあなたは、大人と子供が同じレベルで「話し合う」なんてできっこないと反論するかもしれません。しかし、一方的に相手が話し続け、自分の言うことを少しも聞いてくれないなら、あなたはどう思うでしょうか? 幼い子供でもそれは同じです。犬や、まだ物を言えない赤ん坊ならいざ知らず、言葉を話せる子供が相手の場合は、ただ「話しかける」のではなく、「話し合う」よう心がけて下さい。

  「一方的に子供に話をする」のではなく、「子供と話をする」習慣をつけておくなら、子供が思春期に入っても、良い親子関係が保てることでしょう。

 

あなた自身の気持ちや感情を具体的に表現する

 

  これは事実を述べることです。それによって、子供は自分の振る舞いに対して大人がどう感じているかがわかります。子供は、自分のしたことが他の人にどんな影響を与えているのか、なかなかわかりません。子供が良くないことをした時は、その子を責めるよりも、自分の気持ちを表現するほうがはるかに効果的です。

 

  どちらが受け入れやすいでしょうか?

 

「自分の気持ちを表現する」    

誰か片付けてくれないかしら。

疲れていると、ママは物語を読む気がしないのよ。

パパは、床に泥が落ちてい るのを見ると、本当に怒りたくなるよ。

そんなにわめいてたら、何 を言っているのかさっぱりわからないよ。

ママにはよくわからないわ。

 

「子供を責める」

まあ、なんて散らかりようなの。

うるさい子ね。

このザマは何だ!

いい加減に黙ったらどうだ!

おまえって馬鹿ね。

 

  あなたがどう感じているのかを知った子供は、その振る舞いを改めるという責任を負うことになります。例えば、大人が、「おまえの顔に泥がついているよ。」と言えば、子供はその泥を何とかしなくてはいけません。

  注意: 子供に自分の気持ちを伝えると言っても、自分の怒りをそのまま表してはいけません。怒りを表されると、幼い子供は動揺し、不安になります。怒りを表す代わりに、怒りの前に生じた感情を言い表してみてはどうでしょうか。たとええば、家族がお客さんと一緒に夕食を食べている最中に、子供がミルクの入ったコップを倒したなら、たぶん、怒りがこみあげる前に、きまり悪い思いをしたことでしょう。だから、「おまえがミルクをこぼしたんで、パパはきまり悪かった」と言い、「おまえには本当に腹が立つ」と言ってはいけません。

 

話す前に、子供があなたに注意を向けていることを確かめる

 

  子供は一度に一つのことにしか集中できません。子供の名前を呼び、子供が自分に注意を向けるのを待ち、それから子供に話すようにして下さい。

 

  例:「健一」(子供がボールを投げるのをやめて、自分のほうを見るまで待つ)「あと15分で夕飯よ。」

 

    「真由美」(子供が砂遊びをやめて、自分のほうを見るまで待つ)「あと10分で家の中に入りなさい。」

 

大切なことを求める時は断固とした口調で

 

  非常に真剣なのだとわかる口調で話し、どうしてこの時にそれをしなくてはいけないのか、その理由を説明しなさい。あやふやな態度で求めるなら、子供は、言われたことをしようとしまいと、あなたにとってたいして問題ではないと考えてしまいます。子供は一度に一つのことしか考えられません。遊んでいる最中に、あなたの言うことに注意を向けるのは難しいことです。あなたは、新聞を読んでいる最中に邪魔されたらどう感じますか。それと同じで、子供も、遊びに夢中になっている時に邪魔されるのはいやなのです。

 

何かするように言う時は簡潔明瞭に

 

  幼い子供にとって、一度に幾つものことをするように言われても、それを全部覚えておくのは大変な事です。あなたは、初めて行った町で道を聞いたら、こんなふうに言われたという経験はありませんか。「6番目の信号を右に曲がって、灰色の屋根の建物を通りすぎて、3番目の信号を右に曲がって南に行き、裁判所の横をぐるっと回って下さい。」 こんなふうに言われたら、混乱してしまいます。3歳の子供ならなおさらの事、「部屋に行って、服をハンガーにかけなさい。でもその前に、おもちゃを床から拾って、犬を外に出すのよ。」などと言われたら、混乱してしまいます。たぶん、その子は犬を連れて外に行ってしまうことでしょう。なぜなら、「犬を外に出しなさい」のところしか覚えていないからです。

 

「ありがとう」、「どういたしまして」と子供に言う

 

 子供も、大人同士で使われている一般的な礼儀を受ける権利があります。そして子供は、大人の言うことやすることをまねながら学ぶのです。子供達が、あなたのまねをして、「ありがとう」、「どういたしまして」を学ぶようにしましょう。

 

 

子供の目の高さで話をする

 

  目を見て話すことは、コミュニケーションをいっそう良くします。小さな子供と話す時には、子供の高さに合わせて身をかがめるか、一緒にテーブルに座ったりするといいでしょう。

  大人は自分達の大きさが子供達にどれだけ威圧感を与えているかに気づいていません。もし3メートルもある巨人が怖い顔をしてあなたをにらみつけ、叱ってきたら、あなたはどう感じるでしょう?

 

子供が話している時にさえぎったり、叱ったりしない

 

  友子は、興奮した様子で家に戻ると、緑ちゃんの家で遊んで本当に楽しかったことを母親に話し始めました。けれども母親はそれをぶっきらぼうにさえぎり、遊びに出かける前に宿題をして行かなかったことで延々と友子を叱りました。友子は自分の気持ちを母親に話したいという思いもたちまち消えうせました。友子に宿題のことで注意したのは正しいことでしたが、母親は時を選んでそれをするべきだったのです。

 

子供の心をふみにじるようなきつい言葉を使わない

 

  きつい言葉は不幸な結果を生み、コミュニケーションも断たれてしまいます。以下のようなきつい言葉は使わないようにして下さい。

 

  ばかにする言葉−−「そんなことをするなんて、まるで大 きな赤ん坊だわ。」

 

  恥いらせる言葉−−「おまえのような子供を持って、お父 さんは恥ずかしい。」

 

  非難する言葉−−「おまえは悪い子だ。」

 

  あなたが後のことも考えずにきつい言葉を放つなら、子供は自分が嫌われていると感じて、がっかりし、自信を喪失してしまいます。さらには、もっと悪いことに、きつい言葉というのは、子供にとって何の助けにもならず、子供の問題をますます悪化させるだけです。

 

子供を励まし、自信をつけさせるために優しい言葉を使う

 

  優しい言葉は、幸せな結果を生みます! 子供はもっと自信を持つようになり、振る舞いも良くなり、いっそう努力するようになって、もっと進歩します。あなたに愛と尊敬を示すようになり、問題をオープンに話し合えるような雰囲気ができ、理解し合うことができるようになります。

  例えば子供が床にミルクをこぼしたとします。「おまえがぼんやりしているからだ! 床一面ミルクだらけじゃないか!」と言うこともできますが、これは、不幸な結果をもたらすだけです。「ほら、雑巾だよ。これでミルクを拭きなさい。」と言うなら、幸せな結果をもたらします。

 

  優しい言葉の例:

    テーブルの上を片付けるの助けてくれてありがとう。

 

    上手にお皿を洗ってくれたわね。

 

    それを聞いてとても嬉しいよ。

 

    おまえのことを愛しているよ。

 

    ちゃんと忘れずにコートをかけてくれて嬉しいよ。

 

優れたコミュニケーションの重要性

 

  優れたコミュニケーションがあれば、子供は自信を持つようになり、自分は大切な存在だと思われていると感じ、他の人とも良い関係を築いていきます。毎日子供達と楽しく過ごせるようになり、子供達も、自信と、人に対する信頼を備えた大人となります。覚えておいて下さい。愛は必ず成功するということを!

 

 

自己診断テスト

 

一日を通して、次のような言葉を何回ぐらい言うでしょうか: やめなさい    わかってるでしょう

 

                             いけません    だめです

 

誰かに頼んで、あなたの子供との会話を10分間テープに録音してもらってはどうでしょう。いつ録音するかはあなたに教えないようにしてもらうのです。そして、そのテープを聞いて、自分の声の調子を評価してみてください。