RR228

 

大声をあげたり、体罰をしないで行うしつけ法

 

−−1歳から5歳までの子供が良くないことをした時の応急処置法

−−ジェリー・ワイコフ博士と

バーバラ・C・ユネル

 

  (編集者より:以下の要約では、スパンク(おしりをたたくこと)をする前に他のしつけの方法を用いることが勧めてあり、なかなか良いことが書かれています。以前から、体罰の利点がいろいろ言われてきたものの、児童虐待について激しい非難が飛び交っている現代では、できる限り用心し、スパンク以外のしつけ法を用いるよう努めることは確かに賢明なことと言えます。体罰は、極端な場合や、本当に手に負えない子供に対処する場合のみとし、また、言葉で説明しても幼すぎて理解できない子供の場合に、手やももなどをピシャリとたたくぐらいにするのです。最近は、体罰の是非がかなり論争の的になっているので、体罰をしないしつけ法を学ぶことは非常に役に立ちます。)

 

  はしがき:親が子供に対して、願望や期待を抱いているのと同様、子供にも願望や必要なものがあります。しかし、そうした必要や願いが満たされておらず、就学前の幼児が親と考え方が一致しない場合に、問題が生じます。

 

  就学年令前の子供達を持つ親が、子供達の必要を満たすためのテクニックを身につけるなら、多くの場合、子育て上の問題を最低限に抑えることができます。この本は、1歳から5歳までの正常な健康児によく見られる振る舞い上の問題に対する実際的な解決法を取り上げています。この本の目的は、子供が悪い事をした時に、怒鳴ったり、おしりをぶったりしないで、首尾一貫して効果的なしつけを冷静に行う方法を両親に提供することです。私達は、親の皆さんに、「よくしつけされた親」、つまり、子供が手に負えなくなっても、あくまでも冷静に行動できる親になっていただきたいのです。

  この本は、子供が良くない行いをした時の一種の応急処置法となることを願って執筆されました。

 

子育てに問題はつきもの

 

  まず子供の振る舞いを「問題」と決めつける前に、数々の質問を自分に問いかけてみなくてはいけません。

  子供がどれくらい頻繁にその振る舞いをするか考えてみて下さい。それから、その深刻さはどうでしょう。例えば、あなたの子供がすぐに腹を立てるとしても、ただ、ガッカリした時に自然と怒りという反応をするだけの事かもしれません。しかし、子供が自分自身や他の人に危害を加えるほど激しく怒るのなら、少なくとも、それほど極端にならないよう、何らかの対応をする必要があるでしょう。

  子供の良くない振る舞いに対して自分がどれほど寛容かに注意して下さい。例えば、自分自身の偏った考え方や必要や主義のゆえに、他の親なら、容赦しないような子供の振る舞いも、大目に見たり、かえってそれを面白がっているかもしれません。親が、自分の子供が家庭でしても何とも思わず受け入れてしまっていたことを、他の大人は、見過ごさず、何か手を打とうとすることに気づく場合もあります。

  親は、子供の振る舞い上の問題に適切に対応するために、まず自分をもっとしつけなければなりません(この場合、しつけというのは秩序と自制を身につけることを学ぶ過程のこと)。子供の品行が変わる前に、まず親の品行が変わらなくてはいけません。親は、子供のしつけを徹底させる前に、自らが「しつけの行き届いた親」にならなくてはいけないのです。

 

しつけの行き届いた

子育て法の基本

 

  *具体的に、自分はどの振る舞いを変えたいかを決める。抽象的に対処するよりは、具体的に対処するほうが大体結果が良いようです。子供にただ、「きちんとしなさい」と言うのではなく、外に遊びに行く前にブロックを片付けてほしいということを説明するのです。

  *子供にしてほしいことを明確に言い、やり方を示してあげること。何かほしい時に、ぐずぐずめそめそするのをやめてほしいのなら、どうやって尋ねるかを教えて下さい。子供にしてほしいと思っている事を手とり足とり、身をもって教えてあげるなら、子供はあなたが自分に何をしてほしいのか、はっきり理解するようになります。

  *子供の振る舞いをほめてやる事。子供をほめるのではなく、子供の行為をほめるのです。例えば、「じっと座ってて、良い子ねえ。」と言うよりも、「じっと座っているのはえらいわ」と言ったらいいでしょう。あなたの狙いは、子供の振る舞いをコントロールする事なのですから、その事に焦点をあてて、ほめたり注意したりすべきです。

  *新しい振る舞いが習慣となって、賞賛という助けがいらなくなるまで、ほめ続けること。子供が正しいことをするたびに、必ずほめてやるなら、子供にあなたが何を期待しているのかを思い起こさせることになります。また、子供の前で良い振る舞いの手本を示し続けることです。

  *子供との権力争いを避ける。

  *常に一緒にいてあげること。子供には、かなり絶え間ない監督が必要です。親がしっかり注意を払っていないなら、悪い振る舞いがそのまま放っておかれることになります。

  *歴史家にならないようにすること。子供が間違いをした時に、しょっちゅうその間違いを思い起こさせるなら、かえって、子供は憤りを抱き、悪い振る舞いがますます増える可能性があります。過ぎてしまったことは仕方ありません。子供に過去の過ちを思い起こさせることは、過った行為を習慣にさせるようなものです。

 

体罰や怒鳴ることは、

たいてい逆効果

 

  以上の原則が、子供が良くない振る舞いをした時に私達親がすべき事の概要です。子供が悪いことをすると怒鳴ったり、スパンク(おしりをたたくこと)したりするというのは、かなり自然な反応です。特に、子供がしつこく良くない振る舞いを続ける場合には。しかし、逆効果になることもよくあるのです。怒鳴ることや体罰は、子供にあらゆる種類の間違った関心を与えることにもなるので、子供は、ただ自分に注意を払ってほしいがために悪いことをするかもしれません。罰を与えることによって、悪い振る舞いが秘密に行われるようになることもよくあります。親の前ではしなくなり、子供は、捕まらないように悪いことをするのがすっかりうまくなります。「お父さん(お母さん)のいる所では、もう二度とそんなことはしないように」とまで言う親もいるのです。

  最も低いレベルの従順は、「ただ罰を受けたくないがために規則に従うこと」です。また、最も高いレベルの従順は、「規則は正しく良いものだから、従う」です。子供が悪いことをする度に絶えずスパンクしていると、子供の道徳観念の発達が最低限にとどまってしまいがちです。

  他の子供をたたいた子供に対して、親が「たたいちゃだめ!」と言って、その子供をたたくなら、その戒めを正当化するのは困難です。たたく事は、たたくことを助長し、また、子供に怒りや復讐心を抱かせ、親子の断絶も招きかねません。(編集者:もちろん、手に負えない子供のような極端な場合、または、言葉で戒めても子供が小さすぎて理解できない場合には、スパンクが必要かつ効果的な場合もあります。)

 

  独り言:独り言とは、自分自身に対して言う言葉で、その人の振る舞いや行動をコントロールします。たとえば、親が、「この子がめそめそするのにはもう我慢できない!」と言うとします。するとめそめそに対する、その親の寛容度はかなり低くなります。けれども、この親が独り言で、「この子がめそめそするのは嫌いだけど、何とかやっていけるわ!」と言うなら、この親はめそめそをもっと我慢することができるだけでなく、子供のめそめそした振る舞いを変える、適切な方法を考えたりもできるでしょう。親は、助けになるような独り言を言うことで、イライラしている時に気分を落ち着けることができるのです。

 

  これらのアイデアを使う:子供の振る舞いを変えるための方法を決めていく上での基本的なルールは、最初に、最も穏やかな戦術を使うことです。子供に何をすべきかを示し、励ますのです。そして、それがうまくいかないなら、次のことを試す、というふうに、うまくいくことが見つかるまでどんどん色々試してみるのです。何をすべきでないのかを知る事も重要です。ですから、それぞれのセクションにある、「すべきでないこと」はしないように努めて下さい。

  あなたの言動を子供に信じやすいものにすること。そうすれば、子供は、あなたの戦術をより快く受け入れ、反応することでしょう。

  これらの戦術は、家庭であなたが他の人に払うであろうのと同じ尊敬の念を子供にも払うことをも目的としています。子供を客のように扱いなさい。子供は、優しく尊敬のこもった方法で規則に従うようしつけられるべきです。

 

しつけ辞典

 

  「一時退場」:子供達のための一時退場とは、指定した時間、椅子に座っていたり、部屋にとどまっていること。大体、何分間にするかは、子供の年の数と同じにするとよいでしょう。この罰を与える時には、あなたが選んだ場所に行くようにと言い、それから、一定の時間にタイマーをセットするのです。タイマーが鳴る前に子供が椅子から離れたら、タイマーをリセットして、タイマーが鳴るまで座っているようにと言います。指定された時間、椅子に座っているまで、この過程を繰り返します。一時退場をする事によって、その間、子供が好ましくない振る舞いをした事の故に親の関心をもらうという可能性がなくなります。

  (編集者:年長の子供に時々この方法を使う場合には、子供に何もしないで座らせておくよりは、子供がした振る舞いに関係のあるものを暗記させたり、おさらいさせたり、読ませたりするほうがよいでしょう。)

  「おばあちゃん方式」:「Xをしてからなら、Yをしてもいいわ」(Y=子供がしたいこと)と言うパターンで行われる契約的な設定。「もしXをしたら、Yができるわ」とは絶対に言ってはいけません。すると子供は、「僕がもしXをしなかったら、どうなるの?」と尋ねることになるからです。

  「規則」:規則を定め、それを徹底させるのは、子供が従順に行動する助けになります。彼らにとって、自分達の世界で何が起こるかが予想可能になり、自分のしたことがどんな結果を生むのか前もって知ることができるからです。

  「注意する」:鋭い口調で、その行いや振る舞いをやめるようにと命令し、それをやめるべき理由と、代わりにどうすべきかを言う。例えば、「たたくのをやめなさい。たたかれたら痛いんだから。おもちゃを下さいと優しく尋ねなさい。」というふうに。

  「時間競争」:元々、子供は競争好きなので、それを利用して意欲を起こさせる。子供は、レースで1番になるのが大好きなので、親は、キッチン・タイマーを使って子供に時間と競争させます。「タイマーが鳴る前に、終わらせられる?」が、基本的な前置きです。そうすれば、子供は時間と競争することができ、親は、励まし役になることができます。

  「中立タイム」:衝突などのない時間のこと。例えば、かんしゃくが終わって、子供が静かに遊んでいる時。中立タイムは新しい振る舞いや行動を教えるのに最適です。そういう時には、感情が穏やかで、子供は(大人と同様に)、争いの真っ只中にいる時よりも、言われたことをより受け入れやすい状態にあるからです。

  「ほめる」:習慣づけてほしいと願っている行動を子供がした時に、口に出して認め、ほめてやる。子供をほめるのではなく、いつも行動をほめるべきです。

  以下の好ましくない行為については、右にあるページに書かれています。

 

 なかなか寝たがらない.........5

 夜にベッドから出てくる........6

 食べない...............7

 食べ物で遊ぶ.............8

 食べすぎ...............9

 「否定的な答え」ばかり言う......10

 かんしゃくを起こす..........10

 ぐずぐず言う.............12

 生意気な口答え............13

 人のことを悪い呼び名で呼ぶ......13

 会話を邪魔する............14

 乱暴な振る舞い............15

 冒険心................15

 物を壊す...............16

 他の人の物を取る...........17

 独占欲................17

 清潔にするための作業を嫌う......18

 散らかすこと.............19

 兄弟とのライバル意識.........20

 おもらし...............21

 親にくっついて離れない........22

 知らない人に対してどう振る舞うべきか.23

 公共の場で勝手にどこかに行く.....24

 自分で何でもやりたがる........25

 自由を求める.............26

 自分の思う通りにしたがる.......26

 ぐずぐずする.............27

 指示に従わない............28

 旅行の際の問題............29

 シートベルトや子供用座席を嫌がる...30

 

なかなか寝たがらない

 

  活発でエネルギーのあり余っている就学前の子供は寝るのをひどくいやがり、時間稼ぎのために、夜寝る時間や昼寝の時間を、逃げ回ったり、泣いたり、または、もっと読んでもらう本を探す時間に変えてしまったりします。子供が自分はいつ寝るべきだと考えるかにかかわりなく、あなたの選んだ時間を断固として厳守して下さい。けれども、子供が徐々に、「そろそろエンジンを切ろうか」と考えるよう、子供がペースを落として落ち着くための時間も作ってあげて下さい。

  注意:子供に必要な睡眠時間は成長につれて変わるので、年令に応じて寝る時間を遅くしたり、昼寝を短くする必要があるでしょう。(兄弟姉妹でさえも)必要な睡眠時間は子供によって違います。(あなたの2歳児は、その子のお兄ちゃんが2歳の時に必要だったほど睡眠時間を必要としないかもしれません。)

  予防策:特別なベッドタイムの話をする。夜寝る前や昼寝の前の時間を、詩を暗唱したり、物語をする時間とし、親子で心を通わせることができるようにする。特別な時間とし、子供が楽しみにするようにするのです。「今私は床に伏し、眠ります‥‥」の祈りを祈ったり、その日の出来事について話したらいいでしょう。たとえそれが一方通行の会話であっても構いません。

  毎日運動させる。日中に必ず運動させるように。そうすれば、子供の体が頭に、もう寝る時間だと伝えることでしょう。

  子供の昼寝の長さを制限する。子供に夜まで昼寝させておいて、1時間後にまた子供が寝るのを期待する事はできません。必要なら子供を起こし、昼寝から起きる時間と、夜寝る時間とがくっつき過ぎないようにすることです。

  寝る前の時間を一緒に過ごす。寝る時間ですよと言う前に子供と遊ぶなら、子供が親の関心を引こうとし寝るのに抵抗する事もなくなります。

  就寝時間をいつも同じにする。昼寝のあるなしや、9時に寝るか7時に寝るかで、子供の状態がどう違うかを見て、子供が何時間寝る必要があるかを知ること。それから、子供の体に合った睡眠スケジュールを毎日守らせて下さい。

  すべきこと−−時間競争をする。やり方はこうです。夜寝る(又は昼寝の)1時間前にタイマーを5分間セットします。こうすると、子供は、それから起こることを前もって知ります。(これらのことを簡単なチェックリストに書いておくと良いでしょう。) タイマーが鳴ったら、今度は30分にセットします。その30分間、あなたと子供(子供が一人でできるなら、子供一人)で、寝る準備をします。(手などを洗い、パジャマを着て、歯を磨き、水を飲み、トイレに行くなど。) タイマーが鳴る前に全部できたら、残りの25分はまだ遊ぶことができます。でも、全部できなかったら、ベッドに直行です。

  何時であっても、寝る前のお決まりの事は変えない。たとえ寝る時間が何かの理由で遅くなっても、いつもと同じ事を行うと、子供は、寝る時には何をするよう期待されているかを覚えます。子供が遅くまで起きていたことを非難してはいけません。たとえば、パジャマを着たり、水を飲むことを助けてあげて、ペースを速めてあげて下さい。また、最初に、60分ではなく、30分だけタイマーをセットして下さい。しかし、どの過程も省いてはいけません。

  順番に気をつける。就学前の子供は、いつも一貫して同じだと安心感を覚えます。だから、毎晩、お風呂に入り、歯を磨き、パジャマを着るといったことを同じ順番でさせて下さい。子供を監督として、子供に、次は何をする番かを言わせ、寝る準備をゲームのようにしたらいいでしょう。

  指定時間よりも早く終えたら、ほうびをあげる事。子供が起きた時に、指定時間よりも早くするのは割に合うという良いニュースを知らせてあげましょう。「昨日の夜は本当に良くできたから、ママがあなたのお気に入りの朝ご飯を作ってあげるわ。」とか、「ちゃんとベッドに入ったから、これからお話を読んであげよう。」と言うのです。

  すべきでないこと:子供に寝る時間を決定させてはいけません。子供が抵抗しようとしたり、遅らせようとしても、あなたが選んだ寝る時間を変えないこと。子供がベッドに行きたがらない理由、そして、子供が寝るべきである理由をあなたは知っているということを忘れないで下さい。自分にこう言うことです。「遊ぶのをやめたくないから、この子は泣いているんだわ。でも、今寝るなら、後でもっと楽しく遊べる。」

  脅しやスパンクは禁物。子供を脅したり、スパンクしてベッドに行かせるなら、悪い夢を見たり、恐れを抱くことになりかねません。また、いつまでも子供が言うことを聞かないなら、あなたもイライラしたり、罪悪感に襲われたりします。もう寝る時間だと権威を持って知らせるのにタイマーを使えば、親のせいにもなりません。

  なかなか寝ようとしない子だということを繰り返し子供に言っても逆効果です。子供が朝起きた後までも、前の夜に寝ようとしなかった事のツケを払わせてはいけません。子供が自然とできるようになるまで、時間競争を繰り返して下さい。

 

夜にベッドから出てくる

 

  6歳未満の子供は、本がほしいとか、キスしてほしいとかいろいろせがんだり、パパやママがベッドのそばを離れたり、電気を消した途端に、両親のベッドに入ってくることがよくあります。あなたが何をしているのか見るためや、またそばにいてほしいために、本を10冊、あるいは水を4杯ほしがっても、子供の夜の睡眠は大切だという事を覚えておいて下さい。親の関心を引こうとあれこれするよりも、ただ寝てしまうなら、あっという間に朝になって親が来てくれるということを教えて下さい。

  注意:子供の言わんとしている事が、本当に必要な事なのか、ただの望みなのかがわからないなら(子供がまだしゃべれなかったり、何がほしいのかを言う代わりに泣いてばかりいるのなら)、子供を調べてみて下さい。どこも体に悪い所がないのなら、素早くキスをして抱き締めてあげ、横にならせて下さい。もう遊ぶ時間ではなく寝る時間だと、優しくしかも断固として告げるのです。

  予防策:寝る時間以外の時に、寝る時間の規則について話し合いましょう。何回までトイレに行っていいかなど回数に制限を設けるのです。寝る時間ではない中立タイムに規則を話しておけば、子供は、寝る時間が来た時に、親から何をするよう求められているかを知っています。たとえばこうです。「ベッドには2冊の本を持っていけて、水は1杯飲んでもいいわ。そして寝る前に、お話しを2つしてあげますよ。」 子供が両親のベッドに入ってくるのが好きな場合には、子供が両親の所にやって来る前に、規則でそれを許可するかどうかを決めておくことです。

  規則に従ったらほうびをあげると約束すること。規則を破るのではなく、しっかり守るなら、ボーナスがもらえると教えてあげて下さい。「一晩中自分のベッドで寝た時には(もしそれが規則なら)、朝ご飯にグラノラ(またはホットケーキかワッフル)を食べてもいいわ。」などと言うのです。報酬には、特別な朝ご飯や、公園に行くこと、ゲーム、あなたとの遊び時間、または、何でも子供が喜ぶとわかっていることが使えます。

  また眠りにつくように言い聞かせる。ベッドから起き出した子供を寝かしつけながら、規則をもう一度言い、前に話し合ったことの記憶を新たにさせる。

  すべきこと:規則を厳守する。子供が破る度に、自分が本気なのだという事を子供に教え、規則で定めた事を実行して下さい。例えば、子供が規則を破ってあなたのベッドに入ってくるなら、子供をベッドに戻す時にこう言うのです。「規則を思い出してごらん。みんな、自分のベッドで寝るんだよ。御言葉のテープが聞けるからね。愛しているよ! じゃあ、また朝にね。」

  必ずほうびをあげる。規則に従ったらほうびをあげるという約束を必ず守ることで、子供があなたを信頼できるようにして下さい。

  すべきでないこと: 約束を取り消さないこと。一度規則を決めたなら、子供と最初に話し合いもしないで勝手に変更してはいけません。親が規則で決めた通りのことをしないと、子供は、親にだめと言われても、自分の望むものを手に入れようと頑張り続けるようになります。

  騒音に負けてはいけない。あなたが規則通りのことを実行したために、子供がわめいても、子供は、自分の健康のために大切なこと、つまり夜は寝るべきだということを学んでいるのだということを忘れないで下さい。

  脅しや恐れを使わない。「ベッドから出たら、大トカゲがおまえをつかまえにくる」とか、「もう一回それをしたら、ムチでたたくからね」といった脅しは、ますます問題を大きくするだけです。なぜならそれを実際にしない限り、おどしも意味のないたわごとになってしまうからです。それに、恐れから子供はベッドにとどまるかもしれませんが、結局、恐れが助長されて、沢山の事を怖がるようになってしまうかもしれません。

  子供に遠くから話さないこと。子供に見えない所から、大声で脅したり、命令するなら、子供にも怒鳴ることを教え、自分が子供の所に話しにいくほど子供のことを構っていないことを知らせているようなものです。

 

食べない

 

  親は、育児の最初の最初から、活発な就学前の子供に食べるようにとせきたてていますが、最近の6歳未満の子供の多くは、自分の世界を探るのに忙しすぎて、食べ物をかむための時間をあまり取ろうとはしません。どうしても、子供に無理矢理食べさせたいという誘惑にかられるようなら、食べないことにはさほど関心を払わず、食べた時(それが一番小さな豆であっても)に、もっと子供に関心を払うようにしましょう。

  注意:食べないことは、時折子供に見られるごく普通の行為で、それを病気と間違ってはいけません。もし子供が病気だから食べられないと考えるなら、医者に診せましょう。

  予防策:親も食事をぬかないこと。親が食事をぬくと、子供は、親が食べなくていいのなら、自分も食べなくてもいいんだと考えます。

  おなかが出ているのを強調したり、骨と皮だけの体形を理想のようにしないこと。親が子供に脂肪がつきすぎていることばかり言うなら、3歳の子供でさえ、必要以上に体重を気にするようになってしまいます。

  子供の年令と体重に合った適切な食事量を知ること。あなたの子供にふさわしい正常な食事レベルを知るなら、食べさせたいと思う量も現実的に決められます。

  食事時間のスケジュールを作る。子供が特定の時間に栄養が必要になる習慣をつければ、その時間になると、体が子供に食べなくてはと知らせます。

  すべきこと:子供に食べ物を選ばせる。子供に(時々)おやつや昼ご飯に何を食べたいかを(あなたの監督の下で)選ばせて下さい。子供が、自分が幾らか決定権をもって選んだと感じるなら、食べる事にもっと関心がわくでしょう。子供が賢い選択(子供が選択に苦労しなくてもいいよう、二つだけにして下さい)をしたら、「オレンジを選んだのは良かったわよ。本当においしいものね。」などと言ってほめてあげましょう。

  バラエティーに富み、バランスのとれた食べ物を与える。子供は、適切な食事について学ぶ必要があります。先生ごっこをし、味や舌ざわり、色、香りの異なる、様々な栄養ある食べ物を出して、色々教える。就学前の子供は、一夜にしてし好が変わったりするということを覚えておいて下さい。先週は大好きだった物でも、今日は食べたがらないということもあります。

  自然に任せる。健常児なら普通、1週間に渡って見ると、バランスの取れた食べ物を自然に選んでいることでしょう。小児科医によれば、それによって子供は適切な栄養を取っているのだそうです。子供がちゃんと栄養を取っていないと心配する前に、日の出から日の入りまでの間に食べたものではなく、月曜から日曜までに何を食べてきたかを思い出してみましょう。

  子供が口の中に食べ物を入れた所を見逃さない。子供が何でもスプーン一杯の物を口に入れたなら、励ましてやり、食べない時だけでなく、食べる時も親の関心をひくのだという事を教えるのです。「まあ、自分でミートローフを口に入れたのね。とても上手だったわよ。」とか、「今日のバターロール、好きなのね。嬉しいわ。」などと言って、良い食べ方の習慣をほめましょう。

  すべきでないこと:食べたほうびに、いつも食べ物をあげるのはやめること。食べ物に対して正しい見方を保ちましょう。食べ物は栄養を与えるものであって、ほめることの象徴ではありません。たとえば、「今日は、豆をちゃんと食べたから、夕食の後に外で遊んでもいいわよ」と言ってはどうでしょうか。

  買収や嘆願は禁物。子供が食べていない時に、食べるように買収したり、嘆願するのはいけません。あなたの関心を引こうとわざと食べないようになり、自分はあなたに影響力があると思ってしまいます。

  子供が食べなくとも腹を立ててはいけません。食べないことで色々かまってもらうと、子供は食べるよりも食べないことで、もっと満足を得るようになります。

  子供が食べないことを他の人達と話してはいけません。子供の食生活に関して、あまりに躍起になったりしないことです。そうすれば、食事の時間が、権力争いの場になることがありません。

 

食べ物で遊ぶ

 

  1歳か2歳か3歳の子供の前に食べたくないものがあると、親の手も子供の手もべちゃべちゃになり、床やテーブルももちろん同じです。子供が食べ物を空腹感から口に入れようとせず、指で遊んでいるだけなら、子供が実際にそう言える言えないにかかわらず、自分の食べたい物はもう全部食べたということかもしれません。

  予防策:親も食べ物で遊ばないこと。親が無意識にでもフォークで豆をいじるなら、子供は自分もそういうことができるものと思います。

  子供が好きな食べ物(少なくとも1回の食事に一つ)、そして食べられる物を献立に入れる。一口で食べられるように切ってあげるといいでしょう。食べ物を口に入れるまでに子供がしなくてはいけないことを最低限に抑えるために、食事を出す前に、食べ物を小さく切ったり、パンにバターを塗っておいたりすることです。

  盛り付け皿は子供の手の届かない所に置きましょう。いろいろ遊びたがる就学前の子供達から、面白がって中の食べ物をかきまぜたり、他の所にかけたりしたくなるといった誘惑を遠ざけるのです。

  子供に、食卓での規則を教えましょう(食事時ではない中立タイムに)。子供は生まれつきマナーをわきまえているわけではないので、レストランや家庭でどんな振る舞いが求められているかを学ぶ必要があります。例えば、ティーパーティーを頻繁に行い、子供に、スプーンの使い方、食べ物を床に落とさない事、手で食べ物に触らない事、食べ終わったら、ごちそうさまと言う事などを教えます。例えば2歳以下の子供には、「『ごちそうさま』と言うのよ。そうしたら、椅子から降りて遊んでもいいわ。」と言い、3歳や5歳の子供には、「タイマーが鳴ったら席を立ってもいいわ。終わったら、ママに『ごちそうさま』と言うのよ。そうしたら、ママがお皿を片付けるから。」と言うのです。

  食卓で子供に話しかけて下さい。あなたが子供と話をしているなら、子供は食べ物と遊んだりしてあなたの関心をひこうとはしないでしょう。

  すべきこと:正しい食べ方をしたら、ほめてあげましょう。子供が食卓で食べ物をいじくって遊んでいない時には、上手に食べていてうれしいとほめてやり、きちんと食べる事は割に合うのだという事をはっきりわからせるのです。例えばこのように言ってはどうでしょう。「豆を食べる時のフォークの使い方がとっても上手ね。」とか、「ママが教えた通りに、スパゲティーをフォークにくるくると巻いて食べてくれてありがとう。」

  食べ物で遊ぶのを割に合わないこととする。子供が、以前に話し合った規則を破るなら、その結果どうなるかを告げましょう。食べ物で遊ぶなら、お楽しみの時間は終わったことになるということを証明するのです。例えば、「残念だけど、マッシュポテトに手を突っ込んだから、夕食の時間はもうおしまいよ。汚したところは、あなたが片付けるのよ。」と言うのです。

  子供が食べ物で遊び始めたら、もう終わったのか尋ねましょう。子供が不作法になっているんだとすぐに決め込んではいけません。子供に説明のチャンスを与えるために、ミートローフをばらばらにしている理由を尋ねて下さい。(子供がしゃべれる場合)

  すべきでないこと:冷静さを失わない。子供が食べ物で遊んで食べ物を無駄にしてしまうことにうんざりし、腹が立ってきても、あなたが怒ることこそまさに、子供が食事の際のスパイスとしてほしがっていることかもしれません。就学前の子供は、自分が回りの世界に影響を及ぼすことができると(良きにつけ悪しきにつけ)大喜びするからです。食べ物で遊ぶことを、親の関心を引く手段とさせてはいけません。食べ物で遊ぶとしても、それが害もなく、あなたが差し支えないと感じる程度のものなら無視することです。

  妥協しない。子供が食べ物で遊んでいたツケを払わなくてはいけなくなったら、子供がひどいと言ってわめていも、妥協して、帳消しにしてはいけません。子供と取り決めをする時には、いつも本気なのだということを、子供に教えなさい。

 

食べすぎ

 

  6歳未満の子供は、底無しの食欲を持っていることもあります。子供は、自分ではどうして必要以上に食べ物をほしがるのかわからないのですが、あなたは子供の食習慣を正常に戻すために、その理由を知る必要があります。食べすぎは、問題そのものではなく、問題の兆候なので、どうしてその子が際限なく食べたがるのかを解明するよう努力して下さい。例えば食べすぎが習慣になっているのか、それとも退屈だから食べるのか、誰かのまねをしているのか、それとも、かまってもらいたいからなのか調べて下さい。そして、親が自らするのと同じように、子供も食べることぬきで満足を得られるように助けてあげて下さい。

  予防策:子供のために何が適切なのかをよく知っておく事。食事のプランを押しつける前に、子供が食べるべき正常な量と自分の子供の性別と身長に合った平均体重を調べて下さい。

  健康的な食べ物を出す。高カロリーで栄養のない食べ物は、食べすぎの子供から遠ざけて下さい。そうすれば、食べたいという誘惑もなくなります。

  子供の食習慣をチェックする。就学前の子供は、自分では食べられる物と食べられない物を決められないので、親であるあなたが、子供に栄養ある食習慣を築かせなくてはいけません。幼い内から始めるほど良いのです。毎日、体に必要なだけのカロリーと栄養のバランスのとれた食事を提供するために、脂肪と糖分ばかりの食べ物はやめて、高蛋白の食べ物にしましょう。

  いつ、いかにして、どこで食べたらいいかを教える。食べるのは、キッチンとダイニングルームだけに制限しましょう。食べる速さを遅くし、冷蔵庫から出してそのまま食べるのではなく、お皿やおわんを使って食べるよう要求して下さい。食べ物を口に入れる間隔が長いほど、実際に必要以上に食べてしまう前に、脳に自分はもうおなかいっぱいだという情報が伝わることが証明されています。(脳にその情報が伝達されるのに20分かかります。)

  すべきこと:食べる事以外の楽しい活動を提供しなさい。食べる事の他に子供が好きな事を知り、空腹を満たすに十分なだけ食べたのを見届けた後でそれをするよう提案するのです。食べる事の他にも楽しいことがあることを教えましょう。

  食べ物に対する正しい見方を保つ。食べ物には空腹を満たす他に意味があるのだと子供に教えるのを避けるため、いつもいつも食べ物をプレゼントやほうびとしてあげるのはやめましょう。

  子供が空腹になりすぎて、いざ食べる段になるとがつがつすることのないよう、食事時間を調整する。

  いつ子供が食べすぎるのかを観察する。どうして子供が食べすぎるのかを解明しましょう。退屈すると食べ出すのか、誰かががつがつ食べているのを見たのか、怒っているのか、悲しいのか、親の注意をひきたいのか、食べすぎの習慣がついてしまったのかどうか調べるのです。それから、これらの感情を、話すことや遊ぶことなど、食べる以外の方法で解決して下さい。食べ物が問題解決策とならないよう、子供の人生で問題となっている事柄について話し合って下さい。

  自分自身をコントロールする習慣をつける。子供が素早くまねする食べかたのパターンは父親の食べかただそうです。親が一日中、間食をし、栄養のない物ばかり食べているなら、子供は自分もそうしていいんだと考えます。

  賢い食べ物の選択をほめる。子供に好きになってほしいと望む食べ物を勧める時のあなたの声の調子によっても、子供の好みを形成することができます。おやつに、子供がチョコレートではなく、オレンジを選ぶなら、「なかなか良い物を選んだじゃない。あなたが、オレンジのようにおいしい物を食べて、自分の体をきちんと世話しているのは嬉しいわ。」

  子供に運動させる。太りすぎの子供でも、普通の体重の子供以上に食べているわけではなく、ただ、運動によってカロリーを十分に消費していないだけということがよくあります。冬の間は、ダンスや縄跳びのような運動ゲームをするよう勧めて下さい。夏には、水泳や散歩や野球やブランコは、子供の身体的発育に良いばかりでなく、緊張をほぐし、新鮮な空気が吸え、器用な体の動きを促し、体力を増強します。いかなる形であれ、親も一緒にするなら、子供はそれを苦行ではなく、ゲームのように感じるでしょう。

  子供とコミュニケーションを持つこと。親が子供を励ますのが、子供にグリーンピースを全部食べさせたい時だけでてはいけません。皿にあるものを全部食べた時だけでなく、子供の描いた絵や、子供の選んだ服、おまちゃをきれいに片付けた事もほめて上げましょう。そうするなら子供に自分が注目してもらえるのは、食べたり食べすぎたりした時だけではないと教える事ができます。

  すべきでないこと:子供が食べ物ほしがるのに妥協してはいけない。子供がもっと食べたがるからと言って、それが必要だとは限りません。しかし、もっとほしい事で子供に罪悪感を抱かせてはいけません。どうして子供がそれ以上食べるべきでないのかを簡潔に説明しなさい。子供はまだ幼くて、自分で理由を説明できないのですから。

  子供が泣いていたり、悲しがっているといった時だけ、特別な食べ物をあげてはいけません。子供の痛みを和らげるためにいつも食べ物をあげるなら、食べ物について間違った考えかたをするようになります。

  テレビをそのまま見せてはいけません。子供は、食べ物のコマーシャル攻めにあうからです。子供がいつも食べ物のことばかり考えなくてすむように、良いビデオを見せてあげて下さい。

  おやつに栄養のない物は与えない。おやつや食事で食べるのを許されたものを、子供は食べられるものと期待します。子供が特定の食べ物を好むのは、ただそれを食べ慣れているからというだけのことで、別に生れつきそれが好きというわけではないことがよくあります。

  子供が太りすぎでも、からかってはいけません。子供をからかうと、罪悪感や屈辱感を深め、問題を大きくするだけです。

 

否定的な答えばかり言う

 

  1歳から5歳の間の子供が最もよく使う言葉は、「いや」、または「〜したくない」、「いらない」などです。これはどうも、親が否定的な言葉をよく使うからのようです。よちよち歩きの子供達は、ありとあらゆることを試してみては、親に「だめよ! さわっちゃだめ!」、「だめだ!開けるんじゃない!」、「だめだめ、そんなことしてはいけない!」と言わせることの天才です。自分と親のどちらが実権を握れるかを知ろうと、2歳や3歳の子供は、イエスかノーの質問をされると決まって、すぐに、「いやだ」といった答えを返します。子供が否定的な返事をするチャンスを制限しましょう。(イエスかノーで答える質問はしないようにすることです。)そして、子供が何を聞かれても否定的な答えを連発する場合、それを常に子供の本心と考えてはいけません。

  予防策:子供の性格をよくつかむこと。大体子供の望む事がよくわかっているなら、いやだと言っても、実際は「はい」と言っている場合と、本気でいやがっている場合が見分けられます。

  よく考えてから、だめと言う。子供が何かをするかしないか、それ程問題ではない場合には、子供にだめと言うのを避けて下さい。

  イエスかノー形式の質問を避ける。否定的な答えが戻ってきそうな質問はしてはいけません。たとえば、ジュースがほしいかどうかではなく、どれだけジュースをほしいかを尋ねるのです。子供に車に乗ってほしいのであれば、「車に乗りたい?」と聞いてはいけません。「さあ、車に乗るよ!」と言って、実際にそうするのです!

  「だめ」の代わりに違う言葉を使う。例えば、子供が観葉植物を触るなど、何かしてほしくないことをしたなら、「だめよ」という代わりに、「やめなさい」と言うのです。

  子供に何か他の事をするように教える事で、すべきでない行為をやめさせる。子供にだめと言う時には、大抵何かをやめさせたい時なので、やめてほしい行為の代わりに何か違う事をするよう教えるのです。中立タイムに、「こっちに来てくれる?」と言って、子供の手をとって引き寄せ、抱き締めてキスをし、「来てくれてありがとう」と言い、これを5回行い、あなたが「こっちに来てくれる?」と言う時の子供との距離を少しずつ離していき、最終的には、子供は、部屋の向こう側や庭の向こう側からも来るようにするのです。

  すべきこと:子供が否定的な答えをしても無視すること。肯定的な面を考え、本当は「はい」と言っているのだと解釈すること。たとえば本気でジュースがほしくないのなら、本当に飲もうとはしないでしょう。こうすれば、子供が否定的な答えを言う時には、嘘を言っているのかどうかすぐにわかるようになります。

  否定的な答えよりも肯定的な答えにもっと関心を寄せる。積極的にうなずいたり、はいと言うと、親がほほえんだり、ほめてくれるとわかったら、肯定的な答えをもっと言うようになるでしょう。「はいと言ったのは、いい返事だったわね。」とか、「おばさんが聞いた時に、あなたがはいと言ったのを見て、ママは嬉しかったわ」などと言うことで、明るく反応してあげましょう。

  肯定的な答え方を教える。3歳以上の子供は丁寧に教えられるなら、肯定的な言い方を覚えます。このプランを試してはどうですか。子供に、「はい」というのを聞きたいと言うのです。次に、「はいと言ったのは、本当にいい返事だったわ」とか、「さっきの返事、お母さん、本当に好きだったわ」と言ってほめてあげます。それから「今、何かするようにお願いするから、ママが五つ数える前に『はい』と言ってね。」と言います。子供が言うなら、本当に良い返事だったとほめます。これを5日間に渡って1日5回行うなら、より明るく肯定的な子供を育てることになります。

  子供が否定的な答えを言うのを許す。子供にしてほしいこと、する必要のあることを子供は絶対に行わなくてはいけなくとも、それでも否定的な返事をする権利が子供にはあります。子供に何かしてほしいけれども、したくないと言った時には、子供に説明して下さい。例えば、「あなたがクレヨンを拾いたくないのはわかるけれど、お母さんが頼んだことをした後なら、自分のしたいことをしていいのよ。」と言うと、子供は、あなたが子供の気持ちをわかっていて、思いやっていることを知ります。しかし、なおあなたが実権を握っているのです。

  すべきでないこと:子供が否定的な答えをしても、それを笑ったり、益々励ますような事をしてはいけません。子供が否定的な答えばかりするのを笑ったり、子供に注目すると、子供はあなたの反応がほしい為にもっとするようになります。

  腹を立てない。成長しつつある就学前の子供にとって、否定的な答えをする時期は一時的なもので、すぐに過ぎ去ります。腹を立てると、否定的な答をした子供に関心を払っている事になり、そういう関心や影響力こそ子供が望むものです。

 

かんしゃく

 

  何百万もの正常でかわいらしい就学前の子供が、いらいらと怒りを乱暴で感情的な方法で処理しようとして、かんしゃくを起こします。解決策は? かんしゃくは、子供をスター気取りにしたり、ほしいものを与えてしまわなくとも、回数を減らし、防ぐことができます。

  注意:頻繁に長い間泣き続けるのは、かんしゃくではなく、違った方法で扱われる必要があります。子供が毎日かんしゃくを起こすなら、専門家に相談して下さい。

 

  予防策:子供にいらいらや怒りの処理法を教える。大人は、怒鳴ったり、わめいたりする以外の方法でいらいらや怒りを処理できると教えましょう。たとえば、鍋ごと料理を焦がしてしまったなら、ゴミ箱に鍋を放り捨てるのではなく、「ママはいらだってるけど、大丈夫よ。どんな夕飯ならさっと素早く準備できるか見てみて、この問題を解決する方法を考える事にしましょう。」と言うのです。状況にもかかわらず、乱暴にならずに、自分の問題を解決するための方法を見つけるように教えなさい。

  ほめてやる。子供が良い子でいる時を見逃してはいけません。例えば、子供が複雑なパズルを手伝ってほしいと尋ねたなら、ほめてあげて下さい。「パズルに当たり散らさないで、手伝ってって言ってくれて嬉しいわ。」と言うのです。子供がイライラや怒りを解消するのを冷静に助けてあげれば、子供は自信がつきます。ほめてもらえるとわかっているなら、子供は自分から、冷静に問題を解決する方法を用いるようになるでしょう。けれども、「大変だとどんな気持ちがするか、よくわかるわよ。それでも忍耐きらさないでいるなんて、本当にお母さんはあなたのことを誇りに思っているわ。」などと言って、子供のいらいらした気持ちを理解していることを知らせなさい。

  遊びの時間をいつも一人で遊ぶ時間にしない。良い子にしてると、パパやママが部屋から出て行ってしまうと知っているなら、親にまた一緒に遊んでほしいために子供は往々にして悪い振る舞いをするものです。

  招かれるまで待たないこと。例えば、子供が遊んでいる時や食べている時に困っているのを見たなら、子供をいつまでもいらいらした状態のままにしていてはいけません。子供の手に負えないか、楽にできない事なら、「このパズルはきっとここにくるのね」とか、「こんなふうにやってみよう」と言いましょう。子供に、おもちゃの遊びかたや食べ方を教えてあげて、それを終わらせるのです。そうすれば子供は、自分は他の人に助けさせる事もできるのだと知って満足するでしょう。

  すべきこと:断固とした態度をとること。子供がわめいたり、物をドンドンたたいたりしても、その状況について規則を断固として実施し、必ず実権を握っていて下さい。子供が、望む時に何でも望むものが手に入られるわけではないことを学ぶのは重要なことだと、自分自身に静かに言い聞かせるのです。子供は現実的になることを学んでおり、あなたは、首尾一貫してやることを学ぶと共に、許される振る舞い、許されない振る舞いの境界を教えているのです。

  できるだけ冷静にとどまる。自分にこう言いなさい。「これは大きなことじゃない。子供に自分の感情をコントロールする事を教えている間、私は子供をコントロールできるわ。子供は自分の望むものが得られるように、私を怒らせようとしているのね。」 子供が怒っている時には、冷静でいることが、子供にとって最善の手本です。

  子供をほめなさい。激しいかんしゃくが収まってきた時には、子供が自制心を取り戻したことを即座にほめ、子供と一緒に、子供やあなたにとってイライラの種にならないようなお気にいりのゲームなどをしましょう。「あなたの機嫌が良くなってよかったわ。愛しているわ。でもママは、怒鳴ったりわめいたりは好きじゃないの。」と言うのです。これだけが、かんしゃくに対してあなたが言ったことなので、あなたが無視していたのは、子供ではなくかんしゃくだと言うことを子供が理解する助けになります。

  規則の変更を説明する。子供と店にいて、子供が、以前、買ってもらえないと決まったミニカーを買ってほしいと頼むなら、あなたは考えを変える事もできます。しかし、言うことも変えて下さい。「前にここにきた時にはかんしゃくを起こしたでしょう? でもママのすぐそばにいて、行儀良くしているなら、買ってあげてもいいと思ったのよ。」 これは、あなたの気持ちを変えたのはかんしゃくではなく、違う理由から買ってくれるのだと理解する助けになります。望むなら、どうして、気が変わったのか、その理由を教えてもいいでしょう。特に、良い振る舞いに対するほめ言葉も言うのなら。

  すべきでないこと:かんしゃくの最中に、お説教しようとしたり、説明しようとしても無駄です。全く気にもとめないのですから。もうショーの真っ最中で、スターなのです。その時に話し合おうとしても、ますますかんしゃくをひどくするだけです。なぜなら、子供は観客ができて、しめたものと思うからです。

  自分自身がかんしゃくを起こしてはいけない。自分にこう問いなさい。「どうして私が怒り狂わなくてはいけないの? 私は、理由があってだめだと言ったのだから。」 あなたが冷静さを失うと、子供は益々かっかしてくるだけです。

  子供を見下げない。かんしゃくを起こすからと言って、その子が悪い人間だと言うわけではありません。だから、「悪い子ね! そんなことして恥ずかしくないの?」などと言ってはいけません。子供は自信を失い、どっちにしても、自分はほしかったものを得るにふわさしくなかったんだと思うでしょう。

  歴史家になってはいけない。かんしゃくを起こして何時間もたってから、子供にそのことを思い起こさせてはいけません。そうなると、かんしゃくがますます注目を集めることになり、子供はあなたの会話の中心になりたいばかりに、またかんしゃくを起こすでしょう。

  子供に、かんしゃくを起こしたツケを払わせてはいけない。かんしゃくが終わった後で、子供のことをすっかり無視しておくと、子供は、あなたから関心をもらいたいので、もっとかんしゃくを起こすでしょう。子供が望ましくない振る舞いをしたからと言って、子供に、自分は愛されていないとか、望まれていないと感じさせてはいけません。

 

ぐずぐず言う

 

  わけもないのに、大人が悪いムードになってしまうのと同様、ほとんどすべての小さな大人も時々、わけもなしに、ぐずったり、怒りっぽくなったりするようです。子供の必要がすべて満たされている(おむつは乾いていて、空腹でもないなど)就学前のいらいらした子供の感情や行為の背後には、多分、注意をひきたいとか、自分勝手にしたいという気持ちがあるのでしょう。子供は早い内に、家庭での重要な規則を学ぶべきです。つまり、きちんと尋ねるほうが、怒りっぽくなったり、黙りこくったりするよりも、相手によく伝わるということを。

  予防策:子供が良い子でいる時を見逃さない。良い振る舞いをしたり、何かをするのに良い方法で努力しているのを見たなら、いつでもほめてあげて下さい。そうすれば、子供が、「自分のやることなすこと、間違いばかり」なことで、ぐずぐず言ったり、悲しんだりはしません。

  子供の必要にいつも応えましょう。子供が満足しておらず、泣くことなしに自分の感情をあなたに言えないくらい気が逆立ち、不安定になるのを防ぐため、日頃から子供がちゃんと食事や入浴や睡眠をし、いつもスキンシップをしているようにしてください。

  すべきこと:ぐずぐず言うことと、そうでない事との違いを教える。子供にぐずぐず言わないようにと求める時には、子供が、「ぐずぐず言う」とはどんな事かわかっているかどうか確認して下さい。それから、何かを尋ねる時には、ぐずぐず言う事なしに、自分の欲しい物を尋ねてほしいのだという事を説明するのです。例えば、こう言いましょう。「きちんと尋ねるまでは、ジュースはあげられないわ。ママはこんなふうに尋ねてほしいの。『ママ(またパパ)、アップルジュースをもらえますか?』」 子供がまだしゃべり始めていないなら、言葉でではなく、自分のほしいものを指さしたり、あなたをそこに連れて行くなど、動作によって示す方法を教えて下さい。あなたの言った通りだという事を証明するために、数回、その求めかたを楽しく練習させ、求めたことをしてあげて下さい。

  ぐずぐず言ったり、泣いたりする専用の場所を作る。あなたが子供に良い求めかたを教えた後でも、ぐずぐずをやめないなら、子供に、泣くことによってしか解放されない感情や欲求不満を抱く権利が子供にもある事を知らせなさい。望むだけ泣いたり、ぐずつく事ができる、しかし、それは「泣くための場所」で行なわなくてはいけないと。泣くこと専用のスペースを作っておくのです。自分のほしいものも言えないぐずぐず・めそめそ屋と一緒にいるのは好きではないと言い、泣き終わったら出てきてもいいと言うのです。例えば、こう言いましょう。「本当に動揺しているのね。泣くための場所に行って、気分が良くなったら出てきてもいいわよ。」(編集者:どっちにしろ子供が泣くのであれば、泣くための場所に行けますが、それを奨励したりはせず、ただそういう選択もあると言うのです。そして、泣き終わったら出てこれると言いましょう。)

  子供がぐずぐず言うのを無視する。子供のぐずぐず声は神経をいらいらさせるので、子供が静かな時よりも、ぐずぐず言う時にもっと関心を払うことがあります。もっとも優しい関心を注ぐわけではありませんが。もしぐずぐず言われることに我慢できなくなったら、子供を「ぐずぐずチェアー」に座らせて下さい。

  ぐずぐず言っていない時、ほめてあげる。子供がぐずぐず言う時と言わない時とで、あなたの反応に鮮やかな違いがある事を示すために、子供が静かになったなら即座に、「わあ、これで、一緒にいてもうれしいわ。さあ、おもちゃを取りに行きましょう!」とか、「こんなに長く泣かないでいるなんて、すごいわ」とか、「ぐずぐず言わないでくれて、ありがとう」と言ってほめましょう。

  すべきでないこと:ぐずぐず言う子供に妥協してはいけない。子供がぐずぐず言っている時に、話をしたり、ぐずぐず言ってほしがっている物をあげたりして関心を払うなら、ぐずぐず言うとほしいものが得られると教える事になります。

  自分もぐずぐず言わない事。大人がぶつぶつ不平を言うのは、子供にとっては、ぐずぐず言っているように聞こえることでしょう。親がそれをしているなら、就学前の子供は、じゃあ自分も同じことをしてもいいんだと考えるでしょう。あなたが悪いムードで、世の中に腹を立てているからといって、子供にあたらないで下さい。ただ子供に、自分は気が立っていると言うのです。けれども、その事についてぐずぐず言わないで下さい。

  子供に怒らない。子供の機嫌が悪いからと言って、あなたが怒ってしまってはいけません。あなたの怒りを、自分に関心を払ってくれていると誤解するばかりか、あなたが腹を立てた事で、自分があなたに対して強い影響力を持っていると感じることでしょう。子供は、自分がボスである事を示したいが為に、ぐずぐず言い続けるかもしれません。

  泣くことやぐずぐず言うことを、ただお仕置きでやめさせない。「本当に泣くような目にあわせるよ」という昔からの報復のやり方は、あなたと子供との間に衝突を作り出すだけだし、また、泣くことは絶対にだめなのだと教えることになります。そして、子供は自分が不機嫌なことで罪悪感を抱くようになります。制限つきで、泣くことやぐずぐず言うことを許しなさい。なぜなら、その時には、特に子供がまだしゃべり出す前には、泣くことだけが、いらいらなどを解消する唯一の方法かもしれないからです。

  永遠に続くのではない事を覚えておきましょう。子供はその日、虫の居所が悪く、何によっても機嫌が良くならない状態なのかもしれません。だから子供は機嫌が直るまで、ぐずぐず言ったり、泣いたりを続けるかもしれません。自分にこう言いなさい。「これもいずれ終わる」 そして、どんな良い振る舞いもほめてあげて、子供にとって人生ができるだけ楽しいものとなるように努めることです。

 

生意気な口答え

 

  生意気な口答え−−皮肉や、反発、いやな非難が、それまでは天使のようだった就学前の子供の口からでてくると、子供の、言葉をマネし(良い言葉も悪い言葉も)、それらによって自分のまわりの世界をコントロールする能力に痛いほど気づかされます。(すべての言語と同様)生意気な口答えは、実際にそれを聞かないなら覚えません。だから、子供が良くない言葉を聞く機会を制限して下さい。テレビ番組や友人や、あなた自身の言葉づかいをチェックし、子供の辞書から生意気な口答えを削除するのです。

  予防策:自分が話しかけてもらいたいと思う通りに、子供にも話す。あなたが聞きたい言葉を使うよう子供に教えて下さい。「ありがとう」、「ごめんなさい」、「お願い」を言いましょう。また、必ずしも何を言うかよりも、その言い方によって、生意気な口答えに聞こえるということを教えて下さい。

  どれが口答えかを判断する。ますます多種多様な言葉を覚えていく子供に適切に反応するために、子供が口答えしているのか、それとも、単純にそう言っているだけなのかを考慮する必要があります。

  友人やマスコミや個人の言葉を監視する。自分や、子供の友達や仲間や家族や、テレビの登場人物の口から出る言葉をしっかり監視し、子供が生意気な口答えに接する機会を減らして下さい。

  すべきこと:良い言葉づかいはほめる。子供が口答えしていない時にほめてあげることで、どんな言葉づかいを子供がするのを好むのかを知らせるのです。こう言いましょう。「何か聞かれて返事をする時に、怒鳴らないのはいいことね。ママはそういうのが好きよ。」 口答えかそうでないかは、子供の答え方によって決まると教えて下さい。要点をわからせるために、「知らない」と怒った声で言った後で、同じ言葉を優しい言いかたで言うのです。

  すべきでないこと:口答えの応酬をしない。口答えするのは、子供が親をコントロールしようとしているからです。だから、あなたがそれに口答えしてしまってはいけません。親を怒らせたり、親に関心を払ってもらえるなら、子供は口答えは楽しいことだと考え、味をしめてしまうかもしれません。しかし、これは望ましくないことです。

  口答えを教えない。子供に怒鳴って答えるのは、口答えの仕方を教えているようなものです。怒鳴られても、怒鳴り返さないようにするのは大変ですが、尊敬をこめた答え方をして、子供に尊敬をこめた態度をとることを教えて下さい。客に接するように、子供に丁寧に接して下さい。

  口答えに対して厳しい罰は禁物。一番厳しい罰は、子供自身や他の人を危険にさらし、危害を加えるような本当に悪い振る舞いのためにとっておいて下さい。口答えは、どんなにひどくても、ただ人を煩わせる不作法な振る舞いにすぎません。

 

人のことを

悪い呼び名で呼ぶ

 

  目覚ましく言葉を覚えていく就学前の子供は、世界に、自分がボスであって、そのような口のきき方ができるのだと知らせるために、悪い呼び名を使うことの影響力をテストします。子供がその言葉の持つ影響力をテストし、反応をうかがっていると知っているのですから、子供に、思ったほど害を及ぼすことは、ないということを教えなくてはいけません。悪い言葉で呼ぶことで、子供はそれが、多大な影響力を持つことを期待していますが、冷静な反応をすることで、期待外れに終わらせるのです。(編集者注:けれども、前もって子供も賛成している、適切な懲らしめの手段を使って下さい。) 子供自身が誰かから悪い呼び名で呼ばれる被害者になった時にも、冷静に反応するという、あなたが子供に教えている方針を、子供自身が実際に行うように助けてあげて下さい。この言葉ゲームも、言われた人があくまでも冷静でいて相手にならないならあまり楽しくないことを子供は知るでしょう。

  予防策:愛称をチェックする。子供に他の人に対して使ってほしくないようなあだ名で、あなた自身が子供を呼ぶのをやめましょう。「まぬけ」と呼ぶのと、「お人形さん」と呼ぶのでは明らかに違いがあります。

  悪い呼び名で呼ばれた時の策を教える。子供が言われた時に、あなたが子供に望むような反応の仕方を提案してあげて下さい。「友達があなたをばか呼ばわりしたら、そんな言い方をする時には一緒に遊べないと言いなさい」と言うのです。

  悪い呼び名とそうでないものの区別を教える。子供に、「合法」と「違法」の両方の言葉の区別を知ってほしいのなら、まず、どんな言葉を使うべきでないか、しっかり教育しておいて下さい。

  すべきこと:子供を「一時退場」にする。子供が良くないことをしている時には、遊ぶチャンスを失うと告げて、一定の時間、子供が楽しいことをするのを中止させて下さい。「残念だけど、悪い言葉で呼んだから一時退場よ。」と言うのです。

  良い事を言った時を逃さない。子供に、どんな言葉をあなたが承認し、どんな言葉を承認しないかを教えるために、子供が悪い言葉を使っていない時には褒めてあげましょう。

  反応を一貫させる。子供が悪い言葉を口から出す度に同じ反応をする事によって、あなたがそれを全く好まない事を教えましょう。「悪い言葉で呼んだでしょう。一時退場しなくてはいけないわね。」と言うか、何か前もって子供と決めてある懲らしめの措置をとりましょう。

  すべきでないこと:悪い呼び名の使い方を教えてはいけません。自分が言われると非常にいらいらするので、例えば「このまぬけ! そんなことを言うくらいしか能がないのか」などと言って、子供が最初に言ったのと変わらないくらい愚かな言葉を使って子供に怒鳴り返しがちです。これでは、就学前の子供に、自分が言ったのと同じ言葉を使っていいという許可を与えているようなものです。いかに、そしてどうしてあなたが怒るのか説明することで憤りを抑え、どんな時に、子供の言葉や行為があなたを嬉しくさせるか、あるいはさせないか、また、子供が悪い言葉を他の人に浴びせたくなった時にどうしてほしいかを教えてあげて下さい。

 

会話を邪魔する

 

  就学前の子供が持てる最も貴重なものとは、親の関心なので、電話がかかってきた時あるいは玄関のベルが鳴った時にも、親の関心を取り戻すためなら、どんな事でもするでしょう。子供がずっと親の関心を引いておこうと色々な手段を使う事のないよう、子供が競争相手と思っている相手とあなたがおしゃべりする間だけ遊んでもいい特別なおもちゃを用意してみてはどうでしょうか。それがあればあなたが子供から少し離れて忙しくしている間、子供はあなたがついていなくとも忙しくしていられます。

  予防策:会話の時間を制限する。子供が待っていられる能力は比較的限られているので、賢明な親となって、子供がそばにいて、手持ちぶたさで、あなたからの関心を求めている時には、話を早めに切り上げましょう。

  電話ごっこをする。邪魔をしないとはどういう意味かを子供に教えて下さい。親子で双方が一つずつおもちゃの電話を使い、邪魔をしない行為を練習しましょう。子供にこう言うのです。「私はこういうふうに電話で話すから、あなたは私が電話で話してる時にこのように遊ぶのよ。」 それから、子供に電話で話す人になってもらい、自分はそれを見ている人になります。これで、子供に会話を邪魔する事はどんな事かを明確に教えると共に、邪魔する代わりにどう振る舞うべきかを教えてあげられます。

  電話がかかってきた時の規則を定める。特別なおもちゃや教材などを電話のそばの引き出しに入れておいて下さい。(2歳以上の子供には自分で選ばせましょう。) 電話に出ている時には、子供がそれらのおもちゃで遊ぶように要求すると同時に、子供を見守り、子供に本当に良い子で遊んでいると告げたり、ほほえむなどして、顔の表情や言葉によって関心を払いましょう。引き出しに入れておくためのおもちゃを選ぶ時には、親の監督なしで子供がどれくらいうまくそのおもちゃを扱えるかを考えましょう。それは、子供の遊びを指導するためにあなたが電話を中断しなくてはいけなくなる可能性を減らすためです。

  すべきこと:子供が邪魔をせず、良い子で遊んでいる時にはほめてあげましょう。子供が、邪魔をせず、良い子でいる時に関心(ほほえみや、ほめ言葉など)をもらっているのなら、つまらないことで大人の会話を無理矢理邪魔する必要もないし、そうしたいとも思いません。だから、誰と話している時でも、ちょっと相手に待ってもらい、「人形で静かに遊んでくれてありがとう。一人でちゃんと遊んでいるなんて本当に偉いわ。」と子供に言うのです。

  子供にも親の生活に参加させる。友人が訪問した時には、会話に子供も加えてあげて下さい。そうすれば、子供が自分もそこにいることを認めてもらうために邪魔をする可能性は減ります。

  すべきでないこと:邪魔したからと言って、子供に怒ったり、怒鳴ったりしてはいけません。わざわざ子供に間違った態度を教えて、邪魔するのをかえって促すことになります。

  あなた自身が子供や他の人達の会話を邪魔してはいけません。たとえあなたの子供がひっきりなしにしゃべる子供であっても、子供が話している時に割り込まないことで、あなたが自分が説くことを実践していることを態度で示して下さい。

  おばあちゃん方式を使う。子供に、すぐにまた子供と遊べると知らせ、また待っている間に静かに遊んでいたら、かえってあなたの関心が得られるという事を教えて下さい。そして、会話を制限するためにタイマーを使って下さい。それが鳴ったら、一緒に遊べると教えるのです。「2分間あなたのおもちゃで遊んだらタイマーが鳴るから、電話を切ってあなたと遊ぶわ」と言いましょう。

 

  注意し、一時退場にする。「邪魔するのをやめなさい。邪魔されると、友達と話ができないの。邪魔する代わりに、車で遊んでいてちょうだい。」という具合に注意し、もし子供がそれでも邪魔し続けるなら、一時退場にして、邪魔することで子供が関心を即座に得る可能性をなくして下さい。「ごめんなさい。邪魔するのをやめなかったから、一時退場よ」と言うのです。

 

乱暴な振る舞い

 

  はた迷惑な乱暴者のように、6歳未満の小さなエネルギッシュなダイナマイト達の中には、いらいらしたり、怒ったり、乱暴な気分になってしまった時に、一番近い標的におもちゃを投げたり、体ごとぶつかったりする子供が沢山います。どうしてでしょうか? それは、論理的に考えたり、妥協したりする事が、まだ問題を解決するテクニックに含まれていないからです。それに、子供にしてみれば、本やおもちゃを投げることは別に、ボールを投げることより悪いことには思えません。他の子供達と仲良く遊ぶよう教えて、子供の乱暴な態度を抑えて下さい。他の人達やおもちゃの扱いはどのようになされるべきか(違反:たたくこと、噛むこと、投げること、からかうこと、合法:キスする、ハグする、話す)、また、どうしてそれらの行為が良いのか悪いのかを実際に示し、説明して(1歳の子供でも)下さい。子供が自分や他の人に害を与えるような行為ではなく、適切な行為を常に行うよう導くために、一度決めた規則を妥協させてはいけません。

  注意:子供の乱暴な行為が毎日の「お決まり」の行為になっていて、友達や家族やあなた自身に危害を加えるようなら、子供の怒りといらいらの原因は何なのかを究明する為に専門家に相談して下さい。

  予防策:遊びをしっかり監督する。子供が遊び仲間から乱暴な振る舞いを覚えてしまうことのないよう、子供とその友人がどのようにおもちゃを扱っているかを監視して下さい。乱暴な振る舞いによって、ケガや損害を招くのを許してはいけません。子供の友達が悪い行為をしている場合でも、自分の子供にするのと同じ対応をして下さい。

  乱暴な振る舞いを教えない。自分が物を扱う時には、子供にしてほしいと望むやり方で扱って下さい。例えば、怒った時に大人がたたいたり、物を投げたりするのは、子供が怒った時に乱暴になる方法を教えているようなものです。

  誰か他の人が噛んだり、たたいたりしているのを見たら、それを子供に指摘する。中立タイムに、噛まれたり、たたかれたりしたら相手はどんな気持ちになるかを子供に説明しなさい。乱暴な行為は、するほうにもされるほうにも、どんなにいやなものかを子供に悟らせるのです。

  すべきこと:子供にたたく以外に何をすべきかを言う。乱暴な振る舞いが始まったら、怒った時に、たたく以外にすべきことを沢山教えて下さい。子供に、助けを求めるとか、「私はもう遊ばない」と言って、少しの間子供達のグループから抜けることができると教えるのです。そのような言葉とその使い方をよく教えた後で、5回実際に言わせて練習させて下さい。

  仲良くやっていることをほめる。子供が物を分けてあげたり、順番にしたり、助けを求めたりした時に、あなたがどんなにうれしいかを子供に告げる事を通して、仲良くやることと、そうでないことを指摘して下さい。「友達と半分こするのは本当に良いことね」と言って、いつも何についてほめているかをはっきりさせるのです。ほめればほめるほど、そのグループや子供一人一人の行動は思いやりあるものになります。

  子供に注意する。あなたが何の理由もなしに子供の行動を止めさせはしないことをわからせるために、子供に注意し、理由を説明して下さい。そうすれば、子供の理由を理解する能力をあなたが尊重している事も子供に伝わります。注意する事には三つの段階があります。まず最初に停止命令。(「たたくのをやめなさい!」)、それから、たたく代わりに何をすべきかを教えること(「怒っている時には、グループを離れればいいのよ。」とか「腹が立った時には、大人に助けを求めなさい」と言う)、そして、やめるための理由を教えることです。(「たたかれた人は本当に痛いのよ!」) 子供が乱暴な振る舞いをやめない場合は、もう一度注意して、その状況についてもっと権力を行使するために一時退場を命じて下さい。

  終わった事は忘れる。子供が前にした乱暴な行動の事を思い出させても、子供に乱暴にならないようにと教える事にはなりません。かえって、またそんなことができるんだという気にさせるだけです。

  すべきでないこと:子供が怒っている時に、自分が怒りを爆発させてはいけません。子供がたたいた時にあなたが怒るなら、親に対して影響力を持ちたいなら、乱暴な行動をすればよいと教えるようなものです。

 

冒険心

 

  動き回り始めたばかりの1歳児は探検することの喜びを全身で感じます。何の規制も与えられなければ、何でも誰でも自分のひざや足で行ける範囲にあるのです。2歳以上なら、すでに正しい規則を教えてあるので大丈夫ですが、1歳児は自分で最初から、すべきでない事、すべき事を知っているわけではありません。小さな放浪者の冒険を制限する一方で、就学前(そしてその後)において、正常で健全な好奇心が表に出される事と、家庭の中と外では何をするのが適切か、または適切でないかを教える事の両者の間に良いバランスを持つよう努めて下さい。

  予防策:家を子供に安全なようにする。ドアを常に締めておいたり、柵で囲んだり、幼い旅人を常に監督しておくなら、一日の内で「だめ」を言う回数も減るし、あなたと子供にとって人生の危険が減ることになります。3歳未満の子供は、どうして自分の行きたい所に行けないのか、その理由がわからないことでしょう。特に自分が誰からも指図は無用なことを証明し、この世界で一旗あげようと一生懸命頑張っている場合には。

  触ってよいものと触ってよくないものをはっきりさせる。何が合法かを決めて、できるだけ子供が幼い内に、その区別をわからせるのです。こう言いましょう。「ここやそこでなら遊んでもいいけど、パパの書斎はだめよ。」

  壊れるかもしれないような物は手の届く所におかない。1歳や2、3歳の子供は、自分の手の届く所に置かれた高価な花瓶と、1ドルで買える雑貨との違いがわかりません。壊されては困るような物は遠ざけることで、危険を回避しましょう。小さな心と手が、するなと言われていても何でも触りたがろうとするのをやめるまでは。

  子供に、立入禁止の場所にはどうやったら入れるかを教える。子供に、立入禁止区域に入る合法的な方法を説明するのです。なぜなら、どこかの部屋に入ったり、通りを横切るのを一度も許されないなら、かえってそれをやりたくなってしまうからです。例えばこう言いましょう。「ママの仕事部屋に入ってもいいけど、それはママか他の大人と一緒の時だけよ。」

  すべきこと:注意する。親が本気であることを示すために、子供が同じ違反をする度に一貫して子供を注意して下さい。「あの部屋に入るのをやめなさい! ここで遊んでいたのはよくないわ。ここは入ってはいけないことになっているでしょう。この部屋に入りたいなら、ママに一緒に来てほしいと聞いてちょうだい。」

  子供を一時退場にする。子供がキッチンのテーブルを何度もよじ上ったりするなら(そして、それが禁止されているなら)、改めて子供を注意し、その警告を徹底させるために、「一時退場」と言って、子供を一時退場処分にして下さい。

  子供が規則に従っている時を捕らえる。子供が何かを触ってはいけないことを覚えていたことで、あなたがどんなに喜んでいるかを子供に伝えて下さい。そのようにほめてやるなら、子供の行いに関心という報酬を与えることになり、また正しいことをしようという気持ちにさせます。たとえば、「ちゃんと遊ぶべき場所で遊んでいるなんて、本当に良い子ね。」とか、「コーヒー・テーブルに上らないでいてくれてありがとう。」と言うのです。

  目で見るだけならいいけれども、手で触るのはだめだと教える。宝石や花瓶や絵画を目で見るのは良いけれど、手で触ってはいけないと教えるのです。これによって、興味のある物を制限された方法でじっくり調べる自由を与えることになります。

  すべきでないこと:禁止事項をもっと破りたいと思わせないこと。子供が規則を破った時に、あなたが怒るなら、子供は、いたずらをすると関心をもらえると知って、もっと頻繁にトラブルを起こしたいという気持ちになります。

  厳しく罰しないこと。注意や一時退場は大丈夫です。なぜなら、そうされても子供は自信を失ったり、親から関心を寄せてもらうには何かを壊しさえすればいいのだろうかと考えて混乱することがないからです。

 

物を壊す

 

  親から徹底的に教えられない限り、就学前の子供には破壊的な遊びと創造的な遊びの区別がつきません。だから、子供が1歳の誕生日を過ぎる前に、何に絵を描けるか描けないか、何を壊したり、ばらばらにできるか、あるいはできないかを教える(示す)ことによって、あなたのかわいい画家の卵が無邪気に自分や他の人の物に損害を与えるのを予防して下さい。たとえば、壁紙ではなく、紙に絵を描かせたり、本物ではなくおもちゃの電話をばらばらにさせるなどして、適切な場所と時間に創造的なエネルギーを発散させる一方で、自分や他の人の物を尊重し、大切に扱うよう、絶えず教えて下さい。

  予防策:いろいろいじって調べることができるけれども、壊れることのない丈夫なおもちゃを与える。就学前の子供が、組み立てられるようなおもちゃをばらばらにすることは自然なことですが、そう意図されていないものをもばらばらにするのも自然なことです。子供の遊び場におくおもちゃは、何もできないような物(たとえば弾けないようなピアノ)ではなく、いろいろできるもの(積み重ねるおもちゃや、ボタンを押すゲーム)だけにしましょう。そうすれば、子供にしてほしいと望む創造的な遊びをするよう刺激できます。

  子供に着る物やばらばらにできる物を与える。就学前の子供の変装やお絵かきなどの遊びのために古着や紙を沢山用意しましょう。そうすれば子供は、無邪気なプロジェクトをするために新しく高価な物を犠牲にすることがありません。

  おもちゃの扱いについて具体的な規則を教える。子供達は、生れつき物の価値やすべての物の遊び方を知っているわけではないので、例えば新聞や本について教えましょう。「あなたがクレヨンで色を塗れるのは、塗り絵の本だけよ。他のものはクレヨンで描いてはだめなの。」と言うか、「このリンゴのイミテーションは本物のように、割ったり、食べたりすることはできないの。リンゴが食べたいなら、ママがあげるわよ。」と言ってはどうでしょうか。

  子供の遊びを監督する。子供は、大人のように物の扱い方を知っているわけではないので、子供が遊んでいる間は目を離してはいけません。

  一貫した方法で、遊ぶことと破壊することの違いを教える。壊してはいけない物を子供が壊すのを大目に見ることによって、子供を混乱させ、子供が何度も何度もどこまで許されるかをテストすることになってはいけません。前にはしても良かったことをして突然罰されるなら、子供は、自分の行いの結果何が起こるか予想がつかないし、楽しんでいたことをどうして突然中止させられたのか理解できないでしょう。

  子供に物を大切にするよう言う。おもちゃを壊す可能性を最低限に抑えるために、子供がおもちゃをとても大切に扱っている時には、そのことをほめてあげて下さい。それによって子供は規則を思い出しますし、自分が良いことをしたのだと感じ、自分の持ち物を大切に思うようになります。

  すべきこと:注意する。子供が2歳未満なら、短く注意(子供が何をしたか、どうしてそれがいけないのか、どうすべきだったのか)して、自分が楽しんでいたのにそれをやめさせられた理由を理解するよう助けてあげて下さい。

  子供を一時退場にする。子供に注意しても、また物を壊すなら、もう一度注意し一時退場処分にして下さい。

  すべきでないこと:あまり期待をかけすぎてはいけない。子供が何かを壊しても、かんしゃくを起こしてはいけません。怒っているあなたを見て、あなたが子供よりもその物のほうを大切に思っているのだと子供は考えるからです。何かが壊されたことに対して過度に失望しすぎないようにして下さい。

  厳しい罰を使わない。子供のしたことで、何も危険なことが起こらなかったか、または、起こる可能性がなかった場合には、子供のした間違いよりも、物をいかに扱うかについて教えることに重点をおいて下さい。

 

他の人の物を取る

 

  就学前の子供は、誰かにそうではないと教えられるまでは、この世界のすべてのものが自分のものだと考えています。だから、できるだけ幼い時から、他の人から物を取ってはいけないと教えて下さい。子供が自分で善悪の観念がつくまでは、親が常にそれを教えなくてはいけません。だから、今、そして親元を離れた後も、子供が犯罪を犯すことのないよう、子供が自分のものでない物を取る度に、しっかりしつけて下さい。

  予防策:規則を作る。子供に、どうやって物を尋ねるか教えるなら、何かがほしいと思う時にはあなたに知らせることを学びます。公共の場や他の人の家から取ってはいけない物をはっきり教え、この世界でのルールを知らせるのです。基本的なルールはこのような感じです。「何かほしいなら、それを取る前に、まずお母さんに聞くのよ。」

  すべきこと:盗まないで物を手に入れる方法を説明する。子供は、ほしい物を見た時に、どうしてそれを取っていけないのかわからないかもしれません。だから、正しい行いと間違った行いの両方を子供に教えなくてはいけません。「クラッカーがほしいなら、ママに聞くのよ。ママがいいわよと言ったら、その箱を取って、ママがお金を払うまで持っていてね。」というように言いましょう。

  首尾一貫していること。ある日は、子供がスーパーの棚から何かを取っても怒らなかったのに、違う日にまた買い物に行った時には怒ったというようではいけません。子供は、どれが自分の物にできて、どれができないのかがわからず混乱してしまうでしょう。

  盗むとはどういうことかを教える。借りることと盗むことの違い、そして、それぞれの結果を教えることによって、「盗んではいけません」とあなたが言うのは、どういう意味なのかを子供が理解するようにして下さい。

  盗んだ報いを経験させる。子供が盗んだことの代価を知ることができるよう、家の仕事をしっかりやらせたり、子供の宝物を取りあげることで、盗んだことの償いをさせて下さい。こう言うのはどうでしょうか。「残念だけど、自分の物でない物を取ったから、あなたの物を何か手放さなくてはいけないわ」 子供が手放した物は、数か月たってから、良い子にしていた報酬として返すと良いでしょう。

  子供に、盗んだ物を返還させる。子供に、自分の物でない物や、許可なしに借りたものを自分でとっておくことはできないと教えて下さい。子供が自分で(必要であれば、あなたと一緒に)返すという規則に従わせるのです。

  「一時退場」にする。子供が自分の物でない物を取ったなら、規則を破ったことになり、一緒に遊ぶなどするのを中断し、他の人達から離れなくてはいけないと告げて下さい。「自分の物でない物を取ったから、残念だけど、一時退場よ」

  すべきでないこと:歴史家になってはいけない。子供が以前に盗んだことについて思い出させてはいけません。過去のことをぶり返すのは、正しい行いではなく、悪い行いをまた教えるようなものです。

  子供にレッテルを貼らない。例えば、子供を泥棒呼ばわりしてはいけません。子供は、自分に貼られたレッテル通りのことをし始めるからです。

  子供に盗んだかどうかを聞いてはいけない。聞くと、かえって嘘をつくのを促すことになります。「本当のことを言うと罰を受けるから、痛い思いをしないように、嘘をつこうかな」と考えるかもしれません。

  遠慮なく調べること。子供が何かを盗んだ疑いがあるなら、調べることによって真相を究明して下さい。もし実際に盗んだとわかったなら、適切な措置をすること。「あなたは、自分の物でない物を取ったのね」と言って、上にある「すべき」対応を行って下さい。

 

独占欲

 

  「私の(僕の)もの」というのは、就学前の子供が、自分の世界にある物は自分の物で、いつでもいかなる形でも自分の物を持つ権利があるほど自分がえらい存在だということを、互い(と大人)に念を押すための合言葉です。そして、この言葉は5歳未満の子供のいる家庭で争いを引き起こすのですが、子供がその言葉に固執しなくなるまで(3歳から4歳にかけて)は、独占欲はなかなか強く、健在なのです。この世界にある譲り合いの規則を子供に一貫して教えることによって、平和がより長く続くようにしましょう。他の人と分け合う規則を家で徹底させる必要があります。しかし、忍耐を持って下さい。子供が正しくその規則に従うようになると期待するのは、子供があなたの干渉なしに自分から分け合うのを見るまで待つのです。子供がそれを始めるなら、今までの境界をさらに広げる準備ができたという素晴らしい兆候です。

  予防策:絶対に子供のものだというおもちゃを幾つか決めておくこと。就学前の子供が「自分のもの」という言葉を捨て去り、自分の執着していた物を手放すようになる前に、まず、その子に自分の物を持つチャンスを与えなくてはいけません。例えば、誰かが家に来た時に、お気にいりのおもちゃや毛布を片付けておくなら、貸してあげる必要もありません。

  あなたも自分の友人と物を分け合うのだと教える。この世で自分の物を分け合うよう求められているのは、その子供だけではないことを教えてあげましょう。中立タイム(分け合う必要のない時)に、あなたが友人との間で本を借りたり貸したりしている例を話してあげるのです。(「メアリーおばさんが、お母さんの料理の本を借りたのよ。」とか、「隣のチャーリーおじさんが、お父さんの芝刈り機を借りたんだよ。」と言うのです。)

  分け合うとはどういうことかを説明し、分け合うことができるだけ楽しいことに見えるよう、自分が物を分け合うのがどんなに好きかを話す。他の子供が自分のおもちゃを見たり、それで遊んだりするのを子供が許したら、そうして分け合うのは本当に良いことだとほめてあげましょう。例えば、「友達にそのおもちゃで少し遊ばせてあげたのを見て、ママはとても嬉しかったわ」と言うのです。

  (双子や年が近い子供達のために)特定のおもちゃに名前をつける。子供のぬいぐるみの熊が他の兄弟や姉妹の熊と同じものなら、ごっちゃになってしまわないようにして下さい。それぞれの名前のついたラベルをつけるか、色のついた糸をつけて、自分の物はみんな、兄弟や姉妹の物と一緒になってしまうことはないと知って子供が安心するよう助けてあげて下さい。

  分け合うことについての規則を定める。友達が遊びに来る前に、みんなで遊んで分け合う時間になったら、子供は何をすることを期待されているのかを子供に話しておくのです。例えばこんな規則を話してはどうでしょうか。「もしあなたががおもちゃを手放したら、誰でもそれで遊んでいい。でもあなたがそれを手に持っているなら、それはあなたのものにしておいていい。」という具合に。

  子供は友達の家ではもっとよく分け合うということを覚えておいて下さい。そこは自分の陣地ではないので、家にいる時よりももっと受け身的な態度を取るかもしれません。そして、自分の家では、もっと独占的で強い態度を取るのです。

  分け合うことは、成長に伴って学んでいくものだということを覚えておくこと。分け合うのを早急に学ばせることは不可能です。たいていは、3歳から4歳の時に、言われなくとも自分で分け合い始めるようになります。

  すべきこと:1歳や2歳の子供が遊んでいる時には監督すること。3歳未満の子供がそれほど分け合うとは期待できないので、子供達が遊んでいる時にはそばにいてあげて、子供達が幼すぎて他からの助けなしには解決できないような争いを解決するのを助けて下さい。

  タイマーをセットする。2歳児がおもちゃを「私の/僕の」と言う時には、分け合うという譲り合いがどういうことかを教えて下さい。タイマーをセットし、一人の子供に、ブザーが鳴ったなら、今度は他の子供がそれで遊ぶ番だと言うのです。子供達がそのおもちゃに飽きてくるまで、その手順を続けて下さい。(たいていは2回ブザーが鳴った頃には飽きます)

  おもちゃを「一時退場」させる。一人の子供がおもちゃを独り占めしたがるために、おもちゃが争いの原因になっているなら、そのおもちゃを一時退場にして、子供達の手の届かない所において下さい。おもちゃが手元にないなら、もうトラブルは起きません。「このおもちゃは喧嘩のもとだから、一時退場しなくてはいけないわ」と言いましょう。おもちゃが戻ってきた後でもそのことで争っているなら、子供達がおもちゃを分け合わないなら、誰もそれで遊べないのだということをわからせるために、また一時退場にし続けて下さい。

  すべきでないこと:怒らない。子供は、分け合うことについての規則を自分が学べる時にしか学ばないのであって、大人が強制したり、強く要求してもそれを学ぶわけではないのを忘れてはいけません。子供が何かを貸してあげているのを見るなら、それは、子供がそれを学んでいるしるしです!

  時々分け合うことをしないからと言って罰してはいけない。子供が時々何かを分け合わないからと言って罰するよりは、そのおもちゃを手の届かない所に置いて下さい。そうすれば、責められるのは子供ではなく、おもちゃだということになります。

 

清潔にするための

作業を嫌う

 

  目にしみないシャンプーから、使い捨ておむつに至るまで、就学前の子供や親にとってお風呂やおむつの取り替えや洗髪ができるだけ快適になるようにと、あらゆる製品が氾濫しています。(これらの製品の製造会社も知っていることですが)就学前の子供が入浴や洗髪などを嫌うというのは、周知の事実です。だから、子供を洗うのに一苦労しても、こんな思いをしているのは自分だけだと考えてはいけません。子供をきれいにするのをもっと楽しい過程とするために、他のこと(歌を歌ったり、お話しをする)で子供の気をそらしましょう。そして、少しでも協力したならほめるのです。(石鹸をあなたに渡しただけでも)

  注意:子供がいやがるのは、ただそうやって洗われるのがいやだからだけではなく、それ以外の理由があるかどうかを知ることによって、どんな製品が子供に肉体的な拒否反応を起こさせるのか(ひどく目にしみて痛いのか?)、または、子供が単に精神的な拒否反応を起こしているのか(どんな石鹸でもいやがるのか?)、しっかり見極めて下さい。

  予防策:きれいにする時間と場所について子供の立場を尊重する。例えば、子供が楽しみにしていたことを犠牲にしなくてはいけないような時間に子供の髪を洗ったりしないというように、子供の立場を尊重するようにするのです。

  子供を助手にする。子供が自分をきれいにする過程において、何かの役割をできるよう助けて下さい  。年令や、技能レベルや、指示に従える能力に応じて、子供が持てるような物を、持ってくるようにと求めるのです。例えば、きれいにする仕事に自分も何らかの実権を持っているのだと感じさせるために、お風呂で使うためのお気にいりのおもちゃやタオルを選ばせてあげてはどうでしょうか。

  来たるべき出来事に対して子供を準備させる。例えば、遊びの時間からお風呂の時間への移行をあまりにも唐突なものにしないよう、前もって知らせて下さい。「タイマーが鳴ったなら、お風呂の時間よ」とか、「あと5分で片付けなくてはいけないわ」、または、「この本を読み終わったら、お風呂の時間よ」と言うのです。

  始める前に必要な物を揃えておく。子供が小さすぎて、あなたが準備するのを助けられないなら、きれいにする作業に入る前に、自分が必要な武器を全部持っているか確認しましょう。そうしたら、不必要にその過程を遅らすことがありません。

  明るい態度を取るように努める。お風呂の時間だと知らせる時に、その声の調子が刑務所行きの通告のようなら、子供はそれを感じとり、あなたにとっても心配事なのなら、やっぱりこれはひどく恐ろしいことなのだと思いこむでしょう。あなたの態度は影響を与えやすいので、子供にまねしてもらいたいような態度を取って下さい。

  すべきこと:あくまでも平静を保ち、子供が騒ぎ立てても無視する。騒ぐ子供を沈着冷静に扱うなら、子供も影響されて落ち着いてきます。

  楽しみながらやる。抵抗する子供には、話しかけたり、遊んであげたりして下さい。子供の気をそらすために、節を言ったり、歌を歌ってあげるのです。「アイムソーハッピーを歌いましょう」とか、「あなたには、このボートをつかまえて、水に沈ませるのは無理でしょうね」と言うのはどうでしょうか。子供が小さくて、あなたと一緒にしゃべったり歌ったりするのが無理なら、あなたが一人でやってあげましょう。

  子供の助けを求め、ほめ言葉をどんどん言う。子供が自分の衛生を管理していて、直接それに関与しているのだという気持ちを持たせるために、自分で自分のおなかを洗ったり、自分で体に石鹸を付けたりするよう頼んで下さい。少しでも協力しているなら、それはほめる対象になります。どんどん励ましの言葉を言って下さい。子供があなたの好む通りに行動することで、関心をもらえばもらうほど、ほめてもらうために、もっとその行動を繰り返すでしょう。「シャンプーを上手に髪の毛につけたわね。おふろの中でちゃんと座っているのは偉いわ」とか「髪を洗う間、おとなしくしてくれてありがとう」と言うのです。

  おばあちゃん方式を使う。あなたから求められていること(お風呂に入る)をしたなら、好きなこと(物語を読む)ができると告げるのです。「お風呂が終わったら、お話を読みましょうね」とか、「終わったら、遊べるわ」と言いましょう。

  何が何でも仕事を遂行する。清潔できちんとするために、蹴られたり、わめかれたり、金切り声をあげられようとも、絶対にこの仕事を完了すると決意しておいて下さい。子供は、幾らわめいても無駄だとわかってくるにつれ、抵抗を最小限に抑えれば、あなたが仕事を早く終われるということをもっと理解するようになります。

  良いにおいがすることやきれいになったことをほめる。子供が立派に見えるようになったし、良い香りもすると言いましょう。そして、どうしてお風呂で洗うのが必要だったのかを思い起こさせるために、鏡で自分の姿を見てみるようにと言うのです。就学前の子供は、自分自身を自慢に思うことを覚えるなら、あなたから言われるからだけでなく、清潔にしておこうと自分でも常に気をつけるようになります。

  すべきでないこと:きれいにされるのを辛い経験にしないこと。それができるだけ快適なものとするために、例えば子供が目を拭くためのタオルや、すぐにまとえるようなバスローブなどを用意しておきましょう。

  きれいにするのを思いとどまらないこと。子供が抵抗するからと言って、清潔さについての信念を曲げてはいけません。きれいにすることに抵抗されても、不屈の努力によってそれに打ち勝つことができます。

 

散らかすこと

 

  小さな人々はめちゃめちゃに散らかします。ところが、大人の親たちにとっては悲しいことですが、小さな子供というものは自分が散らかしていることなどまるで気付いていないのです。子供が散らかし屋なのではなく、ただ後片付けすることの必要性を知らないだけなのですから、子供に、散らかしてしまったら、それが魔法のごとくさっと消えてなくなるわけではないことを教えましょう。(幼い内からするのが最善です。)そして、散らかした人(と、それに手を貸した人)が自分で片付けなくてはいけないということを。子供にぜひこの事実を教えて下さい。しかし、子供が完璧にこのルールに従うと期待するのは禁物です。きれいにするようにと要求するよりは、子供が少しでも片付けゲームに参加する時にそれをほめてあげるなら、もっと片付けるようになるでしょう。

  予防策:遊んでいる最中から片付けていく。例えば、遊ぶ物を替える度に、散らかるのを最低限に抑えるために、即座に今まで遊んでいたおもちゃを片付けることを教えましょう。幼い内から落ちている物を拾う習慣をつけさせるなら、子供はきれい好きな子供となり、また後には几帳面な大人になります。

  子供に散らかった物の片付け方を教える。例えば子供に、おもちゃや粘土などを片付けられるちょうど良い大きさの箱をあげましょう。あなたから、片付けなさいとか、きれいにしなさいと言われても何をすればいいのかわからないことがないように、その入れ物にどのように物が入り、いっぱいになったら、その入れ物はどこに置くのかを教えて下さい。

  できるだけ具体的に言うこと。子供にただ部屋を片付けるようにと言うのではなく、実際に何を片付けてほしいのかを言うべきです。例えば、「ペグはベケツに入れて、ブロックは箱の中に入れてね。」と言って、できるだけ指示に従いやすくしてあげたらいいでしょう。

  適切な掃除用具を与える。子供が掃除の仕方を全部心得ているものと考えてはいけません。テーブルを拭くためのふきんを与えるなどしましょう。そして、道具を与えた後で、子供がきれいにするために努力したことを惜しみなくほめてあげるのです。

  遊んでも大丈夫な場所だけで遊ばせる。よく汚れるような遊び(お絵かきや粘土遊び)は、それによって汚れても大丈夫な所でだけでさせるようにして下さい。例えば、リビングルームでフィンガー・ペイントをさせておきながら、カーペットを汚してほしくないというのは無理な注文です。

  すべきこと:おばあちゃん方式を使う。子供が自分で散らかした後片付けをしたがらない場合には、あなたから命じられた仕事を終えた後で楽しいことができると言うのです。たとえばこうです。「おまえがブロックを拾いたくないのはわかるが、それをしたら外で遊んでもいいんだよ。」 あなたの子供(1歳以上)は、ほんのちょっとしたことでも片付けるのを手伝えます。子供はどんなレベルであっても一生懸命頑張る必要があります。そうして、さらに難しい仕事へと進んでいくのです。

  子供が掃除しているのを手伝う。時には、掃除は子供の力には余ることがあります。子供と一緒に働いて、就学前の子供にぜひ学んでほしいこと、つまり分け合うことと協力することを教えましょう。パパとママが掃除をしているのを見るなら、掃除がもっと魅力的で意味のある仕事に見えてきます。

  「時間競争」をする。タイマーが鳴る前に終わらせるというゲームにするなら、おもちゃを片付けることはうんざりするような仕事ではなく、楽しいゲームとなります。例えば、「ブザーが鳴る前におもちゃを片付けたら、違うおもちゃでも遊んでいいわよ」と言って、ゲームを始めましょう。子供が成功したら、よくやったとほめて、約束を実行しましょう。

  きれいにする努力をほめる。強力な刺激剤を用いて、子供が後片付けするよう励ましましょう。その刺激剤とは、ほめ言葉です! 子供がクレヨンを片付ける仕事を立派にやっているなら、「赤いクレヨンをかごに入れてくれて嬉しいわ。あなたの部屋の片付けを手伝ってくれてありがとう」と言いましょう。

  すべきでないこと:完璧にやることを期待しない。子供は、今まで何百日しか後片付けの練習をしていないのですから、完璧な仕事を期待してはいけません。子供が努力しているというのは、後片付けを学んでいるということです。回を重ねていくにつれ、また大きくなるにつれて上手になっていくものです。

  散らかっているからといって罰しない。子供は、きれいにしていることの価値がよくわからないし、いつもきれいにしておけるほど身体的に成熟しているわけではありません。灰皿や新聞やペンがテーブルに置いてあるのを見て、「パパとママだって自分達のおもちゃを散らかしっ放しにしてるんだから、私だってそれをしていいはずよ。」と考えるかもしれません。

  子供が自分で、汚れることを予測し、それに備えていると期待してはいけません。子供はきちんとした服装の価値を知りません。たとえばお絵かきをしている時に、高価な服を汚さないでいるよう期待するよりは、古い服を前後反対に着せるべきです。

 

兄弟とのライバル意識

 

  自分の兄弟や姉妹の告げ口をすること、また、新しい弟か妹が自分の家庭に侵入してきた最初の日から、その赤ん坊に嫉妬すること、これは、兄弟とのライバル意識が家族のきずなにくさびを打ち込む例のほんの一部です。就学前の子供達は絶えず、独立志向と自分の重要性を証明しようとする翼をはばたかせようとするので、彼らにとって最も重要な世界、つまり家庭において、空間や時間やナンバー1の地位をめぐって争うことが頻繁にあります。兄弟とのライバル意識は、最もうまくいっている家族関係においても避けられない問題ではあるものの、就学前の子供達一人一人に、その子供は本当に特別なんだという気持ちを抱かせるなら、衝突が度々起こることはありません。兄弟とのライバル意識を最低限に抑えておくためには、仲良くやることで関心や特権という益が受けられるということを教えなくてはいけません。

  注意:生まれたばかりの赤ん坊を取り巻くライバル意識を減らすには、赤ん坊が寝ている時だけでなく、起きている時にも、上の子供と遊んであげて下さい。そうすれば上の子供は、赤ん坊がいない所でしか親に構ってもらえないと考えることがありません。一緒に時間を過ごしてあげると、上の子供達は、「赤ん坊がいる時もいない時もママに構ってもらえる。赤ん坊がいるのは、そんなに悪いことじゃないんだな!」と考えることでしょう。

  予防策:赤ん坊が子供の世界に侵入してくる前に、子供の心を準備しておく。上の子供(1歳以上なら)と、新しい赤ん坊の生活にその子供がどのように関与するようになるかを話し合って下さい。赤ん坊が家族の一員になる時に、家族の毎日の生活を築いていくためには何が必要となるかを教えるのです。こうすれば、子供が、自分も助けることを期待されていて、端役(はやく)にされるのではないとわかって安心します。また、自分は、親達と同様、その弟か妹を愛し、その赤ん坊の必要に応えてあげるという重要な役割を負っていると感じることもできます。

  仲良くやるゴールを実現可能なものにする。子供も、あなたがするのと同じくらいその新しい赤ん坊に優しくしてするものと思ってはいけません。年上ではありますが、子供も自分の望むものが与えられる必要があることを忘れてはいけません。

  子供達一人一人と二人きりで過ごす予定をたてる。たとえあなたが6歳未満の子供を5、6人世話しなくてはいけなくとも、その一人一人と個別に過ごせる時間を取るようにして下さい。(例えば、お風呂や散歩やスーパーに買い物に行くなど)こうすると、その子供とその必要に焦点をあてることができ、家庭の騒々しさの中では表面に出なかったような感情や問題を知ることができます。

  子供一人一人のプロジェクト・ボードを作る(双子か年の近い子供達を持つ親の場合) 子供一人一人のための専用の場所を決めて、そこにそれぞれの作品を飾るなら、子供は、自分に親からの関心をもらえるんだと安心します。

  すべきこと:時間競争をする。子供達が、あなたから関心を注いでもらいたくて互いに争っているなら、あなたに抱いてもらう時間を一人一人順番にタイマーで区切ってはどうでしょうか。こうすれば、あなたはみんなのものとなり、どの子供も、あなたに構ってもらう順番が平等に回ってくるとわかります。

  争うこと以外の選択を提案する。喧嘩が激しくなり、争いの炎がひっきりなしに続くのを許していては、子供たちに仲良くすることを教えることにはなりません。兄弟間の戦争を許さず、子供たちが喧嘩をしている時には仲良くするか、しないかの二つの選択があると教えましょう。「あなたたちは仲良くして、そのまま遊び続けることもできるし、喧嘩して一時退場になることもできるのよ。」と言うのです。子供たちに、自分の生活について自分にも実権があるのだと感じさせ、自ら決断することを学ばせるために、選択させる習慣をつけさせましょう。

  仲良くするとはどういうことかをはっきりさせる。仲良くすることがどういう意味なのかを教えるために、子供達が一緒に良い子で遊んでいる時には、具体的にほめてあげましょう。「一緒に仲良く分け合ったり、祈っているのは立派だわ。そんなに仲良くしているのを見て、ママ、とても嬉しい。仲良くしていたら、一緒に遊ぶのが楽しくなるでしょう。」と言うのです。

  すべきでないこと:兄弟のことを告げ口してきても耳を貸さない。子供は、自分が親から良く思われようと、兄弟の悪口を親に言うことがあります。他の子供達よりも自分の立場を良くしようとするこの手段を止めるには、「あなた達は仲良くやっていないようね」と言って、聞かなかったかのように振る舞うことです。(編集者注:けれども、危険な行動については即刻報告するよう子供達に教えるべきです。そして、この年令のグループの子供達にはいつも必ず大人がついているべきなのは言うまでもありません。)

  子供が互いに対して愛をもった態度で接することができなくとも怒らないこと。人間の生れつきの性分から、子供達が同じ家に住んでいるなら、ライバル意識が芽生えるのは避けられません。ライバル意識から喧嘩をしたりせず、仲良くしている時に、報酬を与えることによって、争いを最低限に抑えましょう。

  恨みを抱かない。争いが収まった後で、子供達に、彼らが敵として戦っていたことを思い起こさせてはいけません。すべてを水に流して一から始めましょう。

 

おもらし

 

  トレイの訓練は、親と就学前の子供の最初の大きな意志の戦いです。親が独立を愛する自分の子供に、もう第二の天性にまでなっていた習慣を手放して、何か新しいこと、それも往々にして自分では望まない習慣を始めるようにと求める時に、戦争が始まります。たいていの子供にとって、トイレ訓練の魅力とは、親を喜ばせられることです。だから、トイレ訓練の失敗を最低限にするために、子供がすべきでないこと(パンツをぬらす)よりも、すべきこと(パンツを乾いたままにし、おまるでおしっこする)に関心を払いましょう。子供があなたに構ってもらいたいが為におもらしする可能性を減らす一方で、子供が自分のことを自慢に思うように助けてあげましょう。(このセクションでは、夜や昼寝の時のおねしょは取り上げていません)

  予防策:子供が訓練を始める準備ができたという兆候がないか気をつけておく。一般的に、その兆候は以下の通りです。一度に何時間もパンツを濡らさないでいられる。「おまる」、「濡れている」、「乾いている」という言葉を理解する。「パンツをおろしなさい」などの単純な指示に従うことができる。(編集者注:もちろん、3か月から5か月の赤ん坊でも、おまる訓練が始められることが証明されています!)

  正しいおまるの使い方を実際に動作で教える。子供がおまるに慣れるようにし、あなたがトイレを使う方法を子供の目の前で示して、それから子供がおまるでする方法を教えて下さい。

  いつでもどこでも必要とされる時に子供がおまるに気軽に座れるにする。人の見ている前でするのを何とも思わなくなるように、おまる訓練の最初の段階では、おまるを持ち歩いて下さい。

  トイレ訓練の仕方を使い、それに絶対に従う。「1日ですむトイレ訓練」の本には訓練の一つ一つの段階が書かれています。

  すべきこと:おもらしを注意するだけでなく、乾いたままでいることのごほうびをする。子供に、乾いたままでいることはどんなに良いことかを話して、乾いたままでいるよう教えて下さい。こうすれば子供は、親の望む事をしたいと思うようになり、失敗した時よりも、乾いたままでいた時のことのほうにもっと関心を向けるようになることでしょう。子供に頻繁に、「パンツをチェックしてごらん。乾いている?」と言いましょう。こうすると、乾いているかどうかをチェックするのは子供の責任にもなり、子供に自分はこのことを管理しているのだという気持ちにさせます。乾いているなら、ママは嬉しいと言いましょう。「パンツが乾いたままなのは、本当にえらいわね!」と言うのです。

 

  間違った場所でしないことの規則を思い起こさせる。就学前の子供はよく、適切でない場所(たとえば外)でおしっこや大便をします。子供がそのような経験をする時には、「おまるでおしっこをしなくてはいけないのよ。さあ、練習しましょう」と言いましょう。それから、正しい方法でおまるで用を足させるのです。

  子供がちゃんとしなくとも冷静でいる。トイレ訓練には、ちゃんとおまるで用を足すことによって乾いたままでいる方法を練習させることに重点をおきましょう。こうすれば、子供は自信がつき、あなたからしてほしい通りに用を足せるのだとわかります。子供が濡らしてしまったなら、「濡らしちゃったわね。乾いたままでいる練習をしましょう」と言いましょう。それから、家の様々な場所で用を足す練習をするのです。(パンツを下ろして、おまるに座り、パンツを上げて、また次の場所でおまるに座るなど) これを練習する時に、必ずしも子供がおしっこやうんちをする必要はありません。ただ、正しい用の足し方を学ぶのです。

  子供達は、必ずしも、どうして私達が彼らに望むような方法で用を足してほしいのかがわかってはいないということを覚えておいて下さい。子供が、パンツを濡らしても何ともないようなら、乾いていた時に何らかの形でほうびを与えるなどして、子供が濡らさないことの益を知るのを助けてあげましょう。こう言ってはどうでしょうか。「乾いたままでいるのは、大きい子と同じよ。だから、今一緒に本を読んでいいわよ。」

  公共の場所では、おばあちゃん方式を用いる。公共の場所にいる時に、自分のおまるでしかしたがらないなら、おばあちゃん方式を用いましょう。できれば子供のおまるを持って行くことです。でも

できないなら、他の人のトイレを使った時のごほうびを言うのです。「乾いたままにしなくてはいけないわね。便器はどれも同じよ。あなたのおまるはここにないから使えないの。このおまるを使った後で、動物園に行けるのよ。」

  すべきでないこと:トイレ訓練を押しつけない。罰を与えても、パンツや他のおしっこすべきでない場所に子供の関心をひくだけなので、乾いたままでいる方法を教えることにはなりません。

  間違った質問をしない。「パンツをチェックしてごらん」というのは、なかなか巧妙な促し方なので、そう尋ねましょう。「おしっこに行かなくちゃ?」と聞くとよく否定的な答えが返ってくるだけなのです。子供が、自分は乾いているか濡れているかをチェックし、それについて何かする責任を負っていると感じるなら、パパやママのように自分の世話が自分でできるから自分は大きい子なんだともっと考えることでしょう。

 

親にくっついて

離れない

 

  母親が料理をしたり、ドアから外に出て行こうとするのに、子供が母親のスカートのすそに必死にしがみついて離れない姿というのは、べったりくっついてばかりの就学前の子供達を持つ大勢の親にとっては、架空の物語でも何でもありません。日常生活でよく起こる、非常に現実的で、気持ちをめいらせる出来事です。どんなに困難でも、あなたの人生ですべきことをしようとしているのなら、家にいなくてはとか、そのしがみついてくる子供と遊ばなくてはいけないという誘惑に負けてはいけません。子供を子守の人に任せて出かけたいか、そうする必要がある時には、子供を抱きしめ、子供が一人でも遊べることを誇りに思っていること、また戻ってくることを告げて、優しく、そしてしっかりした態度で子供を安心させて下さい。また、真剣な声で、子供が子守の人と遊べるチャンスができたことを嬉しく思っていると言いましょう。あなたの明るい態度は(暗い態度と同様)子供に影響を与えますし、独り立ちしていく過程において、あなたと離れて、楽しく過ごすのは大丈夫なんだと子供が感じるための良い手本を示すことになります。どこかに出かける予定のない時に、子供をしっかり抱き締めてキスしてあげるなら、子供は、自分が無視されていると感じたり、あなたに構ってもらうためにしがみつくという可能性も減ります。しがみつくのは、抱きしめるのとは別です。関心を求める、必死のとっさの要求なのです。

  予防策:子供が幼い内から、子供と一緒にいない場合の練習をする。子供に、あなたはいつも自分と一緒にいるわけではないという考えを持たせるために、幼い内から時々子供から短時間(数時間、ちゃんとした監督の下で)離れる練習をしましょう。

  あなたがいない時にあなたと子供の両方が何をする予定かを子供に話す。あなたがいない時にあなたが何をするかを教えるなら、子供があなたからその日にすることを尋ねられた時、それをお手本にするでしょう。離れている時に子供が何をするかや、あなたがどこにいるかを説明するなら、一緒にいない間あなたや子供が一体どうなるのか心配しなくなります。例えばこう言いましょう。「ローラがあなたの夕食を作って、本を読んでくれるの。そしてあなたは寝るのよ。パパとママは外で夕食を食べて、11時頃に帰るわ。」 または、こう言う場合もあります。「ママは今夕ごはんを作らなくちゃ。あなたはその間粘土遊びをしていて、ママが終わったら、一緒にお話しを読みましょうね。」

  「いないないばあ」をする。この単純なゲームによって、子供は、もの(そして親)はなくなるけれども、何よりも大切なことにちゃんと戻ってくるということを自覚するようになります。1歳から5歳までのいないないばあには、いろいろな種類があります。手で顔をおおって、指のすきまから隠れるのを見ていたり、また(特に2歳から5歳までは)もっと活発な隠れんぼもできます。

  あなたが帰ってくるという安心感を持たせる。また戻ってくると告げるのを忘れてはいけません。そして、帰ってくると言った時に帰ってくることによって、あなたがきちんと約束を守ることを証明しなくてはいけません。

  親がいない時や忙しい時にだけできる遊びを用意する。

  子供に自分がいなくなることに対して心の準備をさせる。出かける予定だと話し、「あなたは本当に大きい子だわ。私がいなくてもしっかりやれると信じているわ。」と言う事で、子供がちゃんとやっていけると思っていることを知らせて下さい。予告もなしに出かけて子供を驚かすなら、子供は、親がまた突然いなくなるのではないかと四六時中、心配するようになります。

  すべきこと:親は、自分が離れるのを子供が望まない時に起こる騒ぎに対して、心の準備をしておく。子供は、短時間親がいなくともやっていけるという貴重な教訓を学ばない限り、その騒ぎはなくなりません。自分にこう言い聞かせましょう。「この子が泣いているのは、私を愛していると知ってほしいからだけれど、この子は私が一緒に遊ばなかったり、出かけたりしても、必ずまた戻ってきて、すぐに遊べるという事を学ばなくてはいけないんだ。」

  あなたが一緒にいない時に子供をほめる。子供が、自分一人で遊べることを自慢に思うようにしましょう。例えば、「ママがオーブンを掃除している間、一人で遊んでいるなんて本当に偉いわ。」と言うのです。「大きい子になったわね。」と言うなら、子供はあなたと一緒にいなくとも、それほど悪いことじゃないと感じるし、あなたも益を受けることになります。

  あなたと一緒にいる時間と一緒でない時間の両方が子供に必要だということを認識する。昼も夜も一緒にいることを少しお休みするのは、親子双方にとって必要です。だから、子供と一緒に遊ばないで何か他の事をあなたがするのに子供が抗議しても、あなたがすべき仕事を怠ってはいけません。時々子守に任せて、あなたが出かけることでかんしゃくを起こした時も同様です。

  子供と離れるのはゆっくりと始める。子供があなたと一緒にいる時間をあまりにも要求しすぎるなら、時間競争をしましょう。5分間子供と遊び、5分間子供があなたなしで一人で遊ぶ事にします。子供が1時間あなたなしでも遊べるようになるまで、5分間あなたが一緒に遊び、あと子供が一人で遊ぶ時間を徐々に増やしていきましょう。

  すべきでないこと:子供がしがみつく時には、怒ってはいけません。子供にとっては大きな世界よりもあなたと一緒にいるほうがずっと気が楽だし、子供はあなたといるほうを好むということを理解してあげて下さい。

  子供がくっついて離れないことで罰してはいけない。メッセージを混同させてはいけない。子供を抱き締めて、優しくなでながら、向こうに行けという事はできません。子供は、とどまるべきなのか、行くべきなのか混乱してしまうからです。

  子供が病気している時にいつもはできないようなことをさせることによって、病気をするほうが元気な時よりも楽しいと思わせてはいけません。

 

知らない人に対して

どう振る舞うべきか

 

  「知らない人からキャンデーをもらってはいけない」は、就学前の子供が大人の付き添いなしで外に出る時に、何千万もの親が言う言葉です。その警告は真実です。子供は、親から親しい態度で接するよう求められている人達とどう接するかを知る必要もありますが、同時に、知らない人に対してもどう振る舞えばよいかを知る必要があります。例えば、こんにちわと言うことと、知らない人について行ったり、知らない人の言う通りにすることの違いを教えることによって、知らない人に対する子供の恐怖感を最小限に抑えて下さい。そうすれば、すぐに子供は、あなたが一緒にいる時といない時にどうすべきかを知ることで安心感が持てるでしょう。

  予防策:規則を決める。知らない人との接し方についての規則を教えて下さい。基本的な規則はこのような感じです。「知らない人には、『こんにちわ』と『いいえ』以外には言ってはだめよ。知らない人が一緒においでと言ったり、何かをあげようとしたら、『いいえ』と言って、走って一番近い家のベルを鳴らしなさい。」(編集者:このアドバイスは友人達に教えてあげると良いでしょう。けれども、私達は、1歳から5歳までの子供には常に大人がついているという方針を取っています。ですから、大人が一緒なら、知らない人ともっと自由に会話してもよいでしょう。)

  規則に従う練習をする。子供が知らない人についての規則をよく知ることができるよう、自分が知らない人の役になり、子供に一番近くの家まで走るようにと求めて下さい。

  子供をおびえさせてはいけない。恐れは混乱につながり、子供は何をすべきかを学ぶどころではなくなります。子供は、知らない人が自分のプライバシーを侵害してきた時にとっさに判断する方法を知る必要があります。過度に恐れすぎるなら、適切な行動を取ることができなくなります。

  すべきこと:子供に愛想よくするよう教える。愛想のよい子供は、一生を通して、他の人達からより受け入れられるようです。だから、愛想よくするよう教えるのは大切です。そして、いつ、どのように、どれくらい愛想良くするべきかを、(幼い子供と、年長の子供に、それぞれ年令に応じて)教える必要があります。

  愛想良い態度の模範になる。親のあなたが、よその人や、道であった知らない人にもこんにちわと言って、愛想よくする方法を子供に教えて下さい。子供に危険人物とそうでない人の違いを教えるのは不可能です。大人でさえ、「普通に見える」犯罪者にだまされることがよくあるのですから。子供に知らない人との接し方を教える度に、知らない人について行ったり、キャンデーなどをもらうことなしに愛想よくできる言い回しを幾つか教えていって下さい。

  すべきでないこと:人々に対する恐れを植え付けない。子供がいたずらされる危険性を減らすために、子供に規則を教えて下さい。けれども、人を恐れるようにと教えてはいけません。年令に関係なく、恐れは正しい決断を妨げてしまいます。

  子供がこんにちわと言うのは他の人達を煩わせるのではと心配しないこと。たとえ相手がそれに応えなくとも、子供が適切な時と場所で挨拶をしたのは良いことです。

 

公共の場で

勝手にどこかに行く

 

  好奇心たっぷりの就学前の子供達は、親が買い物リストを書くのと同じように、スーパーや店などで何を見るべきか、するべきか、頭にリストを用意しています。親のリストにある物と子供のリストにある物が合わないと、混乱が生じます。就学前の子供は自分のリストが優先されるべきだと考えるのですから。危険な状況においては(例えば、車の通り道や歩道、または商品運搬カートの通り道に出たりすること)、子供の好奇心よりも安全のほうが大事ですから、子供が抗議しようとも、どのように行動すべきかあなたの指示にしっかり従わせて下さい。親子とも、何が危険で、危険でないのかを子供が知っていると安心できるようになるまでは、公共の場では親のそばから離れないのを習慣にさせて下さい。そして、何が危険か危険でないかの違いは、親が教えなくてはいけません。

  注意:公共の場で子供にいつもそばにいさせるには、子供が勝手にどこかに行かないようにすることに重点をおかなくてはいけません。子供が公共の場で一度さまよい出てしまったなら、子供を探し出し、子供が永久にいなくなってしまうことのないよう、二度とそんなことをしないようにするしかありません。

  予防策:公共の場での行動について規則を定める。中立タイムに(子供がきまりを破ってからずっと後で、または買物に行く前に)、公共の場で子供がすべきことを教えましょう。例えば、「店にいる時には、私の手が届く範囲にいなさい」と言うのです。

  前もって練習する。そうすれば、子供は、家を出る前に規則にどう従ったらいいかがわかります。「お互いに手が届く範囲にいるのよ。ほら、どれくらい近くにいるべきか見てみようか。」と言い、それを守ったなら、「ちゃんそばにいて偉かったわね! ママのそばを離れないでいてくれてありがとう。」と言ってあげるのです。

  子供に自分のところに来るよう教える。中立タイムに子供の手を取り、「こっちに来てちょうだい!」と言い、自分のほうに子供を引き寄せましょう。そして子供を抱き締め、「来てくれてありがとう」と言うのです。これを一日に何回か練習し、あなたが「こっちに来て」と言う時の子供とあなたの距離を少しずつ伸ばしていくのです。そして、子供が部屋の向こう側や庭の向こう側からも来るようにします。

  そばにいたことをほめる。子供がそばにちゃんといた度にほめてあげて、子供がそうして良かったと思うようにしましょう。「そばにいたのは偉かったわ。」とか、「私のそばにいて、ママが買い物するのを立派に助けてくれたわね。」と言ってはどうでしょう。

  そばにいる時に役目を持たせる。子供にできるなら、包みを持たせたり、商品運搬カートを押させるなどさせて下さい。そうすれば子供は、買い物で重要な役割を果たしていると考え、ふらふらどこかに行きたくなる誘惑も減ります。

  子供の成長に応じて規則も変える。子供が成長し、例えば、スーパーなどでちょっと離れてもすぐに親の所に戻ってくるようになったら、規則を変えてもよいかもしれません。どうしてもっと自由を与えるのかを説明して下さい。子供は、公共の場で行儀よく振る舞っていたことで、その独立を勝ち取ったのだと感じるでしょう。これによって子供は、規則に従うなら報われるということを知ります。

  厳しく、首尾一貫していること。公共の場での行動規則を、子供に知らせずに勝手にゆるめないで下さい。断固とし、首尾一貫しているなら、子供は安心感を覚えるものです。子供は自分の行動が制限されると、泣いたりわめいたりするかもしれませんが、あなたが課する安全のルールのおかげで、子供は自分の知らない陣地に入り込んでも保護されているように感じることができます。

  すべきこと:注意を与え、一時退場にする。あなたが子供にどのように振る舞う事を望んでいるかや、規則に従わないとどうなるかを教えるために、子供が公共の場でどこかに行ってしまった場合にはしっかり注意して下さい。子供があなたのそばから離れるなら、「勝手に行っちゃだめよ。ちゃんとママのそばにいなさい。そうすれば危ない目にあわないから。」と言いましょう。それでも子供が繰り返し規則を破るなら、もう一度注意し、即座に一時退場処分にし(近くのベンチに)、その間あなたも子供と一緒にいて下さい。

  すべきでないこと:子供に左右されて、自分のすべき事を決めていてはいけない。子供がそばにいようとしないからと言って、家に帰ると脅かしてはいけません。それこそ子供の願っていたことで、自分の望みをかなえたいあまり、わざとうろうろする事もあります。

  子供が堪えられないくらい長い買い物に子供をつきあわせない。就学前の子供の中には、比較的長く規則に従っていられる子供もいますが、自分の子供がどんなかよく考えてみて下さい。1時間が限界かもしれません。だから、家を出る前にこのことを考慮しましょう。

 

 自分で何でもやりたがる

 

  2歳の誕生日を過ぎた子供から必ずと言っていいほど親が聞く言葉は、「僕に/私にやらせて」です。この独立宣言は、家庭での規則を破るものでない限り、「何でもやってみる精神の」幼い子供達に親が実際に練習させるための絶好の機会が訪れたという証拠です。子育ての最終ゴールとは、子供が自信を持ち、自立できるようになることですから、子供が間違いをした時には忍耐のレベルをぐっと上げ、仕事を終える必要性の他に、就学前の子供に生活に必要な技能を身につけさせる重要性も忘れないで下さい。

  予防策:子供にはできないと決めつけない。子供の何かを行う能力が伸びていることを見逃さないで下さい。親が自分でさっさとやってしまう前に、子供にトライするチャンスをあげて下さい。そうすれば、子供の現在の能力を過小評価するという間違いも犯さずにすみます。

  脱ぎ着が簡単な服を買ってやる。たとえば、子供がおまる訓練をする時には、上げ下げが簡単な服を買いましょう。また、シャツを買う時には、子供が自分で着る時に、肩のところでつっかえてしまうようなシャツはやめましょう。

  服は種類別にしまう。子供(とあなた)が取りやすい所に種類別に服をしまうなら、自分で組み合わせを考える能力を伸ばす助けになります。

  子供がいらいらする原因を最初に取り除く。子供が自分で何かするのをできるだけ簡単にしましょう。例えば、子供が着替える前に、ボタンを外しておいてあげたり、コートのジッパーの最初の部分をしめてあげるなどです。

  すべきこと:時間競争をする。子供が自分でやれる時間はこれくらいだと最初に知らせておけば、あなたが子供の代わりにやる時がきても、子供は自分にできなかったからだとは考えないでしょう。例えば、その仕事をさせる制限時間をセットしてから、「タイマーが鳴る前に、服を着替えられるかしら。」と言いましょう。この方法だと、子供は時間を守ることについても学びますし、あなたと子供の間での実権争いも減ります。なぜなら、子供に何かするようにと指示するのはあなたではなく、タイマーだからです。あなたが急いでいて、子供が始めたことをあなたが終えなくてはいけないなら、子供が、自分がのろいからあなたが代わりにしようとしていると考えないよう、子供に自分が急いでいることを説明して下さい。

  協力や仕事の分担を申し出る。子供は、どうして自分にできないのかや、じきにできるようになることを知らないのですから、着替えや食べるという仕事を分担し、その年齢では難しい部分(例えば、靴のひもを結ぶことは1歳の子供には難しい)をあなたがするよう提案してはどうでしょうか。子供が、自分の無能さをかみしめながら、あなたがするのをじっと見ているというのではなく、子供も何らかの達成感を覚えられるようにして下さい。

  努力に報いる。子供のお気にいりの先生として、親は子供が仕事に挑戦するよう励ましてあげましょう。「習うより慣れよ」ですから、例えば、「まあ、上手に三つ編みできたわね。なかなか頑張ったじゃない。あとでまた一緒にやりましょうね。」と言うなら、子供にこの格言の本質を教える事になります。子供のしたことの出来が悪くとも、良い点を見つけましょう。ちゃんとした方法でできていなくとも、例えば自分で靴を履こうとした努力をほめてあげるのです。

  できるだけ冷静でいる。子供が自分ですべてやりたがり、あなたに何もさせまいとしても(「自分で靴を履く」とか、「私がドアを開けるの」、「僕が引き出しを閉める」)、子供は強情なのではなく、自立を主張し始めているのだということを心にとめておいて下さい。あなたは、子供が最終的にいろいろな事を自分でできるようになることを望んでいるのですから、子供にやらせてみてはどうでしょう。例えば、子供が引き出しを変に閉めたり、ナプキンを間違った方法で並べるのをじっと見守り、それに我慢するのを望まなくとも、自分が願う通りに物事が素早く、また正確になされなかった時に怒ってはいけません。子供が自分でいろいろできるようになるための最初の一歩を踏み出したことを素直に喜び、率先してやっている子供を誇りに思うようにして下さい。

  できるだけ一人でやらせる。子供が自分でやりたがるものは、できるだけそうさせて下さい。こうすれば、生れつき備わっている好奇心がつのり、ついに欲求不満に変わってしまうことがありません。自分でやってみたくてやきもきしている子供をよそに、あなたが靴の片方をはかせて、子供には何の手出しも許さないようなことはせず、子供にもう片方の靴を持たせて、片方をあなたがはかせ終わった時点で渡してもらうなどするのです。

  子供に何かをするように頼み、強く命令はしない。就学前の子供に礼儀正しく尋ねる習慣がつくよう、そのお手本を示してあげて下さい。例えば、「きちんと尋ねるなら、これこれをしてもいいわよ。」と言い、それから、「きちんと」聞くとはどういうことかを説明するのです。子供がフォークをほしい時には、「フォークもらえますか?」と尋ねるように教えて下さい。

  すべきでないこと:子供が間違ったからといって罰しない。子供が自分で牛乳を注ぎたがって、こぼしてしまった場合でも、もう一度子供がやるのを助けるようにして下さい。「習うよりは慣れよ」です。即座の成功を期待してはいけません。

  子供の努力を批判しない。子供の間違いがたいして重要そうでないことなら、それを子供に指摘してはいけません。また、たとえ靴下が裏返しでも、「すべすべしたほうの面が足につくようにしましょうか」と言って、その間違いのことはもう言わないのです。

  拒絶されたように感じないこと。子供に、「私にドアを開けさせて」と言われたら、自分のほうが速く、簡単にそれができるとわかっていても、子供にそれを言ってはいけません。子供に任せ、自分ですることによって親から感謝されていると子供が感じるようにして下さい。子供があなたの助けをありがたがらなくても、傷ついてはいけません。子供が成長してきており、これは当たり前のことなのだということを忘れてはいけません。

 

自由を求める

 

  世界に対して自分のやり方を押し通すことに夢中な就学前の子供は、自分で考えるほど一人前ではないので、安全な領域に引き戻してもらう必要があります。子供は、1歳を過ぎると、成長に合わせて、あなたに頼りきりではなくなってきます。あなたが安全とわかる範囲だけ行かせて下さい。子供がうまく自分で扱える以上の自由を与えるという間違いを犯す前に、まず、子供の成熟度と責任能力をテストすることによって、子供の限界を知って下さい。

  予防策:家庭での自由の限界をはっきりさせる。子供はあなたの望むことをするよう求められる前に、自分の限界を、例えば何ができて何ができないかや、いつ行ってもよいかなどを知る必要があります。できるだけ「違法な」行為を防ぐために、1歳の子供にさえ、何が「合法」なのかを教えましょう。

  子供に、いつ境界を越えてもいいかを教えましょう。幼い子供に、どのようにしたら自分の望むことができ、それでいてトラブルに落ち込まないかを教えることによって、禁止されているがゆえに起こる誘惑を減らしましょう。例えば、「大人の手を握っている時だけ、道路を渡ることができる」と教えるのです。

  子供が安全に行えると証明していることは、できるだけ自由にやらせるようにしましょう。子供が、ある制限内で十分責任を持ってやっているのがわかったなら、制限を少し広げましょう。どうして制限を変更したかを子供に説明するなら、子供は、自分には、指示に従い、責任を持ってやるだけの能力があったから自由を獲得できたのだと感じて喜ぶことでしょう。

  すべきこと:制限をしっかり守ったことに対して報酬を与える。子供が良い子でいる時に沢山の関心を注ぐなら、子供にとって制限を守ることが楽しくなります。例えばこう言うのです。「あなたがぶらんこの所にいて、お隣の庭に行かなかったから、ママはとっても嬉しいわ。だから、あと3分、ぶらんこで遊んでいいわよ!」

  自由を制限する。子供に、制限を守らないなら、せっかく楽しんでいてもそれをやめなくてはいけなくなると教えましょう。「庭から出たから、家の中にいなくてはいけないわ。」または、「自分で道路を渡ったから、今は裏庭でしか遊べません。」と言うのです。

  できる限り首尾一貫していること。罰則を実行して、子供に、あなたが言うことは一つ残らず本気で言っているのだと教えないなら、子供は規則を破るかもしれません。ですから、規則を徹底させて下さい。そうすれば、子供はあなたに何を期待されているかを知っていることになるので、自分だけになっても、自分の行動にもっと安心感を覚えるでしょう。

 

自分の

思う通りにしたがる

 

  忍耐は、人間に生まれつき備わっている美徳ではないので、幼い子供は、自分がしたいもの、見たいもの、食べたいもの、触れたいもの、聞きたいものを忍耐を持って待つという行動を教えられなくてはいけません。就学前の子供に何が最善かは親のほうがよく心得ているので、いつ子供が望むことをすべきで、それをする前に何をしなくてはいけないかを取り仕切るだけの資格を持っています。1歳から5歳までの子供にその実権を行使する時には、いつどのようにしたら子供がその望むものを得られるのかをちゃんと説明して下さい。また、あなた自身も今まで忍耐が報いられてきたことを教えるのです。例えばこう言いましょう。「自分のほしい新しい服を買うまで待たなくてはいけないのは、嬉しいことじゃないけど、一生懸命頑張ってお金を貯めるなら、すぐに買えるってわかっているわ」 または、「あなたがケーキの種を食べたいのは知っているけど、今は食べないのよ。それが焼けるまで待つなら、食べ頃のちゃんとしたケーキになるわ。」 子供は、必ずしも自分の望む通りに、また願う通りに世界が動いているわけではないと知りつつある段階にいます。この年令は、しばしばいらだちを覚えさせるような人生の現実に対処するだけのテクニックを覚えるのに決して早過ぎはしません。

  予防策:子供に他にできることを提案して、自分で選ばせる。子供が自分のしたい通りにできるような設定をし、したいことができるようになるのを待っている間にできることを幾つか提案してやる。たとえばこう言いましょう。「5分間、積み木で遊んだ後で、おばあちゃんの所に行きましょうね。」

   すべきこと:忍耐を持つよう励ます。例えば、待っていたとか、頼まれた仕事をしたとか、ほんの少しでも忍耐を見せたなら、そのことで自分がとても喜んでいることを告げる。子供が忍耐という言葉がよくわかっていないようなら、その意味がよくわかるように説明して下さい。例えばこうです。「ママが洗面所を掃除し終わるまでジュースをもらうのを静かに忍耐強く待っていたわね。あなたが大きい子だってことがよくわかるわ。」 こう言われると、自分でまだ知らなかったけれども、自分にはほしいものを我慢する能力があるということを知ります。それに、あなたが子供のしたことに気分をよくしているので、子供も気分良く感じるものです。

  できるだけ冷静であること。子供が、待つのをいやがったり、自分の思い通りにできないことで抗議するなら、子供は今、忍耐を持つという生活に欠かせない貴重な教訓を学んでいる最中だということを思い出して下さい。親が忍耐を持っているのを見るなら、子供も、ほしい物をひたすら要求するより、言われた仕事を先に終わらせたほうが、早くほしい物が得られると学ぶことでしょう。

  仕事を終わらせる過程に子供を参加させましょう。おばあちゃん式のやり方を使うのです。例えば、子供が公園に行きたい、行きたいとばかり言うなら、子供がそのしたいことをする前にしなくてはいけない条件を前もって定めておくのです。こうすると、子供は自分のしたいことのために、言いつけられたことをする可能性が大です。その条件はできるだけ期待を抱かせるような言いかたで言いましょう。例えばこう言うのではどうでしょうか。「棚に本をしまったら、公園に行きましょうね。」

  子供が望むことをきっぱりと否定するのは避ける。願いは絶対にかなえられないのだと感じさせるのではなく、どうしたら子供が好きな通りにできる(可能で安全な場合には)か言いましょう。例えばこうです。「手を洗ったら、りんごを食べてもいいわ。」 もちろん、だめと言わなくてはいけない場合もあります。(例えば、芝刈り機で遊びたいと言う時など) そのような時には、子供の願いを満たせるようなおもちゃなどを代わりに提供し、子供が妥協し、それに順応するようにさせて下さい。

  すべきでないこと:子供に、何かを「今」しなくてはいけないとひたすら要求しないこと。(ただし、子供が安全ではないことをしていて、直ちにやめる必要がある時は別ですが。)親がいつも、自分の望むことを子供が直ちにする事を要求するなら、子供は、親が直ちに自分の望み通りに物事がなされるのを望むのと同様、自分もいつも好き勝手なことを直ちにすべきなんだという考えを抱くだけです。

  子供が忍耐をなくしてもそれに応じないこと。子供が自分の望むことをしたがる度に降参し、子供のほしいものをあげてしまってはいけません。子供を満足させ、衝突が起こったり、子供がかんしゃくを起こしたりする事がないように、自分のしている事をやめようと言う誘惑にもかられるでしょうが、子供が言い張る時に子供の言う通りにさせると、子供は忍耐を学ばないだけでなく、即座にしかも常に自分の好きな通りにしたがる可能性が増えることになります。

  言い張ったことで願いがかなえられたわけではない事を子供が知っておくようにすべきです。子供は待っている間、ぐずぐず言ったり、ぶつぶつ言ったりするかもしれませんが、とうとう車に乗れたのは、準備ができて、あなたの仕事が終わったからであって、子供が外に出たいとせがんだからではない事を子供にわからせて下さい。例えばこのように。「お皿洗いが終わったから、もう行けるわ。」

 

ぐずぐずすること

 

  6歳以下の子供は全く異なった時間の概念を持っており、急いだところで何の得にもならないと考えます。「何ぐずぐずしてるの。」「早くしなさい。」と子供をせきたてる代わりに、いっしょに競争したり、両腕を広げて、子供が走ってそこに飛び込んでくるようにさせます。いらいらして命令するのではなく、それを楽しい遊びに変えるのです。それでも、物事を速くするか、ゆっくりするかに関しては、子供に、自分が決定権を握っていると感じさせておきましょう。そうすれば、物事のペースを自分がコントロールできるのだということを示すために、ぐずぐずするということがなくなります。

  予防策:余裕を持って時間を取ること。急いでいる時に、就学前の子供が亀のようにぐずぐずしていているのを待っていると、あなたは冷静さを失いがちになり、そうなると、その分いっそう遅くなってしまいます。外出の準備には十分時間を取るよう努力しましょう。急ぐという事がどんな事かを知らず、何にでも手を出したがる子供にとって、ぐずぐずすることは、典型的な反応なのです。

  毎日の決まったスケジュールを維持すること。子供には毎日、一定のスケジュールとお決まりの日課が必要で、それが崩れると、いっそうぐずぐずと時間を取ってしまいがちです。時間制限を設けたり、食事や車から出る時間などを決めたりして、子供をあなたの希望するスケジュールに慣らせることです。

  自分がぐずぐずしないこと。どこかに出掛けるために子供の支度をしておきながら、結局、自分が子供を待たせるなどというのはいけません。それは、時間は大切ではないことを子供に教えることになるからです。たとえば、公園に行く準備ができていないのに、できていると言うのはやめましょう。

  すべきこと:子供があなたと同じペースで進みやすいようにしてあげる。簡単なゲームをして、急がせている様子を見せないようにします。たとえば、公園にはどんな物があるかを子供に当てさせ、子供が早くそこに行って見たいという気持ちにさせるのです。また、車の所まで早く子供を来させようとするなら、「さあ、走っておいで。」と言って、両腕を大きく広げてあげることもできます。

  時間競争をすること。子供は、言葉で言われてするよりもタイマー(中立な権威者)と競争する方が、もっとてきぱき行動します。こんな風に言ってみたらどうでしょう。「さあ、タイマーが鳴る前に全部洋服着られるかな。」

  早く行動させる動機を与えること。それとなく子供をせかす事を言う時には、ごほうびも付け加えましょう。「タイマーが鳴る前にできたなら、学校に行く前に10分だけ遊んでもいいわよ。」という具合に。そうすると子供は、スケジュールに遅れないようにすると得をするということを体験できるのです。

  結果だけではなく、その過程においても褒めてあげること。子供を激励し、始めた事を最後まで終わらせるためには、その過程でも励ましを与えてあげることです。実際着終わってから「着替えてくれてありがとう。」と言うよりは、「さっさと洋服を着てるわね、ほんとにえらいわ。」という具合に言うのです。

  子供に手を貸して、導いてあげること。子供が始めた事を最後まで終わらせるためには(車に乗る時や着替えの時など)実際に手を貸して導いてあげる必要があるかもしれません。それで子供は、世の中は、自分の予定に関係なく回っているのだということを学ぶのです。

  おばあちゃんの方法を使う。たとえば、外出や仕事のために必要な時間を決めた時、子供がぐずぐずしているなら、おばあちゃんの方法を使ってごらんなさい。そうすれば、子供は自分の好きな事をする時と同じスピードで、言われた事を素早く行うでしょう。たとえば、「着替えが終わったら、電車で遊んでもいいわよ。」という具合に言うのです。

  すべきでないこと:冷静さを欠いてはいけない。あなたが急いでいても子供が急いでいない時に、子供がぐずぐずしていることに注意を向けていると(例えば、がみがみ言ったり、さっさとするようにせかして、子供に大声をあげたりすること)、二人共もっと遅れてしまうという結果になってしまいます。かっとなると、子供はますますのろくなります。

  がみがみ言ってはいけない。子供がぐずぐずしている時に、早くするようにとがみがみ言うと、子供がさっさと行動している時より、のろのろしている時の方にもっと関心を与える結果になるだけです。それを遊びに変えて、せかしている様子を子供に見せないようにしましょう。

 

指示に従わない

 

  毎日の楽しいゲームにおいて、親の敷いたルールがどのくらいまで曲げられるか、また親が、警告した通りにそれを実行に移すかどうか、そしてどの程度まで言われたことに従えばいいかを試すことにかけては、就学前の子供というのは、その道での世界最高の専門家と言えるでしょう。親がどんな態度に出るかを子供が試す度に、同じ結果を与えてあげることです。あなたが自分の言葉通り、本気であることを子供に証明してあげましょう。そうすれば子供は、他の大人が自分に何を求めているかも知ることができ、もっと安心するのです。あなたが絶対的な指導権を握っていることが、子供に対して不公平な独裁権を施行しているかのように思えるかもしれません。しかし、子供の世界から大人の世界に移っていくにつれて、子供は文句を言いながらも、制限が設けられ、ルールがはっきりと限定されていることで安心するものなのです。

  予防策:子供が一度にどのくらいの指示に従うことができるかを見極めること。就学前の子供は、一度に限られた数の指示しか覚えられず、またそれに従うことしかできません。子供の限界を見極め、まず最初は簡単な命令を与えて、それから二つ、三つと増やしていきます。たとえば、三つの命令を与えるとします。「では、本を片付けて、それをテーブルの上においたら、お母さんの所に来て座って。」 子供が正しい順序でそれに従えたなら、子供は三つの命令を覚えられるということになります。もしそうでない場合は、子供の限界を知り、もう少し大きくなるまでそれ以上の指示は出さないようにしましょう。覚えておいて下さい。子供はある特定の成長過程においてしか、多くの指示に従うことはできないということを。

  子供にできるだけ多くの事を自分でやらせ、それをやめるようにと言わないこと。子供は自分のやりたい事だけをしたいのであり、自分の人生を自分が完全にコントールしたいと望んでいるため、2〜5歳児は自分で選択をしたがります。子供が決断を下す能力を伸ばし、自分に自信をつける機会を与えてあげなさい。自分に指導権があると感じれば感じる程、子供は他の人からの指示を拒否することが少なくなります。

  必要でないルールは省くこと。それを施行する前に、そのルールの重要性をよく検討する事です。就学前の子供は、独立心をつけるためにも、できるだけ多くの自由が必要です。だから自由を与えてあげましょう。

  すべきこと:簡単ではっきりとした指示を与えること。子供に何をしてほしいかを、できるだけはっきりさせると、子供はその指示に従いやすくなります。してほしい事を子供に提案しましょう。しかし子供がやってしまった事に対しては、批判しないようにすることです。たとえば、「おもちゃを自分で片付けなさいと、何度言ったらわかるの!」と言う代わりに、「さあ、おもちゃを片付けて、箱の中に入れましょう。」と言えばいいのです。

  子供が指示に従ったことをほめてあげること。子供が指示に従ったなら、よくできたとほめてあげ、喜びを表してあげましょう。あなたが、大人の友達に対して言うのと同じような調子で、「頼んだ事をしてくれてありがとう。」と子供にも言うことで、他の人が自分に何かをしてくれた時にはどんな風に感謝の気持ちを表せばいいのかを、子供に教えることもできます。

  秒読みの手段を使うこと。たとえば、五つ数える内に言われた事に取りかからなければならないというルールを決めます。そうすると子供は、自分が楽しんでいた事から、言われた事をするための切り換えが簡単にできるようになるのです。「今、おもちゃを片付けてちょうだい。5−4−3−2−1。」という具合に。子供が早く片付け始めるなら、そのことに対し感謝の言葉をかけてあげましょう。

  子供が言われた事をすべて完了した時だけではなく、その過程の進歩についても何か言ってあげること。子供があなたとのゲームの中で、正しい動きを始めたなら、あなたはそれを励ますチアリーダーになることです。たとえば、「ちゃんと立って、上手におもちゃを片付けてるわ。ほんとうにえらいわね。」と言ってみてごらなんさい。

  指示に従わせるために、おばあちゃんの方法を用いること。子供が指示に従うことができるなら、それにごほうびを付けてあげましょう。「本を片付けたなら、ビデオを見ましょう。」とか、「手を洗ったら、ランチを食べましょう。」とかいう具合に。

  指示に従う練習をすること。子供が指示に従わないなら、子供にしてほしいと思うことを、あなたが手取り足取り教え、ほめてあげたり励ましてあげながら練習してごらんなさい。「あなたが言われた事をしていないのは残念だわ。じゃあ、いっしょにやってみましょうか。」という具合に。2〜3回いっしょに繰り返し練習してみてから、子供に自分だけでする機会を与えてあげます。それでもまだいやがるなら、「一時退場よ。」と言って、子供をその場から連れ去って下さい。

  すべきこと:子供がいやがっても、そこで手を引かないこと。こう自分自身に言い聞かせましょう。「私の子供は、ちっとも言う事を聞いてくれないけれど、でも私の方がもっと経験があるのだし、子供にとって最善の事を知っているわ。はっきりとした指示を与えて、子供に教えてあげなくては。そうすればいつかきっと、あの子は自分でできるようになるわ。」

  指示に従わないことで、子供に罰を与えないこと。子供が言われた事をしなかった時に、親がいかにかっとなるかを見せる代わりに、物事のしかたを子供に教えてあげなさい。そうすれば子供は自尊心を傷つけられずに済み、また子供の悪い振る舞いの方に焦点が当てられる事も、より少なくなります。

 

旅行の際の問題

 

  ほとんどの大人にとって、旅は、生活のペースや風景の変化、また日常のスケジュールの変化を意味します。家事から解放され、自由でゆったりとした時間を過ごせる時なのです。ところが、就学前の子供にとっては、旅は困難なものとなります。旅をしている時には、家にいた時のあの心地よさがしばしば消えてしまうからです。だから子供に、どのようにしてその変化に慣れ、また新しい経験を楽しむことができるかを教えてあげるようにしましょう。あなたの子供が、興味深々で新しい環境に順応しているなら、それはもっとやりやすくなります。

  注意:安全ベルトを締めていない子供は、車が止まっても、体は進行方向に進み続け、その子の前にあるどんな物にも−−例えば、ダッシュ・ボードやフロントガラス、また前の座席の背など−−に突進してしまいます。その衝撃は車の走行時速15キロにつき、ビルの2階から転落するのと同じです。

  予防策:旅に出掛ける前に、車のシートやシートベルトを調べること。旅に出発する前の安全対策が、休日に子供といかにリラックスした時を過ごせるかを決定する事になります。出掛ける直前になって、最も必要不可欠な物−−子供用安全シート−−を忘れたために、出発が遅れてしまうということのないように、前もって準備しましょう。

  ルールに関しての予行練習をすること。あなたと子供が長い旅に出発する前に、2〜3回予行練習をしてみる事です。そうすれば子供は、基本的な訓練を卒業し、本番への準備ができるからです。予行練習の間、子供が車の座席にきちんとすわったり、あるいはシート・ベルトを掛けているなら、それをほめてあげましょう。それで子供は車の座席にじっとすわっていることは、報酬に値することだということがわかります。

  車に乗る際のルールを決めること。車に乗っている全員がシート・ベルトを締めた時初めて、出発することができるというルールを設けることです。「シート・ベルトをまだ着けてないね。着けるまで車は動かないんだよ。」 出発する前に、乗っている全員がこの取り決めに応じるまで待つ心構えをしておきましょう。

  旅に適した遊び道具を用意すること。洋服や車の内部を汚したり傷つけたりしないようなおもちゃを持って行くのを忘れないようにしましょう。たとえばクレヨンはいいのですが、先がフエルトのマーカーは勧められません。もし間違って落としたりした場合、車内にマーカーがついてしまうからです。また他の交通機関を使う場合には、限られたスペース内ででき、できるだけ静かで、長い間あきがこないような遊びを選びましょう。

  あなたの旅行の計画を子供に話してあげる事。あなたの旅行の計画を子供と話す事で、子供は、どのくらいの期間家をあけるのか、あるいは家から離れている間、自分の部屋はどうなるのか、そしていつ帰って来るのかなどを知る事ができます。行く所の地図や写真を見せてあげたり、そこに住んでいる人たちや風景、またあなたが見る予定の行事やする事などを子供に話してあげる事です。以前そこを訪れた時のおみやげ話などをしてあげてもいいでしょう。あなたのこれから行く場所を、子供がすでに知っている場所と比べながら話してあげると、子供は未知の場所に対する不安がなくなるものです。

  子供にも旅の一員としての責任を持たせること。子供にも、旅の準備そして本番において一役かってもらいましょう。子供自身の服を詰めたり、持って行くおもちゃを選んだり、バッグを持ってもらったり、あるいは駅では親のそばから離れないことなどにおいて、協力を求めるのです。

  誰かを訪問する際には、子供の行儀作法についてのルールを決める事。おばあちゃんやヘレンおばさんの所にいる間は、どのルールを守り、どのゲームや遊びをしてよくて、どれはいけないかを、家を出る前に子供に教えてあげます。例えば、途中で止まった時や、最終目的地に着いた時のために、「うるささのルール」、「探検のルール」、「プールのルール」、「レストランのルール」を作りましょう。

  すべきこと:行儀良くしていたらほめてあげること。行儀良くしていることを頻繁にほめてあげ、車の座席にきちんと座っていることで、ほうびをあげましょう。「そうやってきちんと座って、窓から木や家を見ているなんて、本当にえらいわ。今日はとっても良いお天気でしょう。きちんと車に座っていられたから、もうすぐ車から降りて公園で遊べるわよ。」という具合に。

  子供が座席から降りたり、シートベルトを外したりした時は、車を止めること。座席でのルールにはいつも従わなければならないこと、そしてルールを破った時の結果は毎回同じであることを、子供が必ず理解しているよう確かめて下さい。

  車で遊べるゲームを楽しむこと。たとえば車の窓から物を数えたり、色を当てたり、動物を探したりして、子供の関心を目的地に着くまでの間の風景に向けさせます。子供は(そしてあなたも)一つのゲームに長く集中できないので、家を出る前に、いくつかの楽しいゲームのリストを作っておきましょう。そして一時間ごとに5種類くらいの違ったゲームを交替で取り出していきます。そうすれば、子供もあなたも飽きないこと請け合いです。

  たびたび止まって休憩すること。活動的な就学前の子供はたいてい、動いている時が最も幸せなものです。だから車や飛行機、電車の中で何時間も閉じ込められているのは、子供の冒険好きな性格には合いません。だから、たとえば道端の公園などで、子供にいらいらを発散させる時間を与えてあげることです。そうでないと、思いがけないところで反抗的な言葉を言ったりするようになります。

  長旅の際のスナックを調べること。砂糖が多く入っている食べ物や炭酸飲料水などは、子供の活発さを高めるだけではなく、吐き気を催す可能性をも高めます。子供の健康と幸せのためにも、砂糖の多い食べ物の代わりに、タンパク質の多いスナックや薄い塩味のついた物に限定しましょう。

  おばあちゃん方式を利用する。旅の間に行儀良くしていると、ほうびをもらえると教えてあげましょう。たとえば、子供が飲み物がほしいことでだだをこねているなら、こう言うのです。「座席にきちんと座って、だだをこねずにお話しできるなら、車を止めて何か飲み物でも買ってあげるわ。」

  すべきでないこと:かなえられないかもしれない約束はしないこと。旅先で何が見られるかを、子供にはっきり言わないことです。なぜなら子供はあなたにその約束を守らせるからです。たとえば、イエローストーンでは熊が見れると言っておきながら、そうでなかったなら、子供は公園を出る時、だだをこね、泣きながら、きっとこう言うに違いありません。「熊が見られるって約束したくせに。」

 

 

シートベルトや子供用座席をいやがる

 

  子供専用座席やシートベルトは、何百万人もの自由を愛する就学前の子供達のナンバー1の敵です。冒険心旺盛の彼らは、どうしてそれに拘束されていなくてはいけないのか理解できないものの、ベルトを着けていないか、ちゃんと専用のシートに座っていないなら車が出発しないという規則は理解できます。子供が乗る度にシートベルトの規則を守らせて、子供の安全を毎回確認して下さい。あなたがこの生死にかかわる規則に対して優柔不断な態度をとらないなら、今は同乗者でも将来はドライバーになる子供にとってシートベルト着用はごく当たり前の習慣となるのです。

  カーシートをチェックして下さい。乳幼児用のシートの中には、年長の子供には小さすぎる物もあります。だから子供によっては、小さい子供のためのカーシートよりも普通の座席でシートベルトを着用したり、最近出ているブースターシートに座るのを望み、実際にそうしても大丈夫な子供もいます。

  子供の死亡原因のトップは、自動車事故です。子供を固定する装備をしていたなら防ぐ事ができた場合が沢山あります。ですからベルトを着けたりする規則について妥協してはいけません。さもないと妥協して子供を失う結果になるかもしれません。

  予防策:子供がゆったりして、外を見れる余地を設けること。シートが快適で、大人と同じように外が眺められるようにして下さい。子供の目の高さで、通過する田舎の風景が見れるかどうかチェックするのです。子供が安全に座席に固定されていると同時に、手や足を動かしたりできるスペースがどれだけあるかもチェックして下さい。

  ルールを定める−−皆がベルトをしない限り車は動かない。幼い時(生まれた時)からこのルールを守らせるなら、子供は車の座席に座ったらシートベルトを締める習慣にもっとよく慣れる事でしょう。

  年令に応じて安全対策も変える。どうして大きな座席に座れるようになったのかや、シートベルトを着けるだけでよくなったのかを子供に理解させておくなら、子供はシートベルトを着けることを誇りに思うことでしょう。こう言いましょう。「本当に大きくなってきたわね。これは、あなたが車に乗る時の新しい安全ベルトよ。」

  シートベルトを締めなくてはいけないことで不平を言わない。例えば、何の気なしに夫や妻や友人にシートベルトを着けるのはいやだと言うなら、子供も自分がベルトを着けられるのに抵抗してもいいんだというヒントを得ます。

  訓練プログラムを行う。親または友人が近所を少し運転し、もう一人の大人が子供が座席にちゃんと座っていることをほめてあげたりなどするなら、子供は車ではどんな振る舞いをすることを期待されているのかを知ります。子供をなでたり、ぽんと軽くたたいてこう言いましょう。「今日は、シートベルトを着けてお行儀よくしているわね。」、「ちゃんと座っているのね。」

  すべきこと:自分もベルトを着用する。あなたも必ずシートベルトを着けて、子供に、例えば、「あなたもママと同じようにちゃんと着けているわね」と言いましょう。そうするとシートベルトを着けている子供は、この一時的拘束をされているのは自分だけでないと感じます。あなたが着けていないのなら、子供はどうして自分がしなくてはいけないのかわかりません。

  シートベルトを着けて行儀よくしている時にはほめる。子供が行儀よく乗っている時に子供に何の関心も払わないなら、座席から立とうとするでしょう。そうすれば、関心がもらえると知っているからです。自分は後ろに乗っている子供と「共にいる」のであるとわからせるなら、子供が車の中で面倒を引き起こすことはありません。子供がちゃんと座っていることほめたり、おしゃべりしたり、ゲームをしたりしてはどうでしょう。

  首尾一貫していること。子供がカーシートやシートベルトから出るなら、その度にできるだけ早く安全に車を停めて、規則は絶対に守られることを教えて下さい。こう言うのです。「おまえがちゃんと座ってベルトを着けていて、安全だとわかれば、車はまた動くよ。」

  子供の注意をそらす。子供が何かしている必要があるからシートから立とうとするようなことがないよう、数や言葉のゲームやいないないばあをしたり、歌を歌ったりしましょう。

 

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「イエスは私を愛してる。

聖書に書いてあるもの。」

小さな子供達はそれ以上何も求めない

愛こそ彼らの求めるすべてだから

子供のきらきら輝く目には

時代を越えた信仰がある

疑いばかりの心で答えを探しながら

決して見いだすことのできない大人より

小さなベッドのわきにひざまずいて祈る

小さな手とくしゃくしゃの頭は

愛しい主の心により近く

神の御国の大切な一員

なぜなら見えないものを信じる信仰は

子供のような単純さによってしか

得られないから

大人は人生の複雑さにのみこまれ

あてどもなくさまよい

たとえ富と権力は増しても

徐々に信仰は崩壊していく

知識が増えるほど、

本当に知っていることは減り

自分の考えがより混乱していく

傲慢さによって人は

子供のような信仰をもって

天の神を信頼し愛することに

満足しなくなる

ああ父よ、今一度人々に

子供のような単純な信仰を与えたまえ

小さな子供の信頼こめた目をもって

すべての人が悟りますように

信仰だけが人の魂を救い

より高い目標に導くことを。

  −−ヘレン・スタイナー・ライス

 

 

子供の安全チェックリスト

 

  事故こそ、新生児から15歳までの子供の最大の死亡原因であるという恐るべき事実が調査によって明らかになっています。子供の事故の殆どは、子供の正常で健全な好奇心が原因です。

  大きくなるにつれ、ケガをするチャンスは増えます。赤ん坊がはったり、はいはいしたり、歩いたり、のぼったり、探検できるようになると、危険は幾倍にも増えます。そして、親が子供のその成長段階における能力をよく認識していない時によく事故が発生しているのです。

  以下は、親が家庭での事故を防ぐために取らなくてはいけない措置のチェックリストです。

 

   ■危険なものの入っているすべての棚や引き出しは子供が開けられないよう、かんぬきや掛け金などをつける。

   ■自分ではって家の中を歩いてみて、子供に誘惑となりそうな危険な箇所を改善する。

   ■コードが差し込まれていないコンセントには、専用のプラスチックの差し込みカバーをつける。

   ■使われていない延長コードはしまう。

   ■コードが差し込まれているコンセントの前には大きなソファや椅子などを置く。

   ■小さなテーブルやその他の家具が頑丈でなかったり、鋭い角があるなら、子供が大きくなるまでしまう。

   ■消毒液や掃除用洗剤、レーザーの刃、マッチ、薬など危険な家庭用品は子供が絶対に手が届かない所か、鍵のかかった棚にしまう。

   ■暖房器具のまわりにはしっかりしたフェンスなどを設置する。

   ■車には常に適切なカーシートを使う。

   ■おもちゃに鋭い角や小さな破損箇所などがないか定期的に点検する。

   ■子供が飲み込んだり、喉に詰まったりする可能性のある小さな物体が床に落ちていないかチェックする。

   ■大人が見ていない時に階段で遊ぶことがないよう、階段の入り口にゲートをつける。

   ■赤ん坊をおむつの取り替えテーブルや、浴槽や、ソファーや、ベッド、乳幼児用椅子やハイチェアー、床の上、車の中に一人きりにしない。

   ■万一子供が腐食しない毒性の薬品を飲み込んだ場合のために、吐き気を催させるための吐根(とこん)剤を常備しておく。

   ■テーブルや机の上に小さくこわれやすい物がおいてあるなら取り除く。

   ■トイレやおふろに入るドアは常にしめておく

   ■ビニール袋や小さな物(ピンやボタン、ナッツやお金)は常に子供の手の届かない所におくこと。

   ■おもちゃや家具や壁には鉛を含まない塗料を使うこと。おもちゃが無害かどうか、ラベルでチェックする。

   ■きるだけ幼い内から、「熱い」という言葉を教える。子供を熱いオーブンやアイロンか、通風孔、暖房器具、まきストーブ、バーベキューグリル、熱い紅茶やコーヒーの入ったカップから子供を遠ざけておく。

   ■料理する時には鍋などの取っ手を向こう側に向ける。

   ■赤ん坊(小さな新生児であっても)がベビーベッドに入っている時には、常に柵をあげておく。

   ■小さな子供が近くにいる時には、テーブルからテーブルクロスをたらしておかない。

   ■ベビーベッドやベビーサークルに長いひもでおもちゃを結んでおかない。赤ん坊がそれがからんで首がしまることもある。またおしゃぶりに長いひもをつけて、それを赤ん坊の首にかけてはいけない。

 

 

年令を問わず当てはまる

子供のしつけに関する

ガイドライン!

 

  * 問題の原因が何かわからなくとも主はご存じであり、何が問題であろうと答えは愛である。主は私達に具体的な解決策を示すことができる。「愛は敗れず」

  * コミュニケーションは大変重要である。子供が良くない行為をした時に一番大切なのは、ただ罰することではなく、そのことについて話し、子供に説明のチャンスを与え、とことん話し合うことだ。子供が良くない振る舞いをした理由を見つけ出すよう努めなさい。子供に罰を与えるのは、子供がその理由を理解している場合だけにする。

  * あなたが課す規則や特権の剥奪や処罰は、怒りの内に、または祈りもなしに行われるべきではない。

  * 親はふざけた行為や、いたずら、乱暴な振る舞い、不従順、強情、頑固で反抗的な振る舞いを容赦すべきではない。普通は、子供が自分で良くなろうという選択をする時間を与えるために、警告が必要である。しかし、もし子供が振る舞いを改めないなら、聖書には、「懲らしめのむちはこれを遠く追い出す」と書かれている。−−箴言22:15 。

  * 悪い行いに対して義の怒りをもって懲らしめることに何ら悪いところはない。私達は罪に対して怒るべきだ。しかし、常に、愛と憐れみによって和らげられた懲らしめを与えるべきである。

  * 愛情深い親として、正しい方法で愛をもってしつけなさい−−厳しすぎず、過酷すぎず、重々しすぎないように。そんなふうにしつけるなら、子供は、どう頑張ってもあなたの基準に達することなどできないと考え、完全に落胆し、望みをなくしてしまい、あきらめて、努力するのをやめてしまうであろう。

  * あなたの長期ゴールは、子供が愛をもって従うよう励ますこと、また、何が正しく、何が間違っているのかを知っているという確信があるために、正しいことを行うよう選択するよう励ますことであるべきだ。

  * 「見よ、神に戒められる人はさいわいだ。それゆえに全能者の懲らしめを軽んじてはいけない。」−−ヨブ5:17。