宝 P.815-819

 

誕生パーティー!

 

愛するアリサへ

  こんにちは、アリサ。また私の誕生日が近づいてきたね。去年は、私のための盛大なパーティーが催されたけれど、どうやら今年もするみたいだ。実際、みんなもう何ヶ月もそのために買い物をしたり準備したりしているし、もうすぐその日がやって来ることを知らせる宣伝や広告が毎日のように出されている! かなりやり過ぎのように思えるけれど、少なくとも一年に一日は、私のことを多少なりとも思ってくれるということは、嬉しいものだよ。

  私の誕生日が最初に祝われた日から、もうずいぶん時がたっているね。当時は、私が人々の為にしたことをみんなが感謝していた。でも近ごろでは、私の誕生日の意味がほとんどわかっていない人達が大半のようだね。それでも、人が集まって愉快な時を過ごしているのは、見ていて楽しいし、特に幼い子供達がその日をとても楽しんでいるという事は嬉しいものだ。だが、大部分の人達がその日の本当の意味を理解していないのが現状らしい。そう思わないかい?

  例えば、去年のことを言うと、私の誕生日がやって来た時、人々は盛大なパーティーを催したけれど、でも、信じられるかい? 私は招待さえ受けなかったんだよ! 主賓であるこの私を、全く忘れていたんだ! このお祭り騒ぎの準備は2ヶ月も前から始まっていたのに、その待望の日が来たら、私は完全に無視されていた! まあ、ここ何年かはそれが常だったから、別に驚きもしなかったけれど。とにかく、招待されていなくても、そっと忍び込んで様子をみようと思い、私は中に入り、離れた所に立っていた。

  みんなはお酒を飲んだり愉快に騒いでいた。そこに突然、真っ赤な上下の服を着て、白いつけ髭をした、でっぷりした男が「ワッハッハァー!」と大声をあげながら入って来た。彼は酔っ払っているようだったが、みんなの喝采の中をかろうじて歩いて行き、部屋の奥の大きなソファーにどっかりと腰をおろした。すると、幼い子供達がみんな「サンタだ! サンタだ!」と叫びながら、興奮してその男のもとに走り寄ったんだ。まるで彼が主賓で、この休日はもっぱら彼を祝うためのものではないかと思ってしまうほどだったよ!

  それから彼は、今まで聞いた中でも最もばかげた話をしはじめた! 彼が北極で小人達といっしょに暮らしていて、毎年私の誕生日になると、空を駆けるトナカイの群れの引くソリでみんなの家にやってきて、煙突を通って中に入り、世界中の子供達にプレゼントを届けに来るという話だった! 彼の話には真実はこれっぽっちも含まれていなかった! 感受性の強い子供達にそんな根も葉もない全くの作り話をするなんて、子供達がかわいそうだ! 私は、結局いたたまれなくなって、そこを出た。だれ一人私がいなくなったのに気づかなかったけれど、それにももう驚かなかった。それから通りを歩いていたけれど、私はまるで捨てられた犬のように孤独で、みじめな気持ちがしたよ! もう長いこと、そんなに沈んだ気分になったことはなかった。アリサ、君は多分、私が泣くことなどないと思っているかもしれない。だがその晩、私は泣いた。

  だから、その夜君の家を通りかかって、君と君の小さな家族に招かれ、手厚いもてなしを受けた時、あんなに感激したんだよ! みんなで「ハッピー・バースデー」を私のために歌ってくれた時、私は深い感動を覚えた! 誰かにそのようにしてもらうのは、本当に久しぶりだったから! 君達のような友達を、私は本当に大切に思っていると言っておきたかったんだ! 私の誕生日に私のことを覚えていてくれる人が少しはいるんだと知るのは、とても慰めになる! そのような人達に神の祝福があるように! 共に集まって心の通う時を過ごし、ささやかな食事を共にして私の誕生日を祝ってくれる、君のような親しい、心やさしい友人達に神の祝福を!その日には、私は必ずそういう友人達といっしょに過ごすことにしている!

  君が居間の片すみに飾っていた、あの馬小屋の降誕場面の小さな飾りは、本当に心に触れたよ! 私の誕生を記念して人々がそうやってくれると、本当にうれしいものだ。でも、知っているかな? 近ごろ、国によっては、あの私の降誕場面の飾りを、学校はもちろんのこと、公園、街頭などの公の場所に置く事を禁じているんだ! 別に、共産諸国のことを言っているのではないんだよ! あの「素晴らしきアメリカ」と呼ばれているあの国の事を言っているんだ! 考えてもごらん! 降誕の場面の飾りで人々に私の誕生日を思い出させることの、どこが悪いのだろうか! しかしそれが禁止されてしまった! 実際にそれを違反だとする法律を作ったのだ! この世の中は一体どうなってしまったのだろう?

  驚くのはそれだけではないよ。私の誕生日だというのに、ほとんどの人は、私にプレゼントをくれる代わりに、お互い同士でプレゼントの交換をしている! おまけに、あまり必要でない物をあれこれプレゼントし合っている! ちょっと尋ねるけど、君の誕生日に、君の友達がみんなお互い同士でプレゼントを贈り合ってお祝いするだけで、君には何一つくれなかったとしたら、それは変な祝い方だと思わないかい? それが、毎年私の誕生日に起こるんだよ!

  誰かが、「それは、あなたが他の人のようにそばにいないから、プレゼントしたくてもできないからですよ。」と言った事があるけれど、それに対する私の答えを、知っているだろう。「それならば、食べ物や衣類を貧しい人達に贈り、それを必要としている人達を助けてあげなさい。寂しい人達のところへ行ってあげなさい!」といつも言っているだろう。「よく聞きなさい。困っている人達にあなた達が与える贈り物は、私自身に贈った事になる!」と。

  あなたは私の本にこう書いてあったのを読んだと思う。「わたしの父に祝福された人たちよ、さあ、世の始めからあなたがたの為に用意されている御国を受けつぎなさい。あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせ、かわいていた時に飲ませ、旅人であったときに宿を貸し、裸であったときに着せ、病気のときに見舞い、獄にいた時に尋ねてくれたからである。その時、正しい者たちは答えて言うであろう。『主よ、いつ、私達は、あなたが空腹であるのを見て食物を恵み、かわいているのを見て飲ませましたか。いつあなたが病気をし、獄にいるのを見て、あなたの所に参りましたか。』 すると、王は答えて言うであろう。『あなたがたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである!』」(マタイ25:34−40) 私の誕生日に人々に分け与えている人達も少しはいるようだ。その人達に祝福があるように! しかし、ほとんどの人達は、私のアドバイスを無視しているようだ。

  残念なことに、状況は年とともに悪くなっていくばかりだ。数年前、私の誕生カードから私の名前(Christ)が削られて、クリスマス(Christmas)ではなく、Xマスになっているのを目にした時、私がどれだけショックを受けたか想像できるかい? 何という侮辱だろうか! 考えてもごらん! 君の誕生カードに、私が「ハッピー・バースデーX」と書いたとしたら、どう思うかい! きっともう二度と口を聞いてくれないことだろう! 私もそのような気持ちになった! 私の誕生日なのに、どうして、これほども私を無視できるのだろうか!

  それで思い出したけれど、アメリカにサムという名の、年のいった気のいい黒人の友達がいて、最近彼にこんなことが起こった。彼は、ある教会に、そこの会員にしてほしいと何か月も前から頼んでいるのに、なかなかなれなかった。そこは「善良で、立派な」人たちだけの、非常に排他的で上流の教会だから、どうしてもサムを会員にしたくはなかったんだよ。私は、サムが教会の外の階段のところに座って、頭を抱え、涙を流しているのを見かけたので、どうしたのかと尋ねた。そしてサムがそのわけを話してくれた時、私は彼の肩を抱きかかえてこう言ったんだ。「サム、君の気持ちはよくわかるよ。私もその教会に入ろうとしてもう20年になるのだが、私だって一度も入れてもらったことがないのだから!」

  クリスマスに、多くの人達が、贈り物やきらきらの飾りつけをするので夢中になっている事にうんざりしてきている。私の忍耐にも限度がある。

  だから、アリサ、君に秘密を打ち明けようと思う。さて、これは私がかなり長い間しようと思って計画を立ててきたことだが、世の中がこんなにどんどん悪化していることを考えると、かなり近い内にその計画を実行に移さなければならないようだ。実は、私は自分のパーティーを開こうと思うんだ!すごいアイデアだと思わないかい? この祝宴は、君の想像をはるかに越えるような、今までで最も豪華けんらんな大パーティーとなることだろう! 私の友人のヨハネが以前もうその事を少し漏らしたと思う。(黙示録19:6-9)でも、ヨハネはそれがどのようなものになるのかを、完全には説明できなかったようだが。まあ、楽しみに待っていればいいだろう! 想像を絶するような最高のパーティーになるだろう! この人生で味わった事のないような最高のワインを出してあげよう!(マタイ26:29) それから、天国の味としか言いようがないようなおいしい食べ物もだ!(黙示録2:7,17)

  実を言うと、私はもう随分前からこの準備をしているのだが、全部完了するのにはもう少し時間がかかりそうなので、今年は開けないかもしれない。君は、きっと来たいと思っているだろうから、とにかく招待状を送っておくよ。(黙示録22:17) 君の家族や友達も連れてきなさい。何億人分もの席が用意されている。来たい人は誰でも歓迎だ! 歴史的人物や著名人も出席する。君のために、彼らの近くの上座の席を取っておいてあげよう!(マタイ8章11節)

  準備が整ったら、私は全く思いがけなく姿を現すが、びっくりしてはいけないよ! そして、私の招待に応じなかったために取り残され、驚く人達が大勢いることだろう! もし来たいなら、すぐに知らせてほしい。私は、君のために場所を用意し、私の大きな来賓名簿に、君の名前を金文字で大きく書き入れてあげるよ!

           たくさんの愛をこめて、イエスより

 

 

 

   キリストがベツレヘムに何千回とお生まれになっても、キリストがあなたの中に生まれていないのなら、あなたの魂はよるべのないものになってしまう。

 

だから今年は、年の始めから愛のこもったささやかな行いを始めようと思う。

クリスマスまであと数日になっても、

以前のように、忙しさに追われて息つくひまもないようなこともなく

落ち着いて、心の準備ができるように。

クリスマスはキリストを崇拝するためのものだから、

私はしばしひざまずき、主の名前を呼びまつろう。

そして、ろうそくの炎の美しい光をじっと眺めていたい

ゆっくりとした時間を求め、一人静かに扉の外に出て

以前によく見た、静かな銀の星の輝きをまた見ていたい

静かにたたずんで待てばきっと

あわただしい生活の騒音で邪魔されていたものが聞こえてくるだろう。

天使の歌声、母親の子守歌、赤ん坊の優しい声が。

* * *