宝 P.584-588

 

想像を絶する旅!

 

  その夜は、雅也と恵子にとって、とても特別な夜でした。静かなこじんまりとしたレストランで、夕食をすませた二人は、とうとう結婚の約束をしたのです。この特別な日を祝って、何杯かグラスを傾け、ロマンチックなスローダンスを何曲も踊っていると、二人はつい時のたつのも忘れてしまい、翌朝は二人とも出勤しなければならないと気づいた時にはもうずいぶん遅くなっていました。

  信号や停止標識を避けるために、雅也は町を迂回している旧道を通って恵子を送ることにしました。旧道の方が少し遠回りでしたが、車がほとんど通っておらず、信号もなく、この時間にはスピード違反を取り締まる警察もいなかったからです。道路を疾走する車の中では、二人のお気にいりの音楽がリッチなサウンドで響き渡り、雅也と恵子は、下に広がる美しい街灯りを目にしながら、この二人だけの時間を楽しんでいました。

  しかし、交差点を通過しようとした時に、左側から大型トラックが猛スピードで突進してきていることに、二人とも気がついていませんでした。突然、恵子が大声で叫びました。「雅也、危ない!」トラックは警告のクラクションを鳴らし、雅也は、そのままスピードに乗って突き抜けようとしてアクセルを踏みました。ブレーキをかけるには遅すぎたのです! その瞬間、すさまじい衝突の音、タイヤのきしむ音、金属のつぶれる音、ガラスの砕け散る音が、夜の静けさを貫きました! そして、すべてが静寂に戻ったのでした。

  目覚めた時、雅也はすぐに呼びかけました。「恵子、大丈夫かい?」「ええ、大丈夫よ!」、恵子は答えました。このような恐ろしい事故にあったのに何とか生き延びられたことを神に感謝して、二人は互いに固く抱き締め合いました! 二人は、自分達が当然ながら、ぼーっとした、ある種のショック状態にいることに気づきましたが、互いにしっかり抱き締め合うと、何か奇妙な、いつもと違った感じがしたのでした。

  連れが無事だと知って感じた安心感に加えて、二人は信じられないほど体が軽いのを感じました。「雅也、一体どうなっているの?」 恵子は尋ねました。「足が‥‥地面についていないわ!」 「わ‥‥わからない。」雅也は答えました。「上に昇っているみたいだ! こんなふうに感じるのは初めてだ‥‥あっ、こ、これは! 下を見るんだ、道路の、ほら僕の車の脇を! あの二つの死体、あれは僕らだ! 僕たち‥‥死んでしまったんだ!」

  突然、何かの目に見えない力に捕らえられたかのように、雅也と恵子は、高く、さらに高く引き上げられて行きました。そして二人は、長くて暗い、トンネルか道路のようなものの中にいて、信じられないほどのスピードで飛行していました! やがて、とてもぼんやりとした光が二人の前方に現れました。そして、二人がトンネルの中を通って飛んで行くにつれて、その光はどんどん大きく明るくなり、ついには目もくらむほどのまばゆさとなったのです! けれどもおかしなことに、目は痛くも何ともありませんでした!

  この目もくらむような光にどんどん近づいて行くにつれて、彼らは二人とも、それが人であることに、まばゆいばかりの光の人であることに気づきました! 二人のまわりでは、すべてが、まばゆい暖かな光に包まれており、二人とも、自分たちが深く愛されていることを感じ、その大きな愛にすっかり圧倒されてしまいました!

  自分たちが死んでしまったのだと知った時に感じた恐れと不安は、今ではすっかり消え去り、この暖かな愛に満ちた光に包まれて、深い心の安らぎを覚えた二人には、地上に戻りたいという願望はもうありませんでした! 真に愛されているという、実に素晴らしい気分だったのです!

  突然、光の人が雅也と恵子の二人に、彼らのこれまでの全人生を詳細に渡って見せてくれました。それはまるで立体カラービデオのようでした。自分が実際にその中にいるようには感じないのですが、二人は、ちっちゃなヨチヨチ歩きの頃から、この事故が起きた時までの自分を見ました! 兄弟姉妹にしてきたあらゆる意地悪なこと、学校の友達にした、わがままで思いやりのない行ないといった細々としたことのすべて、そしてまた、自分たちのした良い行ないのすべてを見たのです! おもちゃをあげた時のこと、他の人を助けたり、親切にしてあげたりした時のことなど、すべてを!

  それはまるで、彼らが自分自身の裁判官にされたようなもので、失敗したこと、成功したことをはっきりとありのままに見たのです! 否定すべきことは何一つなく、すべてが真実で、すべてが非常に公平でした。そして自分たちの全生涯を次から次へと一場面ずつ、現在に至るまで回顧したものの、それを見終えた時には、ほんの短い間しかかからなかったように感じられました!

  自分たちのしてきたことをすべて鮮明に見たり、思い出したりした後で、ためらいがちに光の人の目をのぞき込むと、その目はやはり暖かく、愛情深い同情と理解とに満ちていたので、二人は本当に安心しました! 光の人は、二人に歓迎の手を差し延べ、かなたのピラミッド型をした光の都を指して、こう言いました。「恐れることはない、小さき子供たちよ、あなたがたに御国を与えるのは、あなたがたの父の喜びなのだから! わたしの父の家には住まいがたくさんある。わたしは、あなたがたのために場所を用意した。わたしのおる所に、あなたがたもおらせるためである!」

  二人はこの時、この愛に満ちた親切な人がイエスであることに気づき、そして彼が、二人の天国への帰省を歓迎するために来られたのだということを知りました! 二人の過去におかした過ちや失敗、悪い事や欠点を全て知っているものの、イエスはそれでも二人を愛し、二人を喜んで受け入れて下さっているのです! イエスに抱き締められ、慰められてもらう二人のほおには感謝の涙が流れ、イエスはその二人の目から涙を拭い去って下さいました!

  イエスは愛をこめて二人にこう思い起こされました。「わたしがあなたがたのために死んだのは、このためなのだよ! あなたがたを愛したからだ!そして、あなたがたが自分の罪によって苦しまなくてすむように、わたし自身があなたがたの罪を負った! あなたがたは、わたしを信じ、わたしがあなたがたのために死んだことを信じたから、あなたがたの罪は、永遠に清められ、許されたのだよ! さあ、来なさい。わたしがあなたがたのために用意しておいた御国に入りなさい!」

  そう言うと、イエスは二人の手を取りました。そして彼らは、前にトンネルの中でしたように、再び飛行を始めました。彼らが、まるで宇宙をものすごいスピードで突き抜けていくかのように進み、その巨大な黄金のピラミッドに近づくにつれ、それはどんどん大きく見えてきました!

  この美しい、水晶のように透きとおった金で造られた宇宙都市に入った二人は、みんなが二人を歓迎するために来てくれているのを見て感激してしまいました! 雅也は、「お帰りなさい!」と背後から呼びかける、あの実になつかしい声を聞いて、信じられない思いがしました。振り返って見ると、7年も前に病気で死んだ最愛の母親の姿があったのです! 彼女は今、実に美しく見えます。若くて、はつらつとしていて、健康そうで、輝いています! 雅也がほんの少年だった頃と同じように見えました! 二人はしっかりと抱き合い、この素晴らしい再会をイエスに感謝して、喜びの涙を流しました!

  天国がこんなにも美しく、こんなにも素晴らしいものであるなどとは、雅也も恵子も想像したことさえありませんでした! 誰もが優しく、愛に満ちており、自分がよそ者のように感じることは全くありません! 花でいっぱいの庭園、公園、木々や青草など、すべてのものがこれまでに地上で見てきたどんなものよりも美しく、その天国の建物や展覧会場は、二人がこれまでに見たことのあるどんなものも比べものにならないほど、巨大で、斬新なデザインで、ショッキングなほどに美しい色彩や素材で造られています!

  そして誰もが、その美しい体に、キラキラと輝く光の衣をまとっています! あわてたり、急いだりしている人は誰一人いません。彼らはただ、黄金の歩道やみずみずしい青草に沿って漂い歩いているようで、足はかろうじて地に触れている程度なのです。実際に空を翔び、優雅に、滑るように空中を飛ぶ人々もいます!

 

  雅也と恵子の「想像を絶する旅」は、単なる想像上のおとぎ話ではなく、多くの権威ある研究や書籍において、科学的な裏付けのもとに記された、実際にあった何千もの死後の人生の経験の記録に基づいています! 無論、どのケースにおいても、患者は医学的に死亡を宣言され、中には、20分か30分の間、医学的に死んだ状態にあった人もいたのですが、そうした患者たちが、意識を回復し、生き返ったのです。彼らは、自分の過去の人生をすべて見せてくれた光の人が、再び自分達の体に戻るチャンスを与えて下さったと証言しています! けれども、こういった人々は例外です。ほとんどの人は明らかに、死んだ後また戻ってくることはないからです。

  あなたは、その想像を絶する旅への準備ができていますか? 高さ、幅、長さがそれぞれ2400キロもある、神の美しい天の都の中に、あなたのための場所があるでしょうか?(黙示録21章) 雅也と恵子は、二人ともイエスを信じて、心の中にイエスを受け入れたので、準備ができていました!−−「神はそのひとり子(イエス!)を与えたほどに、この世(あなたや私!)を愛して下さった。それは、御子を信じる者が一人も死なないで、永遠の命を持つためである!」(ヨハネ3章16節) 

  イエスはあなたを愛しています。そして、ただ祈って、心の中に入って下さるようにイエスにお願いするなら、イエスはあなたの間違いや過ちを全て許し、イエスからの贈り物である天からの永遠の命を与えて下さいます。この短い祈りを祈ることによって、たった今イエスを心に受け入れることができます。「イエス様、どうか私の心の中に入って、私の心を愛で満たし、永遠の命を与えて下さい。私のすべての過ちを許して下さい。そして私を新しく変えて、あなたの愛で他の人を愛せるようにして下さい。イエス様のお名前で祈ります。アァメン。」