宝 P.564-569

 

恐慌はもう起こっている!

 

  今日の世界では、不思議なことが起こっています。私達が、たいして重要でもないのに、人目をひく数々の出来事に気をとられている一方で、世界は、大々的な報道もされないまま、人々の知らぬ間に、世界史上最大の恐慌、不況、社会動乱への道を急速にたどっています! 世界経済は、アメリカ経済とアメリカのドルという基盤の上に成り立っていますが、そのアメリカ経済とアメリカのドルが破局を迎えているのです!

  でも、私達はどうしてそのことを、国際的なニュースの報道を通して、もっと耳にしていないのでしょうか? 諸政府が、できるだけ破局や危機などの起こる可能性を低く見せかけようとするのは、よく知られています。それは、人々がパニックを起こさないようにするためなのです。国を治める者というのは、自分に対する信頼や、自分は何でも知っているという信頼を人々が失ってしまうことを恐れて、たいていは、自分の弱点や、あるいは、その体制が崩壊寸前であることを、認めたがらないものです!

  というわけで、私達がアメリカ経済は安定しており健全たる状態にあると聞いているのとは裏腹に、事実はそれと全く逆のことを指し示しているのです!−−つまり、アメリカ経済はいつ破局を迎えてもおかしくないし、実際、もうすでに、ここ数年にわたって崩壊してきているのです! もし、このことが信じがたいと思うなら、次のことを考慮してみて下さい。

  アメリカ予算における赤字:1980年の時点で、アメリカが、それまでの200年間に累積してきた政府の負債総額は、7150億ドルでした。それが、現在では、わずか6年の内に、 200%増しの2兆ドルになっているのです! この負債の利子の支払いだけでも、1987年には1500億ドルに昇っており、それは、アメリカ政府の総支出額の15%、つまり、政府の予算の中で、軍事費と社会保障費に次ぐ第三位の支出項目なのです!

  では、その2兆ドルとはいったいどのくらいの額なのでしょうか? イエスが誕生された日から現在まで、毎日3百万ドルずつ使ってきたとするなら、それでおよそ2兆ドルになるのです!

  1980年、連邦政府の年間赤字、すなわち、アメリカ政府が税金などによる収入額を越えて支出した額は800億ドルでした。けれども、1986年には、ほぼ200%増加して2,200億ドルに跳ね上がったのです!アメリカ政府は、4ドル受け取るごとに5ドル使っているわけです!

  アメリカの政府および民間の負債総額は、現在8兆ドル (国民総生産の180%)以上に達していますが、それは、1970年の1兆6000億ドルからこれだけ跳ね上がったのです。民間の負債額は、1981年以来二倍以上になっています。どんな政府であれ、毎年毎年、その収入を越えた生活をしながらやっていくことはできません!−−決算の日が来ようとしているのです! アメリカは予想以上に長続きしており、借金暮らしを続けているのです!

  アメリカは今や、世界最大の債務国です! 5年前、アメリカは、外国人がアメリカ国内に所有している額よりも1400億ドル多い額を国外に所有していましたが、現在では、アメリカの外国人投資家達の所有している額の方が、アメリカが国外に所有している額よりも2500億ドル多いのです! アメリカにいる外国人の資産総額は1兆2000億ドルありますが、アメリカ経済に対する信用が失われてしまうようなことがあれば、その大部分は即座に引き出されてしまう可能性があり、そうなると、アメリカはその赤字財政を管理するすべを全く失ってしまうのです! その結果は、世界経済恐慌です!−−それは、世界の歴史でも最大規模の恐慌となるでしょう! アメリカの運命は、まさしく、外国人投資家達の気まぐれ次第となってしまっているのです!

  アメリカの貿易赤字:1986年の貿易赤字は、史上最高の1700億ドルでした! 言いかえると、アメリカが自国の製品を輸出して得た額よりも、外国製品を輸入して使った額の方が1700億ドルも多かったということです。

  ドルは、第二次世界大戦以来、円に対して最低のレベルにまで落ち込んでしまっており、ここ18ヶ月の内に、ドイツ・マルクに対して45%も購買力が減じてしまいました! ドイツのブンデス銀行の頭取は、準備金としてのドルの信用が危機に瀕していると警告しています。

  倒産するアメリカの諸銀行:1941年から1980年の間に 262のアメリカの銀行が倒産しました。また1980年以来、さらに400の銀行が倒産し、1986年だけで138の銀行が倒産しました! そして、アメリカの銀行の10%と、貯蓄貸付組合の43%が、支払い不能、または、全面的な破産の危機に瀕しています!

  アメリカの貧困と失業:アメリカには家のない人が200−300万人いますが、これは、大恐慌以来最大の数です! 又、1980年以来、100万人が製造業の職を失い、今では毎日180の農場が破産しているのです!

  アメリカの株式市場は、大恐慌の年、1929年と全く同じくにわか景気になっています! エール大学の教授アービン・フィッシャーは、1929年の9月、「株価は、永続的な高値安定と見受けられる状態に達した。」と述べました。また、「株式市場の上り坂の景気は、29年規模の大爆発で終局を迎えるのか?」と題された、ロサンジェルス・タイムスの最近の社説の中で、マイケル・ヒルチークはこう書いています。「識者の中には、1987年の景気の盛り返しが導く先は、1929年の世界ではなかろうか、といぶかしんでいる者たちがいる! 去年の1月23日、ダウ平均は午前中に64ポイント上がったが、その71分後には、史上最高の速さで最大幅の暴落があった!−−投資家達を呆然とさせた 116ポイントもの落下である! これによって、市場が、突然の不可解な動きに対して弱いことがさらに明らかになった!

  大型の恐慌が起こると予言している専門家はほとんどいないが、1929年の大恐慌を予言した者も皆無に等しかった。当時、かすかにでも疑念を表明しようものなら、楽観的な金融関係者や投資家達の反論を浴びたものだ。だが、当時、信頼できるような口をきいていた金融関係者達も、今日の私達の目には、こっけいなほどに無責任としか映らない。市場は一触即発の状態にあり、また、コンピューター化され、中央に集中しているために、誰も、何かの新しい、予想外の異常な展開が、市場に衝撃を与え、それが大幅な下落につながっていくようなことはないと予告することはできないと、多くの人が述べている。」

  第三世界の負債は、最近、1兆ドルを越してしまいました。負債国の多くは、利子の支払いをするだけのために、その外国為替の50%を費やしています。国によっては、返済額が、第一次世界大戦後にドイツに対して課せられた、巨額の戦争損害賠償金の2倍に相当する額になっています。

  ラテン・アメリカの不況はすでに、1930年代の大不況よりも長引いており、緩和の見込みもありません。レバー卿が最近の研究において警告しているところによると、アメリカの銀行による第三世界への全貸付けの65%は、9つの銀行によるものであり、もしブラジル、メキシコ、あるいはアルゼンチンが、たった一年でもその9つの銀行に対する支払いを差し控えるなら、それらの銀行の財産の20%が一掃されてしまい、他の諸銀行の間にもパニックが引き起こされるということです! 「政治的な理由、あるいは経済的な理由による債務不履行を、あり得ないこととしてしまってはならない。」とレバー卿は言っています。

  だから、見てわかるように、アメリカは−−そして、その結果、世界も−−かなりの期間に渡り、借金をしながら何とか生き延びているのであり、年々、負債という深みに、どんどんはまり込んでいるのです。アメリカ政府はもうすでに、破産同然の状態にあります。外国人投資家は、アメリカ経済に対する投資を続け、ずっとドルを支えてきていますが、彼らがアメリカ経済に対する信用を失ったら、アメリカは今この瞬間にも、大恐慌を迎え、それは、世界の大部分を巻き込むことでしょう! 事実、多くの銀行家達が率直に指摘しているように、アメリカの経済運営と同じやり方で事業を営むなら、その事業はとっくの昔に閉鎖され、その経営者らは刑務所にほうり込まれていることでしょう!

  数年前、そうした状況を非常にわかりやすく表したたとえがありました。ドルを、実際にはそれが死亡しているのに、おびただしい数の医療器具を使う医者達によって人工的に生かされている患者にたとえているのです。医者達は、死んでいるという事実を患者の親戚から隠しています! 医者達は嘘をつき、こう言い続けます。「あなたがたの愛する人は回復するでしょう。何とか切り抜けるでしょう。ポンプや器具を使い、輸血を続ければ、回復することでしょう!」でも、回復することはないのです。もうすでに死亡しているからです! 同様に、ドルとアメリカ経済ももうすでに実際には死んでいるのですが、人々はそれにあまりにも多くの投資をしてきたために、そのことを認めようとする者がほとんどいないのです!

  ドルやその他の通貨がどれだけもろいかを理解するには、ドルが実際には紙切れに過ぎないことに気づくことが大切です。かつての1ドルは、アメリカ政府所有の一定量の金に等しい価値があり、望むならいつでも金と交換することができたのです。しかしずっと前に、アメリカ政府は、金との交換を保証するという約束をやめ、それでもなお、ドルには価値があると主張したのです。決して破産しない、強力なアメリカ政府およびアメリカ経済によって後ろ盾されているという理由で! つまり、人々がアメリカをどれだけ信用しているか、ただそれのみが、ドルの価値を決定するものなのです。いつ失われるかもわからないような、ドルに対する人々の信用が、ドルの価値を決めているのです!

  これも、アメリカの経済が安定している限りは、うまく行きました。でも現在、アメリカ経済は全くの千鳥足状態なので、アメリカ経済に対する人々の信用が揺らぎ始めています。だから、どんなことでも−−どんなパニック、噂、危機でも−−起こるなら、ドルの価値はまさに一夜にして失われてしまう可能性があるのです! 1923年に、これと同じことがドイツで起こりました。わずか数ケ月たらずの内に、マルクが無価値となったのです! また、ドルが無価値となったら、ドルに基盤を置いた、世界の他の経済もすべて破綻し、1929年の大恐慌など比べものにならないような経済的混乱が起こるでしょう!

  その上、強力な多国籍投資家達がいて、彼らは、ちょうど1929年にしたように、時を見計らって大恐慌をもたらそうと、世界経済を実際に舞台裏から巧みに操っているのです!−−そして、大恐慌の後には、自分達をトップに据えた新しい世界経済秩序を作り上げることでしょう! そうではありませんか? 結局のところ、彼らはもうすでに、世界銀行、IMF (国際通貨基金) などを通して、世界の大部分を所有し、諸国民を自分達の奴隷にしているのですから! ロスチャイルド家の最初の銀行家であったメイヤー・ロスチャイルドが、「一国の財布のヒモを私に握らせよ。そうすれば、その国の法律を作成する者が誰であろうと構わない!」と語った通りです。

  この新しい経済秩序は究極的には世界スーパーマンによって導かれるようになります。彼は、混乱の中から秩序を回復し、すべての者のために平和と豊かさを約束します!−−この彼こそ、聖書の中でずっと昔から予告されている、サタンに取り憑かれたアンチキリストです! 誰もが、何らかの方法で、数字の刻印を押されるようになり、それがないと、物を売ることも買うこともできなくなってしまいます! それは、聖書では獣の刻印となっています!(黙示録13章参照)けれども、彼の悪魔的な統治は、イエス・キリストが突然戻って来られることによって、急な終わりを告げるのです。イエス・キリストが、地上に御自身の御国を築かれるからです!

  というわけで、長い間にわたって迫りつつあった大恐慌は、今、私達の上に臨んでいるのです! 今やそれは、まさに時間の問題です!

  でも、前途のこういった暗い日々を生き延びるには、どうしたらいいのでしょうか? 最善の事の一つは、どこかに食物を栽培することのできる土地を確保しておくことです。工業製品は食べることができませんが、願わくば、土地を耕して生きていくことはできるでしょう。世界において、戦争中や経済が崩壊した際には、裕福な家族が宝石や家具などと交換に農夫から食糧を手に入れるという光景がよく見られましたが、そういった事が、また起こるようになるのです!

  諸政府、諸国家は、その隣接国と、より緊密な貿易関係を発展させるための方法を探る必要があります。さらには、金銭の必要性を最小限にするために、物々交換の協定をも結んでおく必要があります。そうすれば、アメリカが倒れても、私達の経済が完全に崩壊してしまうことはないでしょう。

  家族単位でも、もし可能なら、2−4週間分の基本的な食糧や水を個人的な用途のために蓄えておくようにするべきです。お金は、ドルでではなく、日本の円で蓄えておくことです。アメリカの経済が崩壊してしまっても、強く、勤勉で、倹約家で、賢明な日本は、ずっと健在であり続けるからです! ドルは、ほんの2年間で、円に対して40%も下落しました! あなたの持っているドルを手放しなさい! 金は、紙幣がなくなった後も、ずっと価値を保つでしょうが、金を食べるわけにはいきません。だから、できることなら、自分達の食糧を栽培することのできる小さな地所を手に入れることです!

  しかしながら、あなたにできる何よりも大切な備えとは、主と、主の御言葉である聖書とを知り、また信頼することです! イエスに対する真の信仰こそ、あなたやあなたの愛する者達が前途にある嵐の日々を切り抜けのに欠かせないものなのです! その信仰があるなら、たとえどんなことが起ころうとも、イエスがあなたの世話をして下さるということを知るでしょう。イエスは、「わたしは、世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」と言われたからです!−−マタイ28:20

  そして、このことを忘れないで下さい。世界史における最も暗い時期の後には、最も明るい夜明けがやって来るということを! 主の子供達を救出して、決して崩壊することのない、神ご自身の愛に満ちた御国を築くために、イエスご自身が戻って来られるからです! これがこの話のハッピーエンドです! だから、大恐慌に備えなさい。でも、何よりも、キリストを迎える準備をしてください!−−あなたは、その準備を済ませましたか?