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悪夢のアメリカン・ドリーム!

 

  時折、友人達は、私が「アメリカン・ドリーム」に対して批判的であると非難します。「アメリカが世界に良いことをしていて、民主主義と自由の砦になっているのがわからないのかい?」と言うのです。結局のところ、人は、誰かが反共産主義なら、当然その人は「完全な親米派」に違いないと考えるものです。しかし、本当にそうでしょうか? そうではありません。

  普通私は、アメリカから幾らか良いことが広まったことも認めるよと言って、相手を安心させることにしています。全部悪いとか、全部良いというようなものは存在しません。アメリカ人の宣教師や平和部隊 (発展途上国を援助する米国政府の民間人機関) のボランティア達などに会えば、より良い世界にしようと誠実に努力している、立派で犠牲的なアメリカ人達がアメリカ国内にも国外にも沢山いるということがわかります。しかし、悲しいことに、それには一つだけ問題があります。そのような人達は、アメリカ人の人口全体からすれば、ほんの少数にすぎないのです。

  かつてアメリカでは、神を畏れる善良なクリスチャン達が国を治めてきましたが、人々は徐々にその信仰と確信を妥協させ、神を神とも思わぬ勢力が、まんまと国を支配するのを許してしまったのです。それで、今日のアメリカは非キリスト教的で、邪悪で、幾つかの面では共産主義国より悪いと言ってもよいほどです! それでもなお、自分達こそ道徳の手本であるかのように振る舞い、自分達は正しいと信じて疑わず、自分達の要求に屈しない国はどこでも武力で抑えつけようとするのです。

  ここまで読んで驚いている人もいるかもしれませんので、アメリカの歴史をたどり、また、その外交方針や文化や社会を簡単に見ていくことにしましょう。

  アメリカは、建国以来、非常に暴力的な国家で、自分達の望むことを達成するためには、戦争さえもいといませんでした。カナダやオーストラリアが平和的に独立を勝ち取ったのに比べ、アメリカは武力によって英国に反抗しました。また、インディアンも大勢殺し、隣接国であるカナダとメキシコの両方を攻撃しました。また、激しい内戦もありました! さらにはスペインも攻撃し、ニューメキシコからカリフォルニア、そして、プエルトリコからフィリピンまでのスペイン領土を奪いました!

  原子爆弾さえ、不必要な武力行使の例です! 日本はすでに和平交渉を申し入れていたにもかかわらず、トルーマンとその閣僚達は、自分達には外交手段の「切り札」があることをソ連に見せるために、日本の二都市に原子爆弾を落としたのです! その結果、今日でも日本の人々は放射能汚染が原因で死んでいます!

  20年後に、アメリカは、東南アジアに武力介入し、7百万トンもの爆弾をベトナムとカンボジアとラオスに投下しました。(第2次世界大戦中に日本とドイツに投下された爆弾の3倍です!)アメリカはこれらの国のどれに対しても公式に宣戦布告したわけではなかったのに!

  どうして中東諸国の大半が現在アメリカを憎んでいるのか不思議に思っているなら、イスラエルはアメリカの援助なしにはパレスチナの領土を奪うことは決してできなかったということを思い出して下さい。また、1984年に、アメリカの戦艦ニュージャージーは、午後ずっと、1トンもある砲弾を3百発もレバノンに発射しました! そして、1発さく裂するごとに、地面に直径15メートル、深さ7メートルもの穴ができたそうです! ますます凄まじくなっています! アメリカにとっては、力こそ正義なのです!

  そしてレーガン大統領時代には、テロリズムを非難していた大統領は、リビアがテロリストを支援しているとして、リビアを爆撃さえしました。それから、血みどろの戦争を起こして中東や世界を恐怖に陥れていたイランに、武器を供給するという違法行為をひそかに行っていたのです! これを聞くと、アメリカの中東政策は一体どうなっているのだろうと考えてしまうことでしょう。

  そして、アメリカは次の戦争の準備をしているようです! 毎年、軍事費のために国民一人当たり 855ドルも費やしているのですから。また、アメリカは世界最大の武器輸出国で、1985年には42億ドル分の武器を輸出しています! 1945年以来、6万個の核兵器製造のために1兆9千億ドルも費やされました! 軍事産業がなければ、アメリカの経済は破局を迎えることでしょう! 核兵器を経済の基盤にしていながら、神を畏れる国だなどと言えるでしょうか?

  そして、世界中の様々な国々に特殊部隊を送り込んで、高度な拷問法を教えさせているような国が、「クリスチャン国家」と言えるでしょうか? 報道機関を使っての圧力や、金をちらつかせての外交政策や、秘密のCIA工作を通して他国の内政に干渉するだけでも十分悪いのです! アメリカはどんなことでもやりかねないでしょう!  アメリカ経済はすでに破産しています! 米国連邦政府の予算赤字は2千2百億ドルにのぼり、現在までの赤字の合計額は2兆ドルを上回っています!1986年度のアメリカの貿易赤字は1700億ドルで史上最大でした!

  アメリカは世界最大の債務国で、その負債額の合計は、他国がアメリカに対して抱えている負債額の合計よりも2千5百億ドルも多いのです! 個人的な借金もこの5年間で2倍に跳ね上がっています。そしてドルは、18カ月間でドイツマルクに対する価値が40%も下落しました。

  多くの人にとっては信じがたいことかもしれませんが、アメリカは、極度の貧困にあえぐ人達と極端な金持ちが隣合わせに存在する国であり、その差はこの10年間にますます広がっています。およそ3百万人のアメリカ人がホームレス(家のない人々)です! そして3千5百万人が貧困生活を送っており、この内の1千4百万人、つまり約40%が子供で、そのような生活を送る子供達は1970年以来50%も増加しています。しかし、これと同時に、貧困者のための政府の支出は減少しています。あなたはこれが正当なことだと思いますか? クリスチャンのすることと思えますか?

  アメリカの家庭のわずか2%が、アメリカ国内の資産の54%を占有しています。ショッキングでしょう? このように、富の大半がごく少数の人達の手に握られているという不公平な状態は、第三世界でしか見られないものと私達は思っていました!アメリカの50の大企業−−その多くが兵器製造会社ですが−−は、1980年から1984年までの間、合法的に税金逃れをし、580億ドルの利益をあげたにもかかわらず、24億ドルの税金払い戻しを受けているのです。

  世界の各地で人々が飢えに苦しんでいる一方で、アメリカ政府は、食糧価格を高く保つために過剰農産物を3100万トンも貯蔵しています。貧しい国々を見殺しにして、アメリカは「自分第一」の政策を行い、不公平な貿易協約や関税や輸入制限によって、貧しい国々がアメリカ市場で利益を得る機会を奪っているのです! これは、隣人を愛しなさいというキリストのおきてに従っていると言えるでしょうか? いいえ! 全く反対です!

  暴力犯罪は、アメリカの代名詞と言えるくらいです! ウォレン・バーガーは最高裁長官時代にこう述べています。「アメリカの諸都市では、市民が身の危険に脅えながら生活している! 我々は、自ら文化発展国と言っている国の中にいる捕虜ではないだろうか?」 公衆衛生局長官は、暴力こそ、アメリカ国民全般の健康問題のトップであると述べています。

  24分毎に一人、アメリカ人が殺されています!また10秒毎にどこかの家に泥棒が入り、7分毎に女性が強姦されています! 1980年、暴力犯罪によって、2百万人が死傷しました。アメリカ人は、交通事故の被害者になるよりも、暴力犯罪の被害者になる確率のほうが高いのです。そして、アメリカ人の実に133人に1人が殺されています! そして十代の青少年殺人犯は1950年の2.32倍です。1984年の刑務所収容者数も1972年の2倍になりました! アメリカ人社会の道徳が非常に乱れていることは明らかです。

  アメリカ人家庭の半分が自分達の身を守るために銃を所有しています。しかしそれはほとんど助けになっていないようです! 1980年に、アメリカ国内では、11,522人が拳銃によって射殺されました。日本ではたったの77人、英国では8人、オーストラリアでは4人です。

  教育。最高裁長官時代のウォレン・バーガーは、「我々は実際に、公立学校や高等学校で、道徳観や真実や個人的な責任や他の人々への尊敬を教えようと努力するのをやめてしまった」と言っています。教育省の報告によれば、アメリカの生徒の大半が、人が読んでわかるようなものを書くことができないそうです。2千万人のアメリカ人が文盲で、有権者の内7千万人が自分の国の憲法を読むことができないのです。大人の40%が道路地図を使えず、80%がバスの時刻表を読むことができません。高校中退者は、平均およそ26%です。かつては、アメリカ人の最も重要な遺産として大切にされていた、神を敬う教育は一体どうなってしまったのでしょうか?なくなってしまったのです!

  麻薬。以下は、ミシガン大学の報告です。「アメリカのティーンエージャーは、他のどの産業国家のティーンエージャーよりも多くの麻薬を使用している! そして、若者の80%が20代半ばまでに、麻薬を経験する。」

  ティーン達の間での麻薬乱用やアルコール中毒は、1960年の実に60倍です! そして、約2千4百万人がコカインを常用しています。コカインによる死亡者は過去4年間に4倍に増えました。毎日、5千人のアメリカ人がコカインを初めて体験するのです。これが新しい「アメリカン・ドリーム」なのでしょうか?

  テレビでの暴力シーンは、1980年から倍増し、ゴールデン・アワーでは、1時間につき14回も暴力シーンが出てきます。小学校5、6年生の平均的な児童なら、毎週28時間TVを見ており、16歳になるまでにTVを見る時間は合計2万時間で、その間に、暴力が20万回も出てきます。そして、その内の5万回が殺人のシーンなのです!

  8カ国のテレビ番組を抽出調査したところ、テレビに出てくる暴力の70%が、アメリカの番組でした! アメリカは、暴力的で憎悪に満ちた映画やTV番組を世界中に輸出しています! その邪悪さで世界を汚染しているのです! また、テレビの他に、アメリカの本や小説や雑誌や漫画も、暴力や憎しみやホモや呪術や悪霊崇拝をあからさまに宣伝しています!

  「ロックミュージックの究極は、死のカルトのようなものだ」とロックシンガーのスティングは言っています。多くのロックミュージックは、あからさまに、サタン崇拝やポルノや暴力について歌っています。そして、ロックビデオには、1時間に17回、暴力シーンが登場するのです。

  健康と家庭生活:ティーンの自殺は過去3年間だけで3倍にもなりました。1985年には、およそ6千人のティーンエージャーが自殺し、これは90分に一人の割合です。1984年以来、戦争玩具の売り上げは3倍半にもなり、これまでの最高を記録しています。

  エイズは、おもにホモや麻薬常用者の間で広がっていて、約8万人のアメリカ人がエイズにかかり、すでに半数が死亡しています! 聖書はソドムの罪、つまり現在ホモと呼ばれているものに強く反対しているのを知っていながら、どうして、「キリスト教国の人々」が自分達がホモであることを、悪びれもせず、あけっぴろげに認めることができるのでしょうか? 毎日マスコミで報道し、奨励さえしているのです! これは、彼らが神の言葉を拒否し、ソドムとゴモラの道をたどっている証拠です!この二つの都の民は火によって焼き滅ぼされました!

  全人口の20%が、慢性のうつ病にかかり、さらに3700万人が高血圧です。また20%が肥満症で、それを治すために4億ドルも薬代や治療費に使っています。これはまさに「アメリカの悪夢」です!

  また、アメリカ人はますます子供嫌いになっています。アメリカ人の両親は、世界のどの国の親よりも子供と共に過ごす時間が少ないのです! これが事実であることは立証されています! 父親が自分の幼児と過ごす時間の平均は、一日に37秒なのですから。これが愛と言えるでしょうか?

  1965年には、既婚女性の内、子供ができないように不妊手術を受けた人は7%でしたが、1982年には26%にまで増加しました。 1983年には、110万人の男女がそのような手術を受けました。

  1973年以来、アメリカでは、概算によれば1500万人の赤ん坊が、合法的な中絶によって殺害されました! 1978年には、すべての妊娠の内、30%が中絶に終わったのです! 1977年には、2組につき1組の夫婦が離婚し、1950年に比べると、離婚は実に3倍半にもなりました。神を畏れるクリスチャンがどうして、そのような子供の虐殺に目をつぶり、それでも「アメリカン・ドリーム」を信じることができるのでしょうか?

  宗教:連邦政府は、いかなる宗教をも援助したり、後ろだてすることはできません! 祈り、聖書を読むこと、信仰の指導、それにクリスマスキャロルを合唱することは、もはや公立学校では禁じられています! それなのに、神を認めぬ進化論は、事実として教えられなくてはいけないのです! 十戒を教室に貼ることは許されないことです。アメリカの学校では、神は違法であり、聖書は禁じられた本なのです! まるで共産国ソ連のようです!

  ジョージ・バルナは、その著書「生きているしるし」の中で、アメリカにおけるキリスト教を次のように描写しています。「多くのクリスチャンは信仰が容易であるよう望んでいる。彼らは、イエスに従うのに伴う苦難、神の意思を求めること、また、信仰に献身する時に払うよう求められる物質的犠牲などについて、耳を傾けようとも思わないし、ましてや、自らそれを体験するといったことには全く興味がない。アメリカ人のクリスチャンの大多数は、物質主義と享楽主義と世俗的な人間至上主義のワナに落ちてしまっている。

  放送や雑誌などを通じての宣教や福音伝道出版物に何百万ドルも費やしているにもかかわらず、過去5年間、クリスチャン人口は全く増加していない。」

  以上はアメリカがいかに退廃しているか、その実例をほんの幾つかあげたにすぎません! これらは、マルクスとレーニンが予告した通りのことが起こっていることをはっきり示しています。彼らは、資本主義に十分な時間を与えれば、内部から崩壊するので、その時には、共産主義が入って行って支配権を握るのも容易なことだと言ったのです!

  しかし、「ソ連はどうなんだ? ずっとひどいじゃないか! ソ連を批判したらどうか!」と反論する人達もいることでしょう。

  けれども、アメリカはソ連よりも悪いのです。なぜなら、アメリカはもともと、自分達のクリスチャンとしての信仰通りに生きるためにはすべてを投げうつこともいとわなかった人達によって建国された、純粋なキリスト教国だったからです。それほども真理の光と福音を受けながら、自ら神に背を向け、世界で最もキリストに反する邪悪な国となった国は、他にありません!

  ソ連は、そのような偉大なクリスチャンの遺産は受け継いでいませんし、神の目から見れば、ソ連はアメリカほど罪が重くないと私は思います! アメリカの政治家達はしばしばイエスについて話すものの、その振る舞いは悪魔のようです! これが世界に対する手本と言えるでしょうか? 神は、世界の誤解を正し、犯罪を犯した者は必ずその報いを受けるということを世界に示すために、アメリカを裁き、その罪のゆえにアメリカを罰されると私は信じています! ビリー・グラハムはこう言いました。「もし神がアメリカを罰されないなら、神はソドムとゴモラに謝らなくてはならなくなる!」

  実のところ、私は、黙示録の17章と18章に出てくる、終わりの時に滅ぼされる大いなるバビロン、大淫婦は、アメリカを象徴していると信じています! それは、退廃し、滅びつつあるアメリカの最後の凄まじい描写です! 読んで下さい! 全世界を汚した大いなる商業の淫婦が、正義の神によって裁かれるのです! それがアメリカの最後です!

  ですから、アメリカには良い点も幾つかあるにしろ、悪がそれをはるかに上回っているのです! 黙示録18:4,5の戒めを覚えていて下さい。「わたしの民よ、彼女から離れ去って、その罪にあずからないようにし、その災害に巻き込まれないようにせよ。彼女の罪は積もり積もって天に達しており、神はその不義の行いを覚えておられる!」−−悪夢の「アメリカン・ドリーム」です!