宝 P.530-532

 

 歴史上の大いなる戦い!

 

賛美の力!

(歴代志下20章)

 

  包囲された国を防衛するために行われた軍事行動の中でも、歴史上希にみるものをここに紹介します。歌手や音楽家の一団によって率いられた戦いなど、誰が聞いたことがあるでしょうか! しかし彼らは、歌い、演奏したのです。これは、起きたことそのままの記述です。

  ユダの王ヨシャパテのところに、アンモン、モアブ、セイルの三国からなる「大軍」が急接近しているとの緊急報告が入りました。その三国は、ヨシャパテを攻めるために団結して攻撃に出たのです。その知らせに驚きあわてたヨシャパテは、主に助けを求めようと決意しました。

  敵の強力な軍隊に比べて自軍が弱いことを知っていた王は、ユダ全国に祈りと断食の時を持つよう布告しました。すぐに、各地から人々が続々と都に集まり、主からの助けを求めました。

  その時、ヨシャパテは全会衆の中に立って、心から力強くこう祈りました。「我々の先祖の神、主よ、あなたは天にいます神ではありませんか? 国々、諸国民を治められ、あなたの手には力があり、勢いがあって、あなたに逆いうる者はありません。」 王の、心を奮い立たせるような祈りが人々の間にこだまするにつれ、彼らは力づけられていきました。

  王は祈りを続けました。「災いが臨む時、その危難が何であれ、我々があなたの前に立ち、その悩みの中であなたに呼ばわるなら、あなたは聞いて、救って下さることを知っています!

  神よ、あなたが我々に賜った領地から我々を追い払おうとしている者たちを、あなたは裁かれないのですか? 我々はこのように攻めて来る大軍に当たる力がなく、またいかになすべきかを知りませんが、我々はあなたを仰ぎ望みます!」

  その時、突然に、ヤハジエルという若き祭司が全会衆に向かって大声で叫びました。「主はあなたがたにこう仰せられる。『この大軍のために恐れてはならない。おののいてはならない。これはあなたがたの戦いではなく、神の戦いだからである。』」

  神が自分達の叫びを聞かれ、まさにその祈りに答えるために来られたとわかり、群衆は皆、ほっと胸をなでおろしました。ヤハジエルが告げる神からのメッセージはこう続きました。「この戦いには、あなたがたは戦うに及ばない。あなたがたは進み出て立ち、あなたがたのための主の救いを見なさい。恐れてはならない。おののいてはならない。明日、彼らを攻めて行きなさい。主はあなたがたと共におられるからである。」

  メッセージが終わるなり、王ヨシャパテは地にひれ伏し、ユダおよびエルサレムの民もすべて主の前に伏して、主を拝しました。また祭司達は、声をあげて主を賛美しました。

  次の朝、部隊が戦いに備えていると、王ヨシャパテは励ましに満ちた口調で、「あなたがたの神、主を信じなさい。そうすれば、あなたがたは堅く立つことができる。主の預言者に信仰を持ちなさい。そうすれば、あなたがたは成功するでしょう。」と民に語りかけました。

  そして王が民と相談すると、次のようなアイデアが浮かんできました。歌う者達を任命して軍の先頭に立たせ、戦いへと導かせようというのです。何と大胆な信仰の一歩でしょうか。神が自分達のかわりに戦って下さると、彼らが信じていた事がわかります。そしてヨシャパテは彼らに、「主の聖なることの美しさの故に主を賛美」するように、また隊列の先頭に就いたら、「主に感謝せよ。その憐れみはとこしえに絶えることがない」と歌うようにと指示したのです。彼らは神が約束して下さった勝利を、 それが実現する前から神に感謝していたのでした!

  そして、彼らが歌い賛美し始めた途端に、「主は伏兵を設け、かのユダに攻めてきたアンモン、モアブ、セイルの人々に向かわせられたので、彼らは打ち敗られた」と、聖書は語っています。

  さて、聖書は、その「伏兵」が何であったのかは明確にしていませんが、その三つの侵略国が大混乱の内に同士打ちを始めたと語っています。初めに、「アンモンとモアブの人々が立ち上がって、セイル山の民に敵し、彼らを滅ぼし、それが終わると、両軍共々互いに滅ぼしあった」のです! 敵軍の民はことごとく殺されてしまったのでした。

  ユダの民が戦場を見渡せる物見やぐらに行くと、「彼らが見たのは、地に倒れた死体だけであって、一人も逃れた者はなかった」のでした。

  ヨシャパテとその民は大いなる財宝や多数の宝石を集めましたが、実におびただしい量だったので、全部集めるのに三日もかかったほどでした。そして、「四日目に彼らはベラカ(賛美という意味)の谷に集まり、その所で主を賛美した。

  そしてもろもろの国の民は、主がイスラエルの敵と戦われたことを聞いて神を恐れた。こうして神が四方に安息を賜ったので、ヨシャパテの国は穏やかであった。」

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  信仰と祈りと賛美についての何と素晴らしい教訓でしょうか! 圧倒的に優勢な敵を相手にしての途方もない戦いに直面した時、ヨシャパテは必死に祈り、自分の弱さや無能さを告白して、主にすがりました。そして、勝利を賜って下さるとの神の約束を受け取った後は、歌手や音楽家らに、軍勢を導かせ、主への賛美を叫び歌わせる事によって、自分の信仰を行動に移したのでした。すると神御自身が、彼らを敵から奇跡的に救い出して下さったのです!

  現代の私達にもなお同じことが言えます。大きすぎて自分では対処できないような戦いや試練に直面した時に、完全に主にすがり、心から主を呼び求め、主の御言葉の約束を信じるなら、その後は攻勢に転じて、主をほめたたえ、信仰によって主に勝利を感謝することができるのです!

  賛美は、信仰の声です! 自分の祈りを主が聞いて下さったと本当に信じるなら、祈りの答えをまだ見ていなくても、主が答えて下さることに感謝して主をほめたたえ始めることでしょう!

  だから、悪魔があなたを意気消沈させ、落胆させ、あなたの窮状についてイライラさせたり、思い悩ませたり、不平を言わせたりしようとするなら、ただじっとしていないで、戦いなさい! 積極的な賛美には力があることを思い出し、上を見上げ、自分の祝福を数え、神に感謝し、ほめたたえ始めなさい!

  悪魔は、賛美には耐えられず、事実、それを忌み嫌っています! だから、本当に悪魔を打ち負かしたいのなら、事態がどうであれ主をほめたたえることです!「神に身を委ね、悪魔に立ち向かいなさい。そうすれば、彼はあなたがたから逃げ去るであろう!」(ヤコブ4章7節) 戦いや試練に直面したなら、歌い、聖句を口にし、神をほめたたえて、攻撃に転じなさい。そうすれば、イエスが勝利を与えて下さるでしょう! いつも賛美するのです。アァメン?