終わりの時のしるし

 

 

  遠い昔から、宗教の書や予言者は未来を予告してきましたが、中でも最も際立っているのは、はるか二千年前に、イエス・キリストがエルサレムの丘の上で語った予言です。真理を求める者たちの小さな一団が、イエスのもとに集まり、次のような質問をしたことをきっかけとして、イエスははるかかなたの未来について予告しました。その未来とは、まさに今、私たちが生きている現代のことです。

 

 

オリブ山で[イエスが]すわっておられると、

弟子たちが、ひそかにみもとにきて言った、

「どうぞお話しください。いつ、そんなことが起こるのでしょうか。

あなたがまたおいでになる時や、世の終わりには、

どんな前兆がありますか。」(マタイ24章3節)

 

  イエスはそれに答えて、気をつけておくべき明確なしるしを数多くあげました。(ここでイエスが言う「世の終わり」とは、地球の滅亡のことではなく、人間による冷酷な支配の終わりのことです。)イエスが語られたしるしの多くは昔から見られましたが、近年、その激しさや頻度は、驚くほど急増しています。

 

 

また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。

注意していなさい、あわててはいけない。

それは起こらねばならないが、まだ終わりではない。

(マタイ24章6節)

 

  歴史上、20世紀ほど、戦争の規模が拡大した時代はないでしょう。国際赤十字社は、20世紀に入ってから戦争によって失われた人命は一億を越えると発表しています。

 

  第二次世界大戦以来、本格的な戦争の数は150を越え、さらに武装反乱や革命の数となると数百に及びます。また、第二次世界大戦以降の武力衝突による死者の数は2300万を越えています。《1》 ワシントンポスト紙はこう報じています。「20世紀の戦争は、兵士も一般市民もみさかいなく標的にする『全面戦争』である。これと比べれば、過去の野蛮な戦争は路上のケンカのようなものだ。」《2》

 

 

またあちこちに、ききんが起こる。(マタイ24章7節)

 

  世界銀行による1996年9月の報告では、毎日8億人以上が飢えに苦しみ、5億人以上の子供が、精神的かつ身体的に十分発育するに足るだけの食物を得ていないということです。「飢えに起因する死亡者は、毎日およそ4万人にのぼり、その大半は農村地域の人たちだ」と、世銀の副総裁、イスマイル・セラゲルディンは語っています。《3》

 

 

疫病がはびこり(マタイ24章7節−欽定訳)

 

  医学界が、数多くのバクテリアやウイルスに対する勝利宣言をしてから、まだ20年もたっていません。けれども、現在、伝染病は急激に増加しています。現在の抗生物質では撃退できない様々な薬剤耐性菌の出現は、公衆衛生上、エイズ以上の脅威になり得るし、また近年、撲滅されていたはずの病気でも、治療法が見いだせないケースが出てきており、医学者たちは、これが「医学的に手の施しようのない状態を引き起こす」と予測していると、AP通信は報道しています。《4》

 

  UNAIDS(国連エイズ合同計画)が1996年12月に発表した年末報告によれば、同年、世界中での新たなHIV感染者数は310万で、エイズによる死亡数は150万にものぼり、これによってエイズによる死亡総数が640万となりました。これを書いている時点で、HIV感染者数は2400万人です。つまり、1981年に初めてエイズが確認されて以来、感染者数が3千万を越したことになります。世界保健機関(WHO)は、世界中で毎日6千人以上がHIVに新たに感染しており、状況はさらに悪化していると発表しています。《5》

 

 

またあちこちに…地震があるであろう。(マタイ24章7節)

 

  ユニバーサル年鑑によれば、西暦1000年から1800年には、強度の大地震は21回しか発生していませんが、1800年から1900年には18回、さらに、1900年から1950年には、33回も発生しています。これは、その前の850年間に起こった回数とほぼ同数です!《6》

 

  1950年から1991年の間には、大地震が93回起きました。これは、その前の50年間に起こった数のほぼ3倍で、世界中で130万の人命が失われました。多数の科学者が、地球が大規模な地殻変動期に突入していると警告しています。

 

 

暴虐が地に満ちた。(創世記6章11節)

 

  イエスは、再臨される前の世界の特徴として、残忍な暴力行為が氾らんすることも挙げられました。「人の子(イエス・キリスト)の現れるのも、ちょうどノアの時のようであろう。」(マタイ24章37節)

 

  聖書によると、ノアの時代には、人の悪が地にはびこり、暴虐が地に満ちていました。(創世記6章5、11節) 近頃では、新聞を開けば、常識では考えられないような暴力によるむごたらしい事件が、毎日、見出しを飾っています。現在、アメリカでの殺人事件の被害者と自殺者数の年間総数は、ベトナム戦争でのアメリカ兵戦死者総数とほぼ同じです。過去30年だけを見ても、自殺または殺人による死亡数は120万を越えており、これは、アメリカの建国以降に起こったすべての戦争による犠牲者の総数を上回っています。

 

 

そしてこの御国の福音は、すべての民に対して

あかしをするために、全世界に宣べ伝えられるであろう。

そしてそれから最後が来るのである。(マタイ24章14節)

 

  戦争、ききん、疫病、地震などの激増は、「産みの苦しみの初め」に過ぎず(マタイ24章8節)、実際の終末が世に訪れているという決定的なしるしとは、全世界に福音が宣べ伝えられることであると、イエスは言われました。

 

  現代ほどに世界中のすべての国民に福音が伝えられたことは、いまだかつてありませんでした。宣教師が行かなくても、ラジオ、テレビ、インターネットといった近代の通信手段によって福音が伝えられているのです。「キリスト教世界年鑑」《7》によると、福音は現在、40億を越す人々に伝えられており、事実上すべての国で伝えられたことになります。「それから最後が来る」のです!

 

 

多くの者はあちこち走りめぐり…(ダニエル12章4節−欽定訳)

 

  紀元前534年頃、神は預言者ダニエルに、終わりの時には大勢があちこち走りめぐり、知識が増すだろうと告げられました。(ダニエル12章4節)この「あちこち走りめぐる」という部分をリビングバイブルは、「旅行…が広く普及する」と訳しています。

 

  交通手段は、何千年もの間、さほど変化がなかったことを考えると、この預言の意味深さがわかることでしょう。現代の私たちは、驚くべきスピードで車を運転し、遠距離を移動できるだけでなく、飛行機なら24時間足らずで世界を一周し、人工衛星なら80分で地球を一周することができます!

 

  また、今日の旅行者の数は前代未聞です。経済学者は、観光及び旅行産業は、世界で最大かつ最も活気に満ちた産業であると語っています。《8》

 

 

知識が増すでしょう。(ダニエル12章4節)

 

  近年、知識の増加のしかたは、想像を絶するものです! 今の時代を言い表す言葉として、「情報過多」という新語までできました。

 

  インターネット上では、毎日3億ページ以上に相当する文書が送られています。また、この世に存在したすべての科学者の内80%が今なお健在であり、その結果、人類の科学知識は毎分2千ページ分も増加しています。そして医学知識の約半分は、10年で「時代遅れ」となってしまうのです。

 

  コンピューター技術は、現在の知識の爆発的増加を物語っています。コンピューターの基礎となったトランジスターは、1948年にベル研究所で発明されました。それが、西暦2000年までには、一つのプロセッサーチップに10億個以上が集積できるようになるでしょう。

 

 

反キリスト (アンチキリスト)が来る。(第一ヨハネ2章18節)

 

  終末の最終的なしるしの一つは、聖書の中ではアンチキリスト(反キリスト)あるいは「獣」と呼ばれている邪悪な独裁者の率いる世界統一政府が台頭することです。これは聖書の様々な箇所に記されており、黙示録には、全世界が、サタンの化身であるこの残忍な世界指導者を崇拝するだろうと書いてあります。

 

  聖書には、きわめて巧妙な7年間の和平協定について書いてありますが、それが決定的な要因となって、アンチキリストは世界の指導者としてのしあがることになります。この協定により、イスラエルとアラブ近隣諸国との間で妥協が成立し、中東危機は一時的に解決されます。その最大の焦点となる場所が、昔、ユダヤ人が神殿を建て、今ではイスラム教の「『岩のドーム』寺院」が建つ、エルサレムのモリア山です。

 

  しかしこの協定は、締結されて3年半後に、アンチキリストによって破棄されます。アンチキリストは、エルサレムを世界の首府に制定し、すべての宗教を禁止して、自分自身と、自分をかたどって造られた驚異的な像の崇拝を強要します。この像は何らかの方法で話すことができ、その像を拝もうとしない者を殺す力さえ有するとあります。(黙示録13章14-15節を参照) イエスは、この時期は、歴史上、前例のない大患難期となると語っています。(マタイ24章15、21節)

 

 

獣の刻印:

すべての人々に、その右の手あるいは額に刻印を押させ、

この刻印のない者はみな、物を買うことも売ることも

できないようにした。この刻印は、その獣の名、または、

その名の数字のことである。その数字は六百六十六である。

(黙示録13章15-18節)

 

  二千年前に、貧しい漁師であった使徒ヨハネは、グローバルエコノミー・システムが確立され、世界中の人々が強制的に番号をつけられ、それなしでは売買ができなくなることを予言していたのです。それには、コンピューター技術と銀行業務の電子化が不可欠なので、つい最近になってやっと、この予言が実現する下地が整ったわけです。

 

 

イエスの再臨:

その時に起こる患難の後、力と大いなる栄光とをもって、

人の子(イエス・キリスト)が天の雲に乗って来るのを

人々は見るであろう。また、彼は四方からその選民を

呼び集めるであろう。(マタイ24章29-31節)

 

  イエス・キリストが地上に戻られると、またたく間に、暗い世界が輝く夜明けを迎えます。イエスを心に受け入れた人は皆、超自然的な新しい体に変わり、クリスチャンを迫害する者たちから救い出されて、「小羊の婚宴」という、天国での豪華絢爛(けんらん)たる史上最高の勝利の祝賀会の場へと、瞬時に移送されるのです。(黙示録14章14-15節、19章6-9節)

 

  その時、地上では激しい神の裁きがアンチキリストとその邪悪な手下たちに降り注がれます。その裁きは、イエスが地上に戻られ、世界帝国を完全なる敗北と破滅に追いやる時に頂点に達します。これが、ハルマゲドンの戦いです。

 

  こうして、地上における人間の冷酷な統治に終止符が打たれ、イエスと、イエスに従い、超自然的な力を持つ者たちが、愛をもって世界を治めるようになるのです。これが、平和と豊かさに包まれた地上の楽園の千年間の始まりで、聖書の中では至福千年と呼ばれています。 (黙示録19章11-21節、20章1-4節を参照)

 

  あなたはこれらのショッキングな出来事に対して心の備えができていますか? まだなら、イエスをあなたの人生に迎え入れて下さい。イエスはあなたを愛しています。そして、これからどんな危険にあっても、あなたのそばにいて守って下さるでしょう。まだイエスを知らないなら、この祈りを祈れば、イエスが心の中に入ってくださり、永遠の命を受け取ることができます。

 

  「イエス様、私の心に入り、私のすべてのあやまちをゆるして下さい。永遠の命を下さい。そして、イエス様のことを愛し、他の人たちも愛することができますように。アーメン。」

 

 

1》 AP通信(1993年11月10日配信)

2》 「Awake」(1996年4月22日号)に掲載された「The Futility of War」というワシントン・ポスト紙からの抜粋記事。

3》 「800 Million People Go Hungry」、UPI通信、ワシントン(1996年9月23日配信)

4》 AP通信(1995年3月26日配信)

5》 UNAIDS及びWHOのホームページ(1997年11月)、及びUPI通信の「UN: 6,000 People Infected Daily by HIV」(1995年11月30日配信)からの統計

6》 「The Universal Almanac」、ミズーリ州カンザスのAndrews and McMeelによる発行(1993年)

7》 「The Almanac of the Christian World」、イリノイ州ウィートンのTyndale House Publishersによる発行(1990年)

8》 「Tourism to Grow Steadily over the Next Decade」、ロイター通信(1995年3月13日配信)

 

 

 

Original English text by Michael Roy

(c) 1998 Aurora Productions, Inc.