Marvellous Marriage 

幸せな結婚 (仮題)からの抜粋

 

幸せな結婚生活の秘訣! P341-P343

−ダイアン・ヘールズ著              

 

  調査により、最も神秘的な恋愛、すなわち結婚への鍵となる幾つかの要素が明らかになりました。

  夫婦が共に暮らす幾年をも通じて甘美な調べを絶えず奏でさせるものは何なのでしょうか? セックスではありません。専門家や、専門家が調査の対象とした既婚者達によれば、セックスは大事だけれども一番重要なものではありません。何十年にも渡る調査の結果、性交の頻度と結婚生活への満足度の間には何ら相互関係は見当たりませんでした。長年結婚生活を営んできた夫婦350組を対象とした最近の調査によると、良いセックスが二人の間をつなぎとめてきたと考えたのは、10%以下でした。

  ロマンチックな愛もまた答ではありません。デンバー大学のホワード・マークマン教授は、「確かに良き結婚の始まりには、まずロマンチックな愛を要するが、結婚を順調に続けて行くにはそれだけでは十分ではない。」と言っています。調査によると、結婚前に二人の男女がお互いにどれだけ愛し合い、またどれだけ幸せであるかよりももっと大切なことがあります。それは、どれだけ二人が良い会話をし、心を分かち合い、それによって問題を解決していくかです。つまり、感情自体は、その感情をどう扱うかほど重要ではないということです。このような新しい発見をもってしても、結婚生活をより充実させ、燃え立たせる秘法は解明できませんでしたが、調査により、幸せな夫婦に共通している特徴を見つけることができました。以下が、最も重要な10項目です。

 

  1.二人は親友である。

  良き結婚が困難を耐えぬくことができるのは、非常に単純な理由からです。それは、お互いに楽しみを分かち合っているからです。ちょうど彼らが厳格な会員制クラブのたった二人のメンバーであるかのように、二人は秘密や、仕事や、遊びを分かち合い、共に親しくつき合うのです。そして、そうそう、二人はよく笑います。

  ジャネットとロバート・ローアーが結婚生活のベテラン夫婦300組以上に、二人をそんなに長くつなぎとめているものは何かと尋ねると、夫と妻が挙げたリストで第一位にあがったのは、「私の伴侶は私にとって親友なのです。」や、「私は自分の伴侶を、人間として好きなのです。」というものでした。

  ジャネット・ローアーはこう言います。「世界中の誰でもいいから、一緒に過ごしたい人を自由に選んでいいと言われれば、これらの人々は自分の伴侶を選ぶのです。彼らは一緒にいる時間を宝のように思っています。」 一人の女性は、「たとえ夫と結婚していなかったとしても」彼と友達になりたいと言いました。

 

  2.相手の言うことをよく聞き、お互いに心を打ち明ける。

  コミュニケーションや触れ合いについては、AT&T(アメリカ電報電話会社)も幸せな夫婦に比べれば足元にも及びません。二人は絶えず、会社の上司のことから赤ちゃん、天気、世界情勢に至るまで、すべてについてコミュニケーションし、話し合い、討論します。二人の日常会話はたいてい単純な短いものですが、時には、心の内にあるお互いの感情や恐れを明かすことによって傷つくかもしれないという危険をあえて冒してまでも、真剣でつっこんだ会話をすることもあります。

  このようなコミュニケーションは二人の関係において非常に重要なものであり、心理学者であるマークマン博士は、26組の夫婦を5年半以上に渡って観察した結果、どれだけ互いの言うことに耳を傾けるか、心を分かち合うかという夫婦のコミュニケーションの質は、その夫婦の幸福度を知る最も良い目安であるということを発見しました。

  時には、自分が必要としているものを得る−−またはパートナーが何を必要としているかを知る−−唯一の方法は、尋ねることなのです。

 

  3.お互いの感情に敏感である。

  よくある妻の嘆きとは、夫が心を開いてくれないということです。しかしながら、マークマン博士によると、良き結婚生活を送っている夫は自分の気持ちを表に出しているということが調査結果からわかったそうです。

  お互いの感情にいつも敏感であり、相手側の立場を理解できる夫婦は、必然的に、より心を通じ合わせることができ、幸せです。

 

  4.悪感情に取り組むことができる。

  結婚している誰もが、鋭く心を貫く嫉妬や、じわじわと心を焦がす恨みを経験します。とはいえ、幸せな夫婦は、自分で感情をコントロールできなくなって、ついに爆発してしまう前にそれを和らげる方法を幾つか発見しています。おもしろいことに、幸せな妻も、そうでない妻も、どちらも争いを止める方法を夫よりも良く知っています。ただし、自分から停戦の呼びかけをするのは、良き結婚生活を送っている妻のほうのようです。

 

  5.衝突の対処法を知っている。

  新婚であろうと熟練したベテラン夫婦であろうと、融通がこうと、けんか好きであろうと、または満ち足りていようとそうでなかろうと、結婚している夫婦は誰でも議論するものです。しかし、幸せな結婚生活を送っている人々は、衝突してもその扱いが実に巧みであり、心理学者であるロバート・ローアー博士が述べているように、そういった夫婦は「試行錯誤により学んだにせよ、熟練した専門家のような話しかたをする」そうです。

  彼らが学んだ大切な教訓とは、公平に戦うということです。ある問題に焦点を当て、現在の問題のみを話題に出し、過去の不平を持ち出すのを避け、相手を非難するのではなく、相手の行動を非難するのです。そして、誤解を取り除こうとして議論する時には、冷静にじっくり話し合い、意見の相異を何とか解決するのです。

  不幸せな結婚生活を送っている夫婦は、問題をお互いのせいにし合います。そして、争いに勝つためには手段を選ばず、相手の過去の過ちや、古傷をさらけ出すようなこともします。一方、幸せな結婚を送っている人達は、少なくとも自分にも部分的に責任があることを認めるようです。

 

  6.情け容赦のない正直さは用いない。

  親密で、愛のこもった関係を持った夫婦は、外交術の基本的なルールに従っています。つまり、話す前に考えるのです。自分の気持ちをはっきりと率直に伝えながらも、彼らは、「実を言うとこれが私の正直な気持ちなの」と言って、そのまま思ったことを一気に出してしまうことが、最も相手を傷つけると知っているのです。

  社会歴史学者であるジャネット・ローアーはこう言っています。「そういった夫婦も正直になるのが良いと思っていますが、ただ、他人の気持ちなどお構いなくあけすけに言うのは好ましくないと考えています。」 議論の真っ最中でも、幸せな結婚を送っている夫婦は、相手に心の傷を残さぬよう、自分の意見を「編集」します。おもしろいことに、結婚生活がくたびれてくると、夫婦は意地の悪い考えを言わずにおこうという気持ちが薄れるか、または言わずにいることができなくなるようです。

 

  7.お互いに信頼し合っている。

  最近、「結婚している人々」という本を書くために、100組以上のベテラン夫婦にインタビューしたフランシーヌ・クラグスブルンは、それらの夫婦は愛よりも信頼について多くを語ったと記しています。彼女は以下のように観察しています。「彼らにとって愛はもう当たり前のこととなっているのです。しかし、信頼はすべてを物語っています。つまり、信頼しているということは、相手に対して心を開いても、傷つけられることがないということなのです。良き結婚生活では、信頼がとても深いので、夫婦はお互いに自分の最も弱い面をさらけ出すことができ、それでも相手は自分を愛してくれると知っています。」

 

  8.結婚生活を成功させようと決意している。

  長年夫婦生活を続けている人達の中にも、最も状況が厳しい時期には離婚を考えたことがある人がたくさんいます。しかし、結局は一緒にやっていくことを決意したのです。これらの、生涯の伴侶でいる義務を感じている夫婦は−−とはいえ、時には少々ひびが入ったり、イライラが生じることもありますが−−結婚生活を成功させるために時間やエネルギーや努力を注ぐのは価値があると感じています。ジャネット・ローアーはこう言っています。「こういう人達は諦めやすいタチではありません。事実、私達が調査した多くの年輩の夫婦は、あまりにも早く諦めてお母さんのところに逃げて行く若い人達に対して非常に批判的です。彼らは別れることが簡単な逃げ道だと思っているのです。」

 

  9.共通したことに興味を持つ。

  共に音楽を愛好したり、山登りに熱中したりすることは、二人の人間を結び合わせることがあります。事実、イェール大学の心理学専門家ロバート・ステンバーグ博士は、共通したことに興味を持つことは、愛ある関係を築く鍵となる要素ですが、共通の興味が、必ずしもそれでできたきずなを強く保つわけではないことを見いだしています。

  心理学者であるレビンカー博士はこう言っています。「夫婦として共に行動したり、友情を育むことは、以前には一人で楽しんでいた時よりも、ずっと大事な意味を持つものです。私達は、結婚生活を成功させるのには努力が必要だということを常に耳にしますが、楽しむこともまた重要なのです。夫婦が全く同じ好き嫌いを持った完全な似た者同士とならなくてはいけないということはありませんが、二人で一緒に楽しめるものがあるべきで、それによって夫婦は共にいる喜びを見いだすことができます。」

 

  10.変化に対して順応性があり、変化に抵抗しない。

  夫婦がいつまでも全く同じでいるのは、結婚式の記念写真の中だけです。結婚式が終わった瞬間から、夫婦は変わり始めます。幸せな夫婦も幸せでない夫婦と同じぐらい多くの動揺や、気分、試練、過渡期、後退、成功を経験します。しかし、彼らはうまく順応するので、「変化やチャレンジにもかかわらず」ではなく、「変化のゆえに」その結婚生活は長続きし、改善されてゆくのです。

  ジャネット・ローアーはこう言っています。「多くの男女が、自分の伴侶は結婚当時と同じではないと述べています。そして、以前よりももっと伴侶を好きになったそうです。」 結婚して30年のある男性は、自分は実際、数人の女性と結婚したような気持ちだと言いました。彼は、妻が学校に戻り、自分のキャリアを築いた時の彼女の変貌をこのように書きました。「私は彼女が成長するのを見守り、また彼女の旅路の痛みと興奮の両方を分かち合った。私にとって、今の彼女は結婚当初よりももっと魅力的である。」

 

  どんな旅をするにせよ、結婚している人々は皆、お互いとの関係を楽しみたいと願っています。夫婦関係の調査は、それが可能だという嬉しい知らせを伝えています。マークマン博士はこう言っています。「一般的に、夫婦は幸せな結婚生活を送る方法を学ぶものだ。そして、ほとんど誰もが、夫婦関係を向上させるのに必要なわざを身につけるものだ。」 それをどうやって始めるのでしょうか? 専門家に尋ねた所、彼らは幾つかの基本的なアドバイスをしてくれました。

  −−自分の伴侶の欠点や短所にではなく、一番好きな所に注目する。また、相手があなたに一番感心している特徴は何かを知り、それを伸ばす努力をする。

  −−夫婦関係向上のために自分の伴侶がしていることや、していないことを考える代わりに、関係を向上させるためには自分に何ができるか常に考えるよう努力する。

  −−自分のコミュニケーション術を点検する。あなたは自分の伴侶が重要だと思っている物事に耳を傾けていますか、それとも無視していますか? あなたにとって一番大切な事をあなたの伴侶がちゃんと知っているようにしていますか?

  −−問題が生じてきたぞという兆候に早めに気付くよう努力する。夫婦の間での誤解に対する最善の予防策は、早めに攻撃に出ることだという場合がよくあります。ささいな事が口論にまで発展する前に、自分の気持ちを相手に知らせることです。

  −−喧嘩になったら、ルールに従うこと。自分の言い分を述べ、相手の見方にも耳を傾け、交渉に応じること。あまりにも白熱してきたと思ったら、一旦やめて頭を冷やす。

  −−結婚が暗礁に乗り上げそうになっても、早々とあきらめてはいけません。何もかも失敗に終わっても、また二人が近くなれるよう時間が解決してくれるのを期待するのです!