Marvellous Marriage

 幸せな結婚 (仮題)からの抜粋

トータル・ウーマン! P1−17   

 

トータル・ウーマン!

 

マラベル・モーガン著                  

 

   女、小悪魔と呼ばれるが実は天使

     女、矛盾だらけで理解できない

   ゴキブリや鼠を死ぬほど怖がるのに

     でかい男を手なずける

   献身的、それでいてミステリアス、

     鋭い、それでいて盲目

   男を引き上げる事もできれば、

     引き下げる事もできる

   男をプリンスにしたてあげたかと思うと、

     道化師役をさせたりする

   彼女はこんな人と思っていれば、

     実はそうじゃない

   子猫のようにかわいいが、

     本当は猫のように賢い

 

 

ねえ! 私を忘れたの!?

  私はチャーリーとの結婚が、当然世界一素晴らしいものになるだろうと期待していました。確かに始まりはそうでした。私達には、素晴らしい心のつながりがあったのですが、数か月たつうちに、私達は変わってきました。

  あなたは今まで混雑したレストランでご主人と向かい合って、こんな事を考えたことがおありでしょうか。「毎日顔をつきあわせてて、何から何まで知っているはずのこの人に、一体何を話したらいいのかしら?」 そういう思いが私を困惑させました。ある夜、夕食の席で、まわりの人はみんな夢中で話をしているのに、私の頭には、愛する男性に話しかける知的な言葉の一つたりとも浮かばない、などということもありました。

  毎晩、仕事を終えて玄関から入ってくるとき、チャーリーのまわりには憂うつと緊張の雲が漂っていました。その雲は、殆ど手でさわれるほどでした。彼の帰宅は私の一日で一番大事なときのはずでした。私は彼を愛し、いたわるために、一日中待っていたのです。なのにこの緊張の雲は家のいたる所に立ち込めているのでした。私達はお互い同士が理解できなくなっていました。二人のあいだに壁が立ちはだかってしまったのです。

  娘のローラが生まれた時、私はすべてを彼女に注ぎました。それでもまだ、切れてしまったチャーリーとの心のつながりのことが諦めきれませんでしたし、そのうち、あのロマンティックな時が、いつの間にか過去のことになりかけていることにも気付きました。時にはそんな瞬間もあることがありましたが、それも数えるほどで、私はかつてのロマンティックな雰囲気をなつかしく思いました。

  私の読んだあらゆる結婚に関する記事は、結婚生活の間にはどのような変化が生じるかを説いていました。愛情は、求婚期間は性的衝動のピークにあり、その後次第に穏やかな、安定したものへと変化する。くる晩もくる晩も、ソファーに寝そべってテレビを見ている夫を見ながら、私は考えました。「それだわ。私達は安定した愛情の段階まできたんだわ」 ですが私はそれがいやでなりませんでした。

 

いらいらとぶつぶつ

  ローラは4歳になると聖書学校に通いはじめ、毎日のように調子のよい歌を歌いながら帰ってくるようになりました。「私は、ほんとに、すっかり、まったくしあわせ一日中‥‥」 ある夜、少なくとも9回はこの歌を聞かされた後で、チャーリーが奇妙な目つきで私を眺め、くすくす笑いだしました。「ほら君の歌ができたよ。君は、ほんとに、すっかり、まったく、いらいら、一日中、っていうのさ!」

  彼は大笑いしていましたが、私はすっかり打ちのめされてしまいました。「チャーリーは何をふざけているのかしら。それとも本当に私は一日中いらいらしているのかしら?」 時々かんしゃくを起こすことはあっても、自分は冷静で物静かな女だと考えたかったのです。愛情ある妻であり、母であり、難局にうまく対処して、決して大声などあげない女性、そんなふうに自分を考えていたのです。もちろん、実際はそうではなかったのですが、それでも夫の遠回しの批判は、私には全く思いがけないものでした。

  翌日は北部から友人達が訪ねてくる事になっていましたので、私ははりきって家中の掃除をしました。なかでも、とりわけ念入りに磨きあげたのは、ダイニング・テーブルでした。ところが、客が到着する直前にチャーリーが帰宅して、書類カバンの中身を出し始めたのです。数冊の本、鍵束、ばらの小銭、その他こまごましたもの。どこへだと思いますか? 磨きあげたダイニング・テーブルの上にです。

  私も少し言いすぎたと思います。私のかんしゃくのキノコ雲がおさまると、チャーリーは冷ややかに私を見て、吐き出すように言いました。「なんだって君は、すぐそうぶつくさ言うんだ?」

  私はその場に立ちすくみました。彼の言葉にひどく傷つけられると同時に、頭をどやされたような気もしたのです。「腹をたてちゃいけないっていうの? 私、本当にそんなにすぐぶつぶつ言うのかしら?」 私は自分の胸に聞いてみました。「どうして私はこんなにいらいらしてばかりいるのかしら? 私は−−私達は一体どうしちゃったっていうの?」 確かに私はよく不平を言いました。「がみがみ言った」という方が正確かもしれません。気分がむしゃくしゃしている時の人生は、本当にあじけないものです。そういう時は全く自分自身が嫌になりました。こんな状態で、どうして家族が私と気持ちよくやっていけたでしょう?  何か思いきった手を打つべき時でした。「今が今なら、これからもずっと」ということわざは、私達の状態を言い表しているようなものでした。このままいくと、これから10年後には互いに憎み合う事になるでしょう! 人生のどの面においても、可もなく不可もない状態など私には少しも魅力がありませんでした。ましてや、満たされない結婚など望んでいません。私の欲しかったのは最良のものでした。その夜私は今まで進んできた行き止まりのコースを変えようと決心したのです。

 

ロマンスをよみがえらせる

  改革は、まず知識を追及することから始まりました。私はありとあらゆる結婚関係の本を買いあさり、毎晩遅くまで、目がやぶにらみになるくらいそれに読みふけりました。各種のセミナーに出席し、心理学を研究し、聖書にも注意ぶかく目を通しました。研究を重ねるうちに浮かびあがってきた幾つかの原則を、私は自分の結婚にあてはめてみました。すると、驚くべき効果がありました。

  これらの原則にしたがって生きることを学ぶにつれ、私の態度は日ましに変わってゆきました。すると殆ど同時にチャーリーも変わりだしました。彼は昔のように話しかけるようになりました。時には、熱心にしゃべろうとするあまり、どもることもあるくらいでした。私はまたデート時代に戻ったような気がしました。結婚はいまや喜びでした。壁はいつのまにか消えていました。

  私達の間に生まれたこの新しい愛情は、同時に新しい生活を与えてもくれました。私の結婚に幾つかの原則をあてはめた結果があまりに素晴しかったので、私はそれを皆さんに伝えずはおれなかったのです。

  どんな女性も、これを読めばわずか数週間のうちに、夫から深い愛情を得ることができるはずだと信じています。ロマンスをよみがえらせ、再び心のつながりができ、壁が取り除かれ、あなたの結婚生活に再び熱い情熱を取り戻すことができるのです。それはまさしくあなたの努力一つにかかっています。あなたにはその力があるのです。

 

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   弱い方と言われる女性の方が実際は強い。なぜなら、強いと言われる男性も女性には弱いからだ!

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時間を有効に

 

あなたの2万5千ドル計画

  チャールズ・M・シュワッブがベツレヘム製鋼の社長だった頃、彼は経営コンサルタントのアイヴィ・リーに風変わりな質問をもちかけました。「仕事をもっと能率よく進める方法を教えてほしい。もし効果があれば、納得のいくだけの金は払いましょう。」

  リーは、一枚の紙をシュワッブに手渡して言いました。「明日あなたがするつもりでいることを全部これに書いて下さい」 シュワッブは言われた通りにしました。「ではこれに、重要なものから順に番号をふってください」 リーに言われて、シュワッブが番号をつけますと、リーはこう教えました。「明日の朝は、まずその一番をつけた仕事から手をつけて、それが完全に終わるまでは、ほかのものに手を出さないようにします。つぎは二番目に取りかかって、やはりそれが完了するまでは先に進んではいけません。終わったら三番へというふうにして、順ぐりにやっていくのです。すべてが計画どおり完了できなくとも、気にすることはありません。少なくとも、たいして重要でないことにとらわれず、一番大事な仕事だけは処理できたはずですからね。

  問題は、毎日欠かさずこれをやることです。やらなければならぬ仕事の相対的な重要性を判断すること‥‥どれを優先するかを決めること‥‥行動計画を記録すること‥‥そしてこれを固守すること、これを毎日おやりなさい。この方式の価値に納得がいったら、部下の人達にもやらせてみて下さい。気のすむだけテストなさることです。それから、このアイデアに相当すると思われるだけの小切手を送って下さい。」

  数週間とたたないうちに、チャールズ・シュワッブは、アイヴィ・リーに2万5千ドルの小切手を送りました。シュワッブはのちにこんなことを書いています。あのレッスンは、自分が実業界に入って学んだ最も有益なものだったと。

  もしこのレッスンが製鋼工場で効果があるのなら、あなたの家庭でもきっと効果はあるはずです。この計画を実行に移すのはあなたです。しかも無料でできるのです! これを事項すれば、あなたには自由な時間ができ、もっと多くのことを成し遂げることも、ご主人に尽くすことも可能になるでしょう。

  1.今ちょっと手をやすめて、明日しなければならないことを一切合財書きとめてみましょう。明日まで延ばしていたら、頭がおかしくなってしまいます。明日になれば、もうその日がすでにあなたを圧迫しているのですから。リストが無限に続きそうでも苦にすることはありません。大丈夫、追いつきます。

  一枚の紙に、明日しなければならないこまごました事を全部列記するだけでいいのです。あなた自身のこともこのリストの中に組み入れましょう。毎日、あなためのための時間をとっておくのです。

  2.あなたのリストの中で、どれを優先させるか決めましょう。それに一番から順に番号をふって下さい。ご主人があなたに何か頼む時には、催促しないでもそれをやってもらえると期待しているのです。今度仕事を頼まれたなら、忘れずに書きとめておきましょう。それにリストの中の最優先順位を与えるのです。  いやな仕事を優先しましょう。私はいつもこうしたいやな仕事は、疲れきった午後4時にではなく、朝、まだ元気なうちに、真っ先に片付けてしまうことにしています。

  3.明日はリストの一番から始めて、それが完全に終わるまではやめないようにしましょう。終わったら、二番に移って、それが完了するまで頑張るのです。三番以下も同様に進めていきます。それぞれの仕事を完璧にやり遂げましょう。一つの仕事を徹底的にやるということと、同じ仕事を二度やらずにすむということは、素晴らしい満足感を与えてくれます!

  4.毎日のスケジュールをルーズリーフ式のノートにつけましょう。でなければ、毎日の行動を書きこめるだけの余白のあるカレンダーを使いましょう。こうやって、毎日の活動日誌をつけるのです。こうすれば、いつ小包を送ったか、いつジョンのスーツをクリーニングに出したか、いつ修理屋を呼んだかといった簡単な記録もつけられて、一石二鳥です。

 

ABCビジネス

  私は自分の2万5千ドル計画のトップに次のような項目を記入しました。「朝食が終わったら、すぐに夕食の支度にかかること」 白状しますが、初めてこれをやってみた時には、われながら考えただけでうんざりしたものです。それまではいつも、できるだけはやく台所から逃げ出すことばかり考えていたのですから。けれども、やってみると、私でもこれくらいはできるということ、こうすれば夕食に対して心のゆとりを持てるということがわかったのです。

  どうやって? まず私は夕食の献立を前日のうちに考えて、それをリストのトップに書き出します。毎日、朝のうちにサラダを作ったり、夕食の材料をととのえておきます。

  私は生来の楽天家ですが、弁護士と結婚したために、ある一定の状況のもとで起こりそうなあらゆる問題を見越して、手を打つということを学びました。時々私は考えます。「うまくいかないなと思われるものは、大体においてそうなるものよ」 だから、それにかわる手を用意しておくことになります。もし初めの計画でうまくいけば、それで結構。私はおおいに驚きかつ喜びます。でももしうまくいかなければ、プランBを実行に移します。

  しばしば私の2万5千ドル計画にはない、予期せぬ障害が持ちあがることがあります。子供達が病気になったり、不意に友人が訪ねてきたり、洗濯機が故障したりするのです。

  失望と落胆を利用することを学びましょう。これは無情なことではなく、賢明なことなのです。うまくいかないことも、あなたの計画の一部だと思いましょう。不運はあなたをがっかりさせずに進歩させます。  神は人間に失意をお与えになりました。そうすれば人間が神を信じることを学ぶからです。世界一の賢人ソロモン王は、これをよく知っていました。ですから失望を味わわずにすむように、素晴らしい習慣をつくりあげたのです。毎日、自分のリストをながめながら、彼は祈りました。「あなたのなすべき事を主に委ねよ。そうすれば、あなたの計るところは必ず成る。」−−箴言16:3。

  ご主人にしてみても、きっと感激なさるはずです。男性というものは秩序を好むものですし、それが自分の家で保たれているとなれば格別です。彼はあなたや、あなたの努力の成果や、あなたの持っている幸福感に満足するでしょう。あなたがゆとりを持ち、有能であれば、彼の愛の炎はたちまち燃え上がります。

  明日は新しい世界がひらける日です。あなたの2万5千トル計画に向かって立ち上がりましょう。

 

内面をみがく

 

  家族の気分を楽しくさせるのも、どん底にたたき落とすのも、すべてあなた次第なのです。家庭の雰囲気はあなたによって作られます。あなたが今夜陽気にしていたら、ご主人や子供達も陽気になるでしょう。ふくれっつらをしていれば、みんなそうなります。みんなは毎日あなたを見習っているからです。

  毎日の家事に対するあなたの態度はいかがでしょう。ご主人が努力のほどを認めてくれなくても、明るく振る舞っていますか? あなた個人の幸福は、あなたのとる態度に左右されるということをご存じですか? そうなのです。

  素晴らしい結婚とは、申し分のない人間を見つけることよりも、申し分のない人間になることで築かれるのです。私の知り合いの女性の大半は、自分の妻として、母としての役割を向上させたいと願っていますが、それは主として彼女達のすることとかかわりがあります。それに対して、女性としての役割は、彼女達がどんな人間であるかであって、それは基本的な問題とかかわってくるのです。

  あなたも一家の太陽になることができます。けれども、その前にまず、雲のありかを探さなくてはなりません。「なんじ自身を知ることが知恵の始まりである」と言ったのはソクラテスでした。そしてイエスは、こう約束されました。「また真理を知るであろう。そして真理はあなたがたに自由を得させるであろう。」−−ヨハネ8:32。言うのは簡単です。でもどのようにして自分自身を理解すればいいのでしょうか?

 

課  題

 

きちんと組織だった女性

  1.明日やらなくてはいけないことのリストを作ること。それぞれに優先順序をつけてから、その2万5千ドル計画に取り組む!

  2.自分の人生観を紙に書いてみること。自分は何者なのか、何を目指そうとしているのか、なぜなのかを自分に問いかけてみること。

  3.自分の長所と短所を洗いざらい書き出す事。現実的で率直になれ。それから意志の働きによって、短所を受け入れる努力をすること。効果的手段をとることによって、長所をさらにのばすよう努めること。  4.目標−−今日から1週間以内に到達すべき特定の目標を定める事。この目標を達成するのに必要なこと全てをリストにする事。このリストを向こう1週間の主要計画表(マスタープラン)に組み入れる事。  5.長期目標を一つ定めて、それを実現する決意を持つこと。

 

彼を受け入れる         

 

  私達女性の大半が、結婚するさいに相手の男性を変えようという意気込みに燃えている事は確かです。そこで、結婚してからは、もっぱらそれに精を出して過ごします。夫の性格を円満なものに変えようとしたり、何をすべきか、どう行動すべきかを示唆したりするわけです。どうして私達はこうも愚かなのでしょう。これは絶対にうまくいきっこないのですから! 哀れな夫は、この猛攻撃から身を守るために、このかつては自分の花嫁だった無情な女性に二度と心を開くものかと誓いながら、殻にとじこもってしまいます。

  男性というものは、そのままの自分を、全くあるがままの自分を受け入れてほしいのです。全面的に彼を受け入れることが彼に、あなたが本当に彼を愛しているという確信を与えるのです。完全に自分を受け入れてもらいたいという彼の欲求は異常なものではありません。私だって同じですし、あなたもそうでしょう? 誰でもそうではないでしょうか?

 

私の夫、私の友人

  あいにく私は、生れつき口やかまし屋です。やかましくするつもりはないのですが、ついそうなってしまうのです。私の口やかましいのは、一種の職業病のようなものです。1日中私は子供達に指図し続けています。「服を片付けなさい。歯を磨きなさい。ベッドから出てはいけません」 ですから夫が帰ってきても、自然に命令口調が出てしまいます。「ゴミを出してちょうだい。私のお母さんに愛想よくしてあげて。皆さんににこにこするのよ」などなど。

  6年間というもの、私は毎日同じことをチャーリーにがみがみ言い通しでした。とうとう彼は我慢できなくなって、ある夜きっぱりと言ったのです。「がみがみ言うのはやめてくれ! 一度言えばたくさんだ。僕は君の子供じゃない、亭主なんだぞ」

  いくら口やかましく言っても効果はありませんでした。その夜私は、二度とゴミのことでチャーリーにうるさく言うまいと決めました。たとえ何週間それがたまったままになろうと、断じて何も言うまい。ところが驚いたことに、チャーリーはまさしくその夜の内にゴミを出したのです。私が一言も言わないのに。全く驚くべきことでした!

  ある主婦から結婚評論家のアン・ランダースに手紙が届きました。夫の健康の為を思って口うるさく言うことを、世間の妻達に勧めてほしいというのです。「妻たるものは、夫が食べすぎたり飲みすぎたり、たばこを吸いすぎたり、運動不足だったりしたら、どしどしそれをたしなめるべきです」と、その手紙の主は書いていました。そして結びとして、こう嘆願していました。「夫を愛する女性は、うるさくそれを夫に注意してやって下さい。そのおかげで夫は長生きできるのです」

  アンの回答は明快そのものでした。「そんなにうるさく言われて、誰が長生きしたいと思うでしょう。残念ですが私は賛成できません。うるさく言えば長生きできるなんて大間違いです。逆にそれが結婚をだめにしてしまうことは多々ありますが。男性は、妻に口うるさく言われるよりは、アヒルにつっつかれて死ぬほうがまだましと考えているものです。」

  口やかましく文句を言うことは、夫を受け入れることとは正反対です。いったんご主人を受け入れてしまえば、もう口うるさく文句を言う必要はなくなります。うるさく言われないでもすむというだけで、ご主人は大喜びするでしょう!

  現在のご主人が本来の姿なのです。ありのままの彼を受け入れましょう。この原則は、人間そのものと同じくらい古いのです。神はありのままの私達を受け入れて下さいます。私達がそれに値しなくとも、神はやはり私達を愛して下さいます。

  第一に、聖書には夫を愛さねばならぬと書いてあります。もしご主人に対する愛情を失ってしまったのなら、どうしてそれを取り戻して下さいと神様にお願いしないのですか? 第二に、結婚を成功させたければ、ご主人を受け入れなければなりません。そうしなければ、ご主人との関係は改善されないのですから。どちらを選ぶかはあなた次第です。いらいらしながらご主人といがみあって過ごすか、ご主人を受け入れるか、どちらを選んでも構いません。

  もし後者を選ぶとしたら、どのようにそれを始めたらいいでしょうか? 簡単です。ただあるがままのご主人を受け入れると決めればいいのです。

  口ではうるさく言わない女性もいます。ですが、彼女達の否定的な振動は、大きく、はっきりと伝わっているのです。台所の流しに向かって溜め息をつきながら、悩み多き主婦は、殉教者気取りでひそかにその悩みを育てます。「私はちゃんと夫を受け入れているわ」と彼女は考えます。「何年間も不平ひとつ言わずに彼の欠点に耐えてきた。なのに彼はちっとも変わらない。もう私は何も言うまい。子供達のために、こうして我慢し続けるしかない」

 

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 男性は、妻に口うるさく言われるよりは、アヒルにつつかれて死ぬほうがましだと考えている。

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  忍耐は受け入れることとは違います。あなたの忍耐は、ご主人を不完全な、価値のない人間のように感じさせるだけです。自分が受け入れられていないと、ご主人は敏感にそれを感じとります。したがって、十分にあなたを愛することもできません。

  そしてお忘れなく。あなたがご主人に批判的であったり、彼を変えようとしたりしていると感じたら、彼は決してあなたに心を打ち明けてはくれないでしょう。相手の欠点を数え上げて生きていくには、人生は短すぎます。彼の良い所だけに目を向けましょう。

  いったんご主人を受け入れることを始めたら、あなたはもはや彼に助言する必要はないのです。彼はあなたの助言を必要としているのではなく、あなたに受け入れてもらうことを必要としているのです。大変な圧迫感からあなたは解放されるでしょう。ご主人も解放されることは言うまでもありません! 彼は多分あなたに、自分の考えをう打ち明け始めるでしょう。そしてひょっとすると、まさしくあなたが望んでいたとおりのことをする気にさえなるかもしれません!

 

彼をたたえる           

  精神科医によると、男性の最も基本的な欲求は、情熱的な性愛を除けば、認められることと褒められることだといいます。女性は愛されることを望み、男性は称賛されることを望むのです。私達女性は、私達と異性との間のこの重要な相異を忘れてはなりません。

 

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    ある婦人が離婚したいと判事の所にやってきました。離婚すべきだという理由が沢山揃っていたようです。判事に、「ご主人のどこが気にいらないのですか?」と尋ねられると、その婦人は「服は脱ぎっぱなしだし、時々手も洗わないで食卓につくし ‥‥」などなどと小さな不平不満を並べたてまし

 た。でも判事が「それでは伺いますが、彼は良き父親ですか? 家族をちゃんと扶養していますか?」 と尋ねると、この重要な質問には、彼女は首をたてに振ることしかできませんでした。そこで判事は彼女にこういう提案をしました。家に帰って30日の間、彼の長所を見るようにし、良い所は何かと考えるようにしてみなさい、それでもまだ離婚したいと 思うなら戻ってきなさいと。彼女は戻ってきませんでした。賢い判事ですね! 関係を壊してしまうの は、大抵小さな事です。ですから、全て良い事を心 にとめなさい!

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  あなたのご主人も、大抵のアメリカの男性のように、感情的には空っぽのコップのようなものかもしれません。感情というものが欠けていて、あなたに対する本当の気持ちを正しく表現することができないように見えるのです。なぜでしょうか? 彼が、脚をすりむいても泣いてはいけないと教え込まれて育ったことを思い出して下さい。ジャックおじさんを抱き締めるかわりに、握手をするよう教えられてきたことを。たいがい大人達は彼の話を聞いてくれる暇などありませんでした。ですから彼は、感情を自分の胸だけにしまっておくことを覚えたのです。

  一方、私達女の子は、泣こうと、かんしゃくを起こそうと自由でした。私達はお人形にキスしたり、スージーおばさんやベビー・シッターにキスするようにしつけられました。私達は溢れるばかりの感情をもって成長し、愛を表現するすべを知っているのです。そこである日、困ったことが起こります。ミスター冷静とミス情熱が結婚するのです。彼がちっとも感情を示さないからといって、彼女が不満を感じるのも当然ではないでしょうか?

  あなたは、ご主人に愛していると言っても、ご主人がちっとも応じてくれないのを不思議に思ったことはおありですか? では、こう言ったらどうなるか試してみましょう。「本当にあなたは立派な人だと思うわ」と。もしご主人に素直に考えや感情を示してもらいたければ、その前に彼の空っぽのコップを賞賛で満たしてあげることです。彼はまず満たされねばなりません。それというのも、この欲求が満たされるまでは、彼には与えるべきものが何もないからなのです。そして、彼のコップが溢れ出したら、その溢れたものの恩恵を満喫できるのは誰なのかを考えてみて下さい。そうですとも、ほかならぬコップを満たしているその当人−−あなたなのです!

  夫を愛し、敬えと聖書には書いてあります。これは夫を尊敬するということです。「うやまう」とは、辞書によれば、「尊敬、尊重、崇拝、敬慕、賛美、享受、そして賞賛すること」となっています。

  純粋に与えるためにだけ与えるということは、弱さではなく、大きな力なのです。与えることはあなたの天性なのです。カルヴィン・クーリッジは、かつて言いました。「受け取ったものについて名誉を得た人間は一人もいない。名誉は常に与えた者に対する報酬なのだ。」

 

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   あなたの人生を愛でいっぱいにしなさい。そうすれば、利己的な気持ちが入り込む余地がなくなるでしょう。

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英雄崇拝

  今夜から、断固としてご主人を賞賛し始めるのです。ご主人があなたに話す時には彼を褒めましょう。彼の言う事に注意を集中しましょう。あなたが傾聴しているという事を彼に知らせるのです。話の腰を折ったり、上の空でいたりしてはいけません。あるパイロットは私に言いました。「女房が無関心で、僕の言うことに反応を示さないと、二、三日気分が悪い。無関心というやつほど、気分を害するものはないよ」

  ご主人を一人の人間として賞賛しましょう。それこそ彼が強く望んでいることなのです。あなたは、今夜彼が帰宅した時に、ワックスをかけたばかりの床をほめてもらうのと、きれいだよとあなた自身をほめられるのと、どちらが嬉しいですか? それと同じことで、彼だって勤め先の会社をほめられるより、ハンサムだと言われるほうが嬉しいのです。

  ところで、賞賛することはあなたの子供さんがたにも効果があるのです。ある母親は、いつも息子に、車から降りてガレージの扉をあけなさいと命令し続けていました。ある日の午後、彼女は別の言いかたをしました。「トミー、あんたみたいに力のある子だったら、ガレージの扉ぐらい指一本であけられちゃうんじゃない?」 それだけで、彼女の息子には十分でした。それ以来二度と彼女は、彼に扉をあけるように頼まなくてもすむようになったのです。

  あなたのご主人も、適当な方法で持ちかけられれば、手を貸すのを苦にはしないでしょう。ビンのふたをあけようとして指の爪を折ったりする前に、ご主人に力強い手を貸してと頼みましょう。たとえそれがビンのふたをあけるぐらいのことであっても、彼は自分の力を示すことに喜びを感ずるはずです。

 

不完全な男性を完全にする

  私は、ご主人のエゴを見かけだけ満足させるために、嘘をつきなさいと主張しているのではなりません。どんなばかでもうわべだけのおべっかぐらいわかります。私の言うのは、ご主人は真心からの賞賛を切望しているということなのです。彼を新しい目で見て、新しい賞賛の材料を捜しましょう。

  もしあなたが、最近ご主人とあまりしっくりいっていないとすると、ほめるものを見つけるのは難しいかもしれません。もしそうなら、彼こそ求めていた男性だとはじめて確信した時のことを思い出すのです。その時あなたは、彼のどんな点を愛したでしょう?

  ある年輩の夫婦は長年の間すっかり心が離れてしまっていて、奥さんはご主人について何一つほめるところを見いだせませんでした。そこで、大恐慌時代にまでさかのぼって、夫の賢明なきりもりによって、一家がどうにかあの不況を切り抜けてきたことを思い出しました。そして、40年近くもたった今、あの時代における彼の財政的指導力を、自分がどんなに尊敬していたかをおずおずと口にしたのです。これは彼が長年の間に始めて聞いた感謝の言葉で、それに対する彼の反応は、哀れを催すほどでした。涙をためた目で、彼は信じられぬといったように妻を見、そして言葉ではその気持ちをあらわすすべをしらなかたものの、その夜妻に対してことのほか優しく振る舞ったのです。妻は、遠い昔から引っ張り出したちょっとした言葉が、こんな反応を呼んだ事に驚きました。そしてこれが、彼らの結婚生活における一つの転機となったのです。

  人生は見たところささいな出来事の寄せ集めのように思えますが、往々にして、ごく小さな事が潮の流れを変えうるものです。すぐれた男性のかげにはすぐれた女性がいて、彼を愛し、彼の欲求に応えているのです。例外も無くはありませんが、ごくまれです。

  自我は叫びます。「愛してくれ。欲求にこたえてくれ」 愛情は言います。「あなたの欲求に私がこたえましょう」 今夜は真心のこもった賛辞を彼にも分けてあげましょう。そして彼のコップが満たされ、溢れ出すのを見守るのです。やかましい小言にはできないことも、賞賛ならきっと可能にするはずです!

 

彼に合わせる

  結婚生活において、問題はたいていどんなところから発生しているでしょうか? 私の思うに、二つの自我の衝突が大体その犯人です。つまり、あなたの見解とご主人の見解の対立です。たまたまその二つが同じであれば、問題はありません。そうでないと−−まあ大体の場合がそうですが−−争いが起こります。

  たとえば、疲れきったご主人が静かな憩いを求めて会社から帰ってきます。一方あなたのほうは一日中家にとじこもっていたので、外出したくてたまりません。たちまち二つの自我が対立して、叫びたて始めます。「私よ、いや、僕だ」

  夫婦間の対立に対する両方について、聖書にはこう書かれています。「妻たる者よ、主に仕えるように自分の夫に仕えなさい」−−エペソ5:22。神は、女性は夫の支配に従うものとされているのです。

  金切り声をあげてこの本を投げ出す前に、私の言う事を最後まで聞いて下さい。まず第一に、誰もあなたに結婚を強制しているわけではないのです。もしあなたが男に合わせるなんてまっぴらだと言うのなら、結婚しないで一人でいればいいのです。もし結婚していて、ご主人に合わせるのがいやだと言うのなら、多分あなたは結婚というものが期待していたほど素晴らしい体験ではないという事をとうにご存じでしょう。  第二に、あなたはこう思うかもしれません。「それじゃ不公平だわ。私にだって権利はあるのよ。なぜ彼が最初に私に合わせるんじゃいけないの? そうすれば私も彼を喜ばせることを考えてもいいけど」 これをためした夫婦を私は何組か見てきましたが、一つとしてうまくいきませんでした。妻が夫の生活方式に合わせるのでない限り、必ず持ちあがるであろう対立を避ける方法はありません。

  第三に、私は何も女性が男性より劣っているとか、女性はあらゆる男性に服従すべきだと言っているのではない事にご注意下さい。ただ妻たる者は自分の夫の指揮下にあるべきだと言っているだけなのです。  男性と女性は、身分は対等でも、果たす機能が違います。神は男性を一家の長たるべく定められました。いわば社長です。そして妻は、経営権を持った副社長です。どんな組織にもリーダーはいるもので、家庭もその例外ではありません。

 

王よ、永遠に生きたまえ

  私は時々聞かれます−−こうして何でも夫のやり方に合わせるという事は、妻と夫を奴隷主人の関係に置くものではないか、と。トータル・ウーマンは奴隷ではありません。彼女は、たとえ内心ではそうしたくない時でも、にこやかに夫のやり方に合わせます。お返しに夫は感謝のしるしとして、彼女の望みをきいてくれるでしょう。ひょっとしたら、急におみやげをもって帰るなど、御機嫌をとってさえくれるかもしれません。

  結婚は又、君主国にもたとえられます。夫が王様で、妻が女王様です。王家では王様の判断は、それが国家に対するものであれ、女王に対するものであれ、決定的な力を持ちます。でも女王は決して彼の奴隷ではありません。彼女なりの力を持っているからです。彼女は女王です。彼女もまた王座にいて、国を治めているのです。彼女には自己の考えを明らかにする権利があり、実の所、その責任すらあります。ただし言うまでもなく、女王らしいやり方で、ですが。王様は彼女の判断を大いに信頼していますが、もしも意見が食い違った場合、最終的な決断を下すのは王様です。

  1972年1月15日、デンマークのマルガレーテ王女は、マルガレーテ二世女王陛下となりました。幼少の頃から、彼女は、将来女王となる為に育てられてきました。最高の教育をほどこされ、軍隊教育を受け、あらゆる意味で女王たるべくしつけられてきたのです。  彼女の夫君、ヘンドリック公は、女王の夫としての役割以外に、憲法上はいかなる機能も持ちません。にもかかわらず、家庭では公が女王をリードしていることは紛れもない事実です。婚約のととのった日に、マルガレーテは言いました。「幼い時から私は、公的な面では私が一歩前に立たなくてはならなくても、結婚生活では夫より一歩しりぞくことが可能なはずだと信じてきました」

  夫に対して服従を要求できる本物の女王がこのように考えられるものなら、私達一家の女王にどうしてそれができないわけがあるでしょうか?

 

深海ブルース

  とはいえ、協調することはいつも簡単なわけではありません。ですから、私の言うことが非現実的だと思われないように、私自身のおそろしく愚劣な経験についてもお話したいと思います。あまり自慢できる話ではありませんが、それでも実際にあったことです。  休暇旅行の時でした。友人が私達夫婦を沖に出て魚を釣ろうと招待してくれたのです。私は疲れていて、船の上でおしゃべりするよりも、半日、日なたで眠っていたい気分でした。チャーリーがぜひ一緒に来いと言うので、私は勘弁してほしいと泣いて頼みました。彼は、「君が行かないなら僕も行かない。みんなは夫婦一緒にと言ってくれてるんだから、それに応じるか、それとも二人とも断るか、二つに一つだ」と言いましたが、私はかたくなに拒み通しました。つまりここでは、夫がせっかく一緒に来てくれと嘆願しているのに、私がそれをはねつけたのです。

  結局私が勝ちました。私達は釣りに行かずにすみましたが、私の申し上げたいのは、それがそれだけの価値がなかったということなのです。確かに私はその午後望み通りプールのそばに座って過ごしましたが、内心では、せっかくの休暇の最後をめちゃめちゃにしてしまったことで、気がとがめてなりませんでした。なお悪かったのは、その後三日間、まったく夫とのコミュニケーションが切れてしまったことです。その後私は謝り、夫は許してくれましたが、心の痛みが消えるまでにはしばらくかかりました。おそらく、夫よりも私のほうが救われない気持ちだったと思います。これで私が徹底的に思い知らされたのであればいいが、とも考えます。

 

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   相手に譲るというのは、自分の望まぬものを放棄することではない。自分の望むものを放棄することである。

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ええ、そうしましょう!

  あなたは、ご主人が何か素晴らしいと思うことを提案した時に、「ええ、でも‥‥」と答えた経験はありませんか? その提案は、たとえば、「夕食後に自転車に乗って出ないか?」というような、ごく単純なことであるかもしれません。なのにあなたは、本能的に、「ええ、でも‥‥」と反対を唱えます。そうすることであなたは、ご主人のせっかくの思いつきに冷水を浴びせ、それを水びたしにしているのです。それがどんな提案か、あなたがどんな口実を使ったかは問題ではありません。ご主人のリーダーシップに異を唱えたこと自体が、同じような悪い結果をもたらすのです。ご主人はあなたをリードすることができませんでした。そして内心その事実に−−そしてあなたに、反発を感じているのです。

  一体これまでに何度ご主人の意見に反対してきたか、あなたは気がついていないかもしれません。実際、この事のために、とうにご主人は殻を閉ざしてしまっているかもしれないのです。今度ご主人が何か提案したら、精一杯いそいそと、「ええ、そうしましょう!」と答えてあげましょう。ご主人はぴっくりしてあいた口がふさがらないかもしれませんが、その効果は絶大です。

  休暇旅行に出ると、チャーリーと私は他のどんな問題についてよりも、どこで食事をするかについて口論したものです。結局私の気にいらない所で食事をする事になると、私はむしゃくしゃするあまり食べ物が胸につかえるような思いさえしました。言ってみれば好みのレストランを選ぶという私の特権的な「権利」は私達双方に消化不良をもたらしただけだったのです。  私がそれを悟って、ただ自分の好みを言うだけにし、最終的な決定は彼にまかせることにしたら、ずっと事は円満に運ぶようになりました。それが、どこで食事をするかという問題でも、どこに住むかというような問題でも、この方針は変わりません。たとえ計画それ自体は支持できなくとも、夫という男性だけは、私はあくまでも支持するつもりです。

  最近、フットボールの試合で、私はある奥さんがこんな小言を言っているのを小耳にはさみました。「あなたのご主人がフットボール狂だっているのは知ってたけど、あなたもそうなの?」 そう尋ねられたもう一人の奥さんは、微笑して答えました。「私は主人を愛しているのよ」

  アルバート・アインシュタイン博士夫人は、「奥さんはご主人の相対性理論を理解しておられますか?」と尋ねられた時、にっこりしてこう言いました。「いいえ、とんでもない。私はただ主人のお茶の好みを知っているだけですわ」 愛とは一言で言えば、こういうものなのです。

 

彼に感謝しましょう

 

  数ケ月前、私はチャーリーがカリフォルニアへ出張するのに同行しました。ある日、夕食前に私達はロサンゼルスの法律事務所で落ち合いましたが、ビヴァリー・ヒルズを見渡すその高いペントハウスのオフィスで、あるじの弁護士は、私達に6年前に亡くなった同僚について話してくれました。「あの男は、私の今までに知り合った最も素晴らしい、忘れ難い人物だった」と彼は言いました。「亡くなった時はやっと59歳だったが、心臓発作に襲われる直前に、彼の人生観を打ち明けてくれた事がある。彼は何度かこう言った。『だんだん年を取ると、人生でなにより大切なのは、忠実ということだと思うようになる。そして最も受け入れがたい、嫌悪すべきことは、忘恩だね』とね」

  世の夫たちもまた、深く傷ついています。ある男性は私にこう言いました。「時代のせいか知らんが、どうもこの頃は、誰もが感謝ということをしなくなった。うちの女房なんかその最たるものだよ。彼女に何かしてやっても、ちっとも楽しくなんかありゃしない。彼女が恩義を感じないってのが、そのおもな理由さ」 夫に感謝しない妻は、少しも夫に喜びを与えません。にもかかわらず、世の大勢の妻たちが、はなはだしい忘恩という罪を犯しているようです。彼女たちは、「ありがとう」という言葉さえ忘れてしまっています。そしてその言葉の暗示する行為や感情も。

 

感謝の態度

  ここでちょっと読むのをやめて、あなたの「感謝計」を調べてみて下さい。あなたは忘恩という憎むべき行為を働いた覚えがありませんか? ご主人が精根をすりへらして稼いできてくれたものに、感謝するのを忘れてはいませんか? 誕生日やクリスマスの『特別の』お祝いだけではありません。衣食住の基本−−食料品や、医療品、枕カバーのお金に対して十分感謝していますか?

  感謝には二つの面があります−−外面的なものと内面的なものです。第一に、自分の権利を主張することにだけ汲々(きゅうきゅう)としている妻は、夫に感謝することなどできません。自分には、週に1度外に食事に連れて行ってもらう権利があると考えている妻は、真心からの感謝を示すことはないでしょう。

  第二に、内面から涌き出てくる感謝は、外面的な方法−−つまり言葉や態度や行為、あるいはこの三つ全てによって伝えられなければなりません。心から感謝を表明したければ、これはたやすい事です。感謝に溢れているなら、とても黙ってはいられませんから。  チャーリーがある朝の出来事を私に話してくれました。私達の2歳になる娘、ミッシェルを、祖母の家まで送って行った時のことです。そこで彼が彼女を降ろすと、ミッシェルは彼にキスして、優しく、「ありがとう、パパ」とささやいたそうです。その日一日、チャーリーは王侯のような気分でした。子供らしい感謝が、彼の気分を高揚させたのです。世のパパ族もそれを必要としているのですよ!

 

ペンキを塗りなおす     

  まず最初に、始めてあなたが、今あなたの夫である男性に会った頃を思い出してみましょう。特に、彼が初めてあなたに会った時の事を考えてみるのです。その頃、彼が訪ねてくる度に、あなたが一点の非の打ち所もないまでに装っていたのを覚えていますか? 入念にお風呂で磨きあげた末に、白粉や、香水や、女性的魅力で飾りたてたのを覚えていますか? あなたは自信たっぷりでしたから、わくわくして彼に会うのが待ちきれないほどでした。目のさめるような美女として、あなたはうきうきして彼を迎えに出てゆきました。彼があなたを見、あなたと一緒のところを見られるのを喜ぶだろうと確信しながら。

  ところで、夕べ彼が帰宅した時、あなたはどんな格好をしていたでしょうか? 今朝彼が家を出る時、あなたは何を着ていたでしょう? よろしいですか、皆さん−−ハネムーン気分がなくなって、あなたがたがどちらも、求められていると感じるかわりに、ワナに落ちたと感じるようになるのは、あながち無理なことでしょうか?

 

愛の炎をかきたてる

  ご主人の最も基本的な欲求の一つは、あなたが彼にとって肉体的に魅力を持つということです。あなたの身体を彼は愛しています。事実、文字通りそれを渇望してさえいます。

  皆さん、男性は私達女性とは違った考えかたをするという事を忘れてはいけません。ある女性を見て、その女性がどういう人であるか興味を持つ前に、男性はまず、その女性の外見という視覚的な壁を突き破らなければならないのです。ですから、午後6時のあなたの外見は、最も重要なのです。帰宅後の最初の4分間の印象が、その夜の雰囲気を最後まで支配すると言っても過言ではありません。

  今夜こそ、チャーミングな雰囲気調節機になってみせると心に誓って下さい。髪をつやつやと光らせ、美しくお化粧した顔を輝かせ、スマートでしゃれた服装をして彼を迎えましょう−−たとえどこにも出かける予定がなくても、です。あなたの様子の全て、態度のすべてが、「私に触れて。私はあなたのものよ!」と語っているようになれば、彼はもっと家に帰ってくるのが楽しみになるでしょう。

  あなたが、何かとびきりセクシーな服装をして、ご主人を玄関に出迎えた事がありますか? あなたが呆れたように叫んでいるのが聞こえます。「この人、ふざけているのかしら。私の夫はそんなタイプじゃないし、第一、私達は結婚して21年にもなるんですよ!」  いいえ、ふざけているのではありません。特にあなたが結婚後21年にもなるなら、尚更です。大概の女性は、自分の夫よりも、同性の目をひくために着飾ります。ところが、あなたのご主人は、自分の白昼夢を満たしてくれることをあなたに望んでいるのです。

  私はそんなタイプじゃない、そう考えていらっしゃるのですか? 私だってそうじゃありませんでした。結婚後7年たって、やっと私は、夫に対して変身を試み始めたのです。その時はたんに、私達の結婚をいくらか活気づかせる必要があったので、それを試みたまででした。けれども、そうしたばかげた仮装があまりに見事な成果をあげたので、今ではそれがすっかり癖になり、それなしにはすまされないほどです。チャーリーも同じ気持ちです。

  又別の女性は、南部のバプティスト教会で開かれているコースに出席しました。夫の帰宅を迎えた時、彼女のいでたちは、黒いメッシュのストッキングにハイヒール、そしてエプロンというものでした。それだけです。一目見て彼は叫びました。「神をほめまつれ!」彼は面食らっていましたが、それでも大喜びでした。殆ど夕食にも手がつかないほどだったそうです。

  ご主人の車の音、あるいは帰宅した時の彼のノックの仕方を聞きわけて下さい。フォート・ローダーデールの主婦は、夫を驚かせることに夢中になったあまり、ジプシー風にビーズやじゃらじゃらした腕輪、あとは素肌といういでたちで玄関に出ました。そして、同じようにびっくりしている水道の検針員と鉢合わせしてしまったのです!

 

マットレスの中の石     

  評論家のアン・ランダースが最近書いていることですが、かなり以前にある著名な離婚専門弁護士から聞いたところでは、10件の離婚の内、9件の離婚が、寝室から始まっているようです。その時は彼女はその話しを信じませんでしたが、今では信じるようになりました。15年間に渡って、よろず身の上相談室を開業してきた経験から、彼女は、結婚が暗礁にのりあげた場合、その暗礁はたいがいマットレスの中にあることを発見したのです。言い換えれば、夫婦が本当に緊密な性的関係を持っている時には、彼らは何とかして問題を解決して、離婚を避けようと努力するというわけです。

  アン・ランダースの受け取ったもう一つの興味ある手紙に、結婚15年で3人の子供のいる、35歳の主婦からのものがあります。彼女はこう書いてきました。「私の夫はいいひとで、私は大好きです。でもこれからは、友人として夫とつきあっていきたいのです。彼がこれ以上私をセックスで煩わさないでくれれば、私はどんなにかありがたく思うでしょう。

  念のために申し添えますが、私は夫以外の誰かが好きになったわけではありません。夫は毎晩きちんと帰ってきますし、どこといって欠点もありません。お風呂にだってこまめに入りますし、私達は喧嘩もしません。私が知りたいのは、私のこういう考えが正しいかどうかということです。どうか率直にずばりと回答して下さい。」

  アンはこう返事を書きました。「私には、それで一向に構いません−−ですが問題は、ご主人にもそれでいいかどうかということです。もしご主人さえよければ問題はありません。いつもトラブルが起こるのは、二つの意見が食い違った時ですから」

  どうも多くの女性は、ひそかにこう考えているようです。彼女たちはセックスを無視して、結婚ごっこを続けたがっているのです。

  セックスとは、たんに男女の性器を結合するだけのことではありません。はるかにそれ以上のものであり、またそうあるべきものです。性行為をあらわす英語の古語は『知る』でした。夫と妻が、その魂の奥において知り合うことがセックスなのです。

  肉体的には、性行為におけるクライマックスは、この世の最大の快楽です。医学的研究によると、クライマックスは肉体を生きかえられせ、回復させると言います。また、より良き健康もこれによって得られます。何という素晴らしい療法でしょう!

  感情的には、女性のクライマックスは自分を夫に与える喜びとあいまって、彼女を完全にします。彼女も夫もどちらも満足し、充足感を味わうのです。

  精神的には、性行為を究極の満足とするために、夫婦のいずれもが神と個人的なつながりを持つことが必要です。神とのつながりを持てば、彼らの結びつきは神聖で美しいものとなり、不思議にも二人は完全に一つに溶け合います。性行為は、男女が新しい次元でお互いを発見する場となるでしょう。

  このはめこみパズルのどの一片が欠けても、彼らの発見は不完全なものにしかなりません。夫婦は空虚感と孤独とを味わうでしょう。落ち着かなさと、満たされなさと、うそ寒さを彼らは感じます。セックスは妻にとって欲求不満の種となり、さらには有害にさえなります。この内なる欲求不満は、ふつう彼女の生活の他の面にあらわれます。彼女は口やかまし屋になったり、ヒステリーになったり、泣き言屋になったりします。そしてもし彼女の症状がそこでストップすれば、まだ運がいいほうなのです。

 

遠ざけず、抱きしめよう

  デイビッド・ルーベンはかせは、著書『女性なら誰でもできる』の中でこう書いています。「感情は、あらゆる性反応(オルガスムも含めて)を左右するものであるから、女性は、自己のセックスに関する個人的態度や、夫や夫婦関係に対する気持ちを慎重に検討してみる必要がある。ある場合には、たんに、夫に復讐するために、無意識にオルガスムを得ることを拒絶していることが、それを得られない原因になっていることがある。」

  セックスを武器や報酬として使ってはなりません。聖書にはこうあります。「互いに拒んではいけない。ただし、合意の上で祈りに専心するために、しばらく相別れ、それからまた一緒になることは、さしつかえない。」(1コリント7:5) 神は女性をよくご存じでした。女たちが多分セックスという天与の賜物を、男を思いどおりに操るために使うだろうと見抜いておられ、それをけちけちと分かち与えることを禁じられたのです。聖書はまたこうも言っています。「‥‥その乳房をもって満足し、その愛をもって常に喜べ」(箴言5:19) 妻たるものは、いつも変わらず、無条件に夫の愛を受け入れなくてはならないのです。結婚において、処罰の一形態としてセックスを拒むことは、単にその関係をそこなうことにしかなりません。よきセックスは、良き結婚のために必要不可欠のものです。誠実で、率直で、正直な努力により、あなたは、それを受けるべくつくられた性の喜びを、享受することができるようになるでしょう。

 

朝食の席の火花

  珍しいセックス・テクニックは、男性にとって、妻が自分を愛し、自分に関心を持ち、性的に自分を求めているという知識ほど重要ではありません。夫の性的な欲求を満たすことに最善を尽くす女性は、彼を他の女性の誘惑に対して免疫にするのに、大いに役立っていると言えます。

  性的な幸福−−もしくは不幸−−の基礎は、寝室ではなく、朝食のテーブルにあります。夫が朝出かける時に妻が言うこと、もしくは言わないことが、その夜起こることを決定します。

  あなたのご主人が求めているのは、暖かく、熱心なパートナーなのです。もしあなたがベッドでけちけちした態度をとれば、ご主人もあなたにけちけちした態度をとるでしょう。もしあなたがいつでも彼に応じられる態勢でいれば、ご主人の目がよそに向く心配をする必要はなくなります。彼の望むすべてのものを与えることによって、満足させてあげましょう。そうすれば彼は、あなたにお返しをしたくなるはずです。

  あなたは、自分を灼熱の恋人たちの末えいだとは思っていないかもしれませんが、彼はそう考えたいのです。心の奥深くで、彼は「おれは恋人としてどうだろう?」と考えています。もしあなたがセックスに期待し、それを楽しむなら、ご主人は恋人として自信を持つでしょう。この自信は仕事の面にまで持ち越されます。バッテリーが充電されたことで、彼は勇躍して世の中の困難にぶつかってゆくでしょう。

 

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   1日のうちの12分で、結婚生活がうまくいくか破綻するかが決まると心理学者達は言っています。朝一番の4分が一番大切な4分、それから家に帰ってきたばかりの4分、そして最後は寝る前の4分。「朝に思いやりのない態度をとると、夜に親近感を感じない。そういった苦い思いが性生活の敵なのだ」とイギリスの指折りの結婚心理学者は語る。

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スーパー・セックス     

  朝、目を覚ました直後の4分間のあなたの態度が、ご主人のその日一日の気分を決定します。夜の愛情交換のための雰囲気が、朝食以前にはやくも決定されうるのです。明日の朝は、まず一番にご主人にキスをしてあげましょう。彼のめざめぎわに、背中をさすってあげましょう。優しい言葉を彼の耳にささやきましょう。ご主人の起き出す前に、すばやく浴室で身じまいをととのえましょう。

  エドナ・セント・ヴィンセント・ミレーはこう書きました。「愛が一度になくなってしまうよりも、少しずつなくなってゆく方が心に傷む。」 結婚とは、こうした小さな事の寄せ集めにほかならないのです。  明日の朝、ご主人が出勤するときに、門口に立って、ご主人の姿が見えなくなるまで手を振りましょう。ひらいた門口に立っているあなたの姿、それが最後の記憶となって彼の脳裏に焼きつきます。要は、早く帰ってきたいという気持ちを彼に起こさせることです。

 

スペシャル愛妻弁当

  もしあなたがご主人のためにお弁当を作るなら、それにちょっとした愛の伝言をしのばせましょう。ご主人のオフィスにきれいなカードを郵送する(上書に「親展」として)のも、彼の一日を愉快にするでしょう。でなければ、自分で出かけてゆくのも面白い手です。私の知り合いのある女性は、ピクニック用のバスケットを抱えて、昼食時間に夫のオフィスを訪ねました。二人はしめきった扉の中で昼食時間を過ごしましたが、それは彼がここ何か月ととったことのないほど長い昼休みになりました。秘書嬢たちは未だにその時のことを話の種にしているそうです。

  たいがいのご主人は、一日外で働いてくたくたになって帰ってくるのですから、寝室を花で飾ったり、ろうそくを灯したりといったことには気を使わないようです。少なくとも、私の夫はそうです。けれども私がそうすれば、夫はその努力を感謝してくれます。そして、そうすることは妻である私の特権なのです。

  今夜のためにロマンチックな雰囲気をつくりあげましょう。テーブルにクロスをかけ、花を飾り、銀器を並べましょう。ご主人の好きなお料理を用意しましょう。ろうそくをともして食事をすれば、あなたはご主人のろうそくを灯してあげることになるのです。

 

ただ我慢しているな

  今夜のスーパー・セックスのためには、ご主人の誘いかけに積極的に応えましょう。ただ我慢しているといった態度は禁物です。無関心ほど彼を傷つけるものはありません。たとえあなたがくたくたの雑巾のようでも、ご主人はあなたとのセックスを楽しむかもしれませんが、あなたが積極的であり、愛することを楽しむなら、まあ結果はごろうじろです! またもしあなたが彼を誘惑すれば、彼の喜びは言葉には尽くせないでしょう。あなたとのセックスは、純粋な陶酔となるはずです。

  セックスは愛の営みです。与えられるものをすべてご主人に与えて、あなたの愛情を表明しましょう。営みの間は、女性の手を決して静止してはいけません。優しく愛撫することで、彼に触れるのが楽しいことを証明するのです。あなたの手で、「愛しているわ」と語りかけましょう。

 

スピード狂

  今夜、愛を営む時、あなたの脳髄があなたのコントロール・センターだという事を思い出して下さい。それを目下の問題に集中するのです。日曜の食事のメニューのことではなく、彼の身体のことを考えましょう。人生における秘訣の一つは、目前のことに注意を集中することです。いま現在を楽しみましょう−−昨日や、明日ではなく、たった今を楽しむことです。それはまたスーパー・セックスの秘密でもあります。

  あなたが雰囲気を盛りあげるために言葉を必要としているように、彼もそれを必要としています。黙りこくっていてはいけません。無声映画の時代はもう過ぎました。あなたの声に、彼は反応します。何があなたを喜ばせ、何が喜ばせないか、初めから彼にわかるわけではありません。彼がそれを知る唯一の方法は、あなたがそれを話してあげることです。何があなたを喜ばせているかを知れば、彼の喜びは増すでしょう。あなたが彼を望んでいることを彼に話しましょう。彼が素晴らしい恋人であるかのように振る舞うのです。そうすれば彼は素晴らしい恋人になるでしょう。

  もしあなたのご主人がセックスにおいてスピード狂で、わずか数分間しかあなたのもとにとどまっていないような場合には、あなたの態度の変化が彼の速度を落とさせる助けになります。彼はもっと時間をかけてあなたを満足させたいと望むでしょう。あなたがどれだけ深く彼を思っているかを知ることにより、あなたの欲求を満たしてやりたいとも彼は思うでしょう。

 

心に橋をかける         

沈黙は強情

  ロバート・ルイス・スティーブンソンは、「結婚とは、口論とないまぜになった一つの長い会話である」と書きました。良き心のつながりは、良き結婚には不可欠のものですが、あいにくこの要素が欠けることがしばしばあります。私のよく思い出す漫画に、こういうのがあります。原始時代の穴居人の男女が互いに向き合っていて、女性のほうが、「さあ! これで私達は話すことを覚えたんだから、これからは同じ言葉で話しましょうよ!」と言っているのです。

  私達女性は、男性というあの不思議な、だが素晴らしい種族とは、非常に異なる考え方をします。しばしば男性とコミュニケーションをはかろうとしますと、私達は全く違う前提から出発していることに気付きます。自己の考えや知識を表明するためです。女性のほうは、感情とか感覚について話したがります。たとえば、あなたが最後にご主人に、「愛してる?」と聞いたのはいつでしょう? あなたはご主人があなたを愛していることを知っているはずです。彼は以前にそう言ったはずですが、あなたはそれを何度も繰り返し聞かなくては気がすまないのです。

  女性は言葉で愛を表現し、言葉でそれを返してもらうことを期待します。男性は行動で愛情を表現します−−性行為で、あるいは家に給料を持ち帰ることで、さもなければ妻に家を買ってやることで。彼女は言葉ややさしさを望みます。彼は彼女に物質的幸福を与えます。両性がときおりコミュニケーションに支障をきたすのも無理はありません。

 

より幸福で健康な夫たち

  愛はへだてを置くことを許しません。互いに理解し合うことを望むなら、ふうつはコミュニケーションを欠いてはならないのです。自分が理解されているという感情ほど、素晴らしいものはありません。そう感じれば自信が出てきて、心の重荷は取り除かれ、何にでも勇敢に取り組む勇気が出てくるでしょう。

  あなたのコミュニケーションの管は、長い間使われていなかっために詰まってはいませんか? 流れがどこかでちょっとだけ詰まっているだけかもしれません。あなたはそれを直す水道屋さんになれるだけでなく、ご主人の心理療法士として、彼をより幸福で健康な夫にしてあげることができるのです。以下の助言が、私の夫にとってもそうだったように、あなたのご主人にも効果をきたす療法であるよう祈ります。

  1.よき聞き手になりましょう。他の人が、心の内を打ち明けてくるのを聞いてあげる事は、人が人にしてあげるサービスの中でも、最も高貴なサービスでしょう。誰にでも話はできます。けれども真の友だけが、話を聞いてくれるのです。これに疑いを持っているなら、今度のパーティーで、あなたの友人達のする事を見てみなさい。

  コミュニケーションとは押しつけではなく、分かち合うことです。それが成立するには、話すことと聞くことの両方が必要であり、また、少なくとも、話し手と聞き手の2人が必要です。結婚にはこのどちらも必要不可欠です。あなたの考えを伝えるには、話さなくてはなりませんが、同時に、ご主人が考えを表明する時には、それに耳を傾けなくてはなりません。男性が、「うちの女房はちっとも俺を理解してくれない」と言う時は、通常、「彼女は話を聞いてくれない」ということを意味しているのです。

  2.ご主人に助言を与えようとしてはいけません。「人を教育しようとするやからは、逆に教育さるべきであることがしばしばだ」とシェークスピアも言っています。ところが、妻というものは、ちょくちょく頼まれもしない助言をしたがります。まあこんな具合です。「いいこと、ボブ‥‥私があなたなら‥‥私の見たところ‥‥論理的に考えてみれば‥‥明日行って、さっそくその人をくびにすればいいじゃない!」 あなたが助言することで、彼はあなたにとがめられているような気持ちになり、その問題の責任を背負いこまされようとしていると感じてしまいます。たとえ善意から出た助言であっても、あなたはまるで第二の母親のように聞こえ、彼は叱られた子供のような気分になります。

  3.ご主人を批判したり、やりこめたりしてはいけません。あるディナー・パーティーで一人の奥さんがご主人に向かって、テーブルごしにこう言うのを私は聞きました。「さっきのあの話、あなたの頭から出たにしちゃ悪くない考えだと思うわ!」 また別のケースでは、むっつりとしたご主人が奥さんに向かって、あてにしていた昇給がだめになったよとこぼしますと、奥さんはぴしゃりと言いました。「そうだろうと思っていたわよ。あなたはいつだって負け犬でしたものね!」 こんな友達ばかりなら、敵なんか必要ありません。一体どんな男性が、冷笑的な妻に自分の心の奥底を打ち明けるでしょうか? 口を開けばやっつけられると知っていれば、彼は完全に口をとざすか、でなければ、同じような痛棒をくらわすことで反撃しようとするでしょう。

  4.彼の考え方を理解しましょう。しばしば私達が最も気持ちよくいられるのは相手の反対意見をやり込めた時ではなく、相手が発言する事を許したときです。聞かないなら、理解する事は決してできません。相互理解は、双方の意志の疎通によってはじめて可能になるのです。

  今度あなたとご主人の会話が暗礁に乗り上げたら、いったん踏み止どまって、ご主人の考え方について考えましょう。彼の基本的な前提というものが理解できれば、彼の結論が彼の見地からは理にかなっていることがわかるでしょう。その人の行動の原則を理解しさえすれば、どんな男性(または女性)の行動も論理的だということがわかるはずです。

  5.彼の気分に敏感になりましょう。ロンとマリーは、例によって朝食のときに口論しました。ロンはむしゃくしゃした気分で出勤しましたが、そのときはそれをおさえました。ところが会社に着くと、彼は文句を言いにきた大事な顧客とやりあってしまいました。そのあと今度は、ロンの犯したある小さなミスのことで、社長がかんかんになって怒鳴りこんできました。部屋を出しなに、社長はロンの隣にいる年下の同僚で、競争相手でもある青年のそばで足を止め、機嫌よく言葉をかわしました。

  その日一日、ロンは自分が老いぼれで地位を脅かされているように感じながら過ごしました。家に帰ると彼はマリーに二、三の用事を頼みましたが、マリーは溜め息をついて、「今はだめよ。ほかにやることがあるんですもの」と断りました。ロンの傷ついたエゴは、彼女の態度をすぐ悟りました。自分が無価値なように感じた彼は、殻にとじこもって、錠をおろしてしまいたいと願ったことでした。

  あなたのご主人も、とうに殻に閉じこもっているかもしれません。彼は自分の良いところをあなたに見てもらいたがっているのです。彼を力づけてあげましょう。

  6.彼の興味を持つことに興味を持ちましょう。結婚するまで、私は新聞のスポーツ欄などを読んだこともありませんでしたが、夫が毎朝どのページをまっさきにとりあげるかに気づくには、長くはかかりませんでした。それに気がつくと、私はまず好奇心から、ついで彼への愛情から、自分もそれに目を通すことに決めました。

  もしあなたのご主人が私の夫のようなフットボール狂なら、そのゲームについて研究してください。もしもご主人が先史時代のキツツキに熱中していれば、先史時代のキツツキについて話す努力をして下さい。夫の好きなことを好きになるだけの愛情を持ちましょう。それでこそ本当の友達です!

 

カッとなった頭を冷やす

  皆さんがたと同様、私の結婚にもしょっちゅう問題が起こってきます。もしいまだにそれを捜し求めていらっしゃるといけないから申しあげておきますが、完全な結婚というものはこの世にはありえず、完全な夫というものも存在しません。問題が起こるのは、普通のことで、どんな結婚もそれを免れないのです。ですから元気を出して下さい。ただし、違いがあるとしたら、不和が生じたときにそれをどう処理するか、あるいは処理しそこなうかということです。たとえば、ご主人に腹が立った時に、あなたはそれにたいしてどう振る舞いますか? 火山のように爆発しますか? どちらの反応も危険であり、不健康です。

  沈黙の代償はあまりに高すぎます。第一に、それは完全にコミュニケーションを断絶させますし、第二に、その代償はあなたの身体が支払わねばなりません。黙ってはいても内に怒りを押し隠した妻は、再三その問題を頭の中で蒸しかえしがちであり、そのつど自己の立場を強弁する傾向が強くなります。夜、夫と同じベッドに寝ていても、彼女の心は遠く離れていることでしょう。そこに横たわって、彼女は虐待されているという苦々しい気持ちを噛みしめます。とりわけ、夫が先に眠ってしまったりすると、その気持ちはいっそう強まります。聖書は、「憤ったままで、日が暮れるような事があってはならない」(エペソ4:26)と戒めています。

  健全な夫婦の仲には、欺まんや秘密があってはなりません。夫も妻も、攻撃ではなく機知によって、自由にそれぞれの率直な感情を述べ合うべきです。今度あなたがご主人と角突き合わせることがあったら、つぎの有益な助言を、のぼせた頭を冷やすのに使ってみて下さい。

  1.涙をおさえましょう。結婚後はじめて夫婦喧嘩した若妻は、たいがい泣き出すものです。これは新婚の夫に、「彼女の欠点を指摘してはいけない。言うと泣き出すから」と教えます。潜在意識的に彼は、妻を奪うためにコミュニケーションを控えるようになるかもしれません。

  2.適切な時と雰囲気を心得ましょう。言いたい事があったら、まずその問題をよく考え抜いて、問題を正しく見つめるようにしましょう。怒りにまかせて思慮のない言葉を口走ることは、ご主人の感情を傷つけ、夫婦のあいだに壁をつくるもとです。いったん踏みとどまって、あとで後悔するような事を口走らないよう、よく思案しましょう。感情的にならずに自分の感情を表現する態勢をととのえるのです。思慮と愛情を与えられるよう神に祈りましょう。

  もう一つ、私の経験によると、夫の血糖が高い時に問題を持出すと、その解決が容易になるようです。私の場合、最上のタイミングは、夕食の少しあと、夫のおなかがいっぱいで、子供たちが寝てしまった時分です。ですが、十時よりあとにそれを延してはいけません。時刻が遅くなると、問題は深刻に、人生は暗く感じられるようになります。絶望と希望との差は、しばしば一夜の安眠で決まることがあります。

  3.あなたの率直な意見を穏やかに述べましょう。聖書には、愛をもってまことを述べよと書いてあります。(エペソ4:15) 何があなたを悩ませているのかをはっきり話しましょう。ただし自制心を失ってはいけません。こう記したのはシェイクスピアでした−−

 

  「彼女の声はいつもやわらかく、

  やさしく、低かった。

  女にはこよなくめでたいことだ。」

 

  彼の欠点にではなく、あなたの感情に問題をしぼりましょう。「あなたったら、一度も……」というような言い方で彼を非難するかわりに、「私はこう思うんだけど……」という言い方であなたの気持を表現しましょう。あなたがご主人を非難すれば、彼は、たとえ自分が間違っているとわかっていても、自分の行動を弁護しようとするだけです。それが人の世のならいです。あなたが声を高めたり、感情的になったりすれば、彼もそうするでしょう。

  4.許し、そして忘れましょう。彼の反応がどうであれ、怒りに対処する最終的なステップは、ご主人を許し、そしていっさいを忘れ去ることです。許すということは、すばらしい結婚には必須のものです。

  許すことは忘れ去ることを意味します。いっさいを白紙にもどすということです。人を許せない女性は、おそらく、身体の疲労と心の疲れに悩むことになるでしょう。遺恨を持ち続けるということは、多大の感情的エネルギーを必要とするものです。

 

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   忘れ去ることは、生きていく上で最も貴重なテクニックの一つ

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  5.彼をかばいましょう。統計によると、自動車事故が発生しやすい時刻は、他のどんな時間よりも、朝だということがわかりました。その原因は、研究の結果によれば、世の夫たちがしばしばむしゃくしゃした気分で家を出て、その欝憤をハンドルに八つ当りすることで晴そうとするからだそうです。

  覚えておいてください−−あなたの態度は家庭内の雰囲気を決定するだけでなく、その日のご主人の態度をも決定するのです。愛情と安定性というあなた独自の資質によって、あなたはその気になればご主人を、彼自身の感情から護ってあげられるのです。怒りを理解に置き換えることで、あなたはそれを一時忘れることができます。言換えればあなたは、気持の持ちようひとつでご主人を保護してあげられるのです。

  「聖書の時代には市の城壁の上にアパート風の家が建てられていました。屋根の一部は、長く壁のそとまでのびて、それを雨や日ざしから護っていました。このでっぱりをあらわす語が“フォーベア”、つまり聖書に「愛をもて互いに忍び……」とある、その「忍ぶ“フォーベア”」と同じ言葉で、「かばうこと」を意味します。神は私たちに、愛情を持って互いにかばいあえと教えておられるのです。

 

子育て:幸福への青写真

 

  両親の犯すもっとも困った誤りの一つは、一人の子供を他の子供と比較することです。これはなんの益もなく、比べられた子は相手の子を憎み、あなたに反感を持つだけです。そのうち彼は、最初の機会をとらえて逃げ出したくなるでしょう。子供はありのままに受入れられないと、不適応感、劣等感、不安定感を持って育つものです。

 

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  「This Week」誌のフランシス・ニュートンによれば、著名な女流彫刻家サリー・ジェームス・ファーヌンという、名高い彫刻家の幼い娘が、どの子供が母親の一番のお気に入りか質問されると即座にこう答えたそうです。「ママはジミーを一番愛しているわ。ジミーが一番年上だから。それにジョニーを一番愛しているの。ジョニーは一番小さいから。そして私を一番愛しているのよ。女の子は私だけだから!」 神の子供たちに対する神の大きな愛を、これほど明快に説明しているものはないでしょう。あなたがどれだけ高い地位までのぼろうと、どれだけどん底に落ちようと、神はあなたを一番愛して下さっています。あなた自身の良いところは、まわりの人には見えないかもしれないものの、天の父は御存知で、それを大切に思っていて下さるのです。

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  ジョンソン氏は息子にフットボールをやらせたがりましたが、息子はバイオリンをひくほうを好みました。父親はかつて大学時代についにフットボールのチームに入れなかったので、自分の果せなかった夢を息子に託したのです。彼がしょっちゅう息子をほかの少年たちに比べますので、屈辱感をもった息子は、とうとう「僕はこの家には合わないんだ。よそへ行こう。よそへ行けば、どこかにこの僕を僕として受入れてくれる人がいるだろう」と考えるようになりました。

  時々私達は、社会的圧力や他人の思惑を気にして、子供たちに何かをすることを強制します。どうか忘れないでください−−人は愛するものであり、物は使うものなのです。ところがこのルールが、いとも簡単に逆転してしまいます。あなたの子供を利用してはいけません。

  ルール1、子供をあるがままに受入れましょう。

 

愛していますよ

  愛情は、どんな親でも与え得るもっとも大切な贈り物です。物を買って与えるだけでは、子供の愛情をあがなうことはできません。子供はあなたを欲しているのです。あなたが「愛していますよ」と言ってくれるのを子供は望んでいます。たえず具体的に愛情を示してもらいたがっているのです。

  赤ん坊のころ、どんなに子供が抱かれるのを喜んだか覚えていますか? 大きくなっても、このさわってもらいたいという欲求はけっしてなくなりません。この欲求を満たしてやりましょう。愛していますよと言ってやりましょう。毎日、キスし、抱きしめ、手を触れてやりましょう。あるいは家族全体が、もっと具体的に愛情を示すようになることが必要かもしれません。はじめは照れくさいかもしれませんが、誰かがきっかけを作らなければならないのです。

  ルール2、言葉で、具体的に、毎日愛情を表現しましょう。

 

戯れと遊び

 

  三歳になるスザンヌは、母親が朝食の後片付けをしているあいだ、台所で遊んでいました。彼女はちょくちょく母親のスカートを引っ張っては、お人形さんごっこをしましょうよとせがみ続けました。キャロラインは、子供といっしょの部屋にいるだけで、遊んでやるのと同じ効果があると考えていましたが、この日は、スカートを引っ張るのが、事実上、「あたしを愛して、マミー」と言っていることだと気付き、ふきんを置いて、電話をフックからはずし、娘のそばの床に座り込みました。スザンヌはまんまるな目をきらきらさせて彼女を見上げると、叫びました。「マミー! お人形さんごっこ、するのね?」幼な心にも彼女はその違いを知っていたのです。

  子供の遊び相手になり、家族の伝統の一部をになうよう励ます事によって、あなたは自然に子供の自信を育てているのです。親子がつねに仲むつまじく交わり、遊びや楽しみをともにしてきたならば、子供はもっともっとあなたの生きかたを見習おうとするようになるでしょう。

  あなたの子供はまた、父親を必要としています。ご主人に子供たちと遊ぶようにうながしてください。勿論、口やかましくせっつくことは抜きで、です! 平均的なアメリカの父親は、息子が彼にしてもらいたがっていることをするのに、1週にわずか数分しか費やしていないそうです。5年か10年たって、子供たちが父親の言うことを聞かなくなるのは、むりもないとは思いませんか?

  1961年のキューバ・ミサイル危機のときでした。ある夜ケネディ大統領がホワイトハウスの自室にいるところへ、補佐官のデイブ・パワーズがメッセージを届にきました。薄暗い明りのともった部屋に入ったとき、デイブは大統領の静かな話し声を耳にして、閣僚のひとりとでも話しているのだろうと考えました。部屋の角からのぞいてみますと、驚いたことに大統領は令嬢のキャロラインちゃんを膝にのせて、お話の本を読んでやっているのでした。世界的な危機のさなかにも、このすぐれた男性は子供といっしょに過す余裕を持っていたのでした。私たちだってそれができないわけはありません。

  ルール3、子供と遊んでやりましょう。

 

励まし

  ある四人の子を持つお母さんは、末の男の子が家族中でいちばん声が悪いのにもかかわらず、いつもその子に歌をうたえとすすめました。彼がたくさん歌えば、それだけ彼女はほめました。その子はだんだん自信を持ちだし、いまでは九年生をリードするソロ歌手になっています。

 

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   昔、10歳になる子供が、ナポリのある工場で働いていました。少年は歌手になることを夢見ていたのですが、先生は少年の夢を砕いてしまいました。「お前の歌は全然なっていない」「お前の声は歌手には向いていないよ。雨戸が風でガタガタ言っているような声だね。」

   しかし、貧しい農婦であった彼の母親は、彼の肩に腕を回してこう言ったです。「お前は歌えるよ。日に日に上手になっているじゃない」と。この母は、少年の歌のレッスン料を払うために、自分の靴も買わずに裸足で生活しながらお金をためました。この農婦の母の励ましと賞賛の言葉が、少年の人生を変えたのでした。この少年の名は、エンリコ・カルーソ、彼は後に、その世代で最も有名なオペラ歌手になりました。

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  ときどき私たちは、子供に学ばせ、服従させるために、子供を批判する傾向があります。けれどもたえまない批判は、劣等感と不安を抱かせるだけです。子供は考えます。「どうせママはぼくが嫌いなんだ。無駄だよ。努力したってママを喜ばせることができないんなら、さっさとやめちまったほうがいいや」今日の多くのティーンエイジャーが、ひどい劣等感を抱く時の心情がこれなのです。

  あなたの子供には、あなたとまったくおなじように、自分に対するイメージというものがあります。彼はあなたの言葉、行動、彼に対する態度などから、自分への評価を決定します。彼には、自分に対して持っているイメージと同じようになろうとする傾向がありますから、あなたがしょっちゅう彼にむかって、「おまえはばかね」と言っていれば、彼は自分をばかだと思って育つことになるでしょう。またもしあなたが、「おまえはいったいどうなっているの?」と言い暮していれば、彼は自分のどこがだめなのかと考えるでしょう。けれどもあなたに励まされれば、彼はいっそう努力するようになります。彼のやらなかったことで彼をこきおろすかわりに、彼のしたことで彼をほめてやりましょう。

  ルール4、子供を励ましてやりましょう。

 

セレンディピティ・タイム

  あなたの子供を理解するには、コミュニケーションの橋はまずあなたのほうから架けられなければなりません。しばしばそれは、話すよりもむしろ耳を傾ける事を意味します。あなたの子供は、もしあなたが自分を愛してくれているなら、自分の話に喜んで耳を傾けてくれるはずだと思っています。つぎの幾つかの提案は、私が子供の話に耳を傾けるのに効果があったものです。

  1.いつでも話を聞いてやりましょう。私の娘のローラがなにか話したがるときは、私に聞いてもらう事を求めているのです。私が手がはなせなかったり、忙しくて聞いてやれなかったりすると、いざこちらに聞ける態勢ができたときには、娘はもうそばにいないかもしれません。

  2.面白い話相手になりましょう。毎晩、夕食のときに、私たち一家は、チャーチルズ・シェッドの言う、「セレンディピティ・タイム」を過します。セレンディピティとは、思いがけない愉快な経験のことです。家族の全員が、その日の出来事を積極的にふりかえり、特別なハイライトをひとつ、夕食のときに披露するのです。

  チャーリーと私は、自分たちの生いたちについても娘たちに話します。率直に話す事はコミュニケーションを助けますから、私たちは、自分の失敗や、欠点や、おかしな経験なども隠さずに打ち明けます。

  3.融通性をもって、子供の言い分に耳を傾けましょう。先日、ある隣人の家で、私は父親が息子の話をさえぎり、こう言って完全にコミュニケーションを断ち切るのを耳にしました。「この家では、とうさんの考えたとおりにするんだ。これは最後通告だぞ。以後この問題では話し合う余地はない」子供に自分の考えを押しつけようとするかわりに、いつもコミュニケーションの管を掃除して、子供がなにを考えているかわかるようにしておきましょう。

  ルール5、子供と話し合いましょう。

 

境界線論争

  テート事件の主犯チャールズ・マンソンは、子供の時分ずっと甘やかされ、したい放題のことをしていました。何をしても決して罰せられなかった彼は、ついに自制ということを学びませんでした。そして後年それが苦い実を結んだのです。非行少年の研究によると、幼年期に何の規律も課せられずに育った子供は、おとなになってから、思慮深い、一貫した態度でおのれを持することができなくなる傾向があります。自分は愛されていない、疎外されていると感じて、欲求不満に陥るからです。

  規律とは、子供のしつけです。規律はしばしば「お仕置き」と同一視されますが、本当の規律とは、積極的な訓練であり、親が子供にしかるということだけでなく、子供を導く事を指します。この訓練には、二つの基本的な手順があります。愛情をもって限界を定めることと、その枠が破られたときに、愛情をもってそれを矯正することです。枠を定めたり、何かを禁じることを恐れる親、しつけに積極的でない親、そこから抜け出す道を何ひとつ子供に教えずに、人生というもつれた薮に追い込むようなものです。

  1.愛をもって枠を定めましょう。本当の愛情は、子供に火遊びを禁じることで子供を護ります。限界を設けることが愛情であり、愛情のゆえにこそ限界を設けるのです。よく言われることですが、もしも神が世の親たちに放任主義を望まれたのなら、《十戒》ではなく《十の提案》を私たちにお示しになったことでしょう! 親の限界を試そうとするのは子供の天性ですが、その限界がしっかりしている限り、子供は安心していられます。

  確信をもって、積極的になって下さい。建設的な代替物を子供に提示しましょう。べつのものを示して気をそらす事は、幼児にだけでなく、大きなお兄ちゃんにも効果を発揮します。もしもあなたが子供の友達を非難すれば、子供は自衛の意味でも彼らを弁護せざるを得なくなります。かわりに新しい友達、新しい行動、新しい興味の対象を示してやりましょう。いつの場合も、かわりにクッキーを与えたほうが、クラッカーをとりあげるのは容易になります。

  2.愛情をもって子供を矯正しましょう。もし子供があなたの定めた枠を踏外したら、愛情をもってそれを矯正してやるのもあなたの責任です。「思い切ってしつけましょう」の著者ジェイムス・ドブソン博士は、こう書いています。「彼がその小さな爪先をあなたの引いた線の向こうに踏み出したときこそ、彼を叱る好機です。」

  子供は生れつき反抗的なにものです。これは生後15ヵ月ごろから始まり、思春期いっぱい続きます。ですから、従順な子供はそう生れつくのではなく、作られるのだと言えるでしょう。世界最初の「ハウ・ツウ」ブックである聖書は、愛情をもって子供をしつけよと親にさとしています。箴言によれば、子供を打つ事も決して禁じられてはいません。「愚かな事が子供の心の中につながれている。懲らしめの鞭は、これを遠く追い出す。」−箴言22:15。「望みあるうちに、自分の子を懲らせ、子が泣いても、さし控えてはならない」−箴言19:18。「子をこらすことを、さし控えてはならない。鞭で彼を打っても死ぬことはない」−箴言23:13。神は御存知だったのでしょう−−やがて子供の泣き声に親が我慢できなくなる事を。又もしあなたが、自分は子供がかわいくて、とても体罰を加える事などできないとお考えなら、聖書はこうも言っています。「鞭を加えない者はその子を憎むのである。子を愛するものは、つとめてこれを懲らしめる。」−箴言13:24。  ルール6、愛情をもって子供を規律にしたがわせましょう。

 

信仰を独占しない−子供たちに受けつがせなさい!

  ある記者がローズ・ケネディ夫人に、もしひとつだけ子供たちに遺すものがあるとしたら、それはなんだろうとたずねました。彼女は答えました。「お金や財産ではないことは確かです。その他の物質的な何かでもありませんし、名声でもありません。信仰です。これがいちばん大事な、私が選んで子供たちに伝えたいものです。信仰さえあれば、神が私たちの生活、私たちの仕事や遊びを導いてくださいますから、私たちは幸福でいられます。」その後ちょっと間をおいて、彼女はつけ加えました。「もちろん、そのためには方向感覚が、人生の目標というものが必要です。信仰は私たちに自信を与えてくれるのです。」

  ルール7、子供の精神的成長を促しましょう。

 

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   幼い日々は、あっという間に過ぎてしまう

   子供はどんどん変わっていく

   柔軟な粘土の年月はあっという間に過ぎ去り

   知らない内に、固まってしまう

 

   だから、幼いうちに子供の人生を形作って

     やりなさい

   私達の祈り、私達のゴール‥‥

   それは生まれる子供一人一人が

   主の名前を受け継ぐこと

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力の源泉               

  これまでこの本のなかで、私たちはあなたの古びた家−−こなごなになったあなた−−をとりあげて、その外回りにペンキを塗ってきました。二、三の新しい植込みもしましたし、壊れた鎧戸も修繕しました。屋内では、ソファの下の埃をはらい、室内装飾も多少変えました。後は、あなたに必要なのは力だけです。熱源、光源、あるいは生きるための原動力、それなくしては、あなたの家は、単に飾り立てた屋外便所でしかありません。

  十年に私は、この世の最大の動力源に対して、「プラグをさしこんだ」のでした。そのとき、わが創造主であり、愛の−−完全なる愛の−−源泉にしてその真髄たる神とのあいだに、コンタクトが成立したのです。神は私に生を、大文字で始まる《生》をお与えくださいました。神はすべての明りをともし、私がまだ見たこともなかったほど煌々と輝かされました。そしてこなごなになった私の断片をも、その手でつなぎあわせてくださったのです。

  どうか、外回りのペンキを塗りなおし、多少の模様替えをしただけで満足してしまわないでください。あなたのプラグを、唯一の絶対者−−あなたに生命を与えることのできる絶対者につないでください。パスカルは言いました。「人間の心の中には、神の形をした真空がある。これはどんな創造物によっても満たされない。満たせるのは創造主たる神だけだ……」神は待っておられます−−あなたの真空を満たし、あなたを完全なもの、全きもの(トータル)にしてやりたい、と。いますぐにでも、あなたは《完全な女性(トータルウーマン)》になれるのです。

 

結 び                 

救急箱

  以上のことを始められるあなたのために、最後に幾つか提案をさせて下さい。

  1.過去の誤りにこだわってはいけません。もうしてしまったことは、いまさらそれをもとにもどすすべはありません。どうあがいても変えられないこと、自分の力ではどうにもならないことについて、なぜくよくよ思い悩まなければならないでしょう?

  2.以前の悪習に逆戻りしても、くじけてはいけません。私の親しい友人が話してくれた事ですが、ある夜彼女は、ご主人の口にしたちょっとした事にカッとなって、流しの前でしばらくこぶしを握って立ち尽くしていたそうです。「あのいまいましい講座で何と言われていようと知ったこっちゃないわ。今日こそは彼に思い知らせてやる」と、彼女は考えました。ですがそこで、どっちみち自分が癇癪を起こして怒鳴り立てても、いつも効き目があったためしがないのを思い出し、流しの前で自制心をとりもどしたのです。かわりに彼女は態度を変え、それは成功しました。

  時たまカッとなって失敗することがあっても、どうか気をとりなおして、もう一度やりなおしてみてください。自分にあまり厳しくすることはありません。

  3.あなた自身の可能性に注目しましょう。どうか忘れないで下さい--ご主人は、あまたの女性の中からあなたを選んだのです。ご主人にとって、あなたは特別な存在であり、何かご主人に訴えるものを持っている(又は持っていた)のです。その独特な能力を発展させましょう。ご主人との関係は、果てしない空のように限りないものです。求める気ならばあらゆるものが得られ、やってみて損になる事は殆ど無いのです!

 

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   自分の愛する男性を手放したくないなら、女性 は、性的な願望や欲求、肉体的魅力以上のものを使って、男性をひきつけておくべきだ。若かった頃、結婚相手を探していた時に、私の母は、外見第一で女性を選んではいけないとアドバイスしてくれ た。ほとんどの女性は、外見はまあいい線いっており、姿形にそれほど変わりはない。だから、スタイルが良く、きれいな顔をしているかどうかよりも、もっと大切なものを秘めているかどうかを基準にして女性を選ばなければならないと。

   まず一番に性格という、内面の美しさに目を向 けなさい。肉体的な魅力ばかりに目をとめるのではなく、生き生きとした精神、人を引きつけるような思考、魅力的な心、非利己的な愛、素晴らしく、気高い魂、つまり、彼女の内の霊的な部分に目を向けなさい。これらのものが女性の性格を形成する。そしてまた、女性のそうして霊的な部分を満足させることができるのは、あなたの内にある霊的なもの、つまり、何でも興味をもって吸収しようとするあなたの思い、心の暖かさ、あなたの喜びに満ちた魂だけである! この地上のものは、あなたの体を満足させてくれるだけだ。だがあなたの魂や心や霊は、霊的なもの、霊のものによってしか満足が得られな い。神があなたをそういうふうに造られたからだ。

   肉体的な満足だけを求めている人、結婚相手を肉体的に満足させる事しか頭にない人は、決して、 真の満足感や幸福感を味わう事はない。完全に幸せになる事が出来ないのだ。与えなければならない。 そうすれば与えられるだろう。愛は愛を生む!  あなたは、誰か幸せにしてあげられる人を探すべきなのだろう。そうすればあなたは自然と幸せになる!