How to Love からの抜粋 P.122-127

 

子供の自己評価(自信)を高める101の秘訣

−−ドラによる本の要約 

 

(どうすれば、子供たちを一人前の価値ある人間として扱うことができるか、また、どうすれば子供たちが私達にとって大切な存在であると彼らにわからせることができるのか。この本には、こうした面を改善していくのに役立つ秘訣が書かれています。この本の著者は、ちょうど私達のファミリー内においてそうであるように、子供は親の言うことに従うべきであるという考え方を基盤として、色々な提案をしています。そういう基盤が築かれているなら、これからお話しする秘訣は、子供と幸せな良い関係を築いていくのに、きっと役立つことでしょう。−−ドラ)(そして多くは大人との関係にも大いに適用できるはずです。−−マリヤ)

 

初めに

  ここでお話しするいくつかの基本的な方法は、子供が家庭内で一人の人間として認められていることを自覚し、自分の力で物事を成し遂げる喜びを経験し、自分は大切な存在で、有能であるという自信を得る助けとなるでしょう。

  以下に示す方法のうちの幾つかを選んで、家庭で努力して下さい。そして、うまくいくようになったら、さらに幾つかの方法を試してみて下さい。

 

他の事はやめて、子供に全関心を向ける

  子供は、回りの人に関心を注いでもらうと、大いに励まされ、成長していくということは、誰もが知っていることでしょう。しかし、単なる注意や関心では十分ではありません。子供は、特別に、自分だけに関心を注いでもらうことを必要としているのです。

  毎日、少なくともある一定の時間、他の事はやめて、あなたの子供に100%の注意を向ける時間を持つように心がけて下さい。そうやって、子供があなたにとって本当に大切な存在であることをに示すのです。

  小さなエリーが息せき切って学校から帰ってきました。「ねえ聞いて、ママ! 何があったと思う?」 母親は洗い物をしていました。どうすべきでしょうか。エリーは見るからに興奮していますが、母親にはすることがたくさんありました。今、手を休めるのはためらわれます。

  けれどもエリーの母親は賢い選択をしました。「なあに?」と、ほほ笑みながら、濡れた手を拭き、エリーのそばにしゃがむと、彼女の腕に触れ、まっすぐに彼女の目を見つめたのです。

  おそらく、エリーの話はたいしたことではないでしょう。しかし、ここで重要なことは、彼女の母親が他の事をやめて、エリーに注意を向け、彼女の話に一生懸命耳を傾けようとしているということなのです。

 

生活環境をシンプルにする

  うまく物事を成し遂げたという満足感をできるだけ多く子供が味わえるようにしましょう。そのためにはまず、「自分ではできない」ことばかりといった環境を改善してやることです。

  まことは一人で服を着たいのですが、彼の服のボタンは、母親でさえも手間取るほど、とめはずしが難しいのです。解決法:まことが自分でかけることのできるボタンのついた服を見つければいいのです。

  服を着る問題が解決すると、別の問題が持ち上がりました。洋服ダンスの引き出しが高すぎて、まことには届きません。解決法:父親が踏み台にする箱を作りました。まことは、この上にのって服を出すことできます。

  子供の生活環境を、子供に合わせて、簡単なものにしましょう。そうすれば、子供は家庭で、より多くの事を自分で成し遂げられるようになります。

 

事実を述べる、批判はしない。

  私達の多くは、子供とのコミュニケーションが下手なことを少しばかり気に病んでいます。問題は、子供が何か自分の好きでないことをした時、単に、それによって私達がどう感じたかを話すのではなく、彼らの行いを批判してしまうことです。

  例えば、リサと直樹が部屋でおいかけっこをしていたとします。あなたはまず二人を怒鳴りつけることでしょう。「なんて行儀が悪いんだ! 静かにしないか!」 彼らはあなたの言うことを聞いて、こう解釈することでしょう。「どうせ私達は行儀が悪いわよ。パパがどう思おうと関係ないわ。」

  しかし、もしあなたが自分の気持ちを伝えるなら、彼らは事態をより正しく解釈することでしょう。例えば、「考え事をしているんだが、騒がしいと、できないんだよ。」と言えば、彼らは、自分たちのことをどうしようもなく悪い子供だと思うことはありません。かわりに、パパは今考え事をしているんだということを考えるようになるのです

  あなたが子供を非難するのではなく、自分の気持ちを正直に話すことによって、子供の反応がこんなに大きく変わってくるのです。

 

子供の仕事を自分でしてしまわない。

  食器を食卓に並べるのは恵美の新しい仕事です。最初の晩、母親は恵美を手伝い、どうやってするかを教えます。ナイフとフォークはここ、お皿はここ、コップはここで、ナプキンはあちらというふうに。次の晩は、二人が一緒にします。恵美がしっかり覚えているか確かめながら。ここまではうまくいきました。

  3日目は恵美一人で挑戦です。彼女は、それぞれのお皿の横にナイフとフォークをひとまとめにして、でたらめに置きます。父親のためにコショーを出すのも忘れています。ナプキンは、教えられたようにお皿の横には置かず、お皿の上にのせています。

  「物覚えの悪い子ね!」 母親はぶつぶつ言います。つかつかと恵美に歩みよると、かわいそうに、恵美を押し退けるようにして食器を正しい位置に置きます。「ほら! こういうふうにするの、わかった?」母親は言います。恵美は目に涙をいっぱいためて母親を見上げます。

  あなたはこんなことはしたことがないと願いますが、これは実際のところ、よくやってしまうことなのです。

  子供に一度何らかの仕事や責任を与えたなら、とにかく子供にできる限りのことをやらせ、たとえその出来が、あなたにとって満足のいくものでなくとも、決して、あなたが何もかもやり直してしまってはいけません。

  きちんと食器を並べることと、子供が、自分も役に立てるという満足感を得ることと、どちらが大切か考えて下さい。

  もちろん、子供が手伝いをしていて誤りを犯した時は、それを正さなくてはなりません。しかし、その場合、子供のした事を自分でやり直してしまうのではなく、子供に、何がいけなかったのか、どう直したらいいのかを示すようにすることです。「恵美、スプーンをどこに置くか忘れちゃった?」というふうに。

  恵美は、テーブルを見て、自分で間違いを正すでしょう。こうして子供は、正しく仕事をすることを学ぶのです。

  いつも、子供の仕事をあなたがやってしまうなら、あなたは2つの誤ちを犯すことになります。一つは、子供の、手伝いたいという意欲をそいでしまうこと。もう一つは、子供が自分で正しい仕事をすることを学ぶのを妨げてしまうことです。

 

行きづまったら助け舟を出す

  何かをしていて子供がくじけてしまったら、最後までやり遂げられるよう、そしてもっとうまくできるよう手を貸してあげましょう。

  一年生の洋子は、ダイニングルームで宿題をやっています。突然彼女は宿題の用紙をもみくちゃにすると、床に投げ付けました。「できない、全然ちゃんとできないの!」

  もし母親が、このまま洋子を放っておけば、洋子は本当に自分にはできないと思いこんでしまうでしょう。しかし、もっと優れた対応の仕方があるのです。母親は、もみくちゃにされた用紙を丁寧に広げて伸ばし、テーブルの上に置きました。「ひらがなの練習は難しいものね。」 母親は洋子のいらだちを察するように言いました。「どれが一番難しいの?」「全部!」洋子は答えます。

  しかし洋子と話している内に、どの文字で洋子が一番苦労しているかを母親は発見します。例えばあ、ぬ、め、ゆ、といった丸っこい字が書けないなど。そして洋子に、この難しいひらがなの書き方を教え、それから洋子が練習するのを見守ります。

  子供が、できないといういらだちを克服するのを助けるのは難しいことではなく、ただ、時間をかけて、子供がもうできないと感じていらいらしている事に対して自信を持つようになるよう助けてあげればいいのです。

 

励ましとなるニックネームをつける

  「おでぶちゃん、テーブルにひじをつかないで。」

  「今度は落とさないでね、不器用くん。」

  あなたの子供は太っていたり、首が短いかもしれません。また器用ではないかもしれません。  しかし、子供をニックネームで呼ぶのなら、子供が自分に対して良いイメージを持つのを助けるようなものを選んではどうでしょう。子供の長所を表すようなニックネームをつけるのです。

  あなたの娘は、正直なところ耳が人よりつき出ているかもしれません。でも、とても明るい性格をしているなら、ハッピーちゃん、ニコちゃんなどと呼んであげてはいかがでしょうか。

  また、不器用でも頭がいいなら、お利口ちゃん、物知り博士ちゃんなどと呼んでみましょう。  もちろん、あなたが抵抗なく、すんなり呼べるニックネームでなければなりませんし、また、子供によく合ったものでなければなりません。

  ニックネームは愛着の現れであって、皮肉やあてこすりで使うのではないことをしっかり心に留めておいて下さい。子供を呼ぶ時の声の調子によって、子供に与える印象は全く異なってきます。

 

礼儀正しさを示す

  子供に対して礼儀正しくするなら、子供も大人と同様、大切な存在であって、大人と同じだけ尊敬を受けるに値するということを子供に示すことになります。

  例えば、「ひとみちゃん、悪いけど食卓を片付けてくれるかしら?」

  「たかし、もう寝る時間ですよ。2階に上がりなさい。」

  「優樹、ごみを出してくれてありがとう。本当に助かった。」

  「恵、ごめんよ。わざとぶつかったんじゃないんだ。」

  こういう言い方には魔法の力があります。言い方に少し気をつけるだけで、物事がもっとスムーズに運ぶし、子供もよく協力してくれ、礼儀正しくなるのです。

  親が子供に礼儀正しくすることはほんの小さな事ですが、子供の一生を通じてプラスの影響を与える大切なことなのです。

 

家庭内の規則を子供がしっかり理解しているように

  規則があることも知らないままに規則を破ってしまった時ほど、じだんだを踏みたい気分になることはありません。

  子供は本来、大人を喜ばせたいと思っており、何が求められているかよく知っているなら、彼らはたいてい、最善を尽くして、期待に応えようとするものです。問題が起こるのは、守るべき規則がはっきり定められていない時です。

  どうすれば、家族の一人一人が規則をしっかり理解しているかどうかがわかるでしょうか? まず、一人一人の子供と規則について話し合い、理解させようと努めることです。

  次に、子供に、規則を自分の言葉で言わせてみます。うまく言えたら、その子供はしっかり理解したと考えていいでしょう。

  最後に、直ちに規則を実施することです。ただし、子供には知らせずに猶予期間を設け、この間に、誤解や理解不足をなくすようにしてください。

  この3つの段階を踏むことで、家族全員がすべきことをしっかり把握しているか確かめることができます。

 

信頼関係を生む有益な会話、活動をする

  愛する人が自分に親しく話しかけてくれたら、正直に気持ちを打ち明けてくれたら、そしてあなたの話に耳を傾けてくれたら、あなたはとても幸せな気分になるでしょう。あなたの話に耳を傾けてくれる、それはまさしく、あなたを気遣ってくれているということなのです。

  子供でも同じです。あなたが子供に話させ、それに耳を傾けるなら、子供はあなたをより身近に感じ、また、自分が価値のある人間であるように感じます。

  子供と話す時間を持ちましょう。そうすれば子供は、親が自分のために時間をさいてくれている、そして自分のことが話題になっているという2つのことで、とても嬉しく感じることでしょう。

 

  子供と話す時の話題を幾つか挙げてみましょう。

−−子供に、「何をするのが好きか」話させる

−−「どんな時うれしいか」を話させる

−−自分の心の中を探るように言い、「今、どんな気分か」を話させる

−−「今日、誰か他の人のためにしたこと」について話させる

−−今日子供のしたことの中で、何が嬉しかったかを子供に話してやる

−−子供が生まれた時にどう思ったかを子供に話してやる。子供が幼かった時の様子を話してやる。

−−子供に、小さかった時のことで、良い思い出になっていることを話させる。

  効果的な活動:子供に「自分の絵」を描かせたり、雑誌の切り抜きでコラージュを作らせたりする。

  子供の指紋をとって壁に貼る。

  大きめの包装紙か新聞紙の上に子供を横たえ、体の型をとる。そして子供に顔や服の色を塗らせる。それを壁に貼る。

  子供と一緒に何か目標を決めチャートを作る。チャートは見やすい所に張り、定期的に見直し、新しくする。目標は、あなたが子供に達成させたいものではなく、子供が本当に達成したいと思うものにすること。

 

責任感を持たせる

  俊は宿題にとりかかりましたが、テレビや隣の部屋で遊んでいる弟が気になって、はかどりません。とうとう寝る時間になっても宿題は終わりませんでした。俊は、悪い成績を取りたくないからもっと頑張ると言い張りましたが、母親はとにかく俊を寝させました。

  次の夜は、俊が勉強しやすいようにと、母親は俊の部屋に机を用意しました。これで気が散ることはないでしょう。しかし、俊はそれでもなかなか勉強に集中できません。そこで母親は、俊の支えになるようなことをしてあげなければならないと感じました。そして、就寝時間までに宿題を済ませたら、本を読んであげるという約束をしたのでした。また別の夜には、時間通りに宿題が終わったら30分余分に起きていてもいいと言いました

  まもなくマイクは、いつも、自分できちんと宿題ができるようになりました。母親の助けが効を奏したのです。

  責任感を持たせる秘訣は簡単です。

  子供を褒めてあげること。手助けをしてやること。そして粘り強くあること。この3つです。子供にやるべきことをしっかり把握させてください。また子供に期待していることは、現実的でなければなりません。

 

粘り強さを助長する

  親は子供の中にある粘り強さを育成しなければなりません。子供が粘り強く物事をやり抜く性格であればあるほど、物事をうまく成し遂げます。

  落胆や疲れに負けてしまって途中で投げ出してしまうと子供は自信を失います。時には一旦やめて、後でまた取り掛かるのが最善である場合もありますが、一度始めた事をうやむやにして止めてしまうのは、自信をなくしてしまう原因になりかねません。

  子供が途中で投げ出したがったら、最後まで頑張るよう励ましてあげましょう。あなたの子供は、自分はすぐにあきらめてしまう人間だと考えていますか? そうなると、その子はますます、すぐに物事を投げ出してしまうようになり、だんだん、自分はダメな人間だという劣等感に陥っていくことになります。

  幾らか難しくても、子供が頑張り続けている時は、おおいに褒めてあげましょう。また、あなた自身が粘り強く努力する良い手本になって下さい。そして難しい事をしている時には、あきらめて投げ出すよりは、助けを借りたほうが良いと子供に教えてあげて下さい。

 

責任の分担をはっきりさせる

  鈴木家の冷蔵庫のドアには、家族それぞれに課せられた仕事の分担表が貼ってあります。仕事は交替制になっています。たとえば、おにいちゃんは今週ゴミを外に出し、来週は食器を食卓に並べる、という具合です。当然、仕事の内容は子供の年令に応じて割り当てられます。

  各自が、自分の仕事は何で、いつそれをすべきかをわきまえています。これは素晴らしいシステムです。大抵、殆ど注意しなくても、仕事が遂行されます。家族の誰もが、仕事はだいたい平等に分担されていると知っています。このシステムでは、みんなが、自分は家族の重要な一員であると感じ、任務をしっかり成し遂げたという満足感を得るのです。

 

自尊心を傷つけない。

  「ねえ、みんな、優子を見て! 舌をベロンと出してまるで牛みたい!」

  「おまえ、なんか臭いぞ。たまには風呂に入ったらどうか?」

  親が子供にこのような言い方をするのは、それなりの理由があってのことだと思います。あざけって、子供を馬鹿にしようとしているわけではなく、子供にショックを与え、恥ずかしいと感じさせることで、態度を改めさせようとしているのでしょう。

  しかし、こうやってあざけるのはまずいやり方で、ただ子供を傷つけるだけです。

  一人の人間としての彼らの自尊心を大切にしてあげて下さい。これが建設的なやり方です。

  誰にでも自尊心があります。しかし、誰にも尊重してもらえないと、すぐ自尊心を失い、自分などどうでもいい存在だと考えてしまいます。もし、あなたの子供を様々な感情や欲求を持つ一個の人間として見るなら、子供に対しても敬意をもって接することでしょう。そして子供もまた、あなたの期待に喜んで応えたいと願うようになるでしょう。

 

事あるごとに褒め、感謝の気持ちを表す

  親は、子供に何か褒めるに値する良い所がないかと常に気を配っていなければなりません。そして見つけたなら、それを積極的に褒めてあげるべきです。

  どの子供にも必ず何か良い所があるはずです。例えば、誰もが不機嫌な朝に、にこやかで明るい。ベッドをきれいに整える。歯磨きを一人できちんとできる。友達と仲良く遊べる。ペットの世話をよくする。部屋をいつもきれいに片付ける。元気がない人には、やさしい言葉をかける。いつも暖かい笑顔を絶やさない。物覚えが早い。想像力が豊か。運動が得意。弟の面倒をよくみる、など。それが何でれ、チャンスを見逃さず、ほめてあげ、感謝の気持ちを表して下さい。

 

子供に期待をかけすぎない。

  真美は、朝食のテーブルいっぱいにミルクをこぼしました。父親が怒鳴ります。「またこぼしたのか! 部屋に行ってなさい!」

  俊夫は、みんなが集まって話している時に静かに座っていることができず、みんなの迷惑になるような大きな声で話をしてしまいます。母親は、彼をつれ出しておしりをぶちます。

  由香はまた、2と3ばかりの通知表をもって帰ってきました。「成績が上がるまでテレビは見せません!」と親が言います。

  以上の例に登場した親たちには一つ共通点があります。それは、子供たちに無理な期待をかけていることです。真美は不器用な年頃なのです。どんなに注意をしていても失敗してしまいます。俊夫はまだ小さいから、小声で話さなくては、などということは忘れてしまいます。どうしてそうしなければならないのかさえ理解できないのです。由加は、年令からすると知能が未発達なのです。頑張ってはいるのですが、平均点を取るのが精一杯なのです。

  あなたは、子供にできるはずだと思っているのに、それを子供がうまくできないなら、それはもしかすると、あなたの期待が大きすぎるせいかもしれません。

 

正直であることの大切さを教える

  1.子供に対していつも正直でいて下さい。何についてであれ、あなたが嘘をついていることを知ったなら、子供は、自分が嘘をつく時には罪悪感を覚えながらも、それほど悪いことではないと考えるようになります。

  2.正直になれる雰囲気を作りましょう。子供はみな間違いを犯すものですし、また間違いを犯す自由が許されているべきです。子供が完全であることをいつも要求しているなら、子供は、進歩するよりも、犯した過ちを隠そうとするようになるでしょう。子供が間違いや過失を犯したら、それを正直に認めることが良いことなのだ教えるような話し方をしましょう。

  3.嘘をつくチャンスを与えないようにしましょう。子供が何か過ちを犯したことがはっきりしている時、わざわざ、やったかどうか問いただすようなことはしないように。ただ、事実を率直に言うことです。「誰がやったの?」と問うのではなく、「お砂糖入れを割って、砂糖をそこら中にこぼしたわね。」と、はっきり言ってください。

  4.子供が嘘をついている疑いのある時は、そう言いなさい。ただし、優しく言うこと。確かに、嘘をつくほうが事を簡単にすませられるように思えることもあるけれども、正直に本当のことを言ったほうが、良いことをしたんだという確信がもてると教えてあげて下さい。

  5.子供が言いにくいことを正直に言った時には、ほめてあげましょう。「言いにくいことをよく正直に話してくれたわね。うれしいわ。」というふうに。

 

整理整頓の習慣を奨励する。

  親は子供に整理整頓を教える事で、彼らに自信を植えつける事が出来ます。生活環境が整然としていると、気分も良く、やる気が出てくるものです。

  身の回りがゴチャゴチャ乱れていると、気分も沈みやすくなり、何一つうまくいかないように思えたりします。

  子供にとってもそれは同様です。身の回りがきちんとしていないと、良い気持ちがせず、むしゃくしゃした気分になります。

  だからといって、親がいつも子供のために後片付けをしてまわりなさいと言っているのではありません。それでは解決になりません。子供が自分で身の回りの整頓をする習慣をつける必要があるのです。そのためにはまず、子供の仕事を決め、それは子供の責任にするのです。子供部屋の掃除は誰がしていますか? 4、5歳以上の子供なら自分でできるはずです。それ以下の子でも、手伝うことはできます。子供服の整理は誰がしていますか? これも子供ができるはずです。おもちゃの片付けは誰の仕事ですか? 子供にやらせてください。

  子供の大きさに合わせて環境を工夫してあげましょう。おもちゃの棚や洋服の引き出しを彼らの届く所に設置してあげてください。おもちゃ箱はおもちゃが整然と収まらないので勧められません。棚か袋のほうがいいでしょう。

  子供が自分の仕事をしなかった場合、親が代わりにやってしまってはいけません。子供から仕事を取りあげるのではなく、部屋の片付けが済むまでは遊びに行ってはいけませんと言いなさい。そうすれば、子供はきちんとします。

 

働くことを教える

  働くことを知っている子供は幸せです。自分が、家族や周囲の人々に役立っていると実感できるからです。そして、自分が価値のある人間だと感じることができます。

  幼い子供はみな働くことを学びたがっています。父親や母親がしている事を自分もやってみるのは楽しいことだと考えるのです。この「やる気」を利用してください。ただし無理はいけません。少しずつ教えてあげるようにし、当分の間あまり多くを望まぬことです。

  子供に働く意欲を起こさせる秘訣の一つは、父親か母親が子供のそばについて一緒にすることです。そうすれば仕事が容易になり、すべてがよりスムーズに、速くなされるようです。

  労働は誰もが学ばなければならないものです。着実に、熱意をもって、働くことを子供に教えてください。そうすれば、子供はきちんと仕事を成し遂げるようになることでしょう。

 

協力することを教える。

  子供に助け合うことを教えたいなら、親自身が良い手本を示さなければなりません。あなたはいつも、奥さんあるいはご主人と、別々に自分のしたい仕事をしていますか? それとも仲良く協力し合っていますか? 子供は、あなたのする通りにします。子供は、生きていくための手本として、あなたを見ているのです。

  子供が誰かと協力して物事をした時は、必ずほめてあげなさい。「お部屋の掃除、おにいちゃんと一緒にきれいにできたわね。助けあってすればとても速くできるでしょう!」

  お説教はうまくいきません。あなたが良い手本となって、自ら実践し、子供をほめてあげるならうまくいきます。そうすれば、子供はだんだん、もっと上手に助け合うようになっていくことでしょう。

 

プライベートな空間を与える

  自分だけの空間を持つことは、子供にとって大切なことです。これによって子供は、自分は大切な存在であって、自分だけのもの、自分の思うままに使えるものを所有しているんだと感じるのです。

  ものすごく大きな家に住んでいなくても、めいめいの子供に自分だけの空間を与えることは出来ます。

  ある子供には、押し入れの中のいくらかのスペースを好きなように使わせればいいでしょう。  また、ある子供には居間の隅の一角を与えればいいでしょう。ついたてで仕切れば、その子だけの空間が出来上がります。

 

聞き上手になって、子供を受け入れてやる

  子供が何か問題や不平を持ちかけてくると、すぐにあなたのほうが子供に話してしまいがちです。黙って座って、ただ子供の話に耳を傾けるのは難しいものです。

  「会話上手」のおもしろい定義をご存じですか? 「会話上手とは、始終相手にしゃべらせる人」です。これこそ、あなたが子供に対してすべき事です。そうやって、子供にしゃべらせるなら、子供の世界で何が起こっているのか、よく知ることができます。

 

日記をつけさせる

  子供に、日記あるいは自分の記録をつけさせてみましょう。

  では、どうすれば子供にそれを始めさせることができるでしょうか?

  まず、あなた自身が始めることです。そうすれば子供は、毎日の生活の一部は記録するに値するということを学びます。

  次に、子供が自分の思ったことを書き留められるノートか日記帳を買うのを助けてあげるといいでしょう。そして何を書けばいいか、アドバイスをしてください。ただし、初めの数日だけです。子供がコツを飲み込んだようなら、あとは自分の力でやらせます。どんな事を記録すればいいでしょうか? 毎日どの節を暗記したかや、どのMLを読んだか、それに特別な出来事や、学んだ事を記すことのできる表を作ってあげてはどうでしょうか。

  毎日子供と過ごす時間に、日記タイムを取り入れるようにするといいでしょう。

  日記については、子供のプライバシーを守るようにしましょう。

 

良い面を探す

  リサは、夕食後、テーブルの後片付けをしました。途中で、パンくずがこぼれて床がパンくずだらけになり、落としたスプーンが冷蔵庫の下に入りこんでしまい、流しではお皿を割ってしまいました。

  せっかくのお手伝いもめちゃめちゃに終わってしまったといえるでしょう。しかしリサの母親は極めてもののわかった人です。子供が進んで手伝おうとしている時に批判されると次からはもう手伝おうという意欲を失ってしまうと知っていたのです。

  解決策は、母親が、リサのした良い事を見つけることです。「リサ、テーブルの上が本当にきれいになったわね。」母親は言います。

  途端にリサの顔がパッと明るくなりました。「あちこち散らかしちゃってごめんなさい。でも、テーブルはきれいになったでしょう?」

  子供は何かまずいことをしてしまったら、わざわざ人に言われなくてもよくわかっているものです。けれども、自分が良い事をしたかどうかについては確信がありません。そういう場合こそ、親が、良くやった事を見つけてやるべきです。

 

創造性を育てる

  あなたの子供が得意なのは図画ではなく、言葉の使い方(書き言葉にしろ話し言葉にしろ)かもしれません。またブロックで何かを作るのが上手だったり、ちょっとした動作が魅力的であったりするのかもしれません。

  どうすれば創造性を伸ばすことができるでしょうか。

  1.子供のしていることに興味を示す。子供が手掛けようとしている事について質問し、答えに耳を傾ける。

  2.子供が時間をかけ熱心に取り組んでいることにだけではなく、ちょっとした即興で行なったことに対しても関心を向ける。入念に一から仕上げた立体模型と同様に、砂遊びの中にも子供の独創性を見いだせるのです。

  3.子供が何に興味を示すかに気をつけている。もし体を動かす事に興味があるなら、ダンスで創造性を発揮するかもしれません。だから、その方面の才能を伸ばすよう励ましてあげましょう。

 

惜しみなく愛情を与える

  愛情のこもった抱擁に勝るものはありません。「ママ、ただいま」 由加はそう言うとお弁当箱をキッチンに置き、2階へ上がろうとしました。

  しかし母親は、彼女を呼びとめ、彼女をぎゅっと抱き締めます。「今日はどう、楽しかった?」 

  にっこり笑って、由加も母親を抱き締めます。

  子供は限りなく愛情を必要としています。抱擁は、子供は大切な存在で、私達の人生の一部であり、私達はいつでも助けになりたいと思っているということを示す一つの方法です。

  抱擁などで愛情を示している時、同時にそれを言葉でも表すことを忘れないで下さい。「愛してるわよ。」 「おまえのような子供を授かって、本当に幸せだよ。」 「いい子でいてくれて、ありがとう。」 「あなたがぎゅっと抱き締めてくれると本当に嬉しいわ。もう一回してくれる?」などなど。

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  子供が言葉をしゃべれるようになる前からでも、あなたは、良い手本と愛を示すことで、子供をいつでも主に導くことができる。

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