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あせらないで、しっかり握り締めよ!

GP 11 1970年11月19日

 

  1.急いで楽しめるものはこの世の中にはめったにない! 一杯のワイン、散歩、会話、ドライブ、景色、食事、抱擁! 神はめったに急がれない! 子供を産ませ、花を咲かせ、木を繁らせ、日を沈ませ、たった一枚の葉が生えるには、時間がかかる。神はめったに急がれない−−怒られる時以外は! 神は事を突然にされることはめったにない。裁きを下される時以外は!

  2.おかしなことだけれど、私がまだ小さい少年だったころ、丘に座ってよくこんなことを次々に考えた。万物は何を意味しているのかと、いつも考えていた。私にとっては、万物は何かをわかりやすく説明するものであり、何かのメッセージを伝えていた!

  3.海は嵐の時以外、いつも平和で静かで悠々としている。

  4.スピードは殺す。急ぎは無駄を生む。忍耐には信仰が要る。急いでいる時に、事を見逃し、物をなくし、事を忘れ、急速に疲れてくる。気楽に遊び暮らしても、後でその恥を負う。急いで結婚し、ゆっくりと後悔する! 一分を節約し、一生を失う! 一文を惜しみ、百を損する!

  5.ゆっくり歩けば、より早く目的地に着ける−−少なくとも、必ずそこに到達できる。たとえ遅く着いても、全然着くことがないよりずっといい。安全は後悔にまさる! 跳ぶ前に一度止まって見よ! 全然跳ばなくてもすむかも知れない! 一歩誤るも、一キロ誤るも、誤りは同じだ! 標的を正確にねらうには、時間がかかる。

  6.陸軍では、射撃演習の時、動く標的か、一瞬見えてすぐ消える標的を使用した。兵隊の多くは、標的が消えることにばかり気をとられて、撃ち急いでは標的を全くはずしてしまった。しかし、私は確実に標的を撃てるという自信を持てるまで待ったので、「名射撃手」の呼称を得た。射撃競技で十発九中の成績で優秀ライフルマンとされた! ある兵隊たちは、速く撃とうとしてあせり、ライフルを大きく揺らし、引き金を急速に引くためにライフル全体を引くことになり、結局的をはずすことになった! 罪とは、的をはずすことだ! 私は時間をかけてひじをゆっくり休ませ、ライフルをしっかり安定させ、的を正確にねらい、引き金をゆっくり握り締めた! 

  7.あせらないで、しっかり握り締めよ! そうしなければ、あなたは的をはずす! ローマは一日で成ったのではなかった! 主は私に、家を建てるには時間がかかる、と言われた。以前私が、あることをしようとして、何かを知ろうとして、ある決断を下そうとしてとても急いでいた時、主はこのように言われた。「まず、土台をしっかり築かなければならない。それから煉瓦の上に煉瓦を、石の上に石を、一つ一つしっかり隙間なく組み合わせ、その上をモルタルで固めなければならない。この仕事は決して急いではならない。そうでなかったら、壁は崩れてしまうだろう。そして最上部に、屋根を安全に乗せなければならない。梁の上に梁を、たるきの上にたるきを、タイルの上にタイルを重ねて。次いで左官が来て、ペンキ屋が来て、最後に仕上げ工が来て、窓や戸を取り付け、天井や床を張る。そしてそれはついに一戸の建物としてまとまったものになる。−見た目もよい、ゆっくり建てられた上等の建造物であり、長持ちする!

  8.しかし私は大急ぎで建てた、粗雑な家も多く見たことがある。いんちき請負者は冗談半分にこう言う。「まあ、倒れる前に人間が逃げ出せる程の持ち具合の家さ!」 嵐の時に崩れて、その中に住んでいる人々を圧死させるのはこの種の家だ! 私は、マイアミの大ハリケーンの時、幾千という家がこのようにつぶれたのを見た。そして幾千という人々が、こういう急造された不完全な建物の犠牲となった。これらの建物は、狂暴な嵐には一たまりもなかった。

  9.あなたは嵐のさ中にあっても、平和な気持ちでいることができる。もしあなたが、どんな強風にも動かされない、堅固で、入念に建てられた建物の中にいて安全だとわかっているなら。良い建物とは微動だにせず、もちろん嵐に飛ばされたりしない。それは、嵐が終わるまでしっかりと建っている!

  10.邪悪な者は、その舌をもって、またその足をもって、またその手をもって、罪に急ぐ!−−箴言19:2b  しかし私達は主を待つべきだ! 主を待ち望む者は新たなる力を得る。−−(イザヤ40:31a) −疲れてしまう代わりに! 「あなたは全き平安をもってその思いをあなたに留めている者を守られる。彼はあなたに信頼しているからである。」「信じている者は、休息に入った」「主は、その愛する者を休ませられる!」−−イザヤ26:3, ヘブル4:3a, 詩篇127:2b

  11.主にあって休みなさい! 忍耐には信仰がいる! 患難は忍耐を生み出す。なぜなら、患難は、すべて起こる事については、神が支配しておられるという、神に対する信頼と信仰を持たざるを得なくなるからだ!−−ローマ5:3

  12.「悪しき者は波の荒い海のようだ。静まることができない。わが神は言われる、『よこしまな者には平安がない』と。」−−イザヤ57:20,21 彼らは油断なく揺れ動いていて、一時も休むことができない。よこしまな者には平安がない!

  13.しかし、「休みが、神の民のためにまだ残されている!」

  14.あせらないで、しっかり握り締めよ! そうしないとあなたは的をはずす。そして神の的をはずすことは罪だ!

  15.モーセは神の子達を解放しようとした時、最初はあせった。そのため彼はエジプト人を殺し、ただ自分の命を救うために一人で逃げなければならなかった。しかし40年の歳月を通して忍耐と謙遜を学び、荒野で羊を牧し、自分の衝動によって行動するのでなく、神の御声を聞く時間を持った彼は、40年目についに多くの時間と労力を要するエジプト脱出の仕事に取りかかる準備が完了した。ゆっくり、しかし確実に!

  16.兎はゴールラインにも到達しなかったが、亀は勝った!

  17.その後モーセは山上に40日40夜いて、神の御言葉を聞いたが、ほんの一瞬の怒りから、彼は十戒の全部を壊す結果になり、彼が山で神から得たものすべてを失ってしまった。そのために彼はまた山上に戻り、もう一度40日間をそこで過ごさなければならなかった。あせる事で、2倍の日数がかかったのだ。

  18.私の妻はよく、私達が会合や誰かと会いに行く途中、私にこう言って釘をさした。「ねえ、ハニー、私達はあなたが言う近道をする時間の余裕はないのですよ。」 というのも彼女は、私が少しでも早く着けるようにといわゆる近道を行き出したら、どんなことになるかを知っていたからだ。私達はほとんどいつも、途中で完全に道に迷ってしまい、結局普通の道をとるより、ずっと遅れるのが常であった!

  19.あせらないで、しっかり握り締めよ、そうでないと的をはずしてしまう。そしてそれは罪なのだ。

  20.私の妻は時々、彼女が私に何かを聞いた時、すぐに返事をしないから、ひどく怒ることがある。しかし正しい答えをするためには、間違いのないように考え、祈るために、時間が必要なのだ。間髪を入れずべらべらしゃべる人がいるが、その人はほんとうに何かを言っていることになるのだろうか。語るにおそく、怒るにおそくあるべきである!ゆっくりやりなさい。時間をかけて。その方があなたの楽しみも大きいだろう。セックスの時すらも! ゆっくりの方が、人生から得るものがもっと大きくなる。

  21.私の父はよく、次のような教訓めいた歌を歌っていたものだった、「くよくよするな、あわてるな、頭に来るな。そうでなかったら、負けるぞ、結婚するぞ、葬られるぞ!」

  22.あせらないで、しっかり握りしめよ。そうでないと、的をはずしてしまう。そして、それは罪なのだ! 

  23.「なまけ者よ、ありの所へ行け」(箴言6:6a) しかし、あのありの忙しい、おどけた様な身振りを観察し、ありから何かを学ぶには時間がかかる。「熱心で、うむことのないように」(ローマ12:11)ナマケモノは、一日中木の枝にぶら下がり、目を閉じて眠っている。ほとんど動かず、まるで木の一部であるかのように見える。その動作はのろいのでなく、まるで死んだように見える!

  24.射撃位置についた時、私は決して急がなかったが、同時に射撃する事を全部忘れたわけではなかった。私は、引き金を突然引いたりせず、的を正確に狙うのに必要な時間をかけて、ゆっくり握り締めた!

  25.「何事にも節制をする。あなたがたの制度を、みんなの人に示しなさい!」−−1コリント9:25; ピリピ4:5  あまり速く走るな。転ばないために。もちろんただ座っていてはいけない。何かをしなさい。ただし、歩きかたによく注意しなさい!−−エペソ5:15

  26.あせらないで、しっかり握り締めよ。そうでないと、的をはずしてしまう。そしてそれは罪だ!